半分異世界

月野槐樹

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第3章 瑛太1

第28話 ホワイトデーの日に

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圭の怪我の原因を引き起こした一人である本木炎一郎が、嫌みったらしく圭をからかうのが凄く腹が立つ。
本木のやつはギリギリ言い訳出来るような範囲で圭に嫌みを言う。多分確信犯なんだと思う。
文句を言ってやったし先生のも相談したけど変わらない。
腹立たしいのは圭が本木に反論しないこともある。
俺達に愚痴をこぼすでもなく、助けを求めるでもなく。「助けてくれ」って言って欲しいのかな。俺‥‥。

「なあ、瑛太。圭って松井の事好きなのかな。」

ある日悠宇がそんな事を言い出した。
松井絵琉。同じクラスでスラッとしていて胸はちょっと大きい‥‥。おっと、余計な事を考えると藍ちゃんに睨まれそうだ。
松井絵琉は、通学の途中で圭に声をかけて行く事はあるけど、どうなんだろう。圭はそう言う事何も言わないからなぁ。

熱く語るのは異世界のことだけってどうなんだよ。

ホワイトデーの前日、ホワイトデーの日は用事があって朝早く行くから迎えに来なくていいって圭に言われた。
やっぱり、俺と藍ちゃんの事を気付いていて気を遣ってんのかな。
藍ちゃんに何時ホワイトデーのプレゼントを渡そうかと考えていたからな。
でも、その事を告げた圭の様子が何となくいつもと違っているような気がした。
なんというか5mmくらいの、判らない程度の隙間をつくられたみたいな。
どうしたんだろう。
もしかして、ホワイトデーの日に俺と藍ちゃんが仲良くしているのを見たくないとかだろうか。

だから気になって、夜にメールをしてみた。

ーーーー今日何か雰囲気違ったけど、何かあったか?大丈夫?

そうしたらすぐに返事がきた。

ーーーーありがとう。大丈夫!

うーん。ぴしゃっと扉を閉められちゃった感じか?
本当に大丈夫か?明日やっぱり一緒に通学しないか?
って返信しようかと思ったけど、少し考えて止めた。
もしも俺と藍ちゃんに気を遣って通学時間をずらそうとしてたんなら、俺が問いつめるのってなかなか酷いんじゃないかって考えたから。

そうしてホワイトデーの当日、普段より30分くらい前の時間に藍ちゃんと待ち合わせをした。
俺からのプレゼントはホワイトチョコがけのケーキ。焼き菓子をホワイトチョコでコーティングした上にイチゴエキスで色付けしたチョコで花型に飾られてるやつだ。
桜の季節だし、見た目が可愛いから選んだ。藍ちゃんは凄く喜んでくれた。
普段の通学路から少しそれた道を手を繋ぎながら歩いた。凄くどきどきしたさ。
そのドキドキ感をぶち破るように携帯が鳴った。
クラス委員の広田桜威からだった。

ーーーー朝早くクラス全員集まるのに、香住だけ一人で歩いて来ているようだが大丈夫なのか?

圭が一人で通学するって言ったんだよって返事しようかと思ったけど、その前の言葉に引っかかった。

「クラス全員集まる?」

俺は藍ちゃんと顔を見合わせた。俺も藍ちゃんも同じクラスだ。全員じゃないし「???」だよ。
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