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第13章 瑛太5
第162話 開拓村での計画
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「おお、瑛太すげー!畑っぽくなってる!」
「負けてられないー!私だって!」
「ちょっ、土とかどうやるのー?」
領地への移動中から魔法の練習を始めたばかりの三人は、まだそんなに魔法を発することができないけど、成果が分かった方がやる気がでるかもしれない、と農地を共同の部分とそれぞれ専用で実験や鍛錬を行う場所を分けてみることにした。
そもそも範囲が広すぎると何処から手をつけていいかわからなかったので、場所を限定して開拓するほうがやりやすそうだ。
まあ、今の所本業がパン屋なんだけど。
パンの原料の小麦は、もともとこの村や近隣で育てられていた。俺達もいつかは「小麦から育てる」なんてことをやってみたいよね。
「燻製施設を作ろうと思う。」
朝の会合に姿を現したディーン君が、羊皮紙に書き付けた物を見せて説明してくれる。
ディーン君は領地を発展させる為に、俺達とのパイプ役のような役割をしているみたいで、毎朝会合をセッティングしている。
そこで俺達の生活の状況を確認したり、何か新しい事の提案を聞いたり出したりしているんだ。
今は、村の西の敷地に燻製用の施設を作ろうという提案をしてきていた。
燻製は保存食になるので、領地の食糧確保のためにも浸透させたいのだそうだ。
実際に燻製施設で働くのは近隣やこの村の元々の住人の中の希望者で、俺達には燻製の指導をして欲しいという。
指導といっても手順が書かれた資料を読んだだけだから、必要な道具の指定と手順の説明くらいしかやることはないんだけどね。
出来上がったベーコンやソーセージを届けて貰えるらしいのでちょっと嬉しい。
「上手く行けば近隣の他領に販売ができるかもしれない。」
ディーン君が目を輝かせて言った。
ディーン君は領地を発展させて、ツェット家の貴族階級を上げたいという目標を持っているそうだ。
今はライアンさんは一代貴族なので、ディーン君は一応貴族子息と名乗っているけれど、ライアンさんの爵位が上がったりしない限り、ディーン君が結婚をして子供が産まれたら子供は平民になるという。
もしもライアンさんが急に亡くなった場合もどうなるかわからない。
侯爵の孫だから支援を受けられる可能性はあるけれど、有能でなければ逆に他人よりもあっさり切り捨てられるかもしれない、と穏やかな笑顔で話してくれた事がある。
育ちがよいお坊ちゃんの風貌なんだけど、しっかりしているし将来良い領主さんに成りそうな感じだ。
「‥‥ああ、それと豆を数種類取り寄せで来たよ。君達が欲しい種類のものか後で見てくれるかな。」
「やった!ありがとうございます!」
「でも、コメというものはまだ見つかってないんだ。」
「それは‥‥。探してもらってるだけもありがたいです。」
畑に植える作物は何がいいかという話になって、まっさきに候補にあげたのは大豆と米だった。単に食べたかっただけだったりする。
あれば、色々作れて領地の発展にもつながるかもしれないけど、その前に育てるものが他にもありそうだよな。
ふと、以前、圭の鞄から出て来たマスタードの種の事を思い出した。あれも育ててみよう。マスタードが作れるようになったら
ベーコンやソーセージと一緒に売り出せるかもしれない。
ディーン君は俺達の話を聞いて、商人や冒険者とかから情報を集めてくれているらしい。ありがたいことだ。
俺達のリクエスト以外でも、領地に辿り着くまでの旅の中で野菜の苗とかを色々仕入れていて、村で栽培を始めているそうだ。
だんだん食が豊かになってくれるといいよな。
朝の会合が終わったら、村のパン屋開店の準備。酵母の仕込みや管理、材料の仕入れなど色々やる事がある。
こちらは軌道に乗ったら、パン職人候補を募集する予定だ。
上手く行けば他の村で支店が開けるかもしれない。
オーナーは俺ってことになっている。店舗を持てる商業ギルドのランクがあるのは俺だけだから仕方ない。
小型の店舗ってことだけど、今準備中の店舗は問題ない範囲らしい。
「負けてられないー!私だって!」
「ちょっ、土とかどうやるのー?」
領地への移動中から魔法の練習を始めたばかりの三人は、まだそんなに魔法を発することができないけど、成果が分かった方がやる気がでるかもしれない、と農地を共同の部分とそれぞれ専用で実験や鍛錬を行う場所を分けてみることにした。
そもそも範囲が広すぎると何処から手をつけていいかわからなかったので、場所を限定して開拓するほうがやりやすそうだ。
まあ、今の所本業がパン屋なんだけど。
パンの原料の小麦は、もともとこの村や近隣で育てられていた。俺達もいつかは「小麦から育てる」なんてことをやってみたいよね。
「燻製施設を作ろうと思う。」
朝の会合に姿を現したディーン君が、羊皮紙に書き付けた物を見せて説明してくれる。
ディーン君は領地を発展させる為に、俺達とのパイプ役のような役割をしているみたいで、毎朝会合をセッティングしている。
そこで俺達の生活の状況を確認したり、何か新しい事の提案を聞いたり出したりしているんだ。
今は、村の西の敷地に燻製用の施設を作ろうという提案をしてきていた。
燻製は保存食になるので、領地の食糧確保のためにも浸透させたいのだそうだ。
実際に燻製施設で働くのは近隣やこの村の元々の住人の中の希望者で、俺達には燻製の指導をして欲しいという。
指導といっても手順が書かれた資料を読んだだけだから、必要な道具の指定と手順の説明くらいしかやることはないんだけどね。
出来上がったベーコンやソーセージを届けて貰えるらしいのでちょっと嬉しい。
「上手く行けば近隣の他領に販売ができるかもしれない。」
ディーン君が目を輝かせて言った。
ディーン君は領地を発展させて、ツェット家の貴族階級を上げたいという目標を持っているそうだ。
今はライアンさんは一代貴族なので、ディーン君は一応貴族子息と名乗っているけれど、ライアンさんの爵位が上がったりしない限り、ディーン君が結婚をして子供が産まれたら子供は平民になるという。
もしもライアンさんが急に亡くなった場合もどうなるかわからない。
侯爵の孫だから支援を受けられる可能性はあるけれど、有能でなければ逆に他人よりもあっさり切り捨てられるかもしれない、と穏やかな笑顔で話してくれた事がある。
育ちがよいお坊ちゃんの風貌なんだけど、しっかりしているし将来良い領主さんに成りそうな感じだ。
「‥‥ああ、それと豆を数種類取り寄せで来たよ。君達が欲しい種類のものか後で見てくれるかな。」
「やった!ありがとうございます!」
「でも、コメというものはまだ見つかってないんだ。」
「それは‥‥。探してもらってるだけもありがたいです。」
畑に植える作物は何がいいかという話になって、まっさきに候補にあげたのは大豆と米だった。単に食べたかっただけだったりする。
あれば、色々作れて領地の発展にもつながるかもしれないけど、その前に育てるものが他にもありそうだよな。
ふと、以前、圭の鞄から出て来たマスタードの種の事を思い出した。あれも育ててみよう。マスタードが作れるようになったら
ベーコンやソーセージと一緒に売り出せるかもしれない。
ディーン君は俺達の話を聞いて、商人や冒険者とかから情報を集めてくれているらしい。ありがたいことだ。
俺達のリクエスト以外でも、領地に辿り着くまでの旅の中で野菜の苗とかを色々仕入れていて、村で栽培を始めているそうだ。
だんだん食が豊かになってくれるといいよな。
朝の会合が終わったら、村のパン屋開店の準備。酵母の仕込みや管理、材料の仕入れなど色々やる事がある。
こちらは軌道に乗ったら、パン職人候補を募集する予定だ。
上手く行けば他の村で支店が開けるかもしれない。
オーナーは俺ってことになっている。店舗を持てる商業ギルドのランクがあるのは俺だけだから仕方ない。
小型の店舗ってことだけど、今準備中の店舗は問題ない範囲らしい。
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