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第3章 瑛太1
第42話 スマホ祭り
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驚いてちょっと声がヒックリかえってしまった。
スマホ持ってる? 兵士の格好してるのに?呪具まで付けられていたのに?
緒方さんは、何か鎧をごそごそ弄って、隙間を作って脇の辺りから手を突っ込んだ。そして布に包んだ四角い物体を引っ張りだしてきた。
「取りあげられなかったからね。でももうバッテリーが切れて電源が入らない。」
ああ、考えてみれば俺のスマホだってバッテリーが切れたら、もう圭の写真だってメッセージのやり取りだって見る事ができないんだ。帰るまで‥‥。日本に帰れるのか判らないけど。
モバイルバッテリーは持ってるけど、それのバッテリーが切れたら終わりなんだった。
あ、バッテリー有るんじゃん。今なら。
「充電、してみますか?今ならまだバッテリー残ってるから。」
「え?あるの?バッテリー。」
緒方さんが目を見開いた。
「あ、私も持ってる!ケーブル合うかわからないけど。」
藍ちゃんがそう言った途端、江角さんと柄舟さんも鎧を緩め始めた。もしかして、皆持ってるのか、スマホ。
「ごめん。少しでいいから。100%なんて贅沢言わないから、充電させてもらえないか?頼む!」
柄舟さんが藍ちゃんにすがりつきそうな勢いだ。
ちょ、それ以上藍ちゃんに近寄らないで!
「落ち着け!柄舟!今はあの動画を再生するのが優先だろ。」
「江角だって、スマホ出してるじゃないか。」
「つい、出したけどさ。」
皆、そうだよな。大事なデータが入っていて、大切な人の写真を見たいよな。こんな世界に放り込まれたら余計に‥‥。
「皆少しずつでも充電してみましょうよ。動画だって、何人かのスマホで試したほうがいいんじゃない?」
藍ちゃんがモバイルバッテリーを取り出して、ケーブルの形状を見せている。柄舟さんは藍ちゃんのと同じケーブルでいけそうだ。SDカード使えないかもしれないけど。
俺の持ってるケーブルと切り替えればどちらのバッテリーからも充電出来るだろう。
早速充電を開始した。
バッテリーを接続して何か数分間位待ち状態みたいになったと、緒方さんの携帯が起動した。
「おおお!」
緒方さんが声を上げ、ケーブルが繋がったままログインを始めた。
柄舟さんが、緒方さんを諌める。
「気持ちはわかるが、むやみに操作するなよ。バッテリーがもったいない。あと通信オフにしておけ。通信しようとすると無駄に消耗するから。」
「わかったわかった。起動確認しただけだから。あと、これでカードさしてみればいいかな。」
緒方さんに手を差し出されて、SDカードを手渡した。念のため、既にデータはスマホにバックアップしてある。
緒方さんが俺に礼を言いながらSDカードをスマホに差し込んだ。
「俺もデータをスマホにコピーすればいいんだよな。‥‥うわ!すげー‥‥。全員分あるのか‥‥。」
緒方さんが感心したような呆れたような声を漏らした。そう、圭は、そういうやつなんですよ。
動画を再生してみて、食い入るように画面を見つめる緒方さん。そうだった。動画は一人一つじゃないんだよな。お母さん以外からも動画メッセージがあったんだ。
「う‥‥。もっと見たい。見たいが‥‥。真希も、他の連中も助けるのが優先だよなぁ‥‥」
少しだけ許して、と数秒ずつだけ再生して、また涙を拭っていた。
「あー‥‥、確信はないけど、瑛太君のスマホでなくても、解呪できるような気がしてきた‥‥。」
「俺も‥‥わからんけど‥‥‥。」
江角さんも緒方さんからSDカードを受け取ってスマホにコピーしている。
柄舟さんは、充電はできたけどSDカードの読み込みができないでがっかりしていた。
スマホ持ってる? 兵士の格好してるのに?呪具まで付けられていたのに?
緒方さんは、何か鎧をごそごそ弄って、隙間を作って脇の辺りから手を突っ込んだ。そして布に包んだ四角い物体を引っ張りだしてきた。
「取りあげられなかったからね。でももうバッテリーが切れて電源が入らない。」
ああ、考えてみれば俺のスマホだってバッテリーが切れたら、もう圭の写真だってメッセージのやり取りだって見る事ができないんだ。帰るまで‥‥。日本に帰れるのか判らないけど。
モバイルバッテリーは持ってるけど、それのバッテリーが切れたら終わりなんだった。
あ、バッテリー有るんじゃん。今なら。
「充電、してみますか?今ならまだバッテリー残ってるから。」
「え?あるの?バッテリー。」
緒方さんが目を見開いた。
「あ、私も持ってる!ケーブル合うかわからないけど。」
藍ちゃんがそう言った途端、江角さんと柄舟さんも鎧を緩め始めた。もしかして、皆持ってるのか、スマホ。
「ごめん。少しでいいから。100%なんて贅沢言わないから、充電させてもらえないか?頼む!」
柄舟さんが藍ちゃんにすがりつきそうな勢いだ。
ちょ、それ以上藍ちゃんに近寄らないで!
「落ち着け!柄舟!今はあの動画を再生するのが優先だろ。」
「江角だって、スマホ出してるじゃないか。」
「つい、出したけどさ。」
皆、そうだよな。大事なデータが入っていて、大切な人の写真を見たいよな。こんな世界に放り込まれたら余計に‥‥。
「皆少しずつでも充電してみましょうよ。動画だって、何人かのスマホで試したほうがいいんじゃない?」
藍ちゃんがモバイルバッテリーを取り出して、ケーブルの形状を見せている。柄舟さんは藍ちゃんのと同じケーブルでいけそうだ。SDカード使えないかもしれないけど。
俺の持ってるケーブルと切り替えればどちらのバッテリーからも充電出来るだろう。
早速充電を開始した。
バッテリーを接続して何か数分間位待ち状態みたいになったと、緒方さんの携帯が起動した。
「おおお!」
緒方さんが声を上げ、ケーブルが繋がったままログインを始めた。
柄舟さんが、緒方さんを諌める。
「気持ちはわかるが、むやみに操作するなよ。バッテリーがもったいない。あと通信オフにしておけ。通信しようとすると無駄に消耗するから。」
「わかったわかった。起動確認しただけだから。あと、これでカードさしてみればいいかな。」
緒方さんに手を差し出されて、SDカードを手渡した。念のため、既にデータはスマホにバックアップしてある。
緒方さんが俺に礼を言いながらSDカードをスマホに差し込んだ。
「俺もデータをスマホにコピーすればいいんだよな。‥‥うわ!すげー‥‥。全員分あるのか‥‥。」
緒方さんが感心したような呆れたような声を漏らした。そう、圭は、そういうやつなんですよ。
動画を再生してみて、食い入るように画面を見つめる緒方さん。そうだった。動画は一人一つじゃないんだよな。お母さん以外からも動画メッセージがあったんだ。
「う‥‥。もっと見たい。見たいが‥‥。真希も、他の連中も助けるのが優先だよなぁ‥‥」
少しだけ許して、と数秒ずつだけ再生して、また涙を拭っていた。
「あー‥‥、確信はないけど、瑛太君のスマホでなくても、解呪できるような気がしてきた‥‥。」
「俺も‥‥わからんけど‥‥‥。」
江角さんも緒方さんからSDカードを受け取ってスマホにコピーしている。
柄舟さんは、充電はできたけどSDカードの読み込みができないでがっかりしていた。
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