27 / 466
第27話 高速の依頼
しおりを挟む
「やあ、また、すごいものを作ったようだね。しかも、昨日の今日で。」
叔父様は僕に軽くハグをした後、腕輪を手にとり、魔石や猫のデザインを眺めた後、鑑定器具で鑑定をしたようだ。
「これ、発動させてみたいけれど、兄上用につくったものだよね。兄上、発動してみてくれますか?」
効果を調べるには、魔法陣に魔力を通さないといけないけど、父様の分だからと、遠慮しているようだ。
僕は、腰につけた道具袋から、巾着をとりだして、巾着から魔石を出した。
「叔父様、腕輪にしていない魔石ならあります」
「おお、試してみていいかい?」
「腕輪の形になっているものも確認したほうがいいだろう」
叔父様が嬉しそうに笑った。父様も、腕輪を手に取って、魔力を流したようだ。ちゃんとおまじないも言ってくれる。
腕輪と、魔石だけのものも、おまじない付きでちゃんと魔力を流して、鑑定器具で調べてみてくれた。
「確かに。実際に魅了を弾くような場面がないと、最終的な確認はできないけれど、魅了耐性と出ているね。
急いで商品にすれば、昨日の店の調査で使って、効果の確認もできるだろう。素晴らしいよ!」
叔父様は本当に嬉しそうだ。というより、心配事で今まで表情が曇っていたみたい。
魅了の魔法を放つようなものが、出回っていることで、僕らの事がかなり心配だったようだ。
早速、最優先で‥と言いかけた叔父様は、何か思い出してちょっと考え込んだ様子になった。
「叔父様、どうかしたの?」
「うん。これは、やっぱり最優先にしたい‥‥。しかし‥‥。」
叔父様は、ちょっと困り顔で、僕の方を見た。
「‥‥、ソーマ。記録の魔道具の解析の件だけど、解析をもっと高速にするって、可能かな」
「え?あれ、解決したんじゃなかったの」
「実は、まだ、終わっていなくてね。もっと広範囲に記録の魔石を解析することになったんだ。」
商会のスタッフさんを沢山動員して、解析しようとしていたけど、魅了耐性の魔道具も優先したいので、
解析が高速化できれば、解析担当の人の割合を減らせるんじゃないかと思ったんだって。
「もっと広範囲って、どうして?階段のときの現場の映像はしっかり映っていたんでしょう?」
「エミリア嬢の件は、階段の件だけではなく、教科書を破ったり、ドレスにワインをかけたりという疑いがまだ残っているという話になってね」
階段で、エミリア嬢が、カタリーナ嬢に触れてもいなかった映像を、法務院に提出したけど、
それだけじゃダメッて言われたようだ。
それならば、と過去何ヶ月分科の、記録の魔道具の映像を確認することにしたんだって。
しかも、学園にあちこちに設置してあった、魔道具の分だから、
時間も場所も範囲がすごく広がっているようだ。
それを、スタッフさんが手分けして、高速再生した映像で、無実の証拠を見つけようとしているんだって。
「それ、すごく時間がかかるんじゃないの?」
「だから、高速に出来ないかと思ってね。」
僕はうーん、と唸った。
ちょっと思っていて口には出していないけれど、乙女ゲーム的な展開なら、階段が自作自演だったら、教科書はドレスもカタリーナ嬢の自作自演の可能性は高いと思う。
父様も叔父様も、そう思っているんだろうと思う。
叔父様は僕に軽くハグをした後、腕輪を手にとり、魔石や猫のデザインを眺めた後、鑑定器具で鑑定をしたようだ。
「これ、発動させてみたいけれど、兄上用につくったものだよね。兄上、発動してみてくれますか?」
効果を調べるには、魔法陣に魔力を通さないといけないけど、父様の分だからと、遠慮しているようだ。
僕は、腰につけた道具袋から、巾着をとりだして、巾着から魔石を出した。
「叔父様、腕輪にしていない魔石ならあります」
「おお、試してみていいかい?」
「腕輪の形になっているものも確認したほうがいいだろう」
叔父様が嬉しそうに笑った。父様も、腕輪を手に取って、魔力を流したようだ。ちゃんとおまじないも言ってくれる。
腕輪と、魔石だけのものも、おまじない付きでちゃんと魔力を流して、鑑定器具で調べてみてくれた。
「確かに。実際に魅了を弾くような場面がないと、最終的な確認はできないけれど、魅了耐性と出ているね。
急いで商品にすれば、昨日の店の調査で使って、効果の確認もできるだろう。素晴らしいよ!」
叔父様は本当に嬉しそうだ。というより、心配事で今まで表情が曇っていたみたい。
魅了の魔法を放つようなものが、出回っていることで、僕らの事がかなり心配だったようだ。
早速、最優先で‥と言いかけた叔父様は、何か思い出してちょっと考え込んだ様子になった。
「叔父様、どうかしたの?」
「うん。これは、やっぱり最優先にしたい‥‥。しかし‥‥。」
叔父様は、ちょっと困り顔で、僕の方を見た。
「‥‥、ソーマ。記録の魔道具の解析の件だけど、解析をもっと高速にするって、可能かな」
「え?あれ、解決したんじゃなかったの」
「実は、まだ、終わっていなくてね。もっと広範囲に記録の魔石を解析することになったんだ。」
商会のスタッフさんを沢山動員して、解析しようとしていたけど、魅了耐性の魔道具も優先したいので、
解析が高速化できれば、解析担当の人の割合を減らせるんじゃないかと思ったんだって。
「もっと広範囲って、どうして?階段のときの現場の映像はしっかり映っていたんでしょう?」
「エミリア嬢の件は、階段の件だけではなく、教科書を破ったり、ドレスにワインをかけたりという疑いがまだ残っているという話になってね」
階段で、エミリア嬢が、カタリーナ嬢に触れてもいなかった映像を、法務院に提出したけど、
それだけじゃダメッて言われたようだ。
それならば、と過去何ヶ月分科の、記録の魔道具の映像を確認することにしたんだって。
しかも、学園にあちこちに設置してあった、魔道具の分だから、
時間も場所も範囲がすごく広がっているようだ。
それを、スタッフさんが手分けして、高速再生した映像で、無実の証拠を見つけようとしているんだって。
「それ、すごく時間がかかるんじゃないの?」
「だから、高速に出来ないかと思ってね。」
僕はうーん、と唸った。
ちょっと思っていて口には出していないけれど、乙女ゲーム的な展開なら、階段が自作自演だったら、教科書はドレスもカタリーナ嬢の自作自演の可能性は高いと思う。
父様も叔父様も、そう思っているんだろうと思う。
1
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
元おっさんは異世界を楽しむ
たまゆら
ファンタジー
不慮の事故によって死んだ須藤ナイト(45)は16歳に若返って新たな世界に転移する。
早々に人狼の幼女達と出会ったナイトは、とりあえず幼女の村で世話をしてもらうことになる。
と、思いきや、幼女の村に強大なモンスターが襲撃してきて……。
そんなドタバタな始まりを迎えるも、元おっさんの異世界生活は順調です!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
幼馴染みが婚約者になった
名無しの夜
ファンタジー
聖王なくして人類に勝利なし。魔族が驚異を振るう世界においてそう噂される最強の個人。そんな男が修める国の第三王子として生まれたアロスは王家の血筋が絶えないよう、王子であることを隠して過ごしていたが、そんなアロスにある日聖王妃より勅命が下る。その内容は幼馴染みの二人を妻にめとり子供を生ませろというもの。幼馴染みで親友の二人を妻にしろと言われ戸惑うアロス。一方、アロスが当の第三王子であることを知らない幼馴染みの二人は手柄を立てて聖王妃の命令を取り消してもらおうと、アロスを連れて旅に出る決心を固める。
【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~
次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」
前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。
軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。
しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!?
雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける!
登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!
長船凪
恋愛
ヴィルシュテッター帝国、ゼーネフェルダ子爵家の長女にとして生まれたエリアナ・ド・ゼーネフェルダ。
満月の晩に獣に変身する(猫耳に尻尾を持つ姿)呪い持ちの子爵令嬢。
旦那様は竜族の血を引子孫のゴードヘルフ・ラ・クリストロ小公爵。
そこに嫁ぎ、子を産むと早死にすると世間では恐れられていた。
今の公爵夫人は再婚で二人目。
呪い持ちを隠して輿入れさせられたのは、父が事業に失敗したあげく、カジノで起死回生を狙うも失敗し、借金が増えた為。
そんな中、不意に届けられた竜族の血を引く一族の末裔、クリストロフ公爵家からの子爵家への求婚状。
何故か子爵家の令嬢なら誰でも良いような書き方で、しかし結婚支度金が多く、金に目が眩んだ子爵は即、娘を売り飛ばすことにした。
しかし、満月の夜にケモ耳っ娘に変身する呪い持ちのエリアナだったが、実はある特殊な権能があった。その権能はデメリットつきではあるが、夢の中の図書館にて異世界の記録、物語、知識等を得られるものであった。
*カクヨム等で先行投稿しています。
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる