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第30章 詩英8
第282話 葡萄
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「‥‥瑛太の話だと、尾市君、椎名君の他に、江角さん、柄舟さん、緒方さん、丁田さんがご家族と連絡が取れているはずだってことだよね。
会合では特に何も言ってなかった?」
手帳にメモした名前を読み上げながら言う。俺はご家族とも面識がないから、本当に名前だけしかわからない。Yが頷いて言った。
「特に何にも。まあ、尾市さんと椎名さんのご家族に集中してたからね。」
他の誰と一緒かは伝えないでくれと瑛太を通じて頼んだから、それを守ってくれているとしたら、お互いに状況を知らないままなのだろう。
でも同じように連絡が取れている人がいて、黙っているということは気がついているのかもしれない。
もしかしたら、俺達みたいに、極親しい仲間内だけでは伝え合っているかもしれないけど。
騒ぎの様子を見ても、会合で報告し合わない方が平和な気がするのだが、会合って意味があるのだろうか。‥‥なんて参加していない俺が言うのは良くないのかな。
皆、少しでも行方不明者の情報を集めたいから集まっているのだろうし。
「‥‥瑛太君達と一緒に居ない子達も、もしかしたら家族と連絡が取れているのかもしれないんだよね。皆黙っているからわからないだけで‥‥。」
「‥‥もしかして、全員黙っているだけで,連絡が取れているとかあるのかしら?」
「いや、瑛太と一緒にいる子でMOINEをやっていない子は家族と連絡とれていないって言ってたよ。」
「なんでMOINEだけなんだ?メールだって電話だって他のSNSだってあるだろうに。」
「なんでだろうね。まあ、MOINEだけでも繋がるのはありがたいんだけど‥‥。彗汰、シャインマスカットも食べる?」
彗汰の前のお皿にシャインマスカットの粒をいくつか置いてあげると、彗汰は巨峰と同じように両手で掴んで皮を押してみていた。
「そのまま食べるんだけど‥‥。あ、ちょっと待って。丸ごとはちょっと危ないかな‥‥。」
さっき巨峰を上げたら丸呑みしていたのを思い出して、ちょっとまずかったかなと反省した。喉に詰まったら大変だ。ペティナイフを持って来たら仁美叔母さんが彗汰の皿のシャインマスカットを切ってくれた。
「ん!あま!」
仁美叔母さんがシャインマスカットのペティナイフで刻んだ一切れを彗汰の口に運ぶと、彗汰は嬉しそうに笑った。そして、一切れを手にして仁美叔母さんに差し出した。
仁美叔母さんが満面の笑みでシャインマスカットを口にした。
彗汰が俺とYにも差し出そうとしたら、仁美叔母さんが彗汰の手首を掴んで彗汰の手を除菌ウェットっティッシュで拭いた。
「彗汰、お兄ちゃん達には粒のままが良いわよ。まあるいのをあげてね。」
仁美叔母さんに手を拭いてもらってから、彗汰は、巨峰を二つ手にすると、俺とYに差し出した。
「どぞー。」
「ありがとう。」
「ありがとう。彗汰君。」
受け取った巨峰を口に含んで,「美味しいよ」と言うと彗汰は満足そうに頷いた。
会合では特に何も言ってなかった?」
手帳にメモした名前を読み上げながら言う。俺はご家族とも面識がないから、本当に名前だけしかわからない。Yが頷いて言った。
「特に何にも。まあ、尾市さんと椎名さんのご家族に集中してたからね。」
他の誰と一緒かは伝えないでくれと瑛太を通じて頼んだから、それを守ってくれているとしたら、お互いに状況を知らないままなのだろう。
でも同じように連絡が取れている人がいて、黙っているということは気がついているのかもしれない。
もしかしたら、俺達みたいに、極親しい仲間内だけでは伝え合っているかもしれないけど。
騒ぎの様子を見ても、会合で報告し合わない方が平和な気がするのだが、会合って意味があるのだろうか。‥‥なんて参加していない俺が言うのは良くないのかな。
皆、少しでも行方不明者の情報を集めたいから集まっているのだろうし。
「‥‥瑛太君達と一緒に居ない子達も、もしかしたら家族と連絡が取れているのかもしれないんだよね。皆黙っているからわからないだけで‥‥。」
「‥‥もしかして、全員黙っているだけで,連絡が取れているとかあるのかしら?」
「いや、瑛太と一緒にいる子でMOINEをやっていない子は家族と連絡とれていないって言ってたよ。」
「なんでMOINEだけなんだ?メールだって電話だって他のSNSだってあるだろうに。」
「なんでだろうね。まあ、MOINEだけでも繋がるのはありがたいんだけど‥‥。彗汰、シャインマスカットも食べる?」
彗汰の前のお皿にシャインマスカットの粒をいくつか置いてあげると、彗汰は巨峰と同じように両手で掴んで皮を押してみていた。
「そのまま食べるんだけど‥‥。あ、ちょっと待って。丸ごとはちょっと危ないかな‥‥。」
さっき巨峰を上げたら丸呑みしていたのを思い出して、ちょっとまずかったかなと反省した。喉に詰まったら大変だ。ペティナイフを持って来たら仁美叔母さんが彗汰の皿のシャインマスカットを切ってくれた。
「ん!あま!」
仁美叔母さんがシャインマスカットのペティナイフで刻んだ一切れを彗汰の口に運ぶと、彗汰は嬉しそうに笑った。そして、一切れを手にして仁美叔母さんに差し出した。
仁美叔母さんが満面の笑みでシャインマスカットを口にした。
彗汰が俺とYにも差し出そうとしたら、仁美叔母さんが彗汰の手首を掴んで彗汰の手を除菌ウェットっティッシュで拭いた。
「彗汰、お兄ちゃん達には粒のままが良いわよ。まあるいのをあげてね。」
仁美叔母さんに手を拭いてもらってから、彗汰は、巨峰を二つ手にすると、俺とYに差し出した。
「どぞー。」
「ありがとう。」
「ありがとう。彗汰君。」
受け取った巨峰を口に含んで,「美味しいよ」と言うと彗汰は満足そうに頷いた。
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