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第17章 瑛太7
第203話 海への旅の成果
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「タイヤとか?」
「耐久性実験が必要だよな。」
椎名さんも尾市さんが手にした素材を持ってみたりして、二人で色々とアイデアを出し合っていた。
宿泊を一日延長したその日の夕方、尾市さんと椎名さんは実験で出来上がった色々なスライム素材をあれこれ弄って、サンダルを作った。
「おお!それはまさか!伝説の尾市サンダル!」
「なんだ、その伝説は!」
ワイちゃんの言葉に、尾市さんが眉を吊り上げた。
固いけど弾力がある素材だったので、耐久性を確認する目的もあって履物を作ったのだそうだ。
まあ、見た目はまさにビーチサンダルなんだけど。
サンダルは出来上がったけど、素材の製法が保冷ボックスと関連するので、商業ギルドへの登録は保冷ボックスと同時期に行うことになった。
しかし、使用するのは自由なので、帰路に着くまでの間は、サンダルで砂浜を走り回ったりして楽しんだ。
開拓村に戻って来たら、留守番組の緒方さん達は、オイルサーディンや一夜干しを凄く喜んでくれた。しかし、「成果ありすぎ」とちょっと引き気味でもあった。
「俺達も海行きたいけど、そこまで成果だせる気がしない。」
「いや,夏期休暇だと思って、ゆっくりして行ってよいと思いますよ。」
緒方さん達は、海の有る地域に態々遠出して行くならそれなりに成果を出したいという気持ちがあるみたいなんだけど、全員で行くと畑の管理とかができないから留守番をしていてもらったわけだし
交代して行くのに気兼ねは要らないと思うんだよね。
俺達だって、加工場とかで製造作業はしたけど、海や魚介料理を楽しんだし。
クラゲスライムの素材はある程度持ち帰ってみて、こちらでも実験はするけど、素材の数が限られている。実験は浜辺でやった方が効率は良い。
しかし浜辺で長期間実験をしたりすると情報が漏れて誰かに先に申請されそうなので、保冷ボックスの保冷時間やサンダルの耐久性を確認したら申請をしてしまう事にした。
「まあ、まずは保冷ボックスを完成させないとな。」
断熱素材らしき物が出来たので木箱の側面に貼付けて、氷と一緒には運んだ結果、木箱にただ氷を入れるより、ずっと保冷力があることは開拓村への帰路の道中で検証できた。
しかし、密閉度を上げた方が効果はあがるだろうし、可能であれば直接水や氷を入れてもよいようにしたい。
全員、クーラーボックスのイメージは持っているから、目指す完成品は細かく説明しなくても伝わる。
緒方さん達は俺達が開拓村に戻ってきてから一週間後に海に向かうことにしていたのだけど、それまでの間に急ピッチで保冷ボックスの試作品が製作された。
「何だか大量に干物とか運んでこいっていわれているみたいだな。」
海への出発の日、馬車に積み上げられた保冷ボックスの山を見て江角さんが苦笑いした。
「他の物でも良いので楽しみに待ってまーす!」
干物は一ケース分は持ち帰ってもらう事を期待しているのだけど、それ以外の保冷ボックスには、何か気になったものを持ち帰ってもらうことになっている。
今回もディーン君が同行してくれるそうだ。
道中、氷魔法が使える人がいた方が良いからって言っていたけど、初めての場所に行く彼らを心配してついて行ってくれるのだと思う。
海から帰って来たら俺達はまたいつものように農作業をする生活に戻った。でも保冷ボックスを冷蔵庫感覚で使えるようになったので、便利になったし食生活も更に豊かになったと思う。
後から気がついたけど、それまでも冷蔵できていないわけではなかった。ツェット家の本邸の地下室にひんやりとした部屋があって、肉とか痛みやすいものは、地下室に置かせてもらっていたりしたのだ。
地下だからひんやりしているのかと思い込んでいたのだが、実は氷魔法が使われていたらしい。
それじゃあ、保冷ボックスはそんなに価値がないかというと、やはり運搬に使えるというメリットが大きいのだそうだ。
俺としては台所の隅に配置して手軽に使えるというのも嬉しい点だけどね。本邸の貯蔵庫を使わせてもらうのはやっぱり遠慮があったし。
成果を出せる自信がないなんて言っていた緒方さん達だったけど、大きな魚が水揚げされたということで、常温保存できる瓶入りツナだとか、サバの水煮のような物を作って帰って来た。更に、荷物運びに便利だからとキャリーも作って登録してきたそうだ。真希さんは料理上手だし、江角さん達は機械工作みたいなのが得意なんだよな。
干物も沢山作って土産に持ち帰って来てくれたし、日持ちする食品として味噌漬けも作って持ち帰って来てくれた。
「耐久性実験が必要だよな。」
椎名さんも尾市さんが手にした素材を持ってみたりして、二人で色々とアイデアを出し合っていた。
宿泊を一日延長したその日の夕方、尾市さんと椎名さんは実験で出来上がった色々なスライム素材をあれこれ弄って、サンダルを作った。
「おお!それはまさか!伝説の尾市サンダル!」
「なんだ、その伝説は!」
ワイちゃんの言葉に、尾市さんが眉を吊り上げた。
固いけど弾力がある素材だったので、耐久性を確認する目的もあって履物を作ったのだそうだ。
まあ、見た目はまさにビーチサンダルなんだけど。
サンダルは出来上がったけど、素材の製法が保冷ボックスと関連するので、商業ギルドへの登録は保冷ボックスと同時期に行うことになった。
しかし、使用するのは自由なので、帰路に着くまでの間は、サンダルで砂浜を走り回ったりして楽しんだ。
開拓村に戻って来たら、留守番組の緒方さん達は、オイルサーディンや一夜干しを凄く喜んでくれた。しかし、「成果ありすぎ」とちょっと引き気味でもあった。
「俺達も海行きたいけど、そこまで成果だせる気がしない。」
「いや,夏期休暇だと思って、ゆっくりして行ってよいと思いますよ。」
緒方さん達は、海の有る地域に態々遠出して行くならそれなりに成果を出したいという気持ちがあるみたいなんだけど、全員で行くと畑の管理とかができないから留守番をしていてもらったわけだし
交代して行くのに気兼ねは要らないと思うんだよね。
俺達だって、加工場とかで製造作業はしたけど、海や魚介料理を楽しんだし。
クラゲスライムの素材はある程度持ち帰ってみて、こちらでも実験はするけど、素材の数が限られている。実験は浜辺でやった方が効率は良い。
しかし浜辺で長期間実験をしたりすると情報が漏れて誰かに先に申請されそうなので、保冷ボックスの保冷時間やサンダルの耐久性を確認したら申請をしてしまう事にした。
「まあ、まずは保冷ボックスを完成させないとな。」
断熱素材らしき物が出来たので木箱の側面に貼付けて、氷と一緒には運んだ結果、木箱にただ氷を入れるより、ずっと保冷力があることは開拓村への帰路の道中で検証できた。
しかし、密閉度を上げた方が効果はあがるだろうし、可能であれば直接水や氷を入れてもよいようにしたい。
全員、クーラーボックスのイメージは持っているから、目指す完成品は細かく説明しなくても伝わる。
緒方さん達は俺達が開拓村に戻ってきてから一週間後に海に向かうことにしていたのだけど、それまでの間に急ピッチで保冷ボックスの試作品が製作された。
「何だか大量に干物とか運んでこいっていわれているみたいだな。」
海への出発の日、馬車に積み上げられた保冷ボックスの山を見て江角さんが苦笑いした。
「他の物でも良いので楽しみに待ってまーす!」
干物は一ケース分は持ち帰ってもらう事を期待しているのだけど、それ以外の保冷ボックスには、何か気になったものを持ち帰ってもらうことになっている。
今回もディーン君が同行してくれるそうだ。
道中、氷魔法が使える人がいた方が良いからって言っていたけど、初めての場所に行く彼らを心配してついて行ってくれるのだと思う。
海から帰って来たら俺達はまたいつものように農作業をする生活に戻った。でも保冷ボックスを冷蔵庫感覚で使えるようになったので、便利になったし食生活も更に豊かになったと思う。
後から気がついたけど、それまでも冷蔵できていないわけではなかった。ツェット家の本邸の地下室にひんやりとした部屋があって、肉とか痛みやすいものは、地下室に置かせてもらっていたりしたのだ。
地下だからひんやりしているのかと思い込んでいたのだが、実は氷魔法が使われていたらしい。
それじゃあ、保冷ボックスはそんなに価値がないかというと、やはり運搬に使えるというメリットが大きいのだそうだ。
俺としては台所の隅に配置して手軽に使えるというのも嬉しい点だけどね。本邸の貯蔵庫を使わせてもらうのはやっぱり遠慮があったし。
成果を出せる自信がないなんて言っていた緒方さん達だったけど、大きな魚が水揚げされたということで、常温保存できる瓶入りツナだとか、サバの水煮のような物を作って帰って来た。更に、荷物運びに便利だからとキャリーも作って登録してきたそうだ。真希さんは料理上手だし、江角さん達は機械工作みたいなのが得意なんだよな。
干物も沢山作って土産に持ち帰って来てくれたし、日持ちする食品として味噌漬けも作って持ち帰って来てくれた。
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