7 / 466
第7話 プティ
しおりを挟む
所々に柱が立っている公園の道の向こうに大通りが見える。お店が一杯ある通りなんだって。
お店を見てみたいから、公園をつっきって大通りに向かおうと思って歩いていたら
白い柱に、何か印のようなものがついているを見つけて立ち止まった。
赤い三日月のような形の石が、柱の、僕の身長より少し高い位置に埋め込まれている。真っ赤じゃなくて、ちょっとオレンジがかっていて、白い縞模様がある石だ。
赤縞瑪瑙っぽい。その石の上下左右の位置に、小さい黄色い石が埋まっている。シトリンかな。
その印の形に見覚えがあった。
前世で、作ったゲームの中で、ゲームにログインして不具合を直す人が全ステータスを復活させるパワーチャージスポットのマークに似てる。
一般のプレーヤーが気がついて使うとよくないから、リリース前に印を消そうとか、裏技的に残そうとか議論がされていたんだ。
結局どうなったのか覚えていないんだけど。
僕は柱に近づいて、印に手を伸ばしてみた。ぎりぎり背伸びしなくても届く位置だった。
黄色い石を順番に、上、上、下、下と触ってと‥。
「ソーマ、何してるの?」
兄様が、近づいてきて不思議そうに覗き込む。
左右、左右、で、海老!
最後に真ん中の赤い石に手を触れると、赤い石がちょっと熱く感じた。その次の瞬間、力が満ちるような感覚がある。
「おおっ」
(颯真ニャン?)
「ん?」
何か柱の方から声がきこえた気がする。
(今、あなたのアタマのナカに直接話しかけていますにゃ。)
その声には聞き覚えがあった。
「‥‥プティ‥‥」
(そうにゃ、プティにゃ。あいたかったにゃ)
「え」
僕は思わず、赤い石から手を離した。兄様が不思議そうな顔をしている。兄様には聞こえないのかな。
「兄様、この石‥‥」
「ああ、なんだろうね。全部の柱にこの印あったのかな」
兄様が、赤い石を指先でちょっとなでた。特に何か反応した様子はない。
僕も、指先で赤い石に触れた。
(なんで、離すにゃ!おはなしできないにゃ!)
また、声が聞こえる。どうしよう、これ兄様の前で、話して大丈夫なの?
(心でお話しするにゃ)
(心で、って、こう?)
僕は、意識して念じるようにしてみた。
(そうにゃ。颯真ニャン、なぜここにいるにゃ?)
(え、そういわれても僕にもわからないんだけど‥‥。プティはどうしてここに?)
プティ神は、昔僕がかわいがっていた猫のプティをモデルに、ゲーム内につくった、猫神様だった。そのプティがここにいるってなんでだろう。
(プティもよくわからないにゃ。‥‥あ、もう神力が足りないにゃ)
プティの声がちょっと小さくなった。
(神力?)
(神力足りないにゃ。もっとお話ししたかったにゃ。またにゃ‥‥)
どんどん声が小さくなって、何も聞こえなくなった。神力というものが切れたのかな。
僕が、赤い石から手を離すと、兄様が笑いかけてきた。
「その石気に入ったの?」
「‥うん、かっこいいよね」
兄様にプティのことを話したほうがいいのかな。でも、ぼくもよくわからないので説明できないなぁ。
また、石を触りに来たいと言って、その場を離れることにした。
お店を見てみたいから、公園をつっきって大通りに向かおうと思って歩いていたら
白い柱に、何か印のようなものがついているを見つけて立ち止まった。
赤い三日月のような形の石が、柱の、僕の身長より少し高い位置に埋め込まれている。真っ赤じゃなくて、ちょっとオレンジがかっていて、白い縞模様がある石だ。
赤縞瑪瑙っぽい。その石の上下左右の位置に、小さい黄色い石が埋まっている。シトリンかな。
その印の形に見覚えがあった。
前世で、作ったゲームの中で、ゲームにログインして不具合を直す人が全ステータスを復活させるパワーチャージスポットのマークに似てる。
一般のプレーヤーが気がついて使うとよくないから、リリース前に印を消そうとか、裏技的に残そうとか議論がされていたんだ。
結局どうなったのか覚えていないんだけど。
僕は柱に近づいて、印に手を伸ばしてみた。ぎりぎり背伸びしなくても届く位置だった。
黄色い石を順番に、上、上、下、下と触ってと‥。
「ソーマ、何してるの?」
兄様が、近づいてきて不思議そうに覗き込む。
左右、左右、で、海老!
最後に真ん中の赤い石に手を触れると、赤い石がちょっと熱く感じた。その次の瞬間、力が満ちるような感覚がある。
「おおっ」
(颯真ニャン?)
「ん?」
何か柱の方から声がきこえた気がする。
(今、あなたのアタマのナカに直接話しかけていますにゃ。)
その声には聞き覚えがあった。
「‥‥プティ‥‥」
(そうにゃ、プティにゃ。あいたかったにゃ)
「え」
僕は思わず、赤い石から手を離した。兄様が不思議そうな顔をしている。兄様には聞こえないのかな。
「兄様、この石‥‥」
「ああ、なんだろうね。全部の柱にこの印あったのかな」
兄様が、赤い石を指先でちょっとなでた。特に何か反応した様子はない。
僕も、指先で赤い石に触れた。
(なんで、離すにゃ!おはなしできないにゃ!)
また、声が聞こえる。どうしよう、これ兄様の前で、話して大丈夫なの?
(心でお話しするにゃ)
(心で、って、こう?)
僕は、意識して念じるようにしてみた。
(そうにゃ。颯真ニャン、なぜここにいるにゃ?)
(え、そういわれても僕にもわからないんだけど‥‥。プティはどうしてここに?)
プティ神は、昔僕がかわいがっていた猫のプティをモデルに、ゲーム内につくった、猫神様だった。そのプティがここにいるってなんでだろう。
(プティもよくわからないにゃ。‥‥あ、もう神力が足りないにゃ)
プティの声がちょっと小さくなった。
(神力?)
(神力足りないにゃ。もっとお話ししたかったにゃ。またにゃ‥‥)
どんどん声が小さくなって、何も聞こえなくなった。神力というものが切れたのかな。
僕が、赤い石から手を離すと、兄様が笑いかけてきた。
「その石気に入ったの?」
「‥うん、かっこいいよね」
兄様にプティのことを話したほうがいいのかな。でも、ぼくもよくわからないので説明できないなぁ。
また、石を触りに来たいと言って、その場を離れることにした。
0
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説
元おっさんは異世界を楽しむ
たまゆら
ファンタジー
不慮の事故によって死んだ須藤ナイト(45)は16歳に若返って新たな世界に転移する。
早々に人狼の幼女達と出会ったナイトは、とりあえず幼女の村で世話をしてもらうことになる。
と、思いきや、幼女の村に強大なモンスターが襲撃してきて……。
そんなドタバタな始まりを迎えるも、元おっさんの異世界生活は順調です!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
幼馴染みが婚約者になった
名無しの夜
ファンタジー
聖王なくして人類に勝利なし。魔族が驚異を振るう世界においてそう噂される最強の個人。そんな男が修める国の第三王子として生まれたアロスは王家の血筋が絶えないよう、王子であることを隠して過ごしていたが、そんなアロスにある日聖王妃より勅命が下る。その内容は幼馴染みの二人を妻にめとり子供を生ませろというもの。幼馴染みで親友の二人を妻にしろと言われ戸惑うアロス。一方、アロスが当の第三王子であることを知らない幼馴染みの二人は手柄を立てて聖王妃の命令を取り消してもらおうと、アロスを連れて旅に出る決心を固める。
【北の果てのキトゥルセン】 ~辺境の王子に転生したので、まったり暮らそうと思ったのに、どんどん国が大きくなっていく件について~
次元謄一
ファンタジー
タイトル変更しました→旧タイトル 「デッドエンドキングダム ~十五歳の魔剣使いは辺境から異世界統一を目指します~」
前世の記憶を持って生まれたオスカーは国王の落とし子だった。父の死によって十五歳で北の辺境王国の統治者になったオスカーは、炎を操る魔剣、現代日本の記憶、そしてなぜか生まれながらに持っていた【千里眼】の能力を駆使し、魔物の森や有翼人の国などを攻略していく。国内では水車を利用した温泉システム、再現可能な前世の料理、温室による農業、畜産業の発展、透視能力で地下鉱脈を探したりして文明改革を進めていく。
軍を使って周辺国を併合して、大臣たちと国内を豊かにし、夜はメイド達とムフフな毎日。
しかし、大陸中央では至る所で戦争が起こり、戦火は北までゆっくりと、確実に伸びてきていた。加えて感染するとグールになってしまう魔物も至る所で発生し……!?
雷を操るツンデレ娘魔人、氷を操るクール系女魔人、古代文明の殺戮機械人(女)など、可愛いけど危険な仲間と共に、戦乱の世を駆け抜ける!
登場人物が多いので結構サクサク進みます。気軽に読んで頂ければ幸いです。
転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。
襲
ファンタジー
〈あらすじ〉
信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。
目が覚めると、そこは異世界!?
あぁ、よくあるやつか。
食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに……
面倒ごとは御免なんだが。
魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。
誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。
やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。
【完結】猫化の呪い持ちを隠して嫁がされたのに何故か溺愛されています!
長船凪
恋愛
ヴィルシュテッター帝国、ゼーネフェルダ子爵家の長女にとして生まれたエリアナ・ド・ゼーネフェルダ。
満月の晩に獣に変身する(猫耳に尻尾を持つ姿)呪い持ちの子爵令嬢。
旦那様は竜族の血を引子孫のゴードヘルフ・ラ・クリストロ小公爵。
そこに嫁ぎ、子を産むと早死にすると世間では恐れられていた。
今の公爵夫人は再婚で二人目。
呪い持ちを隠して輿入れさせられたのは、父が事業に失敗したあげく、カジノで起死回生を狙うも失敗し、借金が増えた為。
そんな中、不意に届けられた竜族の血を引く一族の末裔、クリストロフ公爵家からの子爵家への求婚状。
何故か子爵家の令嬢なら誰でも良いような書き方で、しかし結婚支度金が多く、金に目が眩んだ子爵は即、娘を売り飛ばすことにした。
しかし、満月の夜にケモ耳っ娘に変身する呪い持ちのエリアナだったが、実はある特殊な権能があった。その権能はデメリットつきではあるが、夢の中の図書館にて異世界の記録、物語、知識等を得られるものであった。
*カクヨム等で先行投稿しています。
召喚されたけど不要だと殺され、神様が転生さしてくれたのに女神様に呪われました
桜月雪兎
ファンタジー
召喚に巻き込まれてしまった沢口香織は不要な存在として殺されてしまった。
召喚された先で殺された為、元の世界にも戻れなく、さ迷う魂になってしまったのを不憫に思った神様によって召喚された世界に転生することになった。
転生するために必要な手続きをしていたら、偶然やって来て神様と楽しそうに話している香織を見て嫉妬した女神様に呪いをかけられてしまった。
それでも前向きに頑張り、楽しむ香織のお話。
異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか
片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生!
悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした…
アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか?
痩せっぽっちの王女様奮闘記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる