半分異世界

月野槐樹

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第7章 瑛太3

第114話 配達依頼

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やる事はある程度決まっている。狩猟ギルドに行って依頼内容と依頼料の相場を調べる。明日以降は狩猟ギルドの依頼を受ける予定なんだ。
狩猟ギルドでの仕事の内容だが、狩猟以外に街中で遂行出来る依頼もある。
魔獣の解体や解体した肉を肉屋に届ける等、狩猟ギルドの仕事に直結した依頼の他にも配達、掃除など、魔獣の狩猟と関係ない依頼もあった。

「配達の依頼、結構あるけどさ。慣れない土地で一人行動するのはよくないんじゃない?」

藍ちゃんが一人で配達とかしてたら、心配で溜まらなくなるよ。かといって一緒に言って一人分の依頼料だと、悲しい。
多少依頼料が安めでも一緒に受けられるような依頼のほうがいいのではと思う。

「そうだね。土地勘ないのに配達は厳しいよね。」
藍ちゃんが納得してくれてよかった。

「でもさ、この街の道に慣れたら配達自体は時間がかからなくなるでしょう?
依頼料自体は少なくてもさ、他の依頼の後とかに追加で二人で受けてもいいんじゃない?こんなやつとか。」
藍ちゃんがそういって指差したのはギルドからも見える教会への届け物だった。教会の尖った屋根が通りから見える。

多分10分~15分くらいだろう。それで銀貨2枚か。
「時給からしたら良すぎなんじゃないの。‥‥何かもの凄い重い配達物とか。」

銀貨2枚は、一日の収入としては多いほうではないけど、時間も大してかからないし他の依頼と併せて受ければ、収入増加にはよい依頼だと思う。
なのに、どうして受ける人が少ないんだろう。
「ちょっと、ギルドの人に訊いてみない?」

ワイちゃんはそう言うと、俺達の返事を待たずにもうギルド職員に質問に行っていた。
「ああ、それは初心者救済で10級限定なんですよ。」

ギルド職員がにこやかに言った。よく見ると依頼票に10級限定と書いてあった。上のランクのギルド員は依頼を受けられない。
大半の10級ギルド員は、まず薬草採取などメインの収入となる依頼をこなして、早く街に戻れた時に、その日まだ余力があったらこの配達依頼を受けるのだという。

「結構重いんで、身体の小さい人だと何往復もしたりしてそれなりに時間がかかるんです。
でも依頼自体は凄くシンプルなので、ギルド依頼になれていないうちはお勧めですよ。」

重くて何往復もするなら、お試しで4人で受けてもいいのでは、と皆の意見が一致したので予定外だけど依頼を受ける事にした。

「あ、この依頼2つあるのですけど、両方お受けになりますか?」

ギルド職員がもう一枚の依頼票を見せて来た。
それなら四人で銀貨4枚。なかなか割が良いんじゃない?

教会への配達物は、寄付する食糧だった。狩猟ギルドで買い取った魔獣肉類や野菜を教会に寄付しているらしい。
野菜の買い取りがあるのは、そもそも教会への寄付目的でギルドが買い取りをしているからなんだとか。
一つの依頼は肉の配達。もう一つは野菜だった。どちらもかなりのボリュームだ。四人だとなんとか一度で運べそうだけど、確かに何往復もする事があるのは理解出来る。往復すればする程、時間辺りの稼ぎは減って行くことになる。四人でいて良かったよ。

圭の鞄に入れられれば楽だけど、それでは鞄の機能が他人に知られてしまうかもしれないし、そもそもどんな依頼なのか体感する目的もあるので今回は普通に背負って行くことにした。

「薬草採取だと依頼された薬草が生えていなかったら依頼達成できないんだよね。それに比べればこれって、往復して時間さえかければ難しくはないよね。」
「配達希望時間帯とかあるときついけどな。」
「確かに!あ!これって、不在の場合ってどうするの?不在通知ってあるのかな。」

宅配業者を思い出しながら話をしていたら、藍ちゃんが急に不安顔になった。

「教会だったら、誰かいるんじゃない? でも他の配達とかだったら不在とかあり得そうだよね。今度ギルドに確認してみようか。」
気楽そうにワイちゃんが言うけど、藍ちゃんはまだ不安そうだ。

「どうしよう。不在だったら。戻るの?張り紙するとか?ポストに入れるの?ポストあるのかな。あ、書く物持ってない!」
「藍ちゃん、落ち着いて!」
「そうだよ。本当に不在だったらその時考えようよ。」
「そうそう。」

ちょっと不安になってパニクる藍ちゃんを皆でなだめた。
不在時のことを全く想定していなくて条件を確認していなかったのはまずかったな。教会なら誰もいないってことはなさそうな気はするんだけど、本当に誰もいなかったらどうしよう。
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