自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第2章

第48話 ヘアクリーム

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「ソーマ、それ気に入ったの?」
「兄様、プティの色だから、どうかなって思って。おじさん、これは値段はおいくらですか?」
「銀貨1枚だよ」

銀貨1枚ならいいかな。ロックがかかってるから構造が見られるかわからないけど、ちょっと買ってみるにはいいかもしれない。
僕がうなずいたら、兄様がついてきている人に指示を出して、その人が支払ってくれた。

その後、またぐるりと見て回って、市場見学は終わりになった。
結局、お土産は、ドライフルーツとナッツだけだった。


市場からの帰りに、叔父様に会いにエルスト商会に寄る事にした。
商会の入り口近くに、馬車を止め、降りようとしたところで、兄様が声を上げた。

「あ、ミラ嬢!」

見ると、ちょうどミラ嬢とエミリア嬢が、商会の玄関から入ろうとしているところだった。

兄様、エミリア嬢もいますよ。

ミラ嬢とエミリア嬢は、兄様の声に気がついて、足を止めて振り返った。

「まあ、ケニー様とソーマ君」

ごきげんよう、と、二人で動きを合わせたかのように、膝を軽く曲げて挨拶をした。
兄様は、馬車から降りてお辞儀をした後に、僕の方を振り返った。僕がちゃんと馬車から降りられるか確認してるんだと思う。

馬車のステップは結構高い位置にあるから、僕の身長だと、手を借りるか飛び降りるしかない。もちろん、僕はぴょんと飛び降りたよ。

「ミラ嬢、アドラー公爵令嬢、お二人は、お買い物ですか?」

兄様は、僕が馬車から降りたのを見届けると、二人の令嬢の方に向き直って微笑んだ。
ミラ嬢に対しては、以前うちの屋敷にミラ嬢が来たときに、名前呼びで良いって言われたので、お互い名前呼びをしているんだけど、
エミリア嬢は、名前呼びの許可をもらっていないから、心の中では、「エミリア嬢」って呼んでいるけれど、呼びかけるときはちゃんと、「アドラー公爵令嬢」って呼んでいるんだ。

「ええ、今日は、『素敵髪生活』を受け取りにきたのよ」
「お屋敷に届けてもらえるのでは」

「ヘアクリームのお試しを予約したの。前回来たときは、標準タイプというのしか、試せなかったから。でも商品の購入予約ももうしてあるのよ」

密かに人気が出ているヘアケア製品だけど、シャンプーはその場では試せない。
毛先に少しヘアクリームをつけてみていただいて、香りや感触を確認していただく程度だ。

シャンプーとリンスは1回分だけ試供品をお渡しして、ご自宅で使ってみていただいて、気に入ったら予約していただく手順なんだけど、
それだと、手に入るまでに時間がかかるから、先に購入予約もしてしまう人も多いらしい。ミラ嬢達も即予約したんだね。

予約時に頼んでおけば、ヘアクリームは他のタイプも用意しておいてもらって試す事ができるんだって。
香りもタイプによって変えているんだって。迷いそうだよね。
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