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第10章 瑛太4
第138話 売れ行き好調
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「あら~。これは有料なのかしら?」
「今日はサービスですよ~。沢山買ってくださったし。」
藍ちゃんが包みは無料と言ったら女性が笑顔で頷いた。藍ちゃんがささっと麻布に残りのパンを置いて、端と端を結んで即席の風呂敷バッグみたいにした。
「あら、持ちやすいわね。ありがとう!」
女性がニコニコして去って行った頃には、人が集まりだしていた。
無精髭の男性は、他の客が来始めたのをちらりと見てから言った。
「よし、7つ買おう。端切れ布をサービスしてくれるかい?」
「もちろんです。ありがとうございます!」
無精髭の男性は最初は7個銀貨1枚だと食べきれないと言っていたけど、目の前で14個買って行く人を見て、「昼、夜、朝に二個ずつで、腹が減った時に‥‥。」と呟いていたので
消費する目処が立ったのだろう。
大量に買う人がいると目立つのか、遠巻きにもチラチラみている人がいる。
「えー?パン一個銅貨3枚? 高過ぎぃ!」
ツインテールの女の子が、値段を聞いて大きな声を上げた。年齢は俺達と同じくらいかな?
「マリル!何処行ってんだよ。離れるなって言ったろ!」
2軒隣の屋台で靴を直してもらってるらしい男性が怒鳴っている。ツインテールの子が反応しているので彼女がマリルなんだろう。
「だってぇ、修理時間かかりそうじゃん~。」
屋台の前にベンチ代わりの木箱が置いてあって男性はそこに腰を下ろしていた。靴を片方脱いだ状態なので、その場を動けないようだ。
「こっち来て待ってろ!」
「わかったよぉ~!‥‥じゃあ‥‥一個ちょうだい!」
マリルはささっと銅貨3枚を出すと、長パンを指差した。
藍ちゃんが、銅貨を受け取り、長パンをトングでもって手渡した。
マリルは長パンを受け取ると、靴修理屋台の前に駆けていって男性の隣に腰を下ろした。
しばらくして、声がきこえてきた。
「わ、何これ! やわらか! 旨! ヤバ!」
チラリと見ると、マリルが長パンを半分に割った状態で手にもって叫んでいる。
ワイちゃんがトンと俺達の背中を叩いてくる。
振り向くと、ニヤリと笑っている。
「来たでしょ、コレ!」
ヒソヒソと話しかけてくる。まあ、言いたいことは分かるんだけど、他のお客さんに聞こえちゃうからね。
男性の靴の修理が終わったのか、少し経ったら二人で屋台前にやって来た。
マリルと一緒に来た男性は、いかにも狩猟ギルド員って感じだ。
「美味しかったよ~!兄さんにほとんど食べられちゃったから、また買いに来た!」
マリルが屈託ない笑顔を浮かべる。美味しいと言われるのは嬉しいな。
「え?7個も買うのかよ。銀貨2枚って‥‥。」
「さっき、パンくらい買ってやるって言ってたよね!それに7個だとちょっとお得なのよ!」
まるで常連のようにお得情報を言うマリル。
マリルのお兄さんらしき人は渋々、革袋から小金貨を出した。
マリルがそれを受け取って、ニコニコしながら藍ちゃんに差し出した。
「えへ!丸パン4つと長パン3つね!さっきの人みたいに端切れ布で包んでもらっていい?」
「はい。畏まりました~。」
ワイちゃんが端切れ布を出して来て、台の上に置いた。藍ちゃんがマリルの目の前でパンを端切れ布の上に置いて行き、端を摘んで結んだ。7つだとギリギリのサイズだな。
まとめ買いのお客さんが続いたので、一気に売れるかと思ったけど、流石にそんな事もなかった。ま、今日オープンしたばかりで知られてるわけでもないし値段もそこそこ高いからね。
珍しいもの好きな人が1~2個買って行くという感じだ。
「今日はサービスですよ~。沢山買ってくださったし。」
藍ちゃんが包みは無料と言ったら女性が笑顔で頷いた。藍ちゃんがささっと麻布に残りのパンを置いて、端と端を結んで即席の風呂敷バッグみたいにした。
「あら、持ちやすいわね。ありがとう!」
女性がニコニコして去って行った頃には、人が集まりだしていた。
無精髭の男性は、他の客が来始めたのをちらりと見てから言った。
「よし、7つ買おう。端切れ布をサービスしてくれるかい?」
「もちろんです。ありがとうございます!」
無精髭の男性は最初は7個銀貨1枚だと食べきれないと言っていたけど、目の前で14個買って行く人を見て、「昼、夜、朝に二個ずつで、腹が減った時に‥‥。」と呟いていたので
消費する目処が立ったのだろう。
大量に買う人がいると目立つのか、遠巻きにもチラチラみている人がいる。
「えー?パン一個銅貨3枚? 高過ぎぃ!」
ツインテールの女の子が、値段を聞いて大きな声を上げた。年齢は俺達と同じくらいかな?
「マリル!何処行ってんだよ。離れるなって言ったろ!」
2軒隣の屋台で靴を直してもらってるらしい男性が怒鳴っている。ツインテールの子が反応しているので彼女がマリルなんだろう。
「だってぇ、修理時間かかりそうじゃん~。」
屋台の前にベンチ代わりの木箱が置いてあって男性はそこに腰を下ろしていた。靴を片方脱いだ状態なので、その場を動けないようだ。
「こっち来て待ってろ!」
「わかったよぉ~!‥‥じゃあ‥‥一個ちょうだい!」
マリルはささっと銅貨3枚を出すと、長パンを指差した。
藍ちゃんが、銅貨を受け取り、長パンをトングでもって手渡した。
マリルは長パンを受け取ると、靴修理屋台の前に駆けていって男性の隣に腰を下ろした。
しばらくして、声がきこえてきた。
「わ、何これ! やわらか! 旨! ヤバ!」
チラリと見ると、マリルが長パンを半分に割った状態で手にもって叫んでいる。
ワイちゃんがトンと俺達の背中を叩いてくる。
振り向くと、ニヤリと笑っている。
「来たでしょ、コレ!」
ヒソヒソと話しかけてくる。まあ、言いたいことは分かるんだけど、他のお客さんに聞こえちゃうからね。
男性の靴の修理が終わったのか、少し経ったら二人で屋台前にやって来た。
マリルと一緒に来た男性は、いかにも狩猟ギルド員って感じだ。
「美味しかったよ~!兄さんにほとんど食べられちゃったから、また買いに来た!」
マリルが屈託ない笑顔を浮かべる。美味しいと言われるのは嬉しいな。
「え?7個も買うのかよ。銀貨2枚って‥‥。」
「さっき、パンくらい買ってやるって言ってたよね!それに7個だとちょっとお得なのよ!」
まるで常連のようにお得情報を言うマリル。
マリルのお兄さんらしき人は渋々、革袋から小金貨を出した。
マリルがそれを受け取って、ニコニコしながら藍ちゃんに差し出した。
「えへ!丸パン4つと長パン3つね!さっきの人みたいに端切れ布で包んでもらっていい?」
「はい。畏まりました~。」
ワイちゃんが端切れ布を出して来て、台の上に置いた。藍ちゃんがマリルの目の前でパンを端切れ布の上に置いて行き、端を摘んで結んだ。7つだとギリギリのサイズだな。
まとめ買いのお客さんが続いたので、一気に売れるかと思ったけど、流石にそんな事もなかった。ま、今日オープンしたばかりで知られてるわけでもないし値段もそこそこ高いからね。
珍しいもの好きな人が1~2個買って行くという感じだ。
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