256 / 305
第27章 詩英7
第255話 個別メッセージ
しおりを挟む
しばらくは、藍ちゃんママに伝えるのは保留かな、と思う。ずっと娘さんのことを心配しているのだろうし、心苦しいのだけど。
そんな事を考えていたら、ピロンと、Yの携帯が音を立てた。
Yが胸ポケットから携帯を取り出して、画面を見て苦笑した。
「咲良から。『アニキ心配しすぎ』って。」
「何かメッセージ送ったっけ。」
「向こうの気候はどうだとか、風邪引いてないかとか、風邪引いたら薬はあるのかとか書いたけど。」
「ああ、書いてたな。」
それは確かに、MOINEのグループの会話の中で書き込まれていたから見た覚えがある。
ピロン。もう一度Yの携帯が鳴った。
「『ブログか?』って。‥‥そんなだったか?」
Yがちょっとばつが悪そうに首をひねった。
俺も携帯を開いてMOINEの画面を見た。グループの会話を開いてみて、「あれ?」って思う。
Yが言う咲良ちゃんからのメッセージがグループの会話の画面には表示されていなかったのだ。
「‥‥Y、咲良ちゃんからのメッセージって、グループ会話?」
「え?あ!!」
携帯画面を覗き込んでYが大きな声を上げた。そして、俺と仁美叔母さんの方に勢い良く顔を向けた。
「個人メッセージだ!咲良との!‥‥って、うわ、そうか‥‥。今まで書き込んでたやつが全部一気に送られてそれを読んだみたいだ。」
「咲良ちゃんとの個人メッセージが繋がったってこと‥‥?」
興奮した様子で携帯画面を見ているYを見つめた後、俺は仁美叔母さんの方に振り向いた。
「瑛太は?」
「え?」
仁美叔母さんは慌てて携帯を取り出した。画面を見て、首を横に振った。
「瑛太からは特にメ個別のッセージは来ていないわ。」
「今まで、送った者は?既読になっていない?」
「‥‥待って。もう一度見てみるわ。」
仁美叔母さんは、急に緊張した様子で、携帯の画面に目を落とした。そして、黙ったまま携帯を操作していたと思ったら、急に顔を上げた。
「既読が付いてるわ。え?どういうことなの?」
「瑛太とも個別メッセージが繋がったってことじゃないかな。何か個別メッセージの方に書きこんでみてよ。」
「わ、わかったわ。」
仁美叔母さんが慎重に何か打ち込み始めた。
そして、画面から顔を上げて俺の方を見た。
「お、送るわよ。」
「うん。」
俺が頷くと、仁美叔母さんも頷いて、何か思い切るように唇に力を入れて画面をタップした。
「送ったわ!」
「うん‥‥。『こんにちは』って‥‥。」
仁美叔さんが携帯の画面をこちらに向けて、メッセージを送信した様子を見せてくれたのだが、送ったメッセージが「こんにちは」だった。
咄嗟に送るメッセージを思いつかなかったからかもしれないけど、親子間だとよそよそしいメッセージに感じた。
「いいじゃない!別に『こんにちは』だって‥‥。あ!読んだみたい!」
むすっとした様子で携帯画面を見た仁美叔母さんが、はっとしてもう一度画面を見せて来た。
確かに、「こんにちは」というメッセージの横に「既読」の表示がでていた。そして画面を向けられている間に、瑛太からと思われるメッセージが表示された。
そんな事を考えていたら、ピロンと、Yの携帯が音を立てた。
Yが胸ポケットから携帯を取り出して、画面を見て苦笑した。
「咲良から。『アニキ心配しすぎ』って。」
「何かメッセージ送ったっけ。」
「向こうの気候はどうだとか、風邪引いてないかとか、風邪引いたら薬はあるのかとか書いたけど。」
「ああ、書いてたな。」
それは確かに、MOINEのグループの会話の中で書き込まれていたから見た覚えがある。
ピロン。もう一度Yの携帯が鳴った。
「『ブログか?』って。‥‥そんなだったか?」
Yがちょっとばつが悪そうに首をひねった。
俺も携帯を開いてMOINEの画面を見た。グループの会話を開いてみて、「あれ?」って思う。
Yが言う咲良ちゃんからのメッセージがグループの会話の画面には表示されていなかったのだ。
「‥‥Y、咲良ちゃんからのメッセージって、グループ会話?」
「え?あ!!」
携帯画面を覗き込んでYが大きな声を上げた。そして、俺と仁美叔母さんの方に勢い良く顔を向けた。
「個人メッセージだ!咲良との!‥‥って、うわ、そうか‥‥。今まで書き込んでたやつが全部一気に送られてそれを読んだみたいだ。」
「咲良ちゃんとの個人メッセージが繋がったってこと‥‥?」
興奮した様子で携帯画面を見ているYを見つめた後、俺は仁美叔母さんの方に振り向いた。
「瑛太は?」
「え?」
仁美叔母さんは慌てて携帯を取り出した。画面を見て、首を横に振った。
「瑛太からは特にメ個別のッセージは来ていないわ。」
「今まで、送った者は?既読になっていない?」
「‥‥待って。もう一度見てみるわ。」
仁美叔母さんは、急に緊張した様子で、携帯の画面に目を落とした。そして、黙ったまま携帯を操作していたと思ったら、急に顔を上げた。
「既読が付いてるわ。え?どういうことなの?」
「瑛太とも個別メッセージが繋がったってことじゃないかな。何か個別メッセージの方に書きこんでみてよ。」
「わ、わかったわ。」
仁美叔母さんが慎重に何か打ち込み始めた。
そして、画面から顔を上げて俺の方を見た。
「お、送るわよ。」
「うん。」
俺が頷くと、仁美叔母さんも頷いて、何か思い切るように唇に力を入れて画面をタップした。
「送ったわ!」
「うん‥‥。『こんにちは』って‥‥。」
仁美叔さんが携帯の画面をこちらに向けて、メッセージを送信した様子を見せてくれたのだが、送ったメッセージが「こんにちは」だった。
咄嗟に送るメッセージを思いつかなかったからかもしれないけど、親子間だとよそよそしいメッセージに感じた。
「いいじゃない!別に『こんにちは』だって‥‥。あ!読んだみたい!」
むすっとした様子で携帯画面を見た仁美叔母さんが、はっとしてもう一度画面を見せて来た。
確かに、「こんにちは」というメッセージの横に「既読」の表示がでていた。そして画面を向けられている間に、瑛太からと思われるメッセージが表示された。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
マスターズ・リーグ ~傭兵王シリルの剣~
ふりたけ(振木岳人)
ファンタジー
「……あの子を、シリルの事を頼めるか? ……」
騎士王ボードワンが天使の凶刃に倒れた際、彼は実の息子である王子たちの行く末を案じたのではなく、その後の人類に憂いて、精霊王に「いわくつきの子」を託した。
その名はシリル、名前だけで苗字の無い子。そして騎士王が密かに育てようとしていた子。再び天使が地上人絶滅を目的に攻めて来た際に、彼が生きとし生ける者全ての希望の光となるようにと。
この物語は、剣技にも魔術にもまるで秀でていない「どん底シリル」が、栄光の剣を持って地上に光を与える英雄物語である。
異世界転生、防御特化能力で彼女たちを英雄にしようと思ったが、そんな彼女たちには俺が英雄のようだ。
Mです。
ファンタジー
異世界学園バトル。
現世で惨めなサラリーマンをしていた……
そんな会社からの帰り道、「転生屋」という見慣れない怪しげな店を見つける。
その転生屋で新たな世界で生きる為の能力を受け取る。
それを自由イメージして良いと言われた為、せめて、新しい世界では苦しまないようにと防御に突出した能力をイメージする。
目を覚ますと見知らぬ世界に居て……学生くらいの年齢に若返っていて……
現実か夢かわからなくて……そんな世界で出会うヒロイン達に……
特殊な能力が当然のように存在するその世界で……
自分の存在も、手に入れた能力も……異世界に来たって俺の人生はそんなもん。
俺は俺の出来ること……
彼女たちを守り……そして俺はその能力を駆使して彼女たちを英雄にする。
だけど、そんな彼女たちにとっては俺が英雄のようだ……。
※※多少意識はしていますが、主人公最強で無双はなく、普通に苦戦します……流行ではないのは承知ですが、登場人物の個性を持たせるためそのキャラの物語(エピソード)や回想のような場面が多いです……後一応理由はありますが、主人公の年上に対する態度がなってません……、後、私(さくしゃ)の変な癖で「……」が凄く多いです。その変ご了承の上で楽しんで頂けると……Mです。の本望です(どうでもいいですよね…)※※
※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
とある中年男性の転生冒険記
うしのまるやき
ファンタジー
中年男性である郡元康(こおりもとやす)は、目が覚めたら見慣れない景色だったことに驚いていたところに、アマデウスと名乗る神が現れ、原因不明で死んでしまったと告げられたが、本人はあっさりと受け入れる。アマデウスの管理する世界はいわゆる定番のファンタジーあふれる世界だった。ひそかに持っていた厨二病の心をくすぐってしまい本人は転生に乗り気に。彼はその世界を楽しもうと期待に胸を膨らませていた。
なぜか俺だけモテない異世界転生記。
一ノ瀬遊
ファンタジー
日本で生まれ日本で育ったこの物語の主人公、高崎コウが不慮?の事故で死んでしまう。
しかし、神様に気に入られ異世界クラウディアに送られた。
現世で超器用貧乏であった彼が異世界で取得したスキルは、
彼だけの唯一無二のユニークスキル『ミヨウミマネ』であった。
人やモンスターのスキルを見よう見まねして習得して、世界最強を目指していくお話。
そして、コウは強くカッコよくなってハーレムやムフフな事を望むがどういう訳か全然モテない。
バチくそモテない。
寄ってくるのは男だけ。
何でだ?何かの呪いなのか!?
ウオォォォ!!
プリーズ、モテ期ィィ!!
果たしてこの主人公は世界最強になり、モテモテハーレム道を開けるのか!?
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
ドグラマ3
小松菜
ファンタジー
悪の秘密結社『ヤゴス』の三幹部は改造人間である。とある目的の為、冷凍睡眠により荒廃した未来の日本で目覚める事となる。
異世界と化した魔境日本で組織再興の為に活動を再開した三人は、今日もモンスターや勇者様一行と悲願達成の為に戦いを繰り広げるのだった。
*前作ドグラマ2の続編です。
毎日更新を目指しています。
ご指摘やご質問があればお気軽にどうぞ。
チートを極めた空間魔術師 ~空間魔法でチートライフ~
てばくん
ファンタジー
ひょんなことから神様の部屋へと呼び出された新海 勇人(しんかい はやと)。
そこで空間魔法のロマンに惹かれて雑魚職の空間魔術師となる。
転生間際に盗んだ神の本と、神からの経験値チートで魔力オバケになる。
そんな冴えない主人公のお話。
-お気に入り登録、感想お願いします!!全てモチベーションになります-
絶対防御とイメージ転送で異世界を乗り切ります
真理亜
ファンタジー
有栖佑樹はアラフォーの会社員、結城亜理須は女子高生、ある日豪雨に見舞われた二人は偶然にも大きな木の下で雨宿りする。
その木に落雷があり、ショックで気を失う。気がついた時、二人は見知らぬ山の中にいた。ここはどこだろう?
と考えていたら、突如猪が襲ってきた。危ない! 咄嗟に亜理須を庇う佑樹。だがいつまで待っても衝撃は襲ってこない。
なんと猪は佑樹達の手前で壁に当たったように気絶していた。実は佑樹の絶対防御が発動していたのだ。
そんな事とは気付かず、当て所もなく山の中を歩く二人は、やがて空腹で動けなくなる。そんな時、亜理須がバイトしていたマッグのハンバーガーを食べたいとイメージする。
すると、なんと亜理須のイメージしたものが現れた。これは亜理須のイメージ転送が発動したのだ。それに気付いた佑樹は、亜理須の住んでいた家をイメージしてもらい、まずは衣食住の確保に成功する。
ホッとしたのもつかの間、今度は佑樹の体に変化が起きて...
異世界に飛ばされたオッサンと女子高生のお話。
☆誤って消してしまった作品を再掲しています。ブックマークをして下さっていた皆さん、大変申し訳ございません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる