152 / 305
第11章 詩英4
第151話 探してた参加者
しおりを挟む
先日、仁美叔母さんが参加していた行方不明者家族の会合にYもやはり参加していたそうだ。
しかし神奈川の行方不明者は瑛太を含む40人近い人数だ。他の県の行方不明者の何倍もいるので合同にすると会合の雰囲気が全く違ってきてしまうんだそうだ。
違うというか‥‥。仁美叔母さんから愚痴られているから、まあ会合の様子が大変だったのは想像がつく。
それと最後の事件から丸二年経った会合ということで、参加者の人達の気持ちが色々揺れ動いていているらしい。
埼玉、栃木、千葉、神奈川と数ヶ月毎に発生した後、次はどこかと当時は占い師までテレビ出演して大騒ぎしていたのに何も起こらないまま、何の手がかりもないまま丸二年が経ったのだ。
このまま時だけが過ぎ去るのかもしれないという焦りのような物が見えたと、ずっと会合に参加していたYは感じたそうだ。
ざらりと伸びかけて来た髭を確認するように顎を撫でながらYが言った。
「まあ、焦るよな。正直俺だって焦ってるよ。誰も被害に遭わない方がいいのは確かなんだけどさ。情報もないからね。」
ただ、不安をぶつけまくっている人達を見ると逆に冷静になる、という。
「八つ当たりも受けるんだよね。先に事件に遭ってるなら、手がかりくらい掴んでるだろう、今まで何やってたんだとか。」
「うわ。」
「俺‥‥妹の事は微塵も諦めてないけど、あの会合は心が折れかけてる。特に関東圏合同の会合はカオスでさ。どっちの方が悲劇的か比べだとか。ほら、このところ地震やら水害やら自然災害が多いだろ。災害も関連してるんじゃないかとか騒ぐ連中もいて、事件と災害ごちゃまぜにしたりしてさ。もう‥‥。なんだかね。」
「‥‥無理しなくていいんじゃない?情報が入る程度につないでおけば‥‥。」
「そうだよなぁ‥‥。」
Yとしては、就職してしまったら、今程自由が利かなくなるから,今出来るだけ頑張って何か情報をつかみたいのだそうだ。
「は~‥‥。」
Yが本日何度目かの溜め息をついた。
それからふと思い出したように顔を上げて俺を見た。
「神奈川合同っていうからさ、お前の叔母さん探したんだけど、分からなかったよ。参加者リストで『香住家』探したけど見当たらなかったし。」
「‥‥叔母さんは名字は香住じゃないぞ。」
「‥‥!」
Yがムンクの叫びみたいな顔をした。大丈夫かよ。
「は~‥‥神奈川合同で唯一、お話ししてみたいと思ってたのに‥‥。そっか‥‥そうだよな‥‥。っていうか早く言ってよ~!」
「聞かれてないし‥‥。大体、母の妹って言ったら、普通嫁ぎ先の名字になってるだろ。」
「言われてみたらそうなんだけど!お前と同じ名字だって思い込んでたヨ!見つからないわけだよ!言ってよぉ!言ってよぉ!お話したかったのに!お話したかったのに!」
悲痛そうな声を上げるY。酒に酔ってる?飲んでないからそんな訳はないか。
しかし神奈川の行方不明者は瑛太を含む40人近い人数だ。他の県の行方不明者の何倍もいるので合同にすると会合の雰囲気が全く違ってきてしまうんだそうだ。
違うというか‥‥。仁美叔母さんから愚痴られているから、まあ会合の様子が大変だったのは想像がつく。
それと最後の事件から丸二年経った会合ということで、参加者の人達の気持ちが色々揺れ動いていているらしい。
埼玉、栃木、千葉、神奈川と数ヶ月毎に発生した後、次はどこかと当時は占い師までテレビ出演して大騒ぎしていたのに何も起こらないまま、何の手がかりもないまま丸二年が経ったのだ。
このまま時だけが過ぎ去るのかもしれないという焦りのような物が見えたと、ずっと会合に参加していたYは感じたそうだ。
ざらりと伸びかけて来た髭を確認するように顎を撫でながらYが言った。
「まあ、焦るよな。正直俺だって焦ってるよ。誰も被害に遭わない方がいいのは確かなんだけどさ。情報もないからね。」
ただ、不安をぶつけまくっている人達を見ると逆に冷静になる、という。
「八つ当たりも受けるんだよね。先に事件に遭ってるなら、手がかりくらい掴んでるだろう、今まで何やってたんだとか。」
「うわ。」
「俺‥‥妹の事は微塵も諦めてないけど、あの会合は心が折れかけてる。特に関東圏合同の会合はカオスでさ。どっちの方が悲劇的か比べだとか。ほら、このところ地震やら水害やら自然災害が多いだろ。災害も関連してるんじゃないかとか騒ぐ連中もいて、事件と災害ごちゃまぜにしたりしてさ。もう‥‥。なんだかね。」
「‥‥無理しなくていいんじゃない?情報が入る程度につないでおけば‥‥。」
「そうだよなぁ‥‥。」
Yとしては、就職してしまったら、今程自由が利かなくなるから,今出来るだけ頑張って何か情報をつかみたいのだそうだ。
「は~‥‥。」
Yが本日何度目かの溜め息をついた。
それからふと思い出したように顔を上げて俺を見た。
「神奈川合同っていうからさ、お前の叔母さん探したんだけど、分からなかったよ。参加者リストで『香住家』探したけど見当たらなかったし。」
「‥‥叔母さんは名字は香住じゃないぞ。」
「‥‥!」
Yがムンクの叫びみたいな顔をした。大丈夫かよ。
「は~‥‥神奈川合同で唯一、お話ししてみたいと思ってたのに‥‥。そっか‥‥そうだよな‥‥。っていうか早く言ってよ~!」
「聞かれてないし‥‥。大体、母の妹って言ったら、普通嫁ぎ先の名字になってるだろ。」
「言われてみたらそうなんだけど!お前と同じ名字だって思い込んでたヨ!見つからないわけだよ!言ってよぉ!言ってよぉ!お話したかったのに!お話したかったのに!」
悲痛そうな声を上げるY。酒に酔ってる?飲んでないからそんな訳はないか。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
あの、神様、普通の家庭に転生させてって言いましたよね?なんか、森にいるんですけど.......。
▽空
ファンタジー
テンプレのトラックバーンで転生したよ......
どうしようΣ( ̄□ ̄;)
とりあえず、今世を楽しんでやる~!!!!!!!!!
R指定は念のためです。
マイペースに更新していきます。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
転生先が森って神様そりゃないよ~チート使ってほのぼの生活目指します~
紫紺
ファンタジー
前世社畜のOLは死後いきなり現れた神様に異世界に飛ばされる。ここでへこたれないのが社畜OL!森の中でも何のそのチートと知識で乗り越えます!
「っていうか、体小さくね?」
あらあら~頑張れ~
ちょっ!仕事してください!!
やるぶんはしっかりやってるわよ~
そういうことじゃないっ!!
「騒がしいなもう。って、誰だよっ」
そのチート幼女はのんびりライフをおくることはできるのか
無理じゃない?
無理だと思う。
無理でしょw
あーもう!締まらないなあ
この幼女のは無自覚に無双する!!
周りを巻き込み、困難も何のその!!かなりのお人よしで自覚なし!!ドタバタファンタジーをお楽しみくださいな♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる