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第28章 瑛太10
第260話 受信後の反応
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「‥‥‥この分だと、江角と柄舟もだろうな。」
少しの間無言でスマホを見つめていた緒方さんは、真希さんが充電を終えてスマホを起動してから泣き出したのを見て言った。
真希さんの背中をそっと撫でながら俺達の方を向いた。
「‥‥瑛太の家族から俺達の家族には連絡って行ってなかったんだよな。」
「そうだと思います。藍ちゃんの両親へもまだだったし。」
「だよな。返事したら凄い騒ぎになりそうな気がしてきたんだけど。」
「あ!」
緒方さんの言葉を聞いて、尾市さんが大きな声を出した。
「返事書いちゃだめだったの?出しちゃったけど。」
「おお‥‥。‥‥で、反応あった?」
「待って‥‥。わ、わわわ。やべ‥‥!」
ブブ、ブブと尾市さんの携帯から短い音が断続的に鳴り始めた。
「やべ、『何処居る?』『誰といる?』『何故連絡しなかった。』とか、どんどん来る‥‥。『生きてるのか』って、そりゃ生きてるけどさ。」
「ちょ‥‥。戸惑うな‥‥。」
尾市さんの様子を見て、椎名さんがスマホの画面から顔を上げた。家族にメッセージを送ろうとして、躊躇したようだ。
「あああ‥‥。僕はMOINEやってなかった‥‥!」
スマホを起動した柊さんが悲痛そうな声をあげた。
「いや、返事は書いて良いと思うけどさ。瑛太が家族と連絡とれるようになってからも、あっちで騒ぎになるのを考えて周りに伝えてなかったみたいだっただろ。
だから、急に返事が行ったら、向こうの動揺するのかなと思ってさ。 」
緒方さんは、皆が少し落ち着いてから、もう一度スマホの画面に目を落とした。
ちょっと切なそうな顔をして画面をスクロールしている。
「すげー不思議。繋がったの家族とだけみたいだよ。まあ、異世界だから不思議はつきものなんだろうけど。」
まだ、時々、受信音がするスマホを見つめながら尾市さんが言った。
尾市さんの口元に笑みが浮かんでいる。やはり家族と連絡が取れるのは嬉しいようだ。
「一応さ‥‥。元気とは伝えたけど、どういう風に説明したらよいんだろうね‥‥。あ、他に伝えるなって言っておいた方がいいのかな。」
「異世界に召還されましたって、信じてもらえるのかな‥‥。‥‥ああっ!?」
椎名さんは、返事を書くのを一旦保留にして、届いたメッセージを読み返していた。
そして突然,声を上げて俺達の方に顔を向けた。
「やべぇのか?連絡網来たって!」
「連絡網?」
「『美市君から連絡が来たって、尾市君の家族が』って。『お前は無事か』って。」
「おお?」
尾市さんがギョッとした様子になった。
どうやら、尾市さんや椎名さんの同級生の行方不明者の家族達のMOINEグループがあり、尾市さんの返信を受けて、尾市さんのお母さんが家族達のグループに
メッセージを送ったらしい。
「俺も、無事って送っておくよ。あ、石浦やら三輪やらも無事って書いておいた方が良いのか?」
「聞かれたら、だいぶ前に会ったって言えばよくね?だって,最後に会ってから大分経つし、今何処に居るかわかんねぇだろ。」
「そうか‥‥。そもそも奴らも、MOINEが繋がったかもしれないよな。」
「バッテリーがあったらだけど。」
「ああ‥‥。」
椎名さんが何か返信したらしい。急にピコンピコンと連続して鳴り始めた。
「うわ。やべえ。先に状況を説明したような内容を下書きしとくんだったよ。」
「それな。あ~、バッテリーがやばくなってきた。」
「そうだった。バッテリーがギリギリって書いておこう。」
尾市さんと椎名さんがそんなやりとりをしていたら、江角さんと柄舟さんが帰って来た。
少しの間無言でスマホを見つめていた緒方さんは、真希さんが充電を終えてスマホを起動してから泣き出したのを見て言った。
真希さんの背中をそっと撫でながら俺達の方を向いた。
「‥‥瑛太の家族から俺達の家族には連絡って行ってなかったんだよな。」
「そうだと思います。藍ちゃんの両親へもまだだったし。」
「だよな。返事したら凄い騒ぎになりそうな気がしてきたんだけど。」
「あ!」
緒方さんの言葉を聞いて、尾市さんが大きな声を出した。
「返事書いちゃだめだったの?出しちゃったけど。」
「おお‥‥。‥‥で、反応あった?」
「待って‥‥。わ、わわわ。やべ‥‥!」
ブブ、ブブと尾市さんの携帯から短い音が断続的に鳴り始めた。
「やべ、『何処居る?』『誰といる?』『何故連絡しなかった。』とか、どんどん来る‥‥。『生きてるのか』って、そりゃ生きてるけどさ。」
「ちょ‥‥。戸惑うな‥‥。」
尾市さんの様子を見て、椎名さんがスマホの画面から顔を上げた。家族にメッセージを送ろうとして、躊躇したようだ。
「あああ‥‥。僕はMOINEやってなかった‥‥!」
スマホを起動した柊さんが悲痛そうな声をあげた。
「いや、返事は書いて良いと思うけどさ。瑛太が家族と連絡とれるようになってからも、あっちで騒ぎになるのを考えて周りに伝えてなかったみたいだっただろ。
だから、急に返事が行ったら、向こうの動揺するのかなと思ってさ。 」
緒方さんは、皆が少し落ち着いてから、もう一度スマホの画面に目を落とした。
ちょっと切なそうな顔をして画面をスクロールしている。
「すげー不思議。繋がったの家族とだけみたいだよ。まあ、異世界だから不思議はつきものなんだろうけど。」
まだ、時々、受信音がするスマホを見つめながら尾市さんが言った。
尾市さんの口元に笑みが浮かんでいる。やはり家族と連絡が取れるのは嬉しいようだ。
「一応さ‥‥。元気とは伝えたけど、どういう風に説明したらよいんだろうね‥‥。あ、他に伝えるなって言っておいた方がいいのかな。」
「異世界に召還されましたって、信じてもらえるのかな‥‥。‥‥ああっ!?」
椎名さんは、返事を書くのを一旦保留にして、届いたメッセージを読み返していた。
そして突然,声を上げて俺達の方に顔を向けた。
「やべぇのか?連絡網来たって!」
「連絡網?」
「『美市君から連絡が来たって、尾市君の家族が』って。『お前は無事か』って。」
「おお?」
尾市さんがギョッとした様子になった。
どうやら、尾市さんや椎名さんの同級生の行方不明者の家族達のMOINEグループがあり、尾市さんの返信を受けて、尾市さんのお母さんが家族達のグループに
メッセージを送ったらしい。
「俺も、無事って送っておくよ。あ、石浦やら三輪やらも無事って書いておいた方が良いのか?」
「聞かれたら、だいぶ前に会ったって言えばよくね?だって,最後に会ってから大分経つし、今何処に居るかわかんねぇだろ。」
「そうか‥‥。そもそも奴らも、MOINEが繋がったかもしれないよな。」
「バッテリーがあったらだけど。」
「ああ‥‥。」
椎名さんが何か返信したらしい。急にピコンピコンと連続して鳴り始めた。
「うわ。やべえ。先に状況を説明したような内容を下書きしとくんだったよ。」
「それな。あ~、バッテリーがやばくなってきた。」
「そうだった。バッテリーがギリギリって書いておこう。」
尾市さんと椎名さんがそんなやりとりをしていたら、江角さんと柄舟さんが帰って来た。
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