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第5章 瑛太2
第68話 筆記具
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ごそごそと体勢を変えて、尾市さんが寝床に寝そべったまま、俺と椎名さんを見た。
「なあ、俺達これからどうなるのかな。とりあえず逃げてるだろ。逃げ切ったとして、その後さ。」
「国を脱出できてから、だよなあ。」
今はライアンさんの伝手で、この国を出て隣の国ヴェスタリコラルに行く事を目指している。
国を出てしまうと他の召還者達から離れてしまうが、そもそも今は助けられる力がない。俺達自身が安全な状態を確保することがまず第一目標だ。
俺と藍ちゃんは、追い出されているから追われているわけじゃないけど、森で殺される前提だったなら、生きていて見つかったらまずそうなのは脱出した皆と状況はあまりかわらない。
唯一希望があるとすると、雑魚扱いでまったく価値を見いだされていなさそうなことか。
と考えるとちょっと凹むけど。
探して連れ戻そうとされないなら、その方がいい。
国を出たらすぐに解散してもいいという話も出ている。
緒方さん達は戦闘力もあるから、狩猟ギルドに加盟して狩りで生活とかできそうだよな。
俺達もそれぞれ何か仕事をみつけるか、力を合わせて生活をするか、考えないといけない。
国を出るまでの間に数字や文字を覚えたり、この国や世界の常識を学んで、やっていけそうか考えようって話だ。
「俺はこうして日本の話とか出来ている状況が凄くありがたいから、出来れば皆で生活するか近所で住めるといいなと思ってる。」
「俺も‥‥。高校生の先輩達におんぶに抱っこみたいになったら嫌だけど‥‥。一ヶ月とか二ヶ月とか期間限定でも皆で生活してさ。その間に仕事探したりとかしたらどうかな。」
「俺達、仕事見つけられるかな‥‥。」
「おおう‥‥。そうだ、文字!文字の勉強~。」
藍ちゃんのノートに書き込まれた文字表を思い出す。
俺もノートや筆記用具は持ってた。ノートの紙をとりあえず一枚ずつ配る。筆記用具は赤、青、黒のボールペンとシャーペンが二本。黒のボールペンは残りが少なかったから予備も合わせて二本持ってた。グッジョブ俺。
とりあえず残り少なかった黒ボールペンと青ボールペンを二人に貸し出した。
ノートを見せてもらいに女子部屋をノックすると既に、緒方さん達がきていてノートを写していた。
「おお、俺が写した方を見るか?」
数字の方はもう写し終わったらしい。とりあえずそれを借りて三人で見ながら書き写す。
筆記具が足りなくて順番待ちをしていたらしいので、シャーペンと赤ボールペンを貸し出した。
「そういえばこっちって、羽根ペンとかなのかな‥‥。」
「ボールペンとかなさそうだよな。」
「じゃあ、ボールペン売ったらお金になるんじゃない?」
「そうかもだけど。それ以前に、このインクなくなったら、もう使えないんだよね‥‥。」
真希さんがふと、ボールペンのインクの残りを確認した。そして皆を見回す。
「ねえ。文字の練習したかったけど、ボールペン借りてやってたらあっという間になくなっちゃうよね。こっちの筆記具も必要なんじゃない?」
「そうだな。」
緒方さんが頷いた。
「とりあえず、ボールペンとかを使って書くのは見本までにしよう。瑛太君とアイちゃん、ボールペンの所有者なのに決めちゃって悪いけど、なるべく長持ちさせてもらいたいんだ。いいかな。」
書き取り練習とかには使わないで欲しいってことか。まあ、それは仕方ないな。納得して頷く。
こちらでの筆記具も村で手に入らないか明日の朝にでも訊いてみる事にした。
書き写した数字と文字の対照表を部屋に持ち帰って、指で空中に文字を書きながら練習する。
必要だし今後役に立つことって思うから集中してできる。
これならわりと早く覚えられそうだな、と思いながらやっていたら、突然椎名さんが起き上がって俺に向かって言った。
「なあ、俺達これからどうなるのかな。とりあえず逃げてるだろ。逃げ切ったとして、その後さ。」
「国を脱出できてから、だよなあ。」
今はライアンさんの伝手で、この国を出て隣の国ヴェスタリコラルに行く事を目指している。
国を出てしまうと他の召還者達から離れてしまうが、そもそも今は助けられる力がない。俺達自身が安全な状態を確保することがまず第一目標だ。
俺と藍ちゃんは、追い出されているから追われているわけじゃないけど、森で殺される前提だったなら、生きていて見つかったらまずそうなのは脱出した皆と状況はあまりかわらない。
唯一希望があるとすると、雑魚扱いでまったく価値を見いだされていなさそうなことか。
と考えるとちょっと凹むけど。
探して連れ戻そうとされないなら、その方がいい。
国を出たらすぐに解散してもいいという話も出ている。
緒方さん達は戦闘力もあるから、狩猟ギルドに加盟して狩りで生活とかできそうだよな。
俺達もそれぞれ何か仕事をみつけるか、力を合わせて生活をするか、考えないといけない。
国を出るまでの間に数字や文字を覚えたり、この国や世界の常識を学んで、やっていけそうか考えようって話だ。
「俺はこうして日本の話とか出来ている状況が凄くありがたいから、出来れば皆で生活するか近所で住めるといいなと思ってる。」
「俺も‥‥。高校生の先輩達におんぶに抱っこみたいになったら嫌だけど‥‥。一ヶ月とか二ヶ月とか期間限定でも皆で生活してさ。その間に仕事探したりとかしたらどうかな。」
「俺達、仕事見つけられるかな‥‥。」
「おおう‥‥。そうだ、文字!文字の勉強~。」
藍ちゃんのノートに書き込まれた文字表を思い出す。
俺もノートや筆記用具は持ってた。ノートの紙をとりあえず一枚ずつ配る。筆記用具は赤、青、黒のボールペンとシャーペンが二本。黒のボールペンは残りが少なかったから予備も合わせて二本持ってた。グッジョブ俺。
とりあえず残り少なかった黒ボールペンと青ボールペンを二人に貸し出した。
ノートを見せてもらいに女子部屋をノックすると既に、緒方さん達がきていてノートを写していた。
「おお、俺が写した方を見るか?」
数字の方はもう写し終わったらしい。とりあえずそれを借りて三人で見ながら書き写す。
筆記具が足りなくて順番待ちをしていたらしいので、シャーペンと赤ボールペンを貸し出した。
「そういえばこっちって、羽根ペンとかなのかな‥‥。」
「ボールペンとかなさそうだよな。」
「じゃあ、ボールペン売ったらお金になるんじゃない?」
「そうかもだけど。それ以前に、このインクなくなったら、もう使えないんだよね‥‥。」
真希さんがふと、ボールペンのインクの残りを確認した。そして皆を見回す。
「ねえ。文字の練習したかったけど、ボールペン借りてやってたらあっという間になくなっちゃうよね。こっちの筆記具も必要なんじゃない?」
「そうだな。」
緒方さんが頷いた。
「とりあえず、ボールペンとかを使って書くのは見本までにしよう。瑛太君とアイちゃん、ボールペンの所有者なのに決めちゃって悪いけど、なるべく長持ちさせてもらいたいんだ。いいかな。」
書き取り練習とかには使わないで欲しいってことか。まあ、それは仕方ないな。納得して頷く。
こちらでの筆記具も村で手に入らないか明日の朝にでも訊いてみる事にした。
書き写した数字と文字の対照表を部屋に持ち帰って、指で空中に文字を書きながら練習する。
必要だし今後役に立つことって思うから集中してできる。
これならわりと早く覚えられそうだな、と思いながらやっていたら、突然椎名さんが起き上がって俺に向かって言った。
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