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第10章 瑛太4
第131話 商業ギルド
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藍ちゃんと並んでパンを捏ねていたら、藍ちゃんがふと顔を上げて俺の方を見た。
「ねえ、瑛太。」
「うん?」
「このパンの作り方が広まって、みんなふわふわのパンになるといいよね。」
「そうだね。」
俺が同意したら藍ちゃんはニコッと小さく笑った後、少し考えるような様子で口元に力を入れ、それから俺を見つめて言った。
「‥‥私ね。今やってみて思ったんだけど‥‥。今くらいの量‥‥、今いる皆で毎朝食べる位だったら毎日パン捏ねてもいいかなって思うんだけど
もしパン屋さんやろうしたら、一日どれだけ捏ねるんだろうと思って‥‥。」
「‥‥パン捏ね機とかないもんなぁ。」
パンを捏ねながら考える。この作業、今日二回目だけど、一日何回まで出来る?それも毎日?
「パン屋さんって凄いんだね‥‥。」
「ホントね‥‥。」
高級食パンみたいに数量限定で売るとか‥‥。色々シミュレーションしてみる。
「まあ、まだパン屋やるとも決めてないし。やるとなったら店舗はとか色々考えないといけないわけだし。ゆっくり考えようよ。」
「‥‥うん。」
コネコネ、二人並んで捏ねるのは楽しいんだけど。ふとパン屋の夫婦を想像して‥‥ちょっと照れた。いや、パン屋は無理そうって話をしているんだけどね。
************************
「素晴らしい!これはなかなか画期的ですなぁ!しかも二種類とは!」
商業ギルドに行くと、アンセムさんという商業ギルドのギルド長が申請内容の確認をしてくれた。
その待遇にはったのは、多分イーリアさんが一緒に来てくれたからだ。
商業ギルドに入ってすぐ、別室に通されたから事前に連絡が行っていたんだろう。
試食用にスライスしたパンを、何か虫眼鏡のような物で見たり匂いを嗅いだりした後、一口ずつ口にしてアンセムさんが笑顔を見せた。
声が良く通る。もみあげとあご髭、浅黒い肌。なんとなく英語の安斎先生を思い出すなぁ。
名前もちょっと似てるからアンセム先生って覚えておこうかな。
アンセム先生‥‥いや、アンセムさんが熱く語っていた間にそんな事を考えていたら、アンセムさんから質問されたのに気がついてなかったみたいだ。
隣に座っていた藍ちゃんから膝を突かれた。
「瑛太‥‥、この製法は故郷のものかって。」
「え、あ‥‥。そうです!俺の故郷でやっている方法です。」
俺達が隣国で召還された者だということは、言わない方がいいと言われているので、東の小国出身と言ってある。嘘じゃないし。
「そうですか、そうですか!」
アンセムさんは満足そうに頷くと、助手の人にも試食をさせていた。
その場で申請が通るわけではなく、実際に製法を試してみるとういことで申請書の書類にサインをした。
ギルド長のアンセムさんのサインも入り、お互いに写しを持つ。
製法の申請をしたことを照明する為だ。
こうしておけば製法の審査中に誰かが登録ということはないらしい。
製法は間違っていなくても技術がないと出来ないような場合は、制作時にギルド職員が立ち会うとか、研究資料なんかで確認する事もあるそうだ。
「こういった技術をお持ちでしたら、領主様であるデルタ伯爵の所で専属職人となることも可能かと。ご紹介いたしましょうか?」
アンセムさんがそういうと、「あら」とイーリアさんが意外そうな声を上げた。
「イグレックでは後ろ盾は不足とお考えなのかしら。心外ですわぁ。」
「そ、そんな滅相もございません!この街でご活躍されるのでしたらと‥‥!」
「この街で活動するとは決まっていないわよ。ねえ?」
焦った様子で弁明するアンセムさん。イーリアさんは口元に扇子を当てて、冷やや
かな口調でいう。そしてチラリと俺達の方を見た。
この街で活動と決まってない?
何か話しが見えないけど、別に否定するような話でもないので頷いておいた。
「ねえ、瑛太。」
「うん?」
「このパンの作り方が広まって、みんなふわふわのパンになるといいよね。」
「そうだね。」
俺が同意したら藍ちゃんはニコッと小さく笑った後、少し考えるような様子で口元に力を入れ、それから俺を見つめて言った。
「‥‥私ね。今やってみて思ったんだけど‥‥。今くらいの量‥‥、今いる皆で毎朝食べる位だったら毎日パン捏ねてもいいかなって思うんだけど
もしパン屋さんやろうしたら、一日どれだけ捏ねるんだろうと思って‥‥。」
「‥‥パン捏ね機とかないもんなぁ。」
パンを捏ねながら考える。この作業、今日二回目だけど、一日何回まで出来る?それも毎日?
「パン屋さんって凄いんだね‥‥。」
「ホントね‥‥。」
高級食パンみたいに数量限定で売るとか‥‥。色々シミュレーションしてみる。
「まあ、まだパン屋やるとも決めてないし。やるとなったら店舗はとか色々考えないといけないわけだし。ゆっくり考えようよ。」
「‥‥うん。」
コネコネ、二人並んで捏ねるのは楽しいんだけど。ふとパン屋の夫婦を想像して‥‥ちょっと照れた。いや、パン屋は無理そうって話をしているんだけどね。
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「素晴らしい!これはなかなか画期的ですなぁ!しかも二種類とは!」
商業ギルドに行くと、アンセムさんという商業ギルドのギルド長が申請内容の確認をしてくれた。
その待遇にはったのは、多分イーリアさんが一緒に来てくれたからだ。
商業ギルドに入ってすぐ、別室に通されたから事前に連絡が行っていたんだろう。
試食用にスライスしたパンを、何か虫眼鏡のような物で見たり匂いを嗅いだりした後、一口ずつ口にしてアンセムさんが笑顔を見せた。
声が良く通る。もみあげとあご髭、浅黒い肌。なんとなく英語の安斎先生を思い出すなぁ。
名前もちょっと似てるからアンセム先生って覚えておこうかな。
アンセム先生‥‥いや、アンセムさんが熱く語っていた間にそんな事を考えていたら、アンセムさんから質問されたのに気がついてなかったみたいだ。
隣に座っていた藍ちゃんから膝を突かれた。
「瑛太‥‥、この製法は故郷のものかって。」
「え、あ‥‥。そうです!俺の故郷でやっている方法です。」
俺達が隣国で召還された者だということは、言わない方がいいと言われているので、東の小国出身と言ってある。嘘じゃないし。
「そうですか、そうですか!」
アンセムさんは満足そうに頷くと、助手の人にも試食をさせていた。
その場で申請が通るわけではなく、実際に製法を試してみるとういことで申請書の書類にサインをした。
ギルド長のアンセムさんのサインも入り、お互いに写しを持つ。
製法の申請をしたことを照明する為だ。
こうしておけば製法の審査中に誰かが登録ということはないらしい。
製法は間違っていなくても技術がないと出来ないような場合は、制作時にギルド職員が立ち会うとか、研究資料なんかで確認する事もあるそうだ。
「こういった技術をお持ちでしたら、領主様であるデルタ伯爵の所で専属職人となることも可能かと。ご紹介いたしましょうか?」
アンセムさんがそういうと、「あら」とイーリアさんが意外そうな声を上げた。
「イグレックでは後ろ盾は不足とお考えなのかしら。心外ですわぁ。」
「そ、そんな滅相もございません!この街でご活躍されるのでしたらと‥‥!」
「この街で活動するとは決まっていないわよ。ねえ?」
焦った様子で弁明するアンセムさん。イーリアさんは口元に扇子を当てて、冷やや
かな口調でいう。そしてチラリと俺達の方を見た。
この街で活動と決まってない?
何か話しが見えないけど、別に否定するような話でもないので頷いておいた。
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