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第28章 瑛太10
第262話 優先リスト
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ジェイ兄と連絡が取れるようになって、その後グループメッセージで母さんとワイちゃんのお兄さんとも繋がった。
その時点で、こちらの状況を説明をしたけれど、向こうは向こうで「行方不明者家族の会」というような集まりが出来ていて、そちらの会合は何だかちょっと複雑な状況と聞いた。
俺と連絡が取れた事を公表すると、連絡が取れていない家族の人達から責められたりしそうだから当面は秘密にしておく、何て言っていた。
ジェイ兄だけ繋がっているとなったら、「何で?」って聞かれて困るのはわかるけど、流石にこれだけ皆が連絡が取れる状況になったなら、ジェイ兄一人が追求されたりってことはないだろうにと思うんだけどな。
どうなんだろう。
そんな事を考えていたら、尾市さんが声を上げた。
「うわ!テレビ会見!?」
バッテリーで充電をしていた尾市さんがスマホの画面を凝視しながら、動揺した様子を見せている。
「やべぇ~。なんだよ、このリスト‥‥。一人ずつ、行方を知っているか書けってか‥‥。」
「俺にも来た‥‥。『石倉さんのお嬢さんの情報がわかったら先にそれをくれ』ってなんだよ‥‥。」
尾市さんのスマホの画面を覗き込んだ椎名さんが、眉を顰めた。そしてブツブツと呟く様に言っている。
「ああ~。優先リスト? 今来た‥‥。本木?モトキって読むの?しらねぇよ‥‥。」
尾市さんの口から本木の名前を聞いて、驚いてメッセージの内容を見せてもらった。
尾市さんのお母さんが、同級生の家族に連絡を入れた事から、尾市さんの消息が掴めた事が他の召還者達の家族に広まって、テレビで会見をする話にまでなったそうだ。
そして、他の行方不明者の消息を知らせろと、尾市さんのお母さんにあちこちから連絡が来ているらしい。
特に、優先的に情報を知らせろという人物の一番上に本木の名前が来ていた。なんだそりゃ。
発言力が強い人ってこと?
久しぶりに本木の名前を目にして、ちょっと血が頭に上っていくような感覚になった。口を開いたが、声が震える。
「ゴメン。一緒に居るって情報を流さないでもらえますか?少なくとも、俺と‥‥藍ちゃんは‥‥。」
「うん?瑛太のところは、あまり世間に知らせたくない派だったね。」
「うん。本木の名前みたら、まずいってわかったよ。本木は俺と藍ちゃんの同級生なんだけど、本人も親も、ちょっと‥‥アレっていうか‥‥。多分俺と藍ちゃんが無事って知られたら、家族が嫌がらせされる気がする。」
「はあ!?嫌がらせ?何それ?
‥‥まあ、優先的に情報を寄越せって言っている時点で、アレってか‥‥。」
本木の名前を見るまで、ジェイ兄が公表したがらない理由を,具体的に考えてなかった。
でも、本木の同級生ですらない尾市さん達に、優先的に情報を寄越せって言って来ていると知ったら、俺達だけ無事なんて情報を流すのはまずいだろうという事は分かる。それも俺が嫌がらせされるとかじゃなく、父さんや母さん、ジェイ兄とかが何か嫌な思いをするかもしれないんだ。
「この本木って子のことだけじゃないだろ。石倉ちゃんのところも優先って言ってるってことは、石倉ちゃんの家族ってちょっと面倒な人達なのかな。モンペ的な。」
緒方さんや江角さん達も、尾市さんと椎名さんに届いた「報告要請」のメッセージを覗き込んだ。
「優先リストってさ。うちの子の情報を優先しろってことだろ。大丈夫?尾市ちゃんの家族、他の家族達に嫉妬とかされないかな。」
「ええ~!?ま、マジ!うわぁ~!やべぇやん!どうしよう!」
尾市さんが頭を抱えた。
椎名さんはがくっと項垂れて溜め息をついた。
緒方さんが手を上げて皆を見た。
「とりあえずさ。自分以外の他の人の行方は言わないことにしておかないか?俺は‥‥、真希と一緒なのは言うけど‥‥。」
「言ってる傍からかよ。‥‥リア充め。」
江角さんが、緒方さんの脇腹を小突いた。
緒方さんはちょっとだけ痛そうに顔を顰めた。
「真希とは一緒に居るって言った方が、真希の家族も安心するだろうからさ。
‥‥尾市君と椎名君のところでもう公表しちゃってるみたいだけど、家族には俺と連絡がついたことを公表するには様子を見てからにしろって言っておこうと思う。
だけど、真希以外の誰と一緒とか情報が漏れると、その人の家族に迷惑がかかるかもしれないから、言わないでおく、と家族にも伝えるよ。どこから情報が漏れるかわからないし。」
「緒方さんのところは駆け落ちとか思われたりしねぇすか?‥‥まあ、言いたいことは分かりましよ。俺も、誰と一緒かは言わない。それと、家族にも気をつけろって言っておくよ。‥‥あーあ‥‥。でももう公表しちゃったのか‥‥。」
尾市さんは、断続的に受信音が鳴るスマホの画面を、ちょっと憂鬱そうに見た。
その時点で、こちらの状況を説明をしたけれど、向こうは向こうで「行方不明者家族の会」というような集まりが出来ていて、そちらの会合は何だかちょっと複雑な状況と聞いた。
俺と連絡が取れた事を公表すると、連絡が取れていない家族の人達から責められたりしそうだから当面は秘密にしておく、何て言っていた。
ジェイ兄だけ繋がっているとなったら、「何で?」って聞かれて困るのはわかるけど、流石にこれだけ皆が連絡が取れる状況になったなら、ジェイ兄一人が追求されたりってことはないだろうにと思うんだけどな。
どうなんだろう。
そんな事を考えていたら、尾市さんが声を上げた。
「うわ!テレビ会見!?」
バッテリーで充電をしていた尾市さんがスマホの画面を凝視しながら、動揺した様子を見せている。
「やべぇ~。なんだよ、このリスト‥‥。一人ずつ、行方を知っているか書けってか‥‥。」
「俺にも来た‥‥。『石倉さんのお嬢さんの情報がわかったら先にそれをくれ』ってなんだよ‥‥。」
尾市さんのスマホの画面を覗き込んだ椎名さんが、眉を顰めた。そしてブツブツと呟く様に言っている。
「ああ~。優先リスト? 今来た‥‥。本木?モトキって読むの?しらねぇよ‥‥。」
尾市さんの口から本木の名前を聞いて、驚いてメッセージの内容を見せてもらった。
尾市さんのお母さんが、同級生の家族に連絡を入れた事から、尾市さんの消息が掴めた事が他の召還者達の家族に広まって、テレビで会見をする話にまでなったそうだ。
そして、他の行方不明者の消息を知らせろと、尾市さんのお母さんにあちこちから連絡が来ているらしい。
特に、優先的に情報を知らせろという人物の一番上に本木の名前が来ていた。なんだそりゃ。
発言力が強い人ってこと?
久しぶりに本木の名前を目にして、ちょっと血が頭に上っていくような感覚になった。口を開いたが、声が震える。
「ゴメン。一緒に居るって情報を流さないでもらえますか?少なくとも、俺と‥‥藍ちゃんは‥‥。」
「うん?瑛太のところは、あまり世間に知らせたくない派だったね。」
「うん。本木の名前みたら、まずいってわかったよ。本木は俺と藍ちゃんの同級生なんだけど、本人も親も、ちょっと‥‥アレっていうか‥‥。多分俺と藍ちゃんが無事って知られたら、家族が嫌がらせされる気がする。」
「はあ!?嫌がらせ?何それ?
‥‥まあ、優先的に情報を寄越せって言っている時点で、アレってか‥‥。」
本木の名前を見るまで、ジェイ兄が公表したがらない理由を,具体的に考えてなかった。
でも、本木の同級生ですらない尾市さん達に、優先的に情報を寄越せって言って来ていると知ったら、俺達だけ無事なんて情報を流すのはまずいだろうという事は分かる。それも俺が嫌がらせされるとかじゃなく、父さんや母さん、ジェイ兄とかが何か嫌な思いをするかもしれないんだ。
「この本木って子のことだけじゃないだろ。石倉ちゃんのところも優先って言ってるってことは、石倉ちゃんの家族ってちょっと面倒な人達なのかな。モンペ的な。」
緒方さんや江角さん達も、尾市さんと椎名さんに届いた「報告要請」のメッセージを覗き込んだ。
「優先リストってさ。うちの子の情報を優先しろってことだろ。大丈夫?尾市ちゃんの家族、他の家族達に嫉妬とかされないかな。」
「ええ~!?ま、マジ!うわぁ~!やべぇやん!どうしよう!」
尾市さんが頭を抱えた。
椎名さんはがくっと項垂れて溜め息をついた。
緒方さんが手を上げて皆を見た。
「とりあえずさ。自分以外の他の人の行方は言わないことにしておかないか?俺は‥‥、真希と一緒なのは言うけど‥‥。」
「言ってる傍からかよ。‥‥リア充め。」
江角さんが、緒方さんの脇腹を小突いた。
緒方さんはちょっとだけ痛そうに顔を顰めた。
「真希とは一緒に居るって言った方が、真希の家族も安心するだろうからさ。
‥‥尾市君と椎名君のところでもう公表しちゃってるみたいだけど、家族には俺と連絡がついたことを公表するには様子を見てからにしろって言っておこうと思う。
だけど、真希以外の誰と一緒とか情報が漏れると、その人の家族に迷惑がかかるかもしれないから、言わないでおく、と家族にも伝えるよ。どこから情報が漏れるかわからないし。」
「緒方さんのところは駆け落ちとか思われたりしねぇすか?‥‥まあ、言いたいことは分かりましよ。俺も、誰と一緒かは言わない。それと、家族にも気をつけろって言っておくよ。‥‥あーあ‥‥。でももう公表しちゃったのか‥‥。」
尾市さんは、断続的に受信音が鳴るスマホの画面を、ちょっと憂鬱そうに見た。
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