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第6章 詩英2
第84話 僕の好きなもの
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柏木君はそういうときゅっと唇の端を引き締めた。
神隠しって考えて、行き場のない気持ちを落ち着けようとしているのかもしれない。
俺も‥‥そうだな。圭をいじめていた奴を責める事すらできないって思うより,その方がいいかもしれない。
俺は封筒を手に取って、柏木君に礼を言った。
「わかった。知らせてくれてありがとう。それと‥‥圭と仲良くしてくれてありがとうね。」
「う‥‥。」
柏木君の目から涙がボロボロとこぼれ出してしまった。ポケットをまさぐっているみたいだけど、ハンカチを探しているのか?
俺がタオルを差し出すと柏木君がそれを受け取って自分の顔に押し当てた。
「ボグ‥‥もっと圭と話せばよかった‥‥。本木にだって文句いってやればよかったって‥‥。」
「うん‥‥。」
柏木君が泣き止むまで、しばらく柏木君の言葉を聞いていた。
柏木君が帰ったあと圭のPCを立ち上げた。何度目だろう。
なんとかログインは出来た。
最初は、圭のPCを見るのは圭が隠したい事まで覗き見するみたいで気が引けたけど。
なんというか‥‥、圭とまともに話をしていなかったから、圭が何を考えていたのか知っておきたかったんだ。
メールソフトを立ち上げた時はかなり緊張した。でも拍子抜けする程、個人のやりとりがなかった。
学校から送られて来た資料を受け取ったようなメールくらいだ。
個人のメールやメッセージのやりとりはスマホでやっていたならそんな物なのかもしれないけど。
圭の携帯は見つかってない。失われた身体の半分と一緒に消えてしまったようだった。
メールソフトで拍子抜けした後、デスクトップを見て、驚愕した。
『僕がいなくなった後にみてね。パスワードは僕の好きなもの』
そんな名前のファイルが、厳密に言えばショートカットファイルがデスクトップに置かれていたんだ。
何だこれ?圭は自分が死ぬ事を予感してたのか?
それとも家出でもする気だった? まさか自殺を?
色々考えが沸き起こって、口の中が乾いて行くのを感じながら、ファイルをマウスでクリックした。
しかし‥‥パスワードが全くヒットしない。
色々考えて何度も何度も試したんだけど。
ちなみに俺の名前もいれてみた。フルネームだったり、下の名前だったり。ヒットしなかったよ。まあ、そうだよな。
躊躇しながら「家族」と入力してみたけどヒットしない。父さんやら母さんの名前、従兄弟の瑛太の名前、思いつく名前を入れてみたけど何もひっかからなかった。
もしかして,と思って嫌々ながら松井って娘の名前も色々パターンで入れてみたけどだめだった。少しホッとした。
好きなものというから人ではないかもしれない、と思い至って、圭の部屋にあるものをかたっぱしから入力してみた。
本、PC 、服‥‥。探している途中で、アルファベットの服シリーズを発見したんだ。
そう言う物を作っている事自体、全然気がついていなかったんだよな。
食べ物も、圭が作り置きしていた食べ物を思いつく限り試してみたけど、全くダメだった。
そのファイルがショートカットだって事に気がついて、実ファイルの格納先のフォルダも開いてみた。
そして、似たようなファイルが無数に有るのを見て呆然としてしまった。
他のファイルにはファイル名に日付がついていた。
何度も何度も作り直したんだろうか‥‥。
他のファイルも一つも開く事はできなかった。
神隠しって考えて、行き場のない気持ちを落ち着けようとしているのかもしれない。
俺も‥‥そうだな。圭をいじめていた奴を責める事すらできないって思うより,その方がいいかもしれない。
俺は封筒を手に取って、柏木君に礼を言った。
「わかった。知らせてくれてありがとう。それと‥‥圭と仲良くしてくれてありがとうね。」
「う‥‥。」
柏木君の目から涙がボロボロとこぼれ出してしまった。ポケットをまさぐっているみたいだけど、ハンカチを探しているのか?
俺がタオルを差し出すと柏木君がそれを受け取って自分の顔に押し当てた。
「ボグ‥‥もっと圭と話せばよかった‥‥。本木にだって文句いってやればよかったって‥‥。」
「うん‥‥。」
柏木君が泣き止むまで、しばらく柏木君の言葉を聞いていた。
柏木君が帰ったあと圭のPCを立ち上げた。何度目だろう。
なんとかログインは出来た。
最初は、圭のPCを見るのは圭が隠したい事まで覗き見するみたいで気が引けたけど。
なんというか‥‥、圭とまともに話をしていなかったから、圭が何を考えていたのか知っておきたかったんだ。
メールソフトを立ち上げた時はかなり緊張した。でも拍子抜けする程、個人のやりとりがなかった。
学校から送られて来た資料を受け取ったようなメールくらいだ。
個人のメールやメッセージのやりとりはスマホでやっていたならそんな物なのかもしれないけど。
圭の携帯は見つかってない。失われた身体の半分と一緒に消えてしまったようだった。
メールソフトで拍子抜けした後、デスクトップを見て、驚愕した。
『僕がいなくなった後にみてね。パスワードは僕の好きなもの』
そんな名前のファイルが、厳密に言えばショートカットファイルがデスクトップに置かれていたんだ。
何だこれ?圭は自分が死ぬ事を予感してたのか?
それとも家出でもする気だった? まさか自殺を?
色々考えが沸き起こって、口の中が乾いて行くのを感じながら、ファイルをマウスでクリックした。
しかし‥‥パスワードが全くヒットしない。
色々考えて何度も何度も試したんだけど。
ちなみに俺の名前もいれてみた。フルネームだったり、下の名前だったり。ヒットしなかったよ。まあ、そうだよな。
躊躇しながら「家族」と入力してみたけどヒットしない。父さんやら母さんの名前、従兄弟の瑛太の名前、思いつく名前を入れてみたけど何もひっかからなかった。
もしかして,と思って嫌々ながら松井って娘の名前も色々パターンで入れてみたけどだめだった。少しホッとした。
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そう言う物を作っている事自体、全然気がついていなかったんだよな。
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そして、似たようなファイルが無数に有るのを見て呆然としてしまった。
他のファイルにはファイル名に日付がついていた。
何度も何度も作り直したんだろうか‥‥。
他のファイルも一つも開く事はできなかった。
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◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
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