半分異世界

月野槐樹

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第24章 詩英6

第233話 情報収集

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彗汰が俺の膝の上によじ上ってくる。彗汰の両脇に手を居れて抱え上げて膝の上に座らせた。
俺に体重を預けたまま彗汰は携帯に手を伸ばしてきた。

「すまほー!」
「彗汰、遊びたいの?」

携帯のロックを解除して、彗汰に持たせてあげると、すぐに慣れた手つきで写真アプリなどを開いている。
彗汰がご機嫌そうに操作をしているのを少しの間眺めてから、顔を上げて仁美叔母さんを見つめた。

「仁美叔母さん‥‥。まずは色々調べてみない?繋がっている現象がずっと続くのかもわからないしさ。
連絡が取れるなら現地の情報を整理するとかさ。やりとりしているうちに、どうして繋がるようになったのかわかるかもしれないだろ。」

仁美叔母さんは少し逡巡するように目線を動かしてから、頷いてくれた。俺はホッと安堵の息を吐いた。
Yも少し緊張を緩めた顔をして、持っていた鞄を開けて何やら書類を引っぱりだした。

「他の人に知らせることになった時の為にも、今まで判ったこととか整理しますか。
消息が判っている人の名前とかもリストアップしたりとかしましょう。」

表紙に「行方不明者家族の会」とかって書かれている冊子を開いて、広げた。見開きのページにずらりと名前が並んでいた。
行方不明者の名前が地域別にリストになっていた。その中に、一部青い字で丸が付けられている。

「瑛太君は妹の咲良達と一緒にいるって聞いた人の名前に印をつけています。
まだ細かく聞いていないけど、連れて来られた国から逃げ出したけど別の場所で暮らしている人達もいるみたいです。
妹の咲良に聞きたいこととか一杯あるんですけど、やり取り出来る量だとか期間に制限があるかもしれないから、消息が判っている人は誰かだとかを優先的に聞いた方が良いと思うんですけど。どうですか?」

Yがそう言うと仁美叔母さんが複雑そうな顔をした。

「繋がらなくなってしまうかもしれないのね‥‥。いいわ。方針はそれで良いと思うわ。
瑛太と同じ場所にいる人達のご家族の連絡先だとかも調べておいた方が良いわね。‥‥すぐに連絡したりとかはしないわよ?」

仁美叔母さんは俺を見て言った。別に疑わしそうに見ていたわけじゃないのに。

それでも、仁美叔母さんが落ち着いて俺達の話を聞いてくれるようになったので、
ようやくそこで、仁美叔母さんを、瑛太と繋がっているMOINEのグループに追加した。
無事に追加することが出来た。
瑛太から応答が返って来て、仁美叔母さんは泣き出してしまった。

「瑛太‥‥!無事で良かった‥‥!」
仁美叔母さんは何度もそう言いながらすすり泣いていた。

通話が出来ないのがもどかしい。でも、文字だけのやりとりという事で、かろうじて落ち着いていられているのかもしれない。

仁美叔母さんが落ち着くのを待ってから、消息が分かっている人達の状況を少しずつ確認して行った。
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