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第29章 広田5
第273話 米を求めて
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秋山さんが食べ物の事しか考えられなくなっていそうで不安になってきたけど、とりあえず、ツェット商会の前まで戻って来た。
相変わらず、商会の前の出店には人が群がっている。
出店に集まっている人達の脇を抜けて、商会の玄関に向かおうとしたら、秋山さんが突然立ち止まって声を上げた。
「チョチョチョチョ!ちょっと、ちょっと、ちょっと!」
「どうしたんだよ。」
「さっきと売っている物が違う!」
秋山さんの言葉で改めて出店の様子を見てみてたら、確かに店員が手にしていた浅い底の木箱の中にならんでいるものは細長くて、肉団子パンとは違うように見えた。
商品と出店の看板が見える位置までちょっと戻ってみた。
「‥‥揚げソーセージロール‥‥って‥‥。」
「‥‥もしかして、アメリカンドッグか?」
「おおお!」
秋山さんが勢いよく出店の方に踏み出すので、岡部さんが秋山さんの鞄の紐を掴んだ。
「買うのか?今は米だろ?」
「でも!さっきと違うのを売ってるってことは今しか売ってないかもしれないだろ!」
「でも銀貨一枚もするぞ。米買えなくなっても良いのかよ‥‥。」
「ううーん。」
秋山さんは、まだちょっと揚げソーセージロールに未練がありそうだったけど、米を優先することにしたようだ。ブツブツ呟いていたけど。
ようやく、もう一度ツェット商会の店内にはいった。
「米のケーキに使われる米は現在品切れでございまして‥‥。」
商業ギルドで米のケーキの目録を見て、米が在る事を聞いたと告げると、店員の男性は、少し申し訳なさげに眉を下げた。
「ああ‥‥。」
「やっぱり品切れか‥‥。」
「‥‥でも入荷するときもあるってことですか?。」
「はい。ここ入荷し始めたのもここ最近で、量も非常に少ないのですが‥‥。」
予想はしていたけど、やっぱりちょっと気落ちする。秋山さんを慰めるようにポンと岡部さんが秋山さんの背中を叩いた。
店員の男性は台帳のような物に目を落とした後、顔をあげて俺達を見た。
「少し種類が異なるのですが、粘りが少ない方の米でしたら若干在庫がございますが、いかがなさいますか?」
「え!?」
「今、空耳?米が、米があるって聞こえた気が!?」
「秋山。」
思わず声が大きくなる秋山さんの肩をトンと岡部さんが叩く。
「はい。入荷量が少ないため、一度に販売できる量も制限させていただいているのですけど。」
詳しく聞いて見ると購入できるのは、一キロだか二キロくらいのサイズの麻袋に入った玄米だった。見せてもらうと見覚えがある形の粒だ。
「これ!これを!!」
勢い込んで秋山さんが購入しようとする。
「秋山、まだ値段も確認していないぞ。」
興奮して息が荒くなっている秋山さんを岡部さんが何度も諌めている。
「この袋一つ分で銀貨五枚でございます。臼で突く場合は追加で銀貨一枚プラスとなります。」
「臼で突くとは?」
「このままですと長時間水につけないと、中々柔らかくならないのです。」
「玄米だからか!」
「いや、ちょっと待て。考えてみたら鍋とかも持ってないぞ。」
武井さんの言葉で俺達は顔を見合わせた。確かに鍋がない。そもそも値段もかなり高い。明日も角兎を狩らないと露頭に迷いそうなくらいだ。
それでも米が食べれられるなら、という気持ちもあるが、米だけ買っても、鍋がないと調理ができない。
「‥‥でもさでもさ。米が売り切れちゃったら食べられなくなるんだぞ。」
秋山さんは、鍋は後でお金を稼いで買ってもよいから米は確保すべきだと主張する。
「‥‥しかしな、秋山。俺達、米やら鍋やら持って移動するのか?」
「でも!米が!」
店のカウンターの前でゴニョゴニョと話合っていた。会話が途切れたところで店員さんがニッコリとして言った。
「調理設備がないのでしたら、少々割高ですが委託調理という方法はいかがですか?」
「委託調理?」
「はい。当店の厨房で調理してお渡しいたします。」
「そ、そんな手が!」
秋山さんがガッと店員さんに詰め寄った。今度は岡部さんが止める間がなくて、店員さんがちょっとのけぞってしまった。すみません、すみません。
相変わらず、商会の前の出店には人が群がっている。
出店に集まっている人達の脇を抜けて、商会の玄関に向かおうとしたら、秋山さんが突然立ち止まって声を上げた。
「チョチョチョチョ!ちょっと、ちょっと、ちょっと!」
「どうしたんだよ。」
「さっきと売っている物が違う!」
秋山さんの言葉で改めて出店の様子を見てみてたら、確かに店員が手にしていた浅い底の木箱の中にならんでいるものは細長くて、肉団子パンとは違うように見えた。
商品と出店の看板が見える位置までちょっと戻ってみた。
「‥‥揚げソーセージロール‥‥って‥‥。」
「‥‥もしかして、アメリカンドッグか?」
「おおお!」
秋山さんが勢いよく出店の方に踏み出すので、岡部さんが秋山さんの鞄の紐を掴んだ。
「買うのか?今は米だろ?」
「でも!さっきと違うのを売ってるってことは今しか売ってないかもしれないだろ!」
「でも銀貨一枚もするぞ。米買えなくなっても良いのかよ‥‥。」
「ううーん。」
秋山さんは、まだちょっと揚げソーセージロールに未練がありそうだったけど、米を優先することにしたようだ。ブツブツ呟いていたけど。
ようやく、もう一度ツェット商会の店内にはいった。
「米のケーキに使われる米は現在品切れでございまして‥‥。」
商業ギルドで米のケーキの目録を見て、米が在る事を聞いたと告げると、店員の男性は、少し申し訳なさげに眉を下げた。
「ああ‥‥。」
「やっぱり品切れか‥‥。」
「‥‥でも入荷するときもあるってことですか?。」
「はい。ここ入荷し始めたのもここ最近で、量も非常に少ないのですが‥‥。」
予想はしていたけど、やっぱりちょっと気落ちする。秋山さんを慰めるようにポンと岡部さんが秋山さんの背中を叩いた。
店員の男性は台帳のような物に目を落とした後、顔をあげて俺達を見た。
「少し種類が異なるのですが、粘りが少ない方の米でしたら若干在庫がございますが、いかがなさいますか?」
「え!?」
「今、空耳?米が、米があるって聞こえた気が!?」
「秋山。」
思わず声が大きくなる秋山さんの肩をトンと岡部さんが叩く。
「はい。入荷量が少ないため、一度に販売できる量も制限させていただいているのですけど。」
詳しく聞いて見ると購入できるのは、一キロだか二キロくらいのサイズの麻袋に入った玄米だった。見せてもらうと見覚えがある形の粒だ。
「これ!これを!!」
勢い込んで秋山さんが購入しようとする。
「秋山、まだ値段も確認していないぞ。」
興奮して息が荒くなっている秋山さんを岡部さんが何度も諌めている。
「この袋一つ分で銀貨五枚でございます。臼で突く場合は追加で銀貨一枚プラスとなります。」
「臼で突くとは?」
「このままですと長時間水につけないと、中々柔らかくならないのです。」
「玄米だからか!」
「いや、ちょっと待て。考えてみたら鍋とかも持ってないぞ。」
武井さんの言葉で俺達は顔を見合わせた。確かに鍋がない。そもそも値段もかなり高い。明日も角兎を狩らないと露頭に迷いそうなくらいだ。
それでも米が食べれられるなら、という気持ちもあるが、米だけ買っても、鍋がないと調理ができない。
「‥‥でもさでもさ。米が売り切れちゃったら食べられなくなるんだぞ。」
秋山さんは、鍋は後でお金を稼いで買ってもよいから米は確保すべきだと主張する。
「‥‥しかしな、秋山。俺達、米やら鍋やら持って移動するのか?」
「でも!米が!」
店のカウンターの前でゴニョゴニョと話合っていた。会話が途切れたところで店員さんがニッコリとして言った。
「調理設備がないのでしたら、少々割高ですが委託調理という方法はいかがですか?」
「委託調理?」
「はい。当店の厨房で調理してお渡しいたします。」
「そ、そんな手が!」
秋山さんがガッと店員さんに詰め寄った。今度は岡部さんが止める間がなくて、店員さんがちょっとのけぞってしまった。すみません、すみません。
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