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第9話 リフジンはダメ
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「だから、何度も言わせるな。この魔道具の開発者を呼んでこいといっているんだ!」
肩まである銀髪をした、兄様よりちょっと年上くらいの男性が、年配の店員さんに詰めよっていた。
手に何か持っている。黒っぽい水晶だ。とても見覚えがある。
「あ、あれ、僕がつくったやつ‥‥」
つぶやいたら、聞こえてしまったらしくて、銀髪の男性がバッと勢いよく顔を上げて、僕の方を見た。
「おまえか!」
すごい形相でにらまれて、僕はびくんと跳ね上がった。
びっくりして硬直している間に、担ぎ上げられてしまった。
そのまま移動させられている間、周囲のあちこちで人が戦い始めた。
さっき、公園で僕たちを護衛してくれていた人達が、騎士っぽい人達と戦っている姿が見えた。
公園でだるまさんが転んだをしてくれていた人が、僕の方に手をのばしてきた。
「邪魔するな!」
銀髪の人が手を振り払うように動かしたら風がぶわっと勢いよく吹いて、だるまさんが転んだの人といっしょに近くにあった魔道具も吹き飛ばした。
何が起きているのかわからないうちに、馬車に乗せられて、どこかの建物につれてこられた。
何やら魔道具が色々置いてある部屋に押し込められ、黒い水晶の魔道具を差し出される。
「いいか!大至急この魔道具の記録を調べろ!ここにあるやつ全部だ!」
見回すと、黒い水晶の魔道具が沢山ケースに入って積み上げられている。
「な、何を‥‥?」
「魔道具の記録になにが映っているかを調べるんだよ! 大至急だ! 調べが終わるまでここから出られないと思え!」
「は?」
僕の頭の中が一瞬真っ白になった後、ピキッと凍るような寒気とともに、何か記憶がよみがえった。
定時間際にやってきて明日までに作業を終えろといってくる上司。
さんざん打ち合わせをして、見積もりも終えたのに平気で追加機能を要望してくるクライアント。
進捗が遅れているからって、「なぜ進捗が遅れているか」を報告させる会議を延々として、作業をさせないくせに怒鳴りまくる部長。
次々と、なんだか胸が苦しくなるような記憶が浮かんできた。
「‥‥リフジン、ダメ、ゼッタイ」
「なんだと!?」
銀髪の人はすごい目でにらんで僕をみているけど、そもそもこの人は僕の上司でもなんでもないし、
僕は魔道具をつくったけど、あのお店の従業員でもないんだよ。
「リフジン、ユルサナイ」
僕は、出入口の位置を確認した後、足に魔力を集中させた。
足全体に魔力をまとった感覚を確認した後に、手首につけていた護身用の腕輪に魔力を込めて、銀髪の男の前に差し出した。
腕輪についていた緑色の石から、緑色の霧のようなものが吹き出す。
「な! けほっ‥!」
銀髪の男が咽せている隙に、僕は出入り口に突進した。ドアは鍵はかかっていなかった。
ドアを開けて外に飛び出した。
「ま、まてっ、ゴホッ、うっ‥」
銀髪の男の苦しそうな声を背中に聞きながら、僕は駆け出す。
緑色の霧には麻痺薬が含まれているから吸い込んだらすぐには動けないはず。
廊下に騎士っぽい服の人が立っている。お店で戦っていた人と同じ格好だ。
僕が廊下に出てきたのを見て、動きだし、近寄ってくる。
僕は、足に魔力をさらに込めて、加速し、騎士っぽい人の脇をすりぬけた。
廊下の角をまがったところで、誰かとぶつかりそうになる。
「きゃっ」
僕とぶつかるのを避けた女性が、小さい悲鳴を上げた。
金髪を三つ編みにしている、眼鏡女子。ぶつかっていないし、よろけただけで、転んではいない。
「失礼しました!」
僕はそれだけ言うと、また、駆け出した。
階段まで来たところで、知っている声が聞こえた。
肩まである銀髪をした、兄様よりちょっと年上くらいの男性が、年配の店員さんに詰めよっていた。
手に何か持っている。黒っぽい水晶だ。とても見覚えがある。
「あ、あれ、僕がつくったやつ‥‥」
つぶやいたら、聞こえてしまったらしくて、銀髪の男性がバッと勢いよく顔を上げて、僕の方を見た。
「おまえか!」
すごい形相でにらまれて、僕はびくんと跳ね上がった。
びっくりして硬直している間に、担ぎ上げられてしまった。
そのまま移動させられている間、周囲のあちこちで人が戦い始めた。
さっき、公園で僕たちを護衛してくれていた人達が、騎士っぽい人達と戦っている姿が見えた。
公園でだるまさんが転んだをしてくれていた人が、僕の方に手をのばしてきた。
「邪魔するな!」
銀髪の人が手を振り払うように動かしたら風がぶわっと勢いよく吹いて、だるまさんが転んだの人といっしょに近くにあった魔道具も吹き飛ばした。
何が起きているのかわからないうちに、馬車に乗せられて、どこかの建物につれてこられた。
何やら魔道具が色々置いてある部屋に押し込められ、黒い水晶の魔道具を差し出される。
「いいか!大至急この魔道具の記録を調べろ!ここにあるやつ全部だ!」
見回すと、黒い水晶の魔道具が沢山ケースに入って積み上げられている。
「な、何を‥‥?」
「魔道具の記録になにが映っているかを調べるんだよ! 大至急だ! 調べが終わるまでここから出られないと思え!」
「は?」
僕の頭の中が一瞬真っ白になった後、ピキッと凍るような寒気とともに、何か記憶がよみがえった。
定時間際にやってきて明日までに作業を終えろといってくる上司。
さんざん打ち合わせをして、見積もりも終えたのに平気で追加機能を要望してくるクライアント。
進捗が遅れているからって、「なぜ進捗が遅れているか」を報告させる会議を延々として、作業をさせないくせに怒鳴りまくる部長。
次々と、なんだか胸が苦しくなるような記憶が浮かんできた。
「‥‥リフジン、ダメ、ゼッタイ」
「なんだと!?」
銀髪の人はすごい目でにらんで僕をみているけど、そもそもこの人は僕の上司でもなんでもないし、
僕は魔道具をつくったけど、あのお店の従業員でもないんだよ。
「リフジン、ユルサナイ」
僕は、出入口の位置を確認した後、足に魔力を集中させた。
足全体に魔力をまとった感覚を確認した後に、手首につけていた護身用の腕輪に魔力を込めて、銀髪の男の前に差し出した。
腕輪についていた緑色の石から、緑色の霧のようなものが吹き出す。
「な! けほっ‥!」
銀髪の男が咽せている隙に、僕は出入り口に突進した。ドアは鍵はかかっていなかった。
ドアを開けて外に飛び出した。
「ま、まてっ、ゴホッ、うっ‥」
銀髪の男の苦しそうな声を背中に聞きながら、僕は駆け出す。
緑色の霧には麻痺薬が含まれているから吸い込んだらすぐには動けないはず。
廊下に騎士っぽい服の人が立っている。お店で戦っていた人と同じ格好だ。
僕が廊下に出てきたのを見て、動きだし、近寄ってくる。
僕は、足に魔力をさらに込めて、加速し、騎士っぽい人の脇をすりぬけた。
廊下の角をまがったところで、誰かとぶつかりそうになる。
「きゃっ」
僕とぶつかるのを避けた女性が、小さい悲鳴を上げた。
金髪を三つ編みにしている、眼鏡女子。ぶつかっていないし、よろけただけで、転んではいない。
「失礼しました!」
僕はそれだけ言うと、また、駆け出した。
階段まで来たところで、知っている声が聞こえた。
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