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第10章 瑛太4
第137話 異世界でパンを売る
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鐘が鳴ってもすぐに誰かが買いにくる訳じゃない。あ、3つとなりの屋台は人が集まっている。
なんだろうと見てみると、狩猟ギルドのギルド員みたいな人達が、おばあさんから何か葉っぱを買っていた。
「傷薬代わりになる薬草らしいよ。薬買うより安いし使わなかったら食べられるんだと。狩猟ギルドで聞いた。」
俺がじっとみていたからか、緒方さんが説明してくれた。
低ランクの狩猟ギルド員の定番らしい。
傷薬は小さいツボに入っていて何回か使える量が入っているけど、薬草は傷薬の一回分の半額位の値段なんだそうだ。
成る程なと思っていたら、俺達の屋台の前に人が現れた。なんとなく見た事がある人だ。
「あ、いたいた!パン売ってるんだよね!」
30歳前後の無精髭の男性。ちょっと頬が痩けてひょろりとしてる。
「今朝食べた奴美味しかったからさ!昼の分欲しくてね。」
男性はそう言って笑うと値段を確認してきた。
ああ、宿の宿泊客だ。今日から発売なので、宣伝をかねて他の宿泊客にも朝食のときに配らせてもらったんだ。もちろん宿に許可は得てだけど。
早速、宣伝の効果は出たようだ。
一般的に売られているパンが1個銅貨1枚なんだけど、このパンは一個銅貨3枚。
普段他のパンを買う人には高く感じるかもしれないと思ったけど、サイズも大きいし、ギリギリ利益が出るかどうかという値段設定だ。
「ねえ、4つ買うから銀貨1枚にしてくれない?」
いきなり値段交渉!あらかじめまとめ買い値段については話合っていたので藍ちゃんが迷わずに言った。
「7つで銀貨2枚ならいいですよ。」
「えー、そんなに食べれるかなぁ。」
「はい。食べきれないともったいないので無理ない個数でお買い求め下さいね。丸パン、長パン、一個銅貨3枚、300ギウスです。いまだったら両方ありますよ。」
「え?二種類あるの?味違うの?」
「はい。宿で召し上がっていただいたのは丸パンの方です。味は違いますよ。是非食べ比べてみてくださいね!」
レーズンの酵母パンとサワー種のパン。どちらも反応を知りたいから両方売ってみる事にしたんだけど、名前がね‥‥。
天然酵母パンとかサワーパンとかって呼ぼうかって話もあったけど、焼く時に区別出来るように形を変えたので、形の特徴のままの名前で売る事になった。
注文を受けたときに、形で注文された方がどっちのパンだっけ?ってならないしね。
「2種類か~。それなら2つずつかな。あ、3つずつにするか‥‥。」
無精髭の男性が迷っているうちに、もう一人お客さんがきた。この人も見た事がある。
「見つけた!もう~宿で売ってくれればいいのに~。」
ダークブラウンの長い髪をしたちょっとエキゾチックな雰囲気が有る中年の女性。フラメンコとか踊ったら似合いそうな感じの人だ。
ご夫婦らしくて女性の後ろに大きな荷物を背負った男性が立っている。
「4個ずつ8個にしようかな。え?7個でお得?じゃあ7個ずつ。」
「え?そんなに買ってどうするの?」
女性が14個注文しようとしたら無精髭の男性が驚いて女性に話しかけた。
女性はケラケラ笑う。
「だって明日くらいまでは大丈夫そうじゃない?これから街を離れるから明日の分も買っておくのよ。すぐ食べちゃいそうだけど。」
女性はそう言うと銀貨4枚を藍ちゃんに差し出した。藍ちゃんはトレーに丸パンと長パンを7つずつ積み上げた。それを女性が出して来た布袋に入れて行く。
エコ、なんだろうけど、そもそも紙自体が高価で紙袋に入れたりということができない。
皆買い物籠とかを持ち歩いて買い物している。
「あら~入りきらないわ。」
この女性はパン専用にしている布袋を持ってきていたけど、さすがに14個全部は入りきらなかったようだ。5個ほどトレーに残っている。
「こんな端切れでよければ残りをお包みしますよ~。」
小麦粉が入っていた麻袋のきれっぱし。そこそこサイズはあるので風呂敷のように使えなくもない。
洗濯して適当なサイズに切ったものをいくつか用意しておいたんだ。
真希さんがエコバックみたいな風に縫おうかって言ってくれたんだけど、買い物袋を屋台で売っているおばちゃんもいるし競合してもよくないし
包めればよいかという感じだ。
用意しなくてもいいかとも考えたけど、持ちきれなくてパンを落とす人がいたら悲しいからね。
なんだろうと見てみると、狩猟ギルドのギルド員みたいな人達が、おばあさんから何か葉っぱを買っていた。
「傷薬代わりになる薬草らしいよ。薬買うより安いし使わなかったら食べられるんだと。狩猟ギルドで聞いた。」
俺がじっとみていたからか、緒方さんが説明してくれた。
低ランクの狩猟ギルド員の定番らしい。
傷薬は小さいツボに入っていて何回か使える量が入っているけど、薬草は傷薬の一回分の半額位の値段なんだそうだ。
成る程なと思っていたら、俺達の屋台の前に人が現れた。なんとなく見た事がある人だ。
「あ、いたいた!パン売ってるんだよね!」
30歳前後の無精髭の男性。ちょっと頬が痩けてひょろりとしてる。
「今朝食べた奴美味しかったからさ!昼の分欲しくてね。」
男性はそう言って笑うと値段を確認してきた。
ああ、宿の宿泊客だ。今日から発売なので、宣伝をかねて他の宿泊客にも朝食のときに配らせてもらったんだ。もちろん宿に許可は得てだけど。
早速、宣伝の効果は出たようだ。
一般的に売られているパンが1個銅貨1枚なんだけど、このパンは一個銅貨3枚。
普段他のパンを買う人には高く感じるかもしれないと思ったけど、サイズも大きいし、ギリギリ利益が出るかどうかという値段設定だ。
「ねえ、4つ買うから銀貨1枚にしてくれない?」
いきなり値段交渉!あらかじめまとめ買い値段については話合っていたので藍ちゃんが迷わずに言った。
「7つで銀貨2枚ならいいですよ。」
「えー、そんなに食べれるかなぁ。」
「はい。食べきれないともったいないので無理ない個数でお買い求め下さいね。丸パン、長パン、一個銅貨3枚、300ギウスです。いまだったら両方ありますよ。」
「え?二種類あるの?味違うの?」
「はい。宿で召し上がっていただいたのは丸パンの方です。味は違いますよ。是非食べ比べてみてくださいね!」
レーズンの酵母パンとサワー種のパン。どちらも反応を知りたいから両方売ってみる事にしたんだけど、名前がね‥‥。
天然酵母パンとかサワーパンとかって呼ぼうかって話もあったけど、焼く時に区別出来るように形を変えたので、形の特徴のままの名前で売る事になった。
注文を受けたときに、形で注文された方がどっちのパンだっけ?ってならないしね。
「2種類か~。それなら2つずつかな。あ、3つずつにするか‥‥。」
無精髭の男性が迷っているうちに、もう一人お客さんがきた。この人も見た事がある。
「見つけた!もう~宿で売ってくれればいいのに~。」
ダークブラウンの長い髪をしたちょっとエキゾチックな雰囲気が有る中年の女性。フラメンコとか踊ったら似合いそうな感じの人だ。
ご夫婦らしくて女性の後ろに大きな荷物を背負った男性が立っている。
「4個ずつ8個にしようかな。え?7個でお得?じゃあ7個ずつ。」
「え?そんなに買ってどうするの?」
女性が14個注文しようとしたら無精髭の男性が驚いて女性に話しかけた。
女性はケラケラ笑う。
「だって明日くらいまでは大丈夫そうじゃない?これから街を離れるから明日の分も買っておくのよ。すぐ食べちゃいそうだけど。」
女性はそう言うと銀貨4枚を藍ちゃんに差し出した。藍ちゃんはトレーに丸パンと長パンを7つずつ積み上げた。それを女性が出して来た布袋に入れて行く。
エコ、なんだろうけど、そもそも紙自体が高価で紙袋に入れたりということができない。
皆買い物籠とかを持ち歩いて買い物している。
「あら~入りきらないわ。」
この女性はパン専用にしている布袋を持ってきていたけど、さすがに14個全部は入りきらなかったようだ。5個ほどトレーに残っている。
「こんな端切れでよければ残りをお包みしますよ~。」
小麦粉が入っていた麻袋のきれっぱし。そこそこサイズはあるので風呂敷のように使えなくもない。
洗濯して適当なサイズに切ったものをいくつか用意しておいたんだ。
真希さんがエコバックみたいな風に縫おうかって言ってくれたんだけど、買い物袋を屋台で売っているおばちゃんもいるし競合してもよくないし
包めればよいかという感じだ。
用意しなくてもいいかとも考えたけど、持ちきれなくてパンを落とす人がいたら悲しいからね。
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