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第7話 プティ

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所々に柱が立っている公園の道の向こうに大通りが見える。お店が一杯ある通りなんだって。

お店を見てみたいから、公園をつっきって大通りに向かおうと思って歩いていたら
白い柱に、何か印のようなものがついているを見つけて立ち止まった。

赤い三日月のような形の石が、柱の、僕の身長より少し高い位置に埋め込まれている。真っ赤じゃなくて、ちょっとオレンジがかっていて、白い縞模様がある石だ。

赤縞瑪瑙っぽい。その石の上下左右の位置に、小さい黄色い石が埋まっている。シトリンかな。

その印の形に見覚えがあった。

前世で、作ったゲームの中で、ゲームにログインして不具合を直す人が全ステータスを復活させるパワーチャージスポットのマークに似てる。

一般のプレーヤーが気がついて使うとよくないから、リリース前に印を消そうとか、裏技的に残そうとか議論がされていたんだ。

結局どうなったのか覚えていないんだけど。

僕は柱に近づいて、印に手を伸ばしてみた。ぎりぎり背伸びしなくても届く位置だった。

黄色い石を順番に、上、上、下、下と触ってと‥。

「ソーマ、何してるの?」

兄様が、近づいてきて不思議そうに覗き込む。

左右、左右、で、海老!
最後に真ん中の赤い石に手を触れると、赤い石がちょっと熱く感じた。その次の瞬間、力が満ちるような感覚がある。

「おおっ」

(颯真ニャン?)

「ん?」

何か柱の方から声がきこえた気がする。

(今、あなたのアタマのナカに直接話しかけていますにゃ。)

その声には聞き覚えがあった。

「‥‥プティ‥‥」

(そうにゃ、プティにゃ。あいたかったにゃ)

「え」

僕は思わず、赤い石から手を離した。兄様が不思議そうな顔をしている。兄様には聞こえないのかな。

「兄様、この石‥‥」
「ああ、なんだろうね。全部の柱にこの印あったのかな」

兄様が、赤い石を指先でちょっとなでた。特に何か反応した様子はない。

僕も、指先で赤い石に触れた。

(なんで、離すにゃ!おはなしできないにゃ!)

また、声が聞こえる。どうしよう、これ兄様の前で、話して大丈夫なの?

(心でお話しするにゃ)
(心で、って、こう?)

僕は、意識して念じるようにしてみた。

(そうにゃ。颯真ニャン、なぜここにいるにゃ?)
(え、そういわれても僕にもわからないんだけど‥‥。プティはどうしてここに?)

プティ神は、昔僕がかわいがっていた猫のプティをモデルに、ゲーム内につくった、猫神様だった。そのプティがここにいるってなんでだろう。

(プティもよくわからないにゃ。‥‥あ、もう神力が足りないにゃ)

プティの声がちょっと小さくなった。

(神力?)
(神力足りないにゃ。もっとお話ししたかったにゃ。またにゃ‥‥)

どんどん声が小さくなって、何も聞こえなくなった。神力というものが切れたのかな。
僕が、赤い石から手を離すと、兄様が笑いかけてきた。

「その石気に入ったの?」
「‥うん、かっこいいよね」

兄様にプティのことを話したほうがいいのかな。でも、ぼくもよくわからないので説明できないなぁ。

また、石を触りに来たいと言って、その場を離れることにした。
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