自作ゲームの世界に転生したかと思ったけど、乙女ゲームを作った覚えはありません

月野槐樹

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第14話 魔法陣作成

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学園長達が帰った後で、早速、解析の魔法陣を作ることにした。

昨日の件は父様にまかせてるし、父様がエミリア嬢をなんとかしてあげたいって思ってるのはわかるからね。

僕は部屋に戻って、お道具箱から、特製魔法陣キット1号を取り出した。

特製魔法陣キット1号には、ベース魔法陣とパラメタ設定魔法陣用の魔石は既にセットしてある。

それから、オブジェクト魔石セットから、読み取りの魔法陣魔石、転写用魔法陣魔石、音声映像再生魔石を出して、
特製魔法陣セットに設定。パラメタに、高速化、日時、時間設定可能を設定した。

後は、作成魔法陣用魔石をおかないと。

これは、いいやつのほうがいいからワイバーンのを使おう。

僕の部屋までついてきた叔父様は、僕がやっていることを不思議そうに眺めていた。

「そういえば、特製魔法陣キット1号が出来上がったのは、前に叔父様に会った後だったかも」
「前回?私がエルストベルク領に行ったのは、3ヶ月程前だったね。最近できたのか。
それで、それは一体なんだい?」
「えへへ、みてて。いい感じなんだよ」

僕は特製魔法陣キット1号に、必要な魔石が設定されていることを確認してから、スイッチを押した。
魔石全部が、輝きだす。

処理が終わった魔石から順に光が消えて、最後に作成魔法陣用魔石が、緑色に強く輝いてから、光を消した。
チン!と音がなる。

「できあがりー!」

僕は、できあがった魔法陣魔石を取り出して、窓から入る光にかざしてみた。
魔石の中に、魔法陣が綺麗に描かれている。

叔父様はびっくりした顔をしている。
僕から魔法陣魔石を受け取って、同じ用に、窓の光にかざして見ている。

「え、魔法陣作成キットって‥‥、本当に今ので魔法陣ができたの?」

「特製魔法陣キット1号、だよ。あ、後、転写されたものを再生して見る方の魔法陣もつくらなきゃね」

僕は特製魔法陣キット1号の、魔石を入れ替えて、またスイッチを押した。チン!出来上がり!

記録の魔石から、収集したい日時と取り込む期間分を読み込んで、拘束で再生して確認して、OKなら映像を転写する機能がついた魔法陣と転写された映像を再生する機能の魔法陣。
再生は手元で再生するのと、壁とかに大きく拡大して投影する機能もつけたよ。

僕から、追加で作成された魔石もうけとって、まじまじと見つめていた叔父様は、大きくため息をついた。

「‥‥また、大変なものをつくったな‥‥」
「あ、読み込む元の記録の魔石は、前に僕が作った魔法陣をつかった魔道具で作成されたもの限定だよ。フォーマット違うものは読めないからね」

まだテストしていないから、ちゃんと確認しないと完成じゃないよ、と付け加えたら、叔父様が苦笑いをした。

「ソーマ、ありがとう。君は本当にすばらしいよ。
これは早速、商会に持ち帰って試してみるけれど、その特製魔法陣キットは、今のところ内緒にしておいてもらえるかな。
前回、君が作った、魔法陣複製キットだけでも、業界は大騒ぎなんだ」

魔道具に使う魔法陣は、一つ一つ手書きなのが一般的なんだって。

それを、出来上がった魔法陣を、複製できるキットを作ったので、一個作ったら手書きでつくらなくてもよくなってしまって、錬金ギルドと、商業ギルドが大騒ぎになって、未だに、大騒ぎらしい。

ちなみに、複製不可にもできるようになってるので、販売する魔道具に使う魔法陣は、複製不可になってるんだ。

「ただでさえ、魔法陣作成専門の魔道具師の仕事が減ったと騒がれているのに、こんなに簡単に新たな魔法陣をつくれるようになったと知られると、大変なことになる」

魔法陣を手書きで描くのは、結構時間がかかって大変な仕事で、決まった魔法陣を複製するだけでもかなりの収入なんだって。

複製の魔道具はその人達の仕事を奪っちゃうんじゃないかって、すごく騒がれているから、エルスト商会では、魔道具作成で複製魔法陣キットは使うけど、複製魔法陣キット自体は、販売せず、ギルドに登録しただけなんだって。

それでも、魔法陣の複製の技術だけでは、食べていけない時代になると言われはじめて、
魔法陣の複製だけでなく、新たな魔法陣を造りだす技能が重用視される時代になったと言われてるらしい。

そこに、チン!って新しい魔法陣をつくっちゃうキットを発表したら、暴動がおきかねないって。

そうか。手書きでいちいち描くのは、時間がかかって大変だろうと思って、キットをつくったけど、手書きで魔法陣を描いて生活している人は、困っちゃうよね。

それにキットだけでみんなが魔法陣を作れるようになっちゃうと、魔法陣の作り方が忘れられそうな気もするね。

「僕は自分が使うのに便利だから作っただけだし、僕がつかってていいなら、いいよ」
「私も、素晴らしい魔法陣が短時間で完成するのは、商会としては嬉しいことだと思うよ。」

魔法陣制作者の利益を損なうな、と文句を言ってくるくせに、便利な魔道具は速く量産しろッて言われるんだって。

理不尽だよね。

リフジン、ダメ、ゼッタイ!!

「依頼されたものが、まさかこんなに早く出来上がるとは思っていなかったよ」
「まだ、魔法陣をつくっただけで、使ってみてないからね。あと、起動に魔力はそこそこ必要だと思うよ」

魔道具を使う場合、使う人の魔力を使う場合と、魔力供給用の魔石を使う場合があるので、起動に魔力を沢山使う場合は、魔力の多い人に使ってもらうか、魔力が沢山蓄積された魔席を用意する必要があるんだよね。

「うんうん」

叔父様は、ニコニコとして、僕の頭をなでた。

「ソーマ、うちの子にならないかい?」
「叔父様、またそれですか‥‥」

叔父様、自宅にほとんどいないじゃん。

もし叔父様のうちの子になっても、多分、僕、この家に預けられるよ!

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