166 / 305
第13章 瑛太5
第165話 おもてなし料理
しおりを挟む
「俺達とライアンさん一家の分くらいだよね。それでも何日分になるかな‥‥。」
食べて良い分と決めた量は5kgあるかどうかだ。一日の消費分ずつに分けようとしていたら、尾市さんから声がかかった。
「それ、もうちょっと後で食べる分もわけておいてもらえないかな。」
「‥‥うん?」
「国境の方から、こっちに来る奴らがいたら食べさせてやりたいんだ。」
「‥‥ああ‥‥。そうだね。とっておくよ。」
俺達が、ツェット領に来てから半年以上経つ。国境近くの街にまだ滞在している召還者達の内で,ツェット領に呼ばれる人も出てくるかもしれない。
少なくとも、江角さんと柄舟さんは、こちらに来るかどうか意思確認がされるんじゃないかな。
でも、尾市さんの念頭にあるのは椎名さんの事だと思う。
国境近くの街に残った人達の状況は、こちらには全く知らされていない。
順調に生活できているのかとか、救出作戦を再度行ったりしているとか。
知ってもここから何かできるわけでもないんだけど。
米の収穫が終わった二週間後くらいに、村で収穫祭が開催された。
俺達の村で収穫した物も量は少ないが、振る舞った。
振る舞うものについてはディーン君とライアンさんとも話し合って、今後、村の人達が作って行きたいと思えるものがよいということで
甜菜から作った砂糖をつかったものにすることにした。
そして出来たのはおしるこだった。
小豆も砂糖もある。餅米は量が少ないので、サツマイモと一緒に潰して丸めたお団子にした。
小豆もだけど、サツマイモやジャガイモの種芋もあったんだよ‥‥。
それとパン。今はもう村人から募集したパン職人に焼いてもらえるようになっていた。
そのパンにソーセージを挟んでマスタードを添えたホットドック。これも好評だった。
マスタードの種を栽培したら育ちが早くて、すでに「粒マスタード」と「マスタードペースト」として製法を商業ギルドに登録してある。
収穫した種を使って村の他の畑で秋撒きが行われている。粒マスタードやマスタードペーストは少量だけど隣のイグリック領でも販売を始めた。
ツェット家の直営で、マスタードを使ったベーコンドックとソーセージドックの店をイグレック領にオープンしたそうだ。
商品名聞いただけで美味しそうだ。俺も買いに行きたい。
収穫祭が終わって少し経った頃、村に豪華な馬車の隊列がやって来た。
イーリアさんのご両親のイグレック侯爵夫妻の乗った馬車だった。
先月、イーリアさんが無事に男の子を出産したので、赤ちゃんに会いに来たらしい。
それだけなら「へーそうですか」で終わるんだけど,何故か俺達にも会いたいっていうんだ。
なぜ?って思うんだけど。
「侯爵様って貴族の中でも高位貴族なんでしょ。どんな格好したらいいの?」
「どんな格好って、そもそも似たような普段着しか持ってないよ。」
「せめて、清潔にしとこ!あ、アイロンかけようか!」
何か皆でテンパってしまった。多分、イーリアさんのご両親だからってこともあると思う。
これが隣国の王女の前とかだったら、全然考える事違うだろうし。
俺達の事をどう伝えたのか後で確認したいところなんだけど、俺達が考えた料理を食べてみたいと言っているというんだ。考えたって言っても、ベースとなるレシピはあって、こちらの材料でちょっと工夫したってくらいだけど。
調理は屋敷の料理人がやってくれるという。
侯爵様夫妻の同行者もいるだろうし、大人数への料理なんて俺達には厳しいからな。
出来れば収穫した野菜を活かした料理にしたいということで相談した結果、カツレツのトマトソースと茄子のソテー添え。カボチャのポタージュスープ。
デザートにスイートポテト。焼きたてパンを添えて、というメニューになった。
トマトソースだとかカツレツのレシピも商業ギルドに登録はしておいた。食べたら大体作り方がわかるようなレシピは、皆勝手に作るようになるので飲食店とかで出される以外は使用料はほぼ入ってこないそうだ。
でも、レシピが広まるかもしれないので登録はしてるんだ。
食べて良い分と決めた量は5kgあるかどうかだ。一日の消費分ずつに分けようとしていたら、尾市さんから声がかかった。
「それ、もうちょっと後で食べる分もわけておいてもらえないかな。」
「‥‥うん?」
「国境の方から、こっちに来る奴らがいたら食べさせてやりたいんだ。」
「‥‥ああ‥‥。そうだね。とっておくよ。」
俺達が、ツェット領に来てから半年以上経つ。国境近くの街にまだ滞在している召還者達の内で,ツェット領に呼ばれる人も出てくるかもしれない。
少なくとも、江角さんと柄舟さんは、こちらに来るかどうか意思確認がされるんじゃないかな。
でも、尾市さんの念頭にあるのは椎名さんの事だと思う。
国境近くの街に残った人達の状況は、こちらには全く知らされていない。
順調に生活できているのかとか、救出作戦を再度行ったりしているとか。
知ってもここから何かできるわけでもないんだけど。
米の収穫が終わった二週間後くらいに、村で収穫祭が開催された。
俺達の村で収穫した物も量は少ないが、振る舞った。
振る舞うものについてはディーン君とライアンさんとも話し合って、今後、村の人達が作って行きたいと思えるものがよいということで
甜菜から作った砂糖をつかったものにすることにした。
そして出来たのはおしるこだった。
小豆も砂糖もある。餅米は量が少ないので、サツマイモと一緒に潰して丸めたお団子にした。
小豆もだけど、サツマイモやジャガイモの種芋もあったんだよ‥‥。
それとパン。今はもう村人から募集したパン職人に焼いてもらえるようになっていた。
そのパンにソーセージを挟んでマスタードを添えたホットドック。これも好評だった。
マスタードの種を栽培したら育ちが早くて、すでに「粒マスタード」と「マスタードペースト」として製法を商業ギルドに登録してある。
収穫した種を使って村の他の畑で秋撒きが行われている。粒マスタードやマスタードペーストは少量だけど隣のイグリック領でも販売を始めた。
ツェット家の直営で、マスタードを使ったベーコンドックとソーセージドックの店をイグレック領にオープンしたそうだ。
商品名聞いただけで美味しそうだ。俺も買いに行きたい。
収穫祭が終わって少し経った頃、村に豪華な馬車の隊列がやって来た。
イーリアさんのご両親のイグレック侯爵夫妻の乗った馬車だった。
先月、イーリアさんが無事に男の子を出産したので、赤ちゃんに会いに来たらしい。
それだけなら「へーそうですか」で終わるんだけど,何故か俺達にも会いたいっていうんだ。
なぜ?って思うんだけど。
「侯爵様って貴族の中でも高位貴族なんでしょ。どんな格好したらいいの?」
「どんな格好って、そもそも似たような普段着しか持ってないよ。」
「せめて、清潔にしとこ!あ、アイロンかけようか!」
何か皆でテンパってしまった。多分、イーリアさんのご両親だからってこともあると思う。
これが隣国の王女の前とかだったら、全然考える事違うだろうし。
俺達の事をどう伝えたのか後で確認したいところなんだけど、俺達が考えた料理を食べてみたいと言っているというんだ。考えたって言っても、ベースとなるレシピはあって、こちらの材料でちょっと工夫したってくらいだけど。
調理は屋敷の料理人がやってくれるという。
侯爵様夫妻の同行者もいるだろうし、大人数への料理なんて俺達には厳しいからな。
出来れば収穫した野菜を活かした料理にしたいということで相談した結果、カツレツのトマトソースと茄子のソテー添え。カボチャのポタージュスープ。
デザートにスイートポテト。焼きたてパンを添えて、というメニューになった。
トマトソースだとかカツレツのレシピも商業ギルドに登録はしておいた。食べたら大体作り方がわかるようなレシピは、皆勝手に作るようになるので飲食店とかで出される以外は使用料はほぼ入ってこないそうだ。
でも、レシピが広まるかもしれないので登録はしてるんだ。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説

お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…

暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記 2
mizuno sei
ファンタジー
地球からの転生者である主人公トーマは、「はずれギフト」と言われた「ナビゲーションシステム」を持って新しい人生を歩み始めた。
不幸だった前世の記憶から、少し冷めた目で世の中を見つめ、誰にも邪魔されない力を身に着けて第二の人生を楽しもうと考えている。
旅の中でいろいろな人と出会い、成長していく少年の物語。
田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。
けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。
日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。
あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの?
ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。
感想などお待ちしております。
迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~
飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。
彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。
独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。
この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。
※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

おばさん、異世界転生して無双する(꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆オラオラオラオラ
Crosis
ファンタジー
新たな世界で新たな人生を_(:3 」∠)_
【残酷な描写タグ等は一応保険の為です】
後悔ばかりの人生だった高柳美里(40歳)は、ある日突然唯一の趣味と言って良いVRMMOのゲームデータを引き継いだ状態で異世界へと転移する。
目の前には心血とお金と時間を捧げて作り育てたCPUキャラクター達。
そして若返った自分の身体。
美男美女、様々な種族の|子供達《CPUキャラクター》とアイテムに天空城。
これでワクワクしない方が嘘である。
そして転移した世界が異世界であると気付いた高柳美里は今度こそ後悔しない人生を謳歌すると決意するのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる