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第2章 ルチル
第22話 デスマーチでズンタカ
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『ルチルー。天タブの件だろ。今から取りに行くかー?』
「今からー?いいよー?お仕事は大丈夫?」
『終わった終わった!デスマーチ終わったとこ。夜勤明けだよー。イェーイ!!』
デスマーチってなんだろう。マーチングってズンタカタタッタってやるやつだよね。サファイヤ兄天様がズンタカしてたのかな。楽しそう!
僕はサファイヤ兄天様と、天使役場の前で待ち合わせをすることにして通話を切った。
サファイヤ兄天様が妙にテンションが高いことは特に気にしていなかったんだ。
ふよふよ飛ぶ。時々回転を入れてみたりする。どうだろう。格好いいかな?
飛んで行く他の天使達の目線をちょっと意識しながら僕は天使役場前に向かった。
天使役場前には門があって門番が立っている。その門の隣に蹲る姿があった。
「あれ? サファイヤお兄ちゃん?」
門の横で蹲っているのはサファイヤ兄天様に見えた。僕は慌てて近くまで飛んで行った。
「サファイヤお兄‥‥兄天様!どうしたの?大丈夫?」
「あー‥‥ルチルー。いやぁ、ちょっと目眩がしてさ‥‥。大丈夫、少し休んだし‥‥。ほら‥‥。」
サファイヤ兄天様の顔色は青白かった。門の端っこのところに手をかけてユラリと立ち上がった。
あ、門番がちょっと睨んでる。門に触っちゃだめなんじゃないの?
「ほら、もうだいじょう‥‥ぶ‥‥。」
サファイヤ兄天様の目つきがぼんやりしているな、と思ったら、グラーっと身体が傾いて行った。
バターンとその場に倒れる。
「サファイヤお兄ちゃん!」
僕が近寄るのと同時に門番さんもサファイヤ兄天様に近付いて、顔とか首に触れた。
「あー。体力と天力が弱まってるなぁ。救護班を呼ぶか。」
門番さんが、胸にぶら下げている天フォンでどこかに連絡を始めた。あ、門番さんの天フォン、僕のより大きいや。
それよりサファイヤ兄天様は大丈夫なんだろうか。体力天力? 弱まってるってどういうこと?
ホファンホファンと音を立てて救護班が救護雲で駆けつけてきた。
担架に乗せながら何か機械でチェックしてる。
「天使病棟に運ぶぞ。あ、君。彼の職場に連絡した方がいいぞ。多分当面ヘルプが必要だ。」
「え?」
「ほら、ここに。」
救護班の天使が、サファイヤ兄天様の胸ポケットに漬けていた従業天使証を取って、僕に手渡した。役場勤めの天使は身分証とは別に従業天使証を持ってるらしい。
「お、これもか?」
救護班がサファイヤ兄天様の胸ポケットから更に何か取り出して、僕に差し出した。僕の顔が書いてある。天タブ引換証らしい。
「あ、天タブ取りに来たんだった‥‥。」
「天タブ」って書いてあるのちゃんと読めたよ。僕は救護班の天使から天タブ引換証を受け取って両手で大事に持った。
「天タブ受け取り窓口は入って右手の方にあったと思うよ。よし、病棟のベッドの空き確認できたな。出発だ。」
救護班はサファイヤ兄天様を救護雲に乗せると、またホファンホファンと音を鳴らしながら飛んで行ってしまった。
後に残された僕は、サファイヤ兄天様の従業天使証と天タブ引換証を握りしめたまま、門番さんの顔を見上げた。
じっと見つめていたら門番さんは門を開いてくれた。
「‥‥本当は保護者同伴が原則なんだがなぁ‥‥。天タブ受け取りはさっき聞いた通り、入って右だ。職場はな‥‥、この先の通路を真直ぐに行った後、突き当たりの手前を左に曲がって少し行って左。
その先を右。通路に部署名が貼ってあるぞ。」
門番さんはちらりとサファイヤ兄天様の従業天使証を見てから、門の奥を指差した。
天タブは入って右!覚えた!サファイヤ兄天様の職場は、左、右、左‥‥?? 部署名貼ってあるっていうから大丈夫かな。
門番さんにお礼をいって、門を通り抜けた。ちゃんとぺこりってお辞儀をしたよ。
入って右手にふよふよと飛んで行った。思ったより遠かったけど、すぐわかったよ。
だって「天タブ」って読めたんだ。
受付は赤い髪をしたガーネットさんていう名前の天使さんだった。
「今からー?いいよー?お仕事は大丈夫?」
『終わった終わった!デスマーチ終わったとこ。夜勤明けだよー。イェーイ!!』
デスマーチってなんだろう。マーチングってズンタカタタッタってやるやつだよね。サファイヤ兄天様がズンタカしてたのかな。楽しそう!
僕はサファイヤ兄天様と、天使役場の前で待ち合わせをすることにして通話を切った。
サファイヤ兄天様が妙にテンションが高いことは特に気にしていなかったんだ。
ふよふよ飛ぶ。時々回転を入れてみたりする。どうだろう。格好いいかな?
飛んで行く他の天使達の目線をちょっと意識しながら僕は天使役場前に向かった。
天使役場前には門があって門番が立っている。その門の隣に蹲る姿があった。
「あれ? サファイヤお兄ちゃん?」
門の横で蹲っているのはサファイヤ兄天様に見えた。僕は慌てて近くまで飛んで行った。
「サファイヤお兄‥‥兄天様!どうしたの?大丈夫?」
「あー‥‥ルチルー。いやぁ、ちょっと目眩がしてさ‥‥。大丈夫、少し休んだし‥‥。ほら‥‥。」
サファイヤ兄天様の顔色は青白かった。門の端っこのところに手をかけてユラリと立ち上がった。
あ、門番がちょっと睨んでる。門に触っちゃだめなんじゃないの?
「ほら、もうだいじょう‥‥ぶ‥‥。」
サファイヤ兄天様の目つきがぼんやりしているな、と思ったら、グラーっと身体が傾いて行った。
バターンとその場に倒れる。
「サファイヤお兄ちゃん!」
僕が近寄るのと同時に門番さんもサファイヤ兄天様に近付いて、顔とか首に触れた。
「あー。体力と天力が弱まってるなぁ。救護班を呼ぶか。」
門番さんが、胸にぶら下げている天フォンでどこかに連絡を始めた。あ、門番さんの天フォン、僕のより大きいや。
それよりサファイヤ兄天様は大丈夫なんだろうか。体力天力? 弱まってるってどういうこと?
ホファンホファンと音を立てて救護班が救護雲で駆けつけてきた。
担架に乗せながら何か機械でチェックしてる。
「天使病棟に運ぶぞ。あ、君。彼の職場に連絡した方がいいぞ。多分当面ヘルプが必要だ。」
「え?」
「ほら、ここに。」
救護班の天使が、サファイヤ兄天様の胸ポケットに漬けていた従業天使証を取って、僕に手渡した。役場勤めの天使は身分証とは別に従業天使証を持ってるらしい。
「お、これもか?」
救護班がサファイヤ兄天様の胸ポケットから更に何か取り出して、僕に差し出した。僕の顔が書いてある。天タブ引換証らしい。
「あ、天タブ取りに来たんだった‥‥。」
「天タブ」って書いてあるのちゃんと読めたよ。僕は救護班の天使から天タブ引換証を受け取って両手で大事に持った。
「天タブ受け取り窓口は入って右手の方にあったと思うよ。よし、病棟のベッドの空き確認できたな。出発だ。」
救護班はサファイヤ兄天様を救護雲に乗せると、またホファンホファンと音を鳴らしながら飛んで行ってしまった。
後に残された僕は、サファイヤ兄天様の従業天使証と天タブ引換証を握りしめたまま、門番さんの顔を見上げた。
じっと見つめていたら門番さんは門を開いてくれた。
「‥‥本当は保護者同伴が原則なんだがなぁ‥‥。天タブ受け取りはさっき聞いた通り、入って右だ。職場はな‥‥、この先の通路を真直ぐに行った後、突き当たりの手前を左に曲がって少し行って左。
その先を右。通路に部署名が貼ってあるぞ。」
門番さんはちらりとサファイヤ兄天様の従業天使証を見てから、門の奥を指差した。
天タブは入って右!覚えた!サファイヤ兄天様の職場は、左、右、左‥‥?? 部署名貼ってあるっていうから大丈夫かな。
門番さんにお礼をいって、門を通り抜けた。ちゃんとぺこりってお辞儀をしたよ。
入って右手にふよふよと飛んで行った。思ったより遠かったけど、すぐわかったよ。
だって「天タブ」って読めたんだ。
受付は赤い髪をしたガーネットさんていう名前の天使さんだった。
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