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第10話 嫌な事には近づかない主義です
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「ソーマ!」
「兄様!!」
兄様が階下まで来ていた。
僕は階段を駆け下りて、途中でジャンプして兄様に向ってダイブした。兄様は、両腕を広げて僕を受け止めてくれる。
「ソーマ、無事か?怪我は?」
「兄様、リフジンをはねのけてきました!」
護衛の人たちが、僕たちの周りに立った。騎士っぽい人たちがかけてくると、にらみ合い、剣に手をかける。
兄様も手に魔力を集め始めている。
「何をしている!」
「ケニー!ソーマ!」
知らない男性の渋い声と、叔父様の声がした。
短い金髪のちょっと年配の男性が、手をあげて制止させる仕草をすると、騎士っぽい人達がびくっとして、立ち止まった。
叔父様が、僕達のところに駆け寄ってくる。
「何があった、何があった!?」
「叔父様、リフジンなのです!」
「ソーマ、怪我したのか? どこ?どこが痛い?」
叔父様は僕の身体を怪我がないか、ざっと確認した後、ハンカチを出して、僕の顔を拭いた。
いつの間にか僕は泣いていたらしい。
「ケニーも怪我はないか? あっちで状況を説明してくれるかい?」
叔父様が、廊下の奥の方を指し示した。でも僕は、目一杯首を振った。
「やだ,、帰る」
リフジンな場所になんかいたくない。すぐにここを出たい!
渋い声の人が、ここは学園の中だとか、渋い声の人は学園長なので話がききたいとかいっていたけど、
無理矢理つれてこられて、わけがわからないのはこっちだよ。
話なんかしたくないから帰るって何度か言っているうちに、
さっきの銀髪の男が、よろよろしながらやってきたのが見えた。
もう麻痺がとけちゃったの?あの魔道具もっと改良しないと!
「貴様!逃げるな!」
「嫌ぁ!リフジン!誘拐犯!」
僕は悲鳴を上げて兄様にしがみついた。兄様と叔父様が、銀髪の男の方を睨んだ。
「誘拐‥だと?」
叔父様が聞いたことがないくらい低い声をだした。
「誘拐?何を言っている! 魔道具を制作した従業員に、魔道具の解析をさせようとしただけだ!」
「私はそんな許可はだしていない」
「なんだと!貴様何者だ!」
「私をご存知ない貴方は、そもそも顧客ではないでしょう。販売した記憶もございませんし」
叔父様は、ものすごく怒っているオーラを発したまま、すごく丁寧な礼をして名乗った。
「申し遅れました。私は、エルスト商会会長、マーカス・エルストベルクと申します。」
「‥‥、フィル・アドラーだ。商会長なら貴様が対応しろ」
「お話は伺いいたしますが、正式な手順に沿ったお手続きをしていただきますよう、お願いいたします。
なお、貴方様が連れ去ったこの少年は、当商会の従業員ではなく、私の甥、エルストベルク辺境伯令息です。
強引に連れ去ったことは誘拐罪に該当します。
こちらも正式な手順に沿ったお手続きにて、訴えさせていただきます」
「な、なに!?」
銀髪男が驚いた声を上げる。すごく視線を感じたけど、僕は兄様の方に顔を埋めて、見ないようにしていた。
だって怖いんだもの。
結局、僕と兄様はすぐにその場を離れることができた。
叔父様が、銀髪男と学園長とで状況を確認するから、僕たちはもうタウンハウスに帰って休みなさいといってくれたんだ。
「兄様!!」
兄様が階下まで来ていた。
僕は階段を駆け下りて、途中でジャンプして兄様に向ってダイブした。兄様は、両腕を広げて僕を受け止めてくれる。
「ソーマ、無事か?怪我は?」
「兄様、リフジンをはねのけてきました!」
護衛の人たちが、僕たちの周りに立った。騎士っぽい人たちがかけてくると、にらみ合い、剣に手をかける。
兄様も手に魔力を集め始めている。
「何をしている!」
「ケニー!ソーマ!」
知らない男性の渋い声と、叔父様の声がした。
短い金髪のちょっと年配の男性が、手をあげて制止させる仕草をすると、騎士っぽい人達がびくっとして、立ち止まった。
叔父様が、僕達のところに駆け寄ってくる。
「何があった、何があった!?」
「叔父様、リフジンなのです!」
「ソーマ、怪我したのか? どこ?どこが痛い?」
叔父様は僕の身体を怪我がないか、ざっと確認した後、ハンカチを出して、僕の顔を拭いた。
いつの間にか僕は泣いていたらしい。
「ケニーも怪我はないか? あっちで状況を説明してくれるかい?」
叔父様が、廊下の奥の方を指し示した。でも僕は、目一杯首を振った。
「やだ,、帰る」
リフジンな場所になんかいたくない。すぐにここを出たい!
渋い声の人が、ここは学園の中だとか、渋い声の人は学園長なので話がききたいとかいっていたけど、
無理矢理つれてこられて、わけがわからないのはこっちだよ。
話なんかしたくないから帰るって何度か言っているうちに、
さっきの銀髪の男が、よろよろしながらやってきたのが見えた。
もう麻痺がとけちゃったの?あの魔道具もっと改良しないと!
「貴様!逃げるな!」
「嫌ぁ!リフジン!誘拐犯!」
僕は悲鳴を上げて兄様にしがみついた。兄様と叔父様が、銀髪の男の方を睨んだ。
「誘拐‥だと?」
叔父様が聞いたことがないくらい低い声をだした。
「誘拐?何を言っている! 魔道具を制作した従業員に、魔道具の解析をさせようとしただけだ!」
「私はそんな許可はだしていない」
「なんだと!貴様何者だ!」
「私をご存知ない貴方は、そもそも顧客ではないでしょう。販売した記憶もございませんし」
叔父様は、ものすごく怒っているオーラを発したまま、すごく丁寧な礼をして名乗った。
「申し遅れました。私は、エルスト商会会長、マーカス・エルストベルクと申します。」
「‥‥、フィル・アドラーだ。商会長なら貴様が対応しろ」
「お話は伺いいたしますが、正式な手順に沿ったお手続きをしていただきますよう、お願いいたします。
なお、貴方様が連れ去ったこの少年は、当商会の従業員ではなく、私の甥、エルストベルク辺境伯令息です。
強引に連れ去ったことは誘拐罪に該当します。
こちらも正式な手順に沿ったお手続きにて、訴えさせていただきます」
「な、なに!?」
銀髪男が驚いた声を上げる。すごく視線を感じたけど、僕は兄様の方に顔を埋めて、見ないようにしていた。
だって怖いんだもの。
結局、僕と兄様はすぐにその場を離れることができた。
叔父様が、銀髪男と学園長とで状況を確認するから、僕たちはもうタウンハウスに帰って休みなさいといってくれたんだ。
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