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第2章
第39話 ジュジュチュシ
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商談室を出た時、隣の部屋から人が出てくるタイミングだった。
叔父様が黒髪の男性と、以前見た事がある従業員の人と一緒に部屋を出てきた。
叔父様だ、と思って笑いかけたとき、叔父様の隣にいた男性が、声を上げて進みでてきた。
「ね、猫!」
僕が抱えているプティを、紺色の瞳を見開いて凝視している。
「え」
「猫、だよね!」
「あ、はい‥‥」
男の人が一歩前にでた。
何だろう。プティに興味を持ったのかな。
「な、撫でさせてもらえないかな」
「え」
プティは、知らない人とかに撫でられたりするのは、あまり好きじゃないんだけど。
「す、少しだけ‥‥、だめかな」
僕が渋ったけど、その人はあきらめられない様子だった。
「あの、この子は、触られるのはあまり好きじゃなくて‥‥」
「さ、先っちょだけ」
「え?」
ぽかっ!と、叔父様が、その男性の頭を軽くはたいた。
僕の近くにいた護衛の人が、僕と男性の間に立った。
「ヘンリー、いい加減にしろ。私の甥に妙な事を言うんじゃない」
「痛いじゃないか! マーカス! 甥御さん?」
そうだ、といって、叔父様はが紹介をしてくれた。
その人は、叔父様の友人で、ヘンリー・シャーロン子爵。
商会の仕事を時々請け負っているんだって。
「ジュ、ジュチュシ、呪術師だ」
「ジュジュチュシ?」
「‥‥、ジュ、呪術師だ」
「ジュ、ジュジュチュ、呪術師‥‥」
お互い噛んでしまった。ヘンリーさんは、呪術師で、外国から流れてきた珍しい商品や、ダンジョンから発見された品とかに
呪いとかがかかっていないかを鑑定したりしているんだって。
「呪ったりとかも?」
「呪ったりはしないよ。呪いを祓ったりするんだよ」
ヘンリーさんは、僕の質問に答えつつ、プティをちらちらと見ている。
「猫ちゃん、名前はなんていうんだい?」
「プティだよ」
「プティちゃん!あ、『プティちゃんにお願い』のプティちゃんに似ているね!」
ヘンリーさんが、はっとして、嬉しそうに笑った。プティグッズを知っているみたいだ。
「うん、似てるでしょ。」
僕はちらりとプティの方を見た。プティは、ゴロゴロと喉をならしていた。
ヘンリーさんは、じっとプティを見つめている。
「もう少しだけ近くで見ても、いいかな」
「‥‥うん‥‥」
その位はいいかな、と、プティの姿を見やすくするように、僕は少しだけプティを抱えている腕を上げた。
ヘンリーさんはにこっと笑って、もう一歩近づいて、腰を屈めて、プティの顔を覗き込んだ。
「プティちゃん、こんにちは!」
プティに挨拶をする。プティが、ちらりと、ヘンリーさんを見た。
「はーっ!かわいいー!」
ヘンリーさんが身悶えした。ぱっと見イケメンなんだけど、残念な雰囲気だ。
(神力がちょっとあがったにゃ)
プティは、にゃーん、とちょっと満足そうに鳴いた。
「はうっ!鳴き声も可愛いー」
「‥‥。」
ヘンリーさんが身をくねらせた。大丈夫かな。
プティは、機嫌良さそうに鳴いた。
(神力がちょっとあがったから、ちょっとだけなら触ってもいいニャン)
小さい前足を、持ち上げて、ヘンリーさんの方に差し出した。
「あ、い、いいのかな?」
ヘンリーさんは、目を瞬かせて、一瞬動揺した様子になり、それからそうっと、指を伸ばして、プテイの前足に触れた。
ちょん、と、プティの前足に触れたヘンリーさんは、ほうーっと深く息はいて、顔を少し赤くした。
「やわらか、やわらかだよぅ!」
また身悶えしている。本当に大丈夫かな。
(神力が、またあがったニャ)
プティが、満足そうに喉を鳴らした。
プティ、まさか、それ目的で、前足を触らせた?
その後、ヘンリーさんはプティの新しいピンクの首輪を、可愛い、似合っているとひとしきり褒めた後、機嫌良さそうに去って行った。
猫好きだし悪い人じゃなさそうだな、と思いながら、僕はヘンリーさんが去って行く姿を眺めた。
叔父様が黒髪の男性と、以前見た事がある従業員の人と一緒に部屋を出てきた。
叔父様だ、と思って笑いかけたとき、叔父様の隣にいた男性が、声を上げて進みでてきた。
「ね、猫!」
僕が抱えているプティを、紺色の瞳を見開いて凝視している。
「え」
「猫、だよね!」
「あ、はい‥‥」
男の人が一歩前にでた。
何だろう。プティに興味を持ったのかな。
「な、撫でさせてもらえないかな」
「え」
プティは、知らない人とかに撫でられたりするのは、あまり好きじゃないんだけど。
「す、少しだけ‥‥、だめかな」
僕が渋ったけど、その人はあきらめられない様子だった。
「あの、この子は、触られるのはあまり好きじゃなくて‥‥」
「さ、先っちょだけ」
「え?」
ぽかっ!と、叔父様が、その男性の頭を軽くはたいた。
僕の近くにいた護衛の人が、僕と男性の間に立った。
「ヘンリー、いい加減にしろ。私の甥に妙な事を言うんじゃない」
「痛いじゃないか! マーカス! 甥御さん?」
そうだ、といって、叔父様はが紹介をしてくれた。
その人は、叔父様の友人で、ヘンリー・シャーロン子爵。
商会の仕事を時々請け負っているんだって。
「ジュ、ジュチュシ、呪術師だ」
「ジュジュチュシ?」
「‥‥、ジュ、呪術師だ」
「ジュ、ジュジュチュ、呪術師‥‥」
お互い噛んでしまった。ヘンリーさんは、呪術師で、外国から流れてきた珍しい商品や、ダンジョンから発見された品とかに
呪いとかがかかっていないかを鑑定したりしているんだって。
「呪ったりとかも?」
「呪ったりはしないよ。呪いを祓ったりするんだよ」
ヘンリーさんは、僕の質問に答えつつ、プティをちらちらと見ている。
「猫ちゃん、名前はなんていうんだい?」
「プティだよ」
「プティちゃん!あ、『プティちゃんにお願い』のプティちゃんに似ているね!」
ヘンリーさんが、はっとして、嬉しそうに笑った。プティグッズを知っているみたいだ。
「うん、似てるでしょ。」
僕はちらりとプティの方を見た。プティは、ゴロゴロと喉をならしていた。
ヘンリーさんは、じっとプティを見つめている。
「もう少しだけ近くで見ても、いいかな」
「‥‥うん‥‥」
その位はいいかな、と、プティの姿を見やすくするように、僕は少しだけプティを抱えている腕を上げた。
ヘンリーさんはにこっと笑って、もう一歩近づいて、腰を屈めて、プティの顔を覗き込んだ。
「プティちゃん、こんにちは!」
プティに挨拶をする。プティが、ちらりと、ヘンリーさんを見た。
「はーっ!かわいいー!」
ヘンリーさんが身悶えした。ぱっと見イケメンなんだけど、残念な雰囲気だ。
(神力がちょっとあがったにゃ)
プティは、にゃーん、とちょっと満足そうに鳴いた。
「はうっ!鳴き声も可愛いー」
「‥‥。」
ヘンリーさんが身をくねらせた。大丈夫かな。
プティは、機嫌良さそうに鳴いた。
(神力がちょっとあがったから、ちょっとだけなら触ってもいいニャン)
小さい前足を、持ち上げて、ヘンリーさんの方に差し出した。
「あ、い、いいのかな?」
ヘンリーさんは、目を瞬かせて、一瞬動揺した様子になり、それからそうっと、指を伸ばして、プテイの前足に触れた。
ちょん、と、プティの前足に触れたヘンリーさんは、ほうーっと深く息はいて、顔を少し赤くした。
「やわらか、やわらかだよぅ!」
また身悶えしている。本当に大丈夫かな。
(神力が、またあがったニャ)
プティが、満足そうに喉を鳴らした。
プティ、まさか、それ目的で、前足を触らせた?
その後、ヘンリーさんはプティの新しいピンクの首輪を、可愛い、似合っているとひとしきり褒めた後、機嫌良さそうに去って行った。
猫好きだし悪い人じゃなさそうだな、と思いながら、僕はヘンリーさんが去って行く姿を眺めた。
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