半分異世界

月野槐樹

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第11章 詩英4

第151話 探してた参加者

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先日、仁美叔母さんが参加していた行方不明者家族の会合にYもやはり参加していたそうだ。
しかし神奈川の行方不明者は瑛太を含む40人近い人数だ。他の県の行方不明者の何倍もいるので合同にすると会合の雰囲気が全く違ってきてしまうんだそうだ。

違うというか‥‥。仁美叔母さんから愚痴られているから、まあ会合の様子が大変だったのは想像がつく。

それと最後の事件から丸二年経った会合ということで、参加者の人達の気持ちが色々揺れ動いていているらしい。

埼玉、栃木、千葉、神奈川と数ヶ月毎に発生した後、次はどこかと当時は占い師までテレビ出演して大騒ぎしていたのに何も起こらないまま、何の手がかりもないまま丸二年が経ったのだ。

このまま時だけが過ぎ去るのかもしれないという焦りのような物が見えたと、ずっと会合に参加していたYは感じたそうだ。

ざらりと伸びかけて来た髭を確認するように顎を撫でながらYが言った。

「まあ、焦るよな。正直俺だって焦ってるよ。誰も被害に遭わない方がいいのは確かなんだけどさ。情報もないからね。」

ただ、不安をぶつけまくっている人達を見ると逆に冷静になる、という。

「八つ当たりも受けるんだよね。先に事件に遭ってるなら、手がかりくらい掴んでるだろう、今まで何やってたんだとか。」
「うわ。」
「俺‥‥妹の事は微塵も諦めてないけど、あの会合は心が折れかけてる。特に関東圏合同の会合はカオスでさ。どっちの方が悲劇的か比べだとか。ほら、このところ地震やら水害やら自然災害が多いだろ。災害も関連してるんじゃないかとか騒ぐ連中もいて、事件と災害ごちゃまぜにしたりしてさ。もう‥‥。なんだかね。」
「‥‥無理しなくていいんじゃない?情報が入る程度につないでおけば‥‥。」
「そうだよなぁ‥‥。」

Yとしては、就職してしまったら、今程自由が利かなくなるから,今出来るだけ頑張って何か情報をつかみたいのだそうだ。

「は~‥‥。」

Yが本日何度目かの溜め息をついた。
それからふと思い出したように顔を上げて俺を見た。

「神奈川合同っていうからさ、お前の叔母さん探したんだけど、分からなかったよ。参加者リストで『香住家』探したけど見当たらなかったし。」
「‥‥叔母さんは名字は香住じゃないぞ。」
「‥‥!」

Yがムンクの叫びみたいな顔をした。大丈夫かよ。

「は~‥‥神奈川合同で唯一、お話ししてみたいと思ってたのに‥‥。そっか‥‥そうだよな‥‥。っていうか早く言ってよ~!」
「聞かれてないし‥‥。大体、母の妹って言ったら、普通嫁ぎ先の名字になってるだろ。」
「言われてみたらそうなんだけど!お前と同じ名字だって思い込んでたヨ!見つからないわけだよ!言ってよぉ!言ってよぉ!お話したかったのに!お話したかったのに!」

悲痛そうな声を上げるY。酒に酔ってる?飲んでないからそんな訳はないか。



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