9 / 466
第9話 リフジンはダメ
しおりを挟む
「だから、何度も言わせるな。この魔道具の開発者を呼んでこいといっているんだ!」
肩まである銀髪をした、兄様よりちょっと年上くらいの男性が、年配の店員さんに詰めよっていた。
手に何か持っている。黒っぽい水晶だ。とても見覚えがある。
「あ、あれ、僕がつくったやつ‥‥」
つぶやいたら、聞こえてしまったらしくて、銀髪の男性がバッと勢いよく顔を上げて、僕の方を見た。
「おまえか!」
すごい形相でにらまれて、僕はびくんと跳ね上がった。
びっくりして硬直している間に、担ぎ上げられてしまった。
そのまま移動させられている間、周囲のあちこちで人が戦い始めた。
さっき、公園で僕たちを護衛してくれていた人達が、騎士っぽい人達と戦っている姿が見えた。
公園でだるまさんが転んだをしてくれていた人が、僕の方に手をのばしてきた。
「邪魔するな!」
銀髪の人が手を振り払うように動かしたら風がぶわっと勢いよく吹いて、だるまさんが転んだの人といっしょに近くにあった魔道具も吹き飛ばした。
何が起きているのかわからないうちに、馬車に乗せられて、どこかの建物につれてこられた。
何やら魔道具が色々置いてある部屋に押し込められ、黒い水晶の魔道具を差し出される。
「いいか!大至急この魔道具の記録を調べろ!ここにあるやつ全部だ!」
見回すと、黒い水晶の魔道具が沢山ケースに入って積み上げられている。
「な、何を‥‥?」
「魔道具の記録になにが映っているかを調べるんだよ! 大至急だ! 調べが終わるまでここから出られないと思え!」
「は?」
僕の頭の中が一瞬真っ白になった後、ピキッと凍るような寒気とともに、何か記憶がよみがえった。
定時間際にやってきて明日までに作業を終えろといってくる上司。
さんざん打ち合わせをして、見積もりも終えたのに平気で追加機能を要望してくるクライアント。
進捗が遅れているからって、「なぜ進捗が遅れているか」を報告させる会議を延々として、作業をさせないくせに怒鳴りまくる部長。
次々と、なんだか胸が苦しくなるような記憶が浮かんできた。
「‥‥リフジン、ダメ、ゼッタイ」
「なんだと!?」
銀髪の人はすごい目でにらんで僕をみているけど、そもそもこの人は僕の上司でもなんでもないし、
僕は魔道具をつくったけど、あのお店の従業員でもないんだよ。
「リフジン、ユルサナイ」
僕は、出入口の位置を確認した後、足に魔力を集中させた。
足全体に魔力をまとった感覚を確認した後に、手首につけていた護身用の腕輪に魔力を込めて、銀髪の男の前に差し出した。
腕輪についていた緑色の石から、緑色の霧のようなものが吹き出す。
「な! けほっ‥!」
銀髪の男が咽せている隙に、僕は出入り口に突進した。ドアは鍵はかかっていなかった。
ドアを開けて外に飛び出した。
「ま、まてっ、ゴホッ、うっ‥」
銀髪の男の苦しそうな声を背中に聞きながら、僕は駆け出す。
緑色の霧には麻痺薬が含まれているから吸い込んだらすぐには動けないはず。
廊下に騎士っぽい服の人が立っている。お店で戦っていた人と同じ格好だ。
僕が廊下に出てきたのを見て、動きだし、近寄ってくる。
僕は、足に魔力をさらに込めて、加速し、騎士っぽい人の脇をすりぬけた。
廊下の角をまがったところで、誰かとぶつかりそうになる。
「きゃっ」
僕とぶつかるのを避けた女性が、小さい悲鳴を上げた。
金髪を三つ編みにしている、眼鏡女子。ぶつかっていないし、よろけただけで、転んではいない。
「失礼しました!」
僕はそれだけ言うと、また、駆け出した。
階段まで来たところで、知っている声が聞こえた。
肩まである銀髪をした、兄様よりちょっと年上くらいの男性が、年配の店員さんに詰めよっていた。
手に何か持っている。黒っぽい水晶だ。とても見覚えがある。
「あ、あれ、僕がつくったやつ‥‥」
つぶやいたら、聞こえてしまったらしくて、銀髪の男性がバッと勢いよく顔を上げて、僕の方を見た。
「おまえか!」
すごい形相でにらまれて、僕はびくんと跳ね上がった。
びっくりして硬直している間に、担ぎ上げられてしまった。
そのまま移動させられている間、周囲のあちこちで人が戦い始めた。
さっき、公園で僕たちを護衛してくれていた人達が、騎士っぽい人達と戦っている姿が見えた。
公園でだるまさんが転んだをしてくれていた人が、僕の方に手をのばしてきた。
「邪魔するな!」
銀髪の人が手を振り払うように動かしたら風がぶわっと勢いよく吹いて、だるまさんが転んだの人といっしょに近くにあった魔道具も吹き飛ばした。
何が起きているのかわからないうちに、馬車に乗せられて、どこかの建物につれてこられた。
何やら魔道具が色々置いてある部屋に押し込められ、黒い水晶の魔道具を差し出される。
「いいか!大至急この魔道具の記録を調べろ!ここにあるやつ全部だ!」
見回すと、黒い水晶の魔道具が沢山ケースに入って積み上げられている。
「な、何を‥‥?」
「魔道具の記録になにが映っているかを調べるんだよ! 大至急だ! 調べが終わるまでここから出られないと思え!」
「は?」
僕の頭の中が一瞬真っ白になった後、ピキッと凍るような寒気とともに、何か記憶がよみがえった。
定時間際にやってきて明日までに作業を終えろといってくる上司。
さんざん打ち合わせをして、見積もりも終えたのに平気で追加機能を要望してくるクライアント。
進捗が遅れているからって、「なぜ進捗が遅れているか」を報告させる会議を延々として、作業をさせないくせに怒鳴りまくる部長。
次々と、なんだか胸が苦しくなるような記憶が浮かんできた。
「‥‥リフジン、ダメ、ゼッタイ」
「なんだと!?」
銀髪の人はすごい目でにらんで僕をみているけど、そもそもこの人は僕の上司でもなんでもないし、
僕は魔道具をつくったけど、あのお店の従業員でもないんだよ。
「リフジン、ユルサナイ」
僕は、出入口の位置を確認した後、足に魔力を集中させた。
足全体に魔力をまとった感覚を確認した後に、手首につけていた護身用の腕輪に魔力を込めて、銀髪の男の前に差し出した。
腕輪についていた緑色の石から、緑色の霧のようなものが吹き出す。
「な! けほっ‥!」
銀髪の男が咽せている隙に、僕は出入り口に突進した。ドアは鍵はかかっていなかった。
ドアを開けて外に飛び出した。
「ま、まてっ、ゴホッ、うっ‥」
銀髪の男の苦しそうな声を背中に聞きながら、僕は駆け出す。
緑色の霧には麻痺薬が含まれているから吸い込んだらすぐには動けないはず。
廊下に騎士っぽい服の人が立っている。お店で戦っていた人と同じ格好だ。
僕が廊下に出てきたのを見て、動きだし、近寄ってくる。
僕は、足に魔力をさらに込めて、加速し、騎士っぽい人の脇をすりぬけた。
廊下の角をまがったところで、誰かとぶつかりそうになる。
「きゃっ」
僕とぶつかるのを避けた女性が、小さい悲鳴を上げた。
金髪を三つ編みにしている、眼鏡女子。ぶつかっていないし、よろけただけで、転んではいない。
「失礼しました!」
僕はそれだけ言うと、また、駆け出した。
階段まで来たところで、知っている声が聞こえた。
1
お気に入りに追加
181
あなたにおすすめの小説
アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~
ma-no
ファンタジー
神様のミスで森に住む猫に転生させられた元人間。猫として第二の人生を歩むがこの世界は何かがおかしい。引っ掛かりはあるものの、猫家族と楽しく過ごしていた主人公は、ミスに気付いた神様に詫びの品を受け取る。
その品とは、全世界で使われた魔法が載っている魔法書。元人間の性からか、魔法書で変身魔法を探した主人公は、立って歩く猫へと変身する。
世界でただ一匹の歩く猫は、人間の住む街に行けば騒動勃発。
そして何故かハンターになって、王様に即位!?
この物語りは、歩く猫となった主人公がやらかしながら異世界を自由気ままに生きるドタバタコメディである。
注:イラストはイメージであって、登場猫物と異なります。
R指定は念の為です。
登場人物紹介は「11、15、19章」の手前にあります。
「小説家になろう」「カクヨム」にて、同時掲載しております。
一番最後にも登場人物紹介がありますので、途中でキャラを忘れている方はそちらをお読みください。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。

他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

グライフトゥルム戦記~微笑みの軍師マティアスの救国戦略~
愛山雄町
ファンタジー
エンデラント大陸最古の王国、グライフトゥルム王国の英雄の一人である、マティアス・フォン・ラウシェンバッハは転生者である。
彼は類い稀なる知力と予知能力を持つと言われるほどの先見性から、“知将マティアス”や“千里眼のマティアス”と呼ばれることになる。
彼は大陸最強の軍事国家ゾルダート帝国や狂信的な宗教国家レヒト法国の侵略に対し、優柔不断な国王や獅子身中の虫である大貴族の有形無形の妨害にあいながらも、旧態依然とした王国軍の近代化を図りつつ、敵国に対して謀略を仕掛け、危機的な状況を回避する。
しかし、宿敵である帝国には軍事と政治の天才が生まれ、更に謎の暗殺者集団“夜(ナハト)”や目的のためなら手段を選ばぬ魔導師集団“真理の探究者”など一筋縄ではいかぬ敵たちが次々と現れる。
そんな敵たちとの死闘に際しても、絶対の自信の表れとも言える余裕の笑みを浮かべながら策を献じたことから、“微笑みの軍師”とも呼ばれていた。
しかし、マティアスは日本での記憶を持った一般人に過ぎなかった。彼は情報分析とプレゼンテーション能力こそ、この世界の人間より優れていたものの、軍事に関する知識は小説や映画などから得たレベルのものしか持っていなかった。
更に彼は生まれつき身体が弱く、武術も魔導の才もないというハンディキャップを抱えていた。また、日本で得た知識を使った技術革新も、世界を崩壊させる危険な技術として封じられてしまう。
彼の代名詞である“微笑み”も単に苦し紛れの策に対する苦笑に過ぎなかった。
マティアスは愛する家族や仲間を守るため、大賢者とその配下の凄腕間者集団の力を借りつつ、優秀な友人たちと力を合わせて強大な敵と戦うことを決意する。
彼は情報の重要性を誰よりも重視し、巧みに情報を利用した謀略で敵を混乱させ、更に戦場では敵の意表を突く戦術を駆使して勝利に貢献していく……。
■■■
あらすじにある通り、主人公にあるのは日本で得た中途半端な知識のみで、チートに類する卓越した能力はありません。基本的には政略・謀略・軍略といったシリアスな話が主となる予定で、恋愛要素は少なめ、ハーレム要素はもちろんありません。前半は裏方に徹して情報収集や情報操作を行うため、主人公が出てくる戦闘シーンはほとんどありません。
■■■
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも掲載しております。

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

世界樹を暴走させたマッドサイエンティスト、死刑だけは嫌だとごねる!
アメノヒセカイ
ファンタジー
カクヨムにも掲載しております。
これは世界樹の花粉を浴びて老いることがなくなったラメッタと、捨て子として騎士団に拾われ生きてきたクレーエンが、一国の英雄となり、ともに生きると決めるまでの物語である!
<語句>
エアデ王国:クレーエン、ラメッタが住んでいた国。
バオム国:エアデ王国の従属国。魔王軍との前線を仕切る。資源がほとんどなく、魔王軍と戦うことでエアデ王国から支援を受けている。治安が悪い。
世界樹:人々に魔法を授けている。ラメッタが研究のために魔法薬をかけてから、魔法が大幅に弱体化してしまった。
ラメッタ:見た目は子供、中身は七十八才。老いることはない。魔法薬や魔道具の開発をする。己の好奇心を満たすためだけに世界樹に魔法薬をかけたとして死刑判決が出るのだが……。なお、魔王軍と戦うことで処刑が延期される約束を国王らとしている。
クレーエン:捨て子ゆえに騎士団に拾われて育てられたものの騎士団に正式に加入できず、しかしその強さゆえに騎士団の仕事を何度も手伝っていた。自身のことを強さから騎士団で面倒を見るしかない人間と考え、厄介者であると思っているが……。
バオム国の三姫:国王である父が前線に出ているため、三人で統治しているがほぼ機能していない。
長女ディーレ、次女ベリッヒ、三女チルカ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる