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第2章
第56話 パウンドケーキ
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僕はパウンドケーキの作り方を説明した。ドライフルーツはお酒に漬けるって説明をしたんだけど、ワインに付けるんですか?と聞かれて、蒸留酒も一般的でないのか、と気がついた。
でもよく考えたら、子供向けだと洋酒は使わない方が良かったなと思ったので、お酒にはつけずにお水と砂糖で少し煮て柔らかくしてもらうことにした。
ベーキングパウダーもなさそうなので、卵を泡立てて使ってもらう。泡立て器がないな、と思ったんだけど、ドレッシングを混ぜるときに使っている道具が使えそうだって。それで卵白を泡立ててもらった。
バターを室温に戻して、砂糖を入れて、よく混ぜてから、卵黄を加えて更に混ぜる。刻んだナッツとドライフルーツを加える。ナッツは、香りが出るまで一度ローストしてから刻んでね、とお願いした。
その後、あらかじめふるった小麦粉を加えて混ぜて、泡立てた卵白を半分加えて混ぜてから、残りの卵白を混ぜて、泡が消えないように手早く型に流し込んで、温めておいたオーブンで焼く。
オーブンの火加減は、普段から使っているシェフ任せだ。
「あ、何か香りのあるスパイスとかを入れてもいいと思うよ」
バニラを入れたいところなんだけど、なさそうだし、ラム酒とかもないし。シナモンとかはあるのかな。
「ナッツとかを入れないで、紅茶を入れても美味しいと思うよ」
「紅茶でございますか‥‥。紅茶は高価でございますから‥‥」
こちらでは、紅茶の葉っぱはかなり高価なものらしい。使うにしても許可が必要なんだって。他のケーキが好評になってからかな。
あ、出涸らし紅茶でもいいんだった。
「お茶を入れた後の紅茶の葉っぱを使っても大丈夫だったと思う。」
「なんと、然様でございますか!」
「うん、もし、使えそうなら作ってみて。きっと美味しいから」
「ありがとうございます。それにしても、ソーマ坊ちゃまは、お詳しいのですね」
「食べたかったから、覚えてただけだよ」
前世の記憶が戻る前の小さい頃から、こんなのが食べたい、あんなのが食べたいと、領地のシェフに作り方を伝えてリクエストしていた気がする。
前世では、あまりお金がなかったから、食べたい物は自分で作っていた。料理好きというより食べるのが好きだったんだと思う。
だから、リクエストして、シェフがアレンジを加えて作ってくれると嬉しい。
とりあえずシェフが作ってくれそうなので良かった。嬉しくなって部屋に戻るときスキップしてしまいそうになったよ。
「ソーマ、どうしたのスキップして」
アリサ姉様が、廊下で僕を見つけて呼び止めた。あれ、スキップしちゃってた?
「姉様、シェフが美味しいお菓子を作ってくれそうです」
「まあ、そうなの。もしかして叔父様をお呼びした方がいいのかしら」
「どうかな。パウンドケーキですよ。エルストベルク領のシェフは、時々作ってくれていたでしょう。あれです。」
僕が新しい魔道具を作ったときは、母様が叔父様を呼び出していたけど、お菓子のときはどうだったか分からない。商品化しなくてもシェフが作ってくれるから呼んでなかったかもしれないね。
チョコレートのときは、カカオを商会で取り寄せてもらったり、加工も工房でやってもらった方が効率がよかったから、商会にお任せすることにしたんだけど、厨房で作ってもらって食べられれば、それで十分だもんね。
「でも、美味しかったら叔父様にも食べさせてあげたいね」
「そうね。パウンドケーキなら叔父様もお喜びになると思うわ。私も楽しみにしているわね。」
姉様が、嬉しそうに微笑んだ。ケーキは楽しみだよね。
でもよく考えたら、子供向けだと洋酒は使わない方が良かったなと思ったので、お酒にはつけずにお水と砂糖で少し煮て柔らかくしてもらうことにした。
ベーキングパウダーもなさそうなので、卵を泡立てて使ってもらう。泡立て器がないな、と思ったんだけど、ドレッシングを混ぜるときに使っている道具が使えそうだって。それで卵白を泡立ててもらった。
バターを室温に戻して、砂糖を入れて、よく混ぜてから、卵黄を加えて更に混ぜる。刻んだナッツとドライフルーツを加える。ナッツは、香りが出るまで一度ローストしてから刻んでね、とお願いした。
その後、あらかじめふるった小麦粉を加えて混ぜて、泡立てた卵白を半分加えて混ぜてから、残りの卵白を混ぜて、泡が消えないように手早く型に流し込んで、温めておいたオーブンで焼く。
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「あ、何か香りのあるスパイスとかを入れてもいいと思うよ」
バニラを入れたいところなんだけど、なさそうだし、ラム酒とかもないし。シナモンとかはあるのかな。
「ナッツとかを入れないで、紅茶を入れても美味しいと思うよ」
「紅茶でございますか‥‥。紅茶は高価でございますから‥‥」
こちらでは、紅茶の葉っぱはかなり高価なものらしい。使うにしても許可が必要なんだって。他のケーキが好評になってからかな。
あ、出涸らし紅茶でもいいんだった。
「お茶を入れた後の紅茶の葉っぱを使っても大丈夫だったと思う。」
「なんと、然様でございますか!」
「うん、もし、使えそうなら作ってみて。きっと美味しいから」
「ありがとうございます。それにしても、ソーマ坊ちゃまは、お詳しいのですね」
「食べたかったから、覚えてただけだよ」
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前世では、あまりお金がなかったから、食べたい物は自分で作っていた。料理好きというより食べるのが好きだったんだと思う。
だから、リクエストして、シェフがアレンジを加えて作ってくれると嬉しい。
とりあえずシェフが作ってくれそうなので良かった。嬉しくなって部屋に戻るときスキップしてしまいそうになったよ。
「ソーマ、どうしたのスキップして」
アリサ姉様が、廊下で僕を見つけて呼び止めた。あれ、スキップしちゃってた?
「姉様、シェフが美味しいお菓子を作ってくれそうです」
「まあ、そうなの。もしかして叔父様をお呼びした方がいいのかしら」
「どうかな。パウンドケーキですよ。エルストベルク領のシェフは、時々作ってくれていたでしょう。あれです。」
僕が新しい魔道具を作ったときは、母様が叔父様を呼び出していたけど、お菓子のときはどうだったか分からない。商品化しなくてもシェフが作ってくれるから呼んでなかったかもしれないね。
チョコレートのときは、カカオを商会で取り寄せてもらったり、加工も工房でやってもらった方が効率がよかったから、商会にお任せすることにしたんだけど、厨房で作ってもらって食べられれば、それで十分だもんね。
「でも、美味しかったら叔父様にも食べさせてあげたいね」
「そうね。パウンドケーキなら叔父様もお喜びになると思うわ。私も楽しみにしているわね。」
姉様が、嬉しそうに微笑んだ。ケーキは楽しみだよね。
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