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第3章 瑛太1
第36話 埋葬
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「‥‥。」
そうっと手帳が入っていたポケットに手を突っ込んだ。ビニールっぽい感触の物が手に触れる。
引っ張り出すと、フードバッグの中に茶色い小さい紙袋が綺麗に並んで詰められていた。
小さく「岩塩」「胡椒」とか書いてある。
「圭‥‥。」
なんだ、この‥‥。準備の良さ‥‥。
自分居ない前提なのか?
「瑛太?」
藍ちゃんが覗き込んできたので手帳を開いてみせた。何か他のページに、「ある一人で大草原に現れちゃったら」ケースとかもあった。
「圭君‥‥。」
ボソリと藍ちゃんが呟く。
顔を見合わせた。
「‥‥とりあえず逃げ出せた?」
「そうだね‥‥。」
圭からしたら、今の状況は多分「何とか逃げ出せた」ってことだろう。変な水晶にも触らずに済んだ。
俺は、手帳トフードバッグをポケットに戻した。このデイバッグは召還された時に中身が出てしまったのかぺっちゃんこだけど手放したくない。
一度肩から下ろして、背負っていた自分のデイバッグの中にねじ込んだ。
そして自分のバッグもしっかり背に背負ってから、穴堀をしている人達の方にむかった。
穴堀は俺も手伝った。藍ちゃんも手伝おうとしたら、ライアンさんに「そこらの花を少し摘んでこい」と言われていた。
藍ちゃんが言う通りにすると、ハンカチのような物を穴の脇にしいてその上に置くように指示された。
穴が大分大きくなったころ、おもむろにライアンさんがナイフを取り出した。ギクリとして身構える。
ライアンさんは、布にくるんでいた圭の遺体に手を触れた。
「おい!何を!」
止めようとしたら、ライアンさんが俺の事をじっと見た。
「髪を持って行け。遺体はここに埋めるしかないが、どこかできちんと墓を作るときがあったら墓に入れてやれ。」
「髪‥‥。」
ライアンさんは少しだけ布をめくると、圭の髪の一房をナイフで切り取った。
「ハンカチとかあるか?なるべく清潔なものを。」
「あ‥‥。」
藍ちゃんがポケットからハンカチを取り出して両手で広げて差し出した。そのハンカチの上に圭の髪の一房が置かれた。
藍ちゃんは丁寧にそれを包んで、ギュッと手の中に抱えた。
圭の遺体が包まれた布をライアンさんが抱え上げた。俺も手伝おうとしたら端っこだけ少し持ってろと言われた。
布には血が大量にしみ出していた。乾いているように見えてもじっとりとしている。
ライアンさんが圭の遺体を穴の中に安置した。圭の遺体は身体が縦にまっぷたつになっていた。断面部分を下に横向きに安置した形になった。
顔の位置の布をそっと開く。もう目は閉じていた。横顔だけ見ると眠っているようにも見える。
「圭‥‥。」
涙がボロボロこぼれてきた。袖でふいていたらライアンさんが花が並んでいる布を差し出した。藍ちゃんと一本ずつ花を取って圭の顔の近くにそっと置いた。
「圭‥‥。こんなことになって。なんにもしてあげられなくて、ごめん‥‥。」
「圭君‥‥。」
藍ちゃんは名前だけ呼んで黙り込んでしまった。ライアンさんも花を遺体を包んでいる布の上に置いた。
ライアンさんは周囲の兵士を見やった。兵士達が顔を見合わせて、花を一つずつとって置いていった。
そうっと手帳が入っていたポケットに手を突っ込んだ。ビニールっぽい感触の物が手に触れる。
引っ張り出すと、フードバッグの中に茶色い小さい紙袋が綺麗に並んで詰められていた。
小さく「岩塩」「胡椒」とか書いてある。
「圭‥‥。」
なんだ、この‥‥。準備の良さ‥‥。
自分居ない前提なのか?
「瑛太?」
藍ちゃんが覗き込んできたので手帳を開いてみせた。何か他のページに、「ある一人で大草原に現れちゃったら」ケースとかもあった。
「圭君‥‥。」
ボソリと藍ちゃんが呟く。
顔を見合わせた。
「‥‥とりあえず逃げ出せた?」
「そうだね‥‥。」
圭からしたら、今の状況は多分「何とか逃げ出せた」ってことだろう。変な水晶にも触らずに済んだ。
俺は、手帳トフードバッグをポケットに戻した。このデイバッグは召還された時に中身が出てしまったのかぺっちゃんこだけど手放したくない。
一度肩から下ろして、背負っていた自分のデイバッグの中にねじ込んだ。
そして自分のバッグもしっかり背に背負ってから、穴堀をしている人達の方にむかった。
穴堀は俺も手伝った。藍ちゃんも手伝おうとしたら、ライアンさんに「そこらの花を少し摘んでこい」と言われていた。
藍ちゃんが言う通りにすると、ハンカチのような物を穴の脇にしいてその上に置くように指示された。
穴が大分大きくなったころ、おもむろにライアンさんがナイフを取り出した。ギクリとして身構える。
ライアンさんは、布にくるんでいた圭の遺体に手を触れた。
「おい!何を!」
止めようとしたら、ライアンさんが俺の事をじっと見た。
「髪を持って行け。遺体はここに埋めるしかないが、どこかできちんと墓を作るときがあったら墓に入れてやれ。」
「髪‥‥。」
ライアンさんは少しだけ布をめくると、圭の髪の一房をナイフで切り取った。
「ハンカチとかあるか?なるべく清潔なものを。」
「あ‥‥。」
藍ちゃんがポケットからハンカチを取り出して両手で広げて差し出した。そのハンカチの上に圭の髪の一房が置かれた。
藍ちゃんは丁寧にそれを包んで、ギュッと手の中に抱えた。
圭の遺体が包まれた布をライアンさんが抱え上げた。俺も手伝おうとしたら端っこだけ少し持ってろと言われた。
布には血が大量にしみ出していた。乾いているように見えてもじっとりとしている。
ライアンさんが圭の遺体を穴の中に安置した。圭の遺体は身体が縦にまっぷたつになっていた。断面部分を下に横向きに安置した形になった。
顔の位置の布をそっと開く。もう目は閉じていた。横顔だけ見ると眠っているようにも見える。
「圭‥‥。」
涙がボロボロこぼれてきた。袖でふいていたらライアンさんが花が並んでいる布を差し出した。藍ちゃんと一本ずつ花を取って圭の顔の近くにそっと置いた。
「圭‥‥。こんなことになって。なんにもしてあげられなくて、ごめん‥‥。」
「圭君‥‥。」
藍ちゃんは名前だけ呼んで黙り込んでしまった。ライアンさんも花を遺体を包んでいる布の上に置いた。
ライアンさんは周囲の兵士を見やった。兵士達が顔を見合わせて、花を一つずつとって置いていった。
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