半分異世界

月野槐樹

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第32章 瑛太11

第298話 旅計画

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圭のレシピや資料を参考にした商品の売れ行きは順調らしい。最近は「サスケイブランド」みたいなものが作られているそうだ。
ラベルに圭をイメージした男の子の絵が書いてあるのだ。
デフォルメされているからか、だいぶ幼いイメージになっているんだけどね。むしろケイン君を少し成長させたみたいな感じかな。

厨房にもサスケイブランドのマスタードの瓶とかが置いてある。ディーン君はマスタードの瓶をチラリと見やった。

「サスケイブランドといえば、宣伝の為に銅像を作ったんだけどね。『サスケイ様』って人気らしいよ。祈ると何となく良いことがあるとか。」
「へえ‥‥。ちょっと見てみたいな。」

なんとなくビリケン様みたいなのを連想した。金ピカだったりするのだろうか。

「商会の大きい店舗がある場所に設置しているんだ。あのしばらく滞在していた国境近くの街にもあるよ。」
「あの街か‥‥。見に行けるかも。」
「え、行く予定があるの?」

ディーン君に訊かれて、俺は情報収集に行く事を考えているという話をした。
ディーン君はパッと明るい顔をしてうんうんと頷いた。
「良いんじゃない。農園経営も安定してきているし。皆で行ってきても。」
「いこ!」
「え、ケインも?」
「いこ!いこ!」

ケイン君が一緒に行きたいと言い出して、ディーン君はちょっと戸惑った様子になった。
そして少し考えてから、頷いた。

「うーん、それもありだね!商会の店舗の様子も視察に行きたいし。」

ディーン君まで行く気になってしまったみたいだ。ええ?いいのかな?

「ええー、結構長旅でしょ?ケイン君は馬車大丈夫?それにディーン君まで‥‥?」
「僕がついていればケインも連れて行けるでしょう?距離はあるけど、最近は馬車の性能がアップしているからね。乗り心地がどうなるか楽しみだよ。」

確かに、馬車の車輪だとかベアリングだとか、江角さん達を中心にして色々改良しているから乗り心地は良くなっていると思うけど長旅には変わらないんだよね。ケイン君は旅とかしたことないんじゃないかな。

心配してそういうと、ディーン君はだからこそ旅を経験させたいと言う。

「そろそろケインを他の土地にも連れて行ってあげたいと思っていたんだよ。」
「いこ!いこ!」

ケイン君が嬉しそうに手を上げた。
ディーン君とケイン君と一緒に国境近くの街に行くことが決まってしまったようだ。
商会の馬車の空きを心配していたけど、馬車を別に用意するという話になってしまった。
スマホのバッテリーの検証だとか、魔法陣の話だとか色々確認してからと思っていたけど、旅の話がどんどん進んでいく。

ちょっと戸惑うけど、勢いも大事な気がするし、サクッと言ってきても良いんじゃないかという気がしてきた。
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