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第7章 瑛太3
第101話 伝えて正解
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「あ、浴槽っていうより盥なんだけど。厨房と井戸の近くにあって厨房からお湯が貰えるんだ。今なら空いているみたいだよ。」
「ふぁ!それ超超超重要事項じゃん!!ちょっと!アイちゃん~!寝ている場合じゃないってーー!!」
ワイちゃんは藍ちゃんを起こしに部屋の奥に戻って行った。バンバンバンと音がした後,ぼそぼそと話し声。それから急いだ様子で藍ちゃんがやってきた。
「瑛太、宿のお風呂って?」
ワイちゃんと藍ちゃんに浴室の使い方を説明した。そして石鹸の欠片を渡しておく。女子4人だから4つだ。
「これ、見つけたんだ。でもあまり数ないから。」
「石鹸!?。」
受け取ってすぐ匂いを嗅ぐ二人。
「あれ、無香料タイプ?」
首を傾げる藍ちゃん。俺も実は匂いを嗅いでみたけど香料の香りがしなかったんだよね。圭の好みなのかな。
「うん。香りがしないみたいだけど、しっとりするタイプだと思う。」
「ほぉぉぉ~!」
何かテンションが爆上がりした様子の二人が,他の女子二人を起こしに行った。
よかった。やっぱり伝えて正解だったな。危ないところだったよ。
入浴の準備で大騒ぎを始めた女子達の声を聞きながら俺はほっと胸を撫で下ろした。
女子は二人ずつ入ることにしたらしい。
男子も起きている人に伝えておいた。ライアンさんは今日は家族と一緒に泊まっていたらしく男子の宿泊部屋にはいなかった。結果的には寝ていた男子も全員起こされて入浴をしたようだ。
***********
「母上、僕は絶対弟だと思うんです!」
少し宿を探検していたら、玄関ホールの方から声が聞こえて来た。
ちらりと見ると、ラオウルさん似の金髪の少年。ディーン君だ。ディーン君が話している先には長椅子に腰を下ろしているイーリアさんと、娘さん。名前はジーナちゃんだったかな。
「兄様、私は妹がいいです~。」
ディーン君は楽しそうに言っているけど、ジーナちゃんは少し不満気な様子だ。
「そうかい?可愛い妹はもうジーナがいるから、今度は弟がいいなと思ったんだけど。」
「ううーん‥‥。」
ディーン君の台詞にちょっと照れた様子のジーナちゃん。イケメンか?将来モテそうだな。
俺の視線に気がついたのか、ディーン君が俺の方を振り向いた。そしてキラキラした笑顔。
「やあ!おはよう!父上と一緒に来た人だよね!」
屈託ない笑顔を向ける。育ち良さそうだなぁ。
「あ、おはよう。瑛太だ。」
「エイタ!僕はディーンだよ。母のイーリアと、こっちは妹のジーナだ。‥‥それと弟‥‥はまだ名前がない。フフッ。」
ディーン君が嬉しくて仕方ないといった様子で言う。
ということはやっぱり‥‥。
訊こうとして口を開きかけた時、宿の入り口の扉が開いて、ライアンさんが入って来た。
「父上、お帰りなさい! ‥‥出発できそうですか?」
「ただいま。ああ、問題ない。」
ライアンさんは買い物でもして来たのか大きめの麻袋を肩にかけていた。俺もライアンさんに挨拶をする。思い切って聞いてみることにした。
「おはようございます。ライアンさん。あの‥‥お子さんが?」
「ああ。」
ライアンさんが穏やかな微笑みを浮かべて頷いた。
昨日の夜にイーリアさんから妊娠を知らされたらしい。急にライアンさんがお父さんっぽく見えて来た気がした。
「ふぁ!それ超超超重要事項じゃん!!ちょっと!アイちゃん~!寝ている場合じゃないってーー!!」
ワイちゃんは藍ちゃんを起こしに部屋の奥に戻って行った。バンバンバンと音がした後,ぼそぼそと話し声。それから急いだ様子で藍ちゃんがやってきた。
「瑛太、宿のお風呂って?」
ワイちゃんと藍ちゃんに浴室の使い方を説明した。そして石鹸の欠片を渡しておく。女子4人だから4つだ。
「これ、見つけたんだ。でもあまり数ないから。」
「石鹸!?。」
受け取ってすぐ匂いを嗅ぐ二人。
「あれ、無香料タイプ?」
首を傾げる藍ちゃん。俺も実は匂いを嗅いでみたけど香料の香りがしなかったんだよね。圭の好みなのかな。
「うん。香りがしないみたいだけど、しっとりするタイプだと思う。」
「ほぉぉぉ~!」
何かテンションが爆上がりした様子の二人が,他の女子二人を起こしに行った。
よかった。やっぱり伝えて正解だったな。危ないところだったよ。
入浴の準備で大騒ぎを始めた女子達の声を聞きながら俺はほっと胸を撫で下ろした。
女子は二人ずつ入ることにしたらしい。
男子も起きている人に伝えておいた。ライアンさんは今日は家族と一緒に泊まっていたらしく男子の宿泊部屋にはいなかった。結果的には寝ていた男子も全員起こされて入浴をしたようだ。
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「母上、僕は絶対弟だと思うんです!」
少し宿を探検していたら、玄関ホールの方から声が聞こえて来た。
ちらりと見ると、ラオウルさん似の金髪の少年。ディーン君だ。ディーン君が話している先には長椅子に腰を下ろしているイーリアさんと、娘さん。名前はジーナちゃんだったかな。
「兄様、私は妹がいいです~。」
ディーン君は楽しそうに言っているけど、ジーナちゃんは少し不満気な様子だ。
「そうかい?可愛い妹はもうジーナがいるから、今度は弟がいいなと思ったんだけど。」
「ううーん‥‥。」
ディーン君の台詞にちょっと照れた様子のジーナちゃん。イケメンか?将来モテそうだな。
俺の視線に気がついたのか、ディーン君が俺の方を振り向いた。そしてキラキラした笑顔。
「やあ!おはよう!父上と一緒に来た人だよね!」
屈託ない笑顔を向ける。育ち良さそうだなぁ。
「あ、おはよう。瑛太だ。」
「エイタ!僕はディーンだよ。母のイーリアと、こっちは妹のジーナだ。‥‥それと弟‥‥はまだ名前がない。フフッ。」
ディーン君が嬉しくて仕方ないといった様子で言う。
ということはやっぱり‥‥。
訊こうとして口を開きかけた時、宿の入り口の扉が開いて、ライアンさんが入って来た。
「父上、お帰りなさい! ‥‥出発できそうですか?」
「ただいま。ああ、問題ない。」
ライアンさんは買い物でもして来たのか大きめの麻袋を肩にかけていた。俺もライアンさんに挨拶をする。思い切って聞いてみることにした。
「おはようございます。ライアンさん。あの‥‥お子さんが?」
「ああ。」
ライアンさんが穏やかな微笑みを浮かべて頷いた。
昨日の夜にイーリアさんから妊娠を知らされたらしい。急にライアンさんがお父さんっぽく見えて来た気がした。
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