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第17章 瑛太7
第205話 ひえたま
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七輪の上の干物をひっくり返しながら、そんな話をしていたら、ワイちゃんが首を激しく縦に振った。
「ケイン君の魔法は凄いよ!だって、私達がこの国に来たとき、まだ生まれてなかったんだよ。ということは、魔法を練習始めたのは私達より後ってことなんだよ。」
「そう考えると確かに凄いな。氷魔法が得意な家系とは聞いたけど。」
「あの魔石の加工とか、どうやってるか全然わからないし!」
「魔石の時はは確かに凄かったね。」
魔石の加工方法については商業ギルドではなく、魔法ギルドというところで製法の登録を扱っているらしい。
浜辺でケイン君が加工してくれたものは、新しい手法とかではないらしいのだが、繊細な魔力制御ができないと、仕組みの理解ができないようなのだ。
俺達でもあの冷える魔石の加工が出来るようになったら良いと思ったのだけど、説明を聞いただけという状態になっている。
その説明も実に複雑だったのだが、ケイン君は説明を聞いて理解したというより感覚的に理解をしたんじゃないかと推測している。
「ひえたまーー。」
噂をしていたらケイン君が、本邸の方からやって来た。江角さんが最近作った木製の玩具の手押し車を押してトコトコと歩いている。
手押し車の荷台にはスイカがジャストサイズで乗っていた。
「わ、可愛い!」
藍ちゃんが思わず笑ってそう言った。なんとなく赤ちゃんが乳母車を押しているみたいなんだよな。うん。確か2可愛い。
ディーン君はケイン君の後ろをゆっくり歩いて来ていた。
「ケイン君、手押し車気に入ったみたいだね。」
「ん!」
ケイン君はニコッと笑って,手押し車を押す速度を少し上げて俺達に近付いて来た。
「ひえたま~。」
「ひえたま?」
「ん!」
ケイン君の言っている意味が今ひとつわからなくて、思わず助けを求めるようにディーン君を見てしまった。ディーン君はニッコリと微笑んだ。
「ケインがね、スイカを冷やしてみようって言い出して、さっきまで氷水につけておいたんだ。多分美味しいよ。」
「わ、それ最高なやつ!」
スイカは圭が用意していた種から育てた物だ。この国にもスイカっぽい植物があったけど品種改良前みたいな感じで、甘くなかった。
地球由来スイカの方が甘くて美味しい、とツェット家の人達にも気に入ってもらえていた。
だから、皆で集まった時に、時々スイカを切って食べていたのだけど、冷やそうとまで考えていなかった。冷蔵庫がなかったからね。よく考えたら保冷ボックスに入れて冷やすという手もあったのだろうけど、食べようって思い立ったときにスイカを畑や保管庫に取りに行ってその場で切って食べていたのだ。
今日はケイン君がスイカを冷やそうとディーン君に提案してくれたのだそうだ。
「え?何も教えていないのに?天才じゃね?」
ひんやり冷えたスイカを小さい手で撫でながらニッコニコしているケイン君を見て、思わずそう言ってしまう。
ディーン君がケイン君の事を「天才!」て言いたくなる気持ちがちょっと判った。可愛いんだよね。可愛くて凄い。
畑仕事に行っている江角さん達を急いで呼びに行って、皆で冷えたスイカを堪能した。
「冷えるとやっぱ美味!ねえ、これ商業ギルドに登録できない?」
「冷やしただけだよ。流石に無理だろ。」
当然だけど商業ギルドに何でも登録できるわけではない。
食品の製法を色々登録しているけど、ちょっと味を変えたようなレシピは登録できないのだ。
製法そのものが画期的だったり独自性があること必要なのかなと思う。
まあ、「冷やして美味しくなったから登録しよう。」なんていうのは冗談なんだけどさ。
時々涼しい風が吹いてきて夏の終わりが近付いて来ている事を感じる。
集まったついでに七輪で野菜やら色々焼き始めて、夏の終わりの昼下がり、ちょっとしたバーベキューパーティみたいに成って過ごした。
「ケイン君の魔法は凄いよ!だって、私達がこの国に来たとき、まだ生まれてなかったんだよ。ということは、魔法を練習始めたのは私達より後ってことなんだよ。」
「そう考えると確かに凄いな。氷魔法が得意な家系とは聞いたけど。」
「あの魔石の加工とか、どうやってるか全然わからないし!」
「魔石の時はは確かに凄かったね。」
魔石の加工方法については商業ギルドではなく、魔法ギルドというところで製法の登録を扱っているらしい。
浜辺でケイン君が加工してくれたものは、新しい手法とかではないらしいのだが、繊細な魔力制御ができないと、仕組みの理解ができないようなのだ。
俺達でもあの冷える魔石の加工が出来るようになったら良いと思ったのだけど、説明を聞いただけという状態になっている。
その説明も実に複雑だったのだが、ケイン君は説明を聞いて理解したというより感覚的に理解をしたんじゃないかと推測している。
「ひえたまーー。」
噂をしていたらケイン君が、本邸の方からやって来た。江角さんが最近作った木製の玩具の手押し車を押してトコトコと歩いている。
手押し車の荷台にはスイカがジャストサイズで乗っていた。
「わ、可愛い!」
藍ちゃんが思わず笑ってそう言った。なんとなく赤ちゃんが乳母車を押しているみたいなんだよな。うん。確か2可愛い。
ディーン君はケイン君の後ろをゆっくり歩いて来ていた。
「ケイン君、手押し車気に入ったみたいだね。」
「ん!」
ケイン君はニコッと笑って,手押し車を押す速度を少し上げて俺達に近付いて来た。
「ひえたま~。」
「ひえたま?」
「ん!」
ケイン君の言っている意味が今ひとつわからなくて、思わず助けを求めるようにディーン君を見てしまった。ディーン君はニッコリと微笑んだ。
「ケインがね、スイカを冷やしてみようって言い出して、さっきまで氷水につけておいたんだ。多分美味しいよ。」
「わ、それ最高なやつ!」
スイカは圭が用意していた種から育てた物だ。この国にもスイカっぽい植物があったけど品種改良前みたいな感じで、甘くなかった。
地球由来スイカの方が甘くて美味しい、とツェット家の人達にも気に入ってもらえていた。
だから、皆で集まった時に、時々スイカを切って食べていたのだけど、冷やそうとまで考えていなかった。冷蔵庫がなかったからね。よく考えたら保冷ボックスに入れて冷やすという手もあったのだろうけど、食べようって思い立ったときにスイカを畑や保管庫に取りに行ってその場で切って食べていたのだ。
今日はケイン君がスイカを冷やそうとディーン君に提案してくれたのだそうだ。
「え?何も教えていないのに?天才じゃね?」
ひんやり冷えたスイカを小さい手で撫でながらニッコニコしているケイン君を見て、思わずそう言ってしまう。
ディーン君がケイン君の事を「天才!」て言いたくなる気持ちがちょっと判った。可愛いんだよね。可愛くて凄い。
畑仕事に行っている江角さん達を急いで呼びに行って、皆で冷えたスイカを堪能した。
「冷えるとやっぱ美味!ねえ、これ商業ギルドに登録できない?」
「冷やしただけだよ。流石に無理だろ。」
当然だけど商業ギルドに何でも登録できるわけではない。
食品の製法を色々登録しているけど、ちょっと味を変えたようなレシピは登録できないのだ。
製法そのものが画期的だったり独自性があること必要なのかなと思う。
まあ、「冷やして美味しくなったから登録しよう。」なんていうのは冗談なんだけどさ。
時々涼しい風が吹いてきて夏の終わりが近付いて来ている事を感じる。
集まったついでに七輪で野菜やら色々焼き始めて、夏の終わりの昼下がり、ちょっとしたバーベキューパーティみたいに成って過ごした。
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