自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第18話 猫執事 プティーサ・バトラー

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しばらくして、叔父様がやってきた。昼前にも来ていたのに、とんぼ帰りだね。

呼び出されることに慣れている叔父様は、平然として、タウンハウスにやってきたんだけど、
母様達の、つやっつや、プリップリの肌を見て、状況を察して、「うわぁ」とつぶやいた。

「また、すごいの作っちゃったね」

叔父様が言う。化粧品関係は、女性の反応がすごくて大変らしい。

最近、販売を開始した、化粧水とリップクリームも、魔道具じゃないけど、僕がアイデアを出したんだ。

大量に在庫を確保してから販売しないと大変なことになるって言って、アイデアを出してから、実際に販売するまでに半年くらいの期間があった。

その間、母様達は試供品を使っていたよ。

たっぷりの在庫を確保して、販売を開始したけど、高位貴族の女性達が、買い占めようとするので、対応がすごく大変なのだとか。

その上、つやつやプリプリアップだと、更に反応が大変そうだよね。

そう思っていたけど、叔父様は、化粧水の蓋につけた、猫型を気にしているようだ。

「ソーマ、これ、普通のシンプルな魔石にできない?」
「え?なんで?」

プティの為に作っているのに、猫型をやめるなんてありえないよ!

デザインがよくなかったのかな。

僕は、ゲーム内で、作成したキャラから、サバ虎猫が、執事で給仕している姿のイラストを描いて説明をした。

「猫執事、プティーサ・バトラーが、綺麗をお手伝いするんだよ。プティーサは小さいけど、お願いすると綺麗をお手伝いするために頑張っちゃうんだ。だめかな。」

執事は、サバトラから、「バトラー」を連想して作ったキャラ設定だった。駄洒落だよ!

小さいプティが、執事の格好で、お手伝いするのって可愛いと思うんだけどな。

「執事かぁ。 執事が綺麗をお手伝い、それならよさそうだね。」

叔父様は、何かひらめいた様子で、うんうんとうなずいた。
僕の手を両手で包む。

「可愛い執事君が、お手伝いしてくれるよう、お願いするんだね。
それなら、教会にうるさく言われないし、よいと思うよ」

叔父様が心配をしているのは、おまじないってところが、教会に信仰を妨げるとして苦情を言われたりしないかだった。

可愛い猫執事キャラをアピールして、「執事がお手伝い」という、位置づけなら大丈夫だろうという。
なんか、教会とか面倒くさいんだね。

商品としては、化粧水は効果を落としてもよいから持続時間を長く出来ないかと言われた。

化粧水は、すぐに塗り直しできないし、夜会で、一時間で効果がなくなるのは、返って問題になりそうだとか。

それを聞いて母様が、大きくうなずいている。効果が薄れるのは我慢してでも持続力は大事だと強く主張した。

確かに、ダンスの途中でプリプリつやつやがなくなっちゃうとか嫌だよね。

効果を少し弱めて、3時間継続のと、更に効果を薄めて6時間継続のとどちらがいいかと聞いてみたら、
どっちも商品にしよう!と、言ってきた。

3時間継続版と、6時間継続版の魔法陣を作った。満足げな母様と叔父様。

ふと、化粧水は塗り直しできないけど、ミストで、顔に吹き付けるなら、持続できるのでは、と思いついたので言ってみたら、ピキッとその場が固まった。

「そ、それは、何バージョンか後に販売する方向で進めよう」

「私は、そんなものが出来たらすぐに使いたいわ。そもそも、ミストって?」

聞いたら、メイクの上から顔に霧状に振りかける化粧水なんて、そもそもないんだって。
まあ、化粧水を販売し始めたばかりだもんね。

ミストは、魔法陣の効果がなくても、十分に人気がでそうなのと、先に魔法陣のミストを売り出すと、持続効果がある化粧水が売れなくなりそうだからって商品化するのは当分先のことになったんだ。

でも、母様はテスターとして、使うから作って、と言い張っていた。

僕としてはプティのグッズを、広めたいから、腕輪でもリップクリームでもよいから、第一弾を販売してほしいって、叔父様に伝えた。

執事姿のサバ虎猫、プティーサ・バトラーを、ポスターにも書いて、キャラを定着させていくように話がまとまったよ。

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