265 / 305
第28章 瑛太10
第264話 勇者や聖女とは
しおりを挟む
「聖女!」
柄舟さんの言葉を聞いて、椎名さんが前のめりになって勢い良く柄舟さんに近付く。
「召還者の中に聖女なんているんですか?」
「‥‥勇者にも反応してあげてよ。」
「だって。もともと周辺国を攻撃刷るための『勇者』の召還ですよね。聖女って何する人なんですかね。やっぱり美人なんですかね。」
「やだ。何の妄想?」
聖女の話に食い気味の椎名さんに、ワイちゃんが冷ややかな言葉を浴びせた。藍ちゃんは冷めた目で見ている。
「ええ~?ちょっと気になっただけだろ?」
椎名さんが、不満そうに言うと、江角さんがコホンと咳払いをした。
「勇者や聖女は居るって噂だけど、基準は能力的なものだと思うよ。俺達だって召還された時、能力判定みたいなのをさせられただろう?」
「ああ‥‥。‥‥はぁ。嫌な思い出が‥‥。」
椎名さんは召還された時の事を思い出したのか表情を曇らせた。トンッと尾市さんが椎名さんの腕を軽く叩いた。
「勇者だ聖女だって俺達と同じように無理矢理連れて来られたんだからな。興味本意で騒ぐなよ。」
「‥‥わかったよ‥‥。悪かったよ‥‥。」
椎名さんが肩を落とし軽く溜め息をついた。
「ねえ。興味本位とかじゃなくて、ちょっと気になるんだけど。
勇者とかって‥‥聖女もかな。あっちの国は、他の国を攻撃する為に呼んだんでしょ。
それで、私達とかみたいに召還されたって人が勇者になったら、勇者がこの国に攻めてくるのかな。」
ワイちゃんの言葉に、俺はギョッとした。
それは考えていなかった。もしかしたら考えないようにしていたのかもしれない。
俺や藍ちゃんと一緒に召還されたクラスメートの中に、「勇者だとか「聖女」だとかって認定された人がいたとしたら、クラスメートがこの国に攻めてくるってことだ。
クラスメートじゃなかったとしても、同じ日本の関東地方の学生だった人が誰か「勇者」って存在になったら、この国の平和を脅かすかもしれないのか?
「‥‥召還された人が勇者になったとしたら、日本の学生だよね。他の国を攻撃何て出来るのかな。」
「あの王女の命令で動くように呪具とか付けられているかもしれないぞ。」
「呪具‥‥。」
尾市さんがピクリと肩を震わせた。緒方さん達も顔を曇らせた。俺と藍ちゃん以外は、呪具というものを付けられて、しゃべる事すらできなくなっていた。
命令だけ聞くようにか、呪具を身に付けられてからは段々と思考が定まらなくなってきたという話も聞いた。
勇者と認定される人もそんな呪具を付けられるのだろうか。命令されたらその通りに行動して、何か強い魔法だとかで攻撃したり、と考えると恐ろしい。
江角さんが、凄く険しい顔をして、遠くに目をやった。
「そうか‥‥。勇者とかが知っている奴って可能性があるのか‥‥。もし、知っている奴がこの国に攻めて来たら、そいつ相手に戦うかもしれないのか。」
「ここは国境から結構離れているから、この国に攻めて来たとしても戦う機会があるかはわからないぞ。」
「そうかもしれないけど。もしも‥‥。この村にやってきて畑とかを焼き払い始めたらどうする?」
「畑を?返り討ちにするよ。」
一瞬、丹誠込めた畑を焼かれるイメージが脳裏をよぎって、即座に戦う宣言をしてしまった。
同級生と戦う事が出来るかっていうと、そこはまだイメージがわかない。だけど、圭が用意してくれた種で育てた野菜を育てている畑を何かしようとするなら、
相手が誰でも戦うつもりだ。
ギュッと藍ちゃんが俺の手を握った。
「そうなったら私も戦うよ!」
キリッとした目で俺を見つめて言う。可愛い。
「私も戦うよ!」
「ぼくもーー!」
ワイちゃんが手を上げたら、ケイン君も真似して同じポーズをとった。ケイン君分かってないで言ってるでしょ。満面の笑顔だし。
柄舟さんの言葉を聞いて、椎名さんが前のめりになって勢い良く柄舟さんに近付く。
「召還者の中に聖女なんているんですか?」
「‥‥勇者にも反応してあげてよ。」
「だって。もともと周辺国を攻撃刷るための『勇者』の召還ですよね。聖女って何する人なんですかね。やっぱり美人なんですかね。」
「やだ。何の妄想?」
聖女の話に食い気味の椎名さんに、ワイちゃんが冷ややかな言葉を浴びせた。藍ちゃんは冷めた目で見ている。
「ええ~?ちょっと気になっただけだろ?」
椎名さんが、不満そうに言うと、江角さんがコホンと咳払いをした。
「勇者や聖女は居るって噂だけど、基準は能力的なものだと思うよ。俺達だって召還された時、能力判定みたいなのをさせられただろう?」
「ああ‥‥。‥‥はぁ。嫌な思い出が‥‥。」
椎名さんは召還された時の事を思い出したのか表情を曇らせた。トンッと尾市さんが椎名さんの腕を軽く叩いた。
「勇者だ聖女だって俺達と同じように無理矢理連れて来られたんだからな。興味本意で騒ぐなよ。」
「‥‥わかったよ‥‥。悪かったよ‥‥。」
椎名さんが肩を落とし軽く溜め息をついた。
「ねえ。興味本位とかじゃなくて、ちょっと気になるんだけど。
勇者とかって‥‥聖女もかな。あっちの国は、他の国を攻撃する為に呼んだんでしょ。
それで、私達とかみたいに召還されたって人が勇者になったら、勇者がこの国に攻めてくるのかな。」
ワイちゃんの言葉に、俺はギョッとした。
それは考えていなかった。もしかしたら考えないようにしていたのかもしれない。
俺や藍ちゃんと一緒に召還されたクラスメートの中に、「勇者だとか「聖女」だとかって認定された人がいたとしたら、クラスメートがこの国に攻めてくるってことだ。
クラスメートじゃなかったとしても、同じ日本の関東地方の学生だった人が誰か「勇者」って存在になったら、この国の平和を脅かすかもしれないのか?
「‥‥召還された人が勇者になったとしたら、日本の学生だよね。他の国を攻撃何て出来るのかな。」
「あの王女の命令で動くように呪具とか付けられているかもしれないぞ。」
「呪具‥‥。」
尾市さんがピクリと肩を震わせた。緒方さん達も顔を曇らせた。俺と藍ちゃん以外は、呪具というものを付けられて、しゃべる事すらできなくなっていた。
命令だけ聞くようにか、呪具を身に付けられてからは段々と思考が定まらなくなってきたという話も聞いた。
勇者と認定される人もそんな呪具を付けられるのだろうか。命令されたらその通りに行動して、何か強い魔法だとかで攻撃したり、と考えると恐ろしい。
江角さんが、凄く険しい顔をして、遠くに目をやった。
「そうか‥‥。勇者とかが知っている奴って可能性があるのか‥‥。もし、知っている奴がこの国に攻めて来たら、そいつ相手に戦うかもしれないのか。」
「ここは国境から結構離れているから、この国に攻めて来たとしても戦う機会があるかはわからないぞ。」
「そうかもしれないけど。もしも‥‥。この村にやってきて畑とかを焼き払い始めたらどうする?」
「畑を?返り討ちにするよ。」
一瞬、丹誠込めた畑を焼かれるイメージが脳裏をよぎって、即座に戦う宣言をしてしまった。
同級生と戦う事が出来るかっていうと、そこはまだイメージがわかない。だけど、圭が用意してくれた種で育てた野菜を育てている畑を何かしようとするなら、
相手が誰でも戦うつもりだ。
ギュッと藍ちゃんが俺の手を握った。
「そうなったら私も戦うよ!」
キリッとした目で俺を見つめて言う。可愛い。
「私も戦うよ!」
「ぼくもーー!」
ワイちゃんが手を上げたら、ケイン君も真似して同じポーズをとった。ケイン君分かってないで言ってるでしょ。満面の笑顔だし。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
幸せな人生を目指して
える
ファンタジー
不慮の事故にあいその生涯を終え異世界に転生したエルシア。
十八歳という若さで死んでしまった前世を持つ彼女は今度こそ幸せな人生を送ろうと努力する。
精霊や魔法ありの異世界ファンタジー。
ゲームの世界に堕とされた開発者 ~異世界化した自作ゲームに閉じ込められたので、攻略してデバックルームを目指す~
白井よもぎ
ファンタジー
河井信也は会社帰りに、かつての親友である茂と再会する。
何年か振りの再会に、二人が思い出話に花を咲かせていると、茂は自分が神であると言い出してきた。
怪しい宗教はハマったのかと信也は警戒するが、茂は神であることを証明するように、自分が支配する異世界へと導いた。
そこは高校時代に二人で共同制作していた自作ゲームをそのまま異世界化させた世界だという。
驚くのも束の間、茂は有無を言わさず、その世界に信也を置いて去ってしまう。
そこで信也は、高校時代に喧嘩別れしたことを恨まれていたと知る。
異世界に置いてけぼりとなり、途方に暮れる信也だが、デバックルームの存在を思い出し、脱出の手立てを思いつく。
しかしデバックルームの場所は、最難関ダンジョン最奥の隠し部屋。
信也は異世界から脱出すべく、冒険者としてダンジョンの攻略を目指す。
ドグラマ3
小松菜
ファンタジー
悪の秘密結社『ヤゴス』の三幹部は改造人間である。とある目的の為、冷凍睡眠により荒廃した未来の日本で目覚める事となる。
異世界と化した魔境日本で組織再興の為に活動を再開した三人は、今日もモンスターや勇者様一行と悲願達成の為に戦いを繰り広げるのだった。
*前作ドグラマ2の続編です。
毎日更新を目指しています。
ご指摘やご質問があればお気軽にどうぞ。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります
真理亜
ファンタジー
有栖佑樹はアラフォーの会社員、結城亜理須は女子高生、ある日豪雨に見舞われた二人は偶然にも大きな木の下で雨宿りする。
その木に落雷があり、ショックで気を失う。気がついた時、二人は見知らぬ山の中にいた。ここはどこだろう?
と考えていたら、突如猪が襲ってきた。危ない! 咄嗟に亜理須を庇う佑樹。だがいつまで待っても衝撃は襲ってこない。
なんと猪は佑樹達の手前で壁に当たったように気絶していた。実は佑樹の絶対防御が発動していたのだ。
そんな事とは気付かず、当て所もなく山の中を歩く二人は、やがて空腹で動けなくなる。そんな時、亜理須がバイトしていたマッグのハンバーガーを食べたいとイメージする。
すると、なんと亜理須のイメージしたものが現れた。これは亜理須のイメージ転送が発動したのだ。それに気付いた佑樹は、亜理須の住んでいた家をイメージしてもらい、まずは衣食住の確保に成功する。
ホッとしたのもつかの間、今度は佑樹の体に変化が起きて...
異世界に飛ばされたオッサンと女子高生のお話。
☆誤って消してしまった作品を再掲しています。ブックマークをして下さっていた皆さん、大変申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる