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第3章 瑛太1
第45話 帰還の可能性
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助け出す、といっても、気になる事が有る。
訊くのがちょっと怖いけど‥‥。
やっぱり訊いておかないといけないよな。
俺は姿勢を正してライアンさんの方に向き直った。そしてじっとライアンさんを見つめて口を開いた。
「あの‥‥。元の世界に帰れる方法はあるんですか?」
俺が意を決して訊いてみるとライアンさんは顔を少しあげ、睫毛を伏せて静かに首を横に振った。
「王国にはない、と思う。」
「‥ない‥‥ですか‥。でも、確定ではない?」
ライアンさんの言葉に少なからずショックを受けた。それでも動揺する気持ちを抑えながら質問を続けた。口の中が急速に乾いて行くのを感じる。ライアンさんは静かな口調で俺の質問に答えてくれた。
「召還の儀式を行うとき、いつもあの神殿を使う。そこには受け継がれて来た召還の魔法陣がある。
しかし、送還の魔法陣が有るような施設を知らない。もしかしたら設備として存在しないだけで、魔法陣は存在する可能性はある。」
魔法陣が存在するかもしれない?それならまだ希望が持てる。
「‥‥そういった魔法陣の資料が有る場所はありますか?」
「知らされていない。あったとしても、王族だけが閲覧出来る禁書庫だろう。」
「‥‥あるかないかを探すだけでも骨が折れそうですね。」
召還の魔法陣だけなら、神殿に忍び込めば見る事が出来るかもしれない。使うとき以外一部見られないようになっているとかはされているかもしれないけど。
でも送還の魔法陣は、存在の有無さえ判らないなんて。
帰れないんだろうか。このまま‥‥。
俺は藍ちゃんを見た。藍ちゃんが一緒なのが救いだ。本当に。
「‥‥帰れなかったら‥‥この先どうしようか‥‥。」
藍ちゃんが不安そうに言った。
「‥‥まだ、諦めるには早いだろ。当面ここで生活していくんだとしても、俺達だけじゃない。緒方さん達だっている。きっと‥‥何とかなるよ。」
「う‥ん。」
藍ちゃんが力なく頷いた。
こういうとき、圭がいたら‥‥。ああ、饒舌に異世界生活について語りそうだな!
不意に、神殿で見た光景が脳裏に蘇って来た。血の海。手足。まっぷたつの圭の顔。見開いた目‥‥。
「うぅ‥‥。」
ドクンドクンドクンドクン。心臓が踊るように脈打つ。叫び出しそうになるのを必死にこらえた。
「瑛太?」
藍ちゃんの声が聞こえた。背中に藍ちゃんの手が触れたのを感じる。
何かがこみ上げる。突然、押さえていた感情が腹の奥からわき上がって来た気がする。
「‥‥圭‥‥、圭が‥‥。」
「‥‥うん‥‥グスッ‥‥。」
「何で、圭があんな目に遭わなきゃならなかったんだよ‥‥。」
「うん‥‥。」
「圭‥‥痛かったかな‥‥。あんなに異世界目指してたのに‥‥。圭だけ‥‥。」
「うん‥‥。」
「なんでこんな‥‥。」
涙が溢れ、喉が締め付けられるように感じた。
藍ちゃんがキャラクターの絵が描かれたミニタオルを差し出してくれた。目に押して顔をうずめた。
背中を擦る手の暖かさを感じながら暫くむせび泣いた。
訊くのがちょっと怖いけど‥‥。
やっぱり訊いておかないといけないよな。
俺は姿勢を正してライアンさんの方に向き直った。そしてじっとライアンさんを見つめて口を開いた。
「あの‥‥。元の世界に帰れる方法はあるんですか?」
俺が意を決して訊いてみるとライアンさんは顔を少しあげ、睫毛を伏せて静かに首を横に振った。
「王国にはない、と思う。」
「‥ない‥‥ですか‥。でも、確定ではない?」
ライアンさんの言葉に少なからずショックを受けた。それでも動揺する気持ちを抑えながら質問を続けた。口の中が急速に乾いて行くのを感じる。ライアンさんは静かな口調で俺の質問に答えてくれた。
「召還の儀式を行うとき、いつもあの神殿を使う。そこには受け継がれて来た召還の魔法陣がある。
しかし、送還の魔法陣が有るような施設を知らない。もしかしたら設備として存在しないだけで、魔法陣は存在する可能性はある。」
魔法陣が存在するかもしれない?それならまだ希望が持てる。
「‥‥そういった魔法陣の資料が有る場所はありますか?」
「知らされていない。あったとしても、王族だけが閲覧出来る禁書庫だろう。」
「‥‥あるかないかを探すだけでも骨が折れそうですね。」
召還の魔法陣だけなら、神殿に忍び込めば見る事が出来るかもしれない。使うとき以外一部見られないようになっているとかはされているかもしれないけど。
でも送還の魔法陣は、存在の有無さえ判らないなんて。
帰れないんだろうか。このまま‥‥。
俺は藍ちゃんを見た。藍ちゃんが一緒なのが救いだ。本当に。
「‥‥帰れなかったら‥‥この先どうしようか‥‥。」
藍ちゃんが不安そうに言った。
「‥‥まだ、諦めるには早いだろ。当面ここで生活していくんだとしても、俺達だけじゃない。緒方さん達だっている。きっと‥‥何とかなるよ。」
「う‥ん。」
藍ちゃんが力なく頷いた。
こういうとき、圭がいたら‥‥。ああ、饒舌に異世界生活について語りそうだな!
不意に、神殿で見た光景が脳裏に蘇って来た。血の海。手足。まっぷたつの圭の顔。見開いた目‥‥。
「うぅ‥‥。」
ドクンドクンドクンドクン。心臓が踊るように脈打つ。叫び出しそうになるのを必死にこらえた。
「瑛太?」
藍ちゃんの声が聞こえた。背中に藍ちゃんの手が触れたのを感じる。
何かがこみ上げる。突然、押さえていた感情が腹の奥からわき上がって来た気がする。
「‥‥圭‥‥、圭が‥‥。」
「‥‥うん‥‥グスッ‥‥。」
「何で、圭があんな目に遭わなきゃならなかったんだよ‥‥。」
「うん‥‥。」
「圭‥‥痛かったかな‥‥。あんなに異世界目指してたのに‥‥。圭だけ‥‥。」
「うん‥‥。」
「なんでこんな‥‥。」
涙が溢れ、喉が締め付けられるように感じた。
藍ちゃんがキャラクターの絵が描かれたミニタオルを差し出してくれた。目に押して顔をうずめた。
背中を擦る手の暖かさを感じながら暫くむせび泣いた。
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