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第17章 瑛太7
第194話 海
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藍ちゃんも同じような気分だったらしく、夕食は煮干しで濃いめに出汁をとった味噌汁とか、干しタラっぽい魚で作ったコロッケにするって。
「さっかなさっかな。」
すっかり魚モードで帰って来てから、ワイちゃんに話しをしたらワイちゃんは俺達より更に高いテンションになった。
「海行こ!生魚や焼き魚も食べたい!そしてお土産にオイルサーディン!サイコー!」
繁忙期でないし、人数も多いから畑仕事は半数のメンバーと村の人に頼んで、交代で海に行っても良いんじゃないかという話になった。交代で行くというのは、
皆、どうせならオイルサーディンだけじゃなくて新鮮な魚を食べたいからだった。
「生で魚が食べられるかは判らないよ。アニサキスみたいなのがいるかも。」
「とりあえず現地に行ってみたい!」
「瓶は用意していかないと。」
「小さい瓶でも良いじゃーん。さっかな!さっかな!」
表面的にテンションが高いのはワイちゃんだけだけど、実のところ、海に行ってみたい気持ちは皆一緒なんだよね。
行くからには目的のオイルサーディン作りはしたいので、最低限の準備はしていくことになった。
「ねえねえ。水着も必要じゃない?」
「泳げる海かわからないよ?」
「ビーチパラソル要るんじゃない?」
「尾市パラソル?」
「言うと思った!」
海に行くモチベーションは爆上がりだけど、交通機関が整っている訳じゃないし、すぐには行けない。ツェット商会に馬車を出してもらうことになる。
厳密には、乗り合い馬車を乗り継いで行くことも不可能ではないみたいなんだけど、現地でオイルサーディンの加工をしようと思ったら、商会と提携している加工場とかを使わせてもらうのが良いのだ。
それでライアンさん達にも話をしたらディーン君も行くと言い出した。
「ケインにも海を見せてあげたい。」
ディーン君は、もうすぐ一歳になるケイン君を抱っこしてニコニコして言った。ディーン君が便乗ということになるけど、実のところディーン君が一緒の方が護衛とかしっかり付けてもらえるので安心だったりする。
「ケインも海を見たいよねー。」
「うーーみ。」
ティーン君は弟のケイン君をメチャクチャ可愛がっている。
ケイン君はキャッキャとはしゃいで小さい手でディーン君が手にしている、海行きの計画書に手を伸ばしていた。
「海!海だよ!海!」
「語彙力ェ。」
念願の海岸に辿り着いて叫ぶワイちゃんを、少しだけ冷静にツッコム。まあ、海を見て皆テンションは上がっているんだけど。
農作業を考慮して、二班で時期を分けて海に行くことにして、最初に出発したのは俺、藍ちゃん、ワイちゃん、尾市さん、椎名さんの組だった。
「大人組」と俺が密かに読んでいる緒方さん達の年代が一緒じゃないけど、ディーン君が護衛と一緒なので大丈夫だろうってことになったんだ。
「うーみ!」
「ケイン。無闇に波打ち際に行くと危険だよ。ほら、魔蟹がいる。」
海を目の前にしてはしゃぐケイン君の手をしっかり握りながら、ディーン君が魔法を放った。波打ち際でボンッと音を立てて、すっ飛んで行くのは魔蟹という魔獣の一種らしい。
食べると美味しいらしいんだけどね。ハサミ部分から、電気のようなものを出して襲ってくるらしい。
他にも、水魔法の攻撃をする魔魚なんかもいたりして、思い描いていたような海水浴は出来なそうな海岸だった。
それでも、浜辺に屋台が出ていて、獲った魔蟹を焼いてくれたり焼いた魚を販売したりしていて、波打ち際から距離をおいた砂浜の上にシートを敷いて、屋台で焼いてもらった魔蟹を食べたりするのは楽しい。
「加工場には明日の朝早く行くからね。」
魔蟹の身をケイン君の為にほぐしてあげながらディーン君が言う。
「カーニ。」
「ケイン、トゲトゲがあって危ないから触っちゃだめだよ。」
魔蟹の爪に手を伸ばそうとするケイン君の手を握って、注意しているディーン君の姿が微笑ましい。
いいなぁ。俺も弟か妹が欲しかった。一人っ子だったけど、従兄弟のジェイ兄や圭がいたので、兄弟みたいな感覚ではあった。だけど、弟とか妹とかがいるってちょっと憧れるんだよね。
「さっかなさっかな。」
すっかり魚モードで帰って来てから、ワイちゃんに話しをしたらワイちゃんは俺達より更に高いテンションになった。
「海行こ!生魚や焼き魚も食べたい!そしてお土産にオイルサーディン!サイコー!」
繁忙期でないし、人数も多いから畑仕事は半数のメンバーと村の人に頼んで、交代で海に行っても良いんじゃないかという話になった。交代で行くというのは、
皆、どうせならオイルサーディンだけじゃなくて新鮮な魚を食べたいからだった。
「生で魚が食べられるかは判らないよ。アニサキスみたいなのがいるかも。」
「とりあえず現地に行ってみたい!」
「瓶は用意していかないと。」
「小さい瓶でも良いじゃーん。さっかな!さっかな!」
表面的にテンションが高いのはワイちゃんだけだけど、実のところ、海に行ってみたい気持ちは皆一緒なんだよね。
行くからには目的のオイルサーディン作りはしたいので、最低限の準備はしていくことになった。
「ねえねえ。水着も必要じゃない?」
「泳げる海かわからないよ?」
「ビーチパラソル要るんじゃない?」
「尾市パラソル?」
「言うと思った!」
海に行くモチベーションは爆上がりだけど、交通機関が整っている訳じゃないし、すぐには行けない。ツェット商会に馬車を出してもらうことになる。
厳密には、乗り合い馬車を乗り継いで行くことも不可能ではないみたいなんだけど、現地でオイルサーディンの加工をしようと思ったら、商会と提携している加工場とかを使わせてもらうのが良いのだ。
それでライアンさん達にも話をしたらディーン君も行くと言い出した。
「ケインにも海を見せてあげたい。」
ディーン君は、もうすぐ一歳になるケイン君を抱っこしてニコニコして言った。ディーン君が便乗ということになるけど、実のところディーン君が一緒の方が護衛とかしっかり付けてもらえるので安心だったりする。
「ケインも海を見たいよねー。」
「うーーみ。」
ティーン君は弟のケイン君をメチャクチャ可愛がっている。
ケイン君はキャッキャとはしゃいで小さい手でディーン君が手にしている、海行きの計画書に手を伸ばしていた。
「海!海だよ!海!」
「語彙力ェ。」
念願の海岸に辿り着いて叫ぶワイちゃんを、少しだけ冷静にツッコム。まあ、海を見て皆テンションは上がっているんだけど。
農作業を考慮して、二班で時期を分けて海に行くことにして、最初に出発したのは俺、藍ちゃん、ワイちゃん、尾市さん、椎名さんの組だった。
「大人組」と俺が密かに読んでいる緒方さん達の年代が一緒じゃないけど、ディーン君が護衛と一緒なので大丈夫だろうってことになったんだ。
「うーみ!」
「ケイン。無闇に波打ち際に行くと危険だよ。ほら、魔蟹がいる。」
海を目の前にしてはしゃぐケイン君の手をしっかり握りながら、ディーン君が魔法を放った。波打ち際でボンッと音を立てて、すっ飛んで行くのは魔蟹という魔獣の一種らしい。
食べると美味しいらしいんだけどね。ハサミ部分から、電気のようなものを出して襲ってくるらしい。
他にも、水魔法の攻撃をする魔魚なんかもいたりして、思い描いていたような海水浴は出来なそうな海岸だった。
それでも、浜辺に屋台が出ていて、獲った魔蟹を焼いてくれたり焼いた魚を販売したりしていて、波打ち際から距離をおいた砂浜の上にシートを敷いて、屋台で焼いてもらった魔蟹を食べたりするのは楽しい。
「加工場には明日の朝早く行くからね。」
魔蟹の身をケイン君の為にほぐしてあげながらディーン君が言う。
「カーニ。」
「ケイン、トゲトゲがあって危ないから触っちゃだめだよ。」
魔蟹の爪に手を伸ばそうとするケイン君の手を握って、注意しているディーン君の姿が微笑ましい。
いいなぁ。俺も弟か妹が欲しかった。一人っ子だったけど、従兄弟のジェイ兄や圭がいたので、兄弟みたいな感覚ではあった。だけど、弟とか妹とかがいるってちょっと憧れるんだよね。
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