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第1章 圭
第15話 考え過ぎ音頭を踊る日々
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特に目新しい情報はないかな‥‥。動画があるな。
行方不明者の家族からのメッセージ動画が何本もあがっていた。埼玉、栃木、千葉それぞれの家族の代表だか全員だかで一本ずつ。
それと、個別の家族からの動画。これは沢山ある。
もしも異世界に行くのなら。行って、もしも異世界でこの行方不明者の人達に会ったとしたら、動画を見せてあげたいよなぁ。
そう考えて、ちょっと自分で不思議になった。
行方不明者家族の手紙のキャプチャとかせっせと印刷したりはしていたけど。
家族からのメッセージ動画を見たら喜ぶだろうと、考えられる自分がいたんだなぁと不思議な気分。
家族からのメッセージは嬉しいだろうか。
母さんからの動画はちょっと見るのが怖いかも‥‥。いや、動画がなかったらと思うと怖いのかな。
だったら、メッセージがあったら嬉しいってことかな。
もしも異世界に行ったなら、兄さんは‥‥兄さんなら僕を捜そうとしてくれるだろうか。心配してくれるだろうか。
「はぁ~、多分考え過ぎ~。いつも大体考え過ぎ~。」
沈みがちな気分を払拭する為に、考え過ぎ音頭を踊っておこう。
サイトの動画については一応ダウンロードして、マイクロSDカードに入れておくことにした。家族への想いって感覚を意識していたいから。
習慣となっている「もしも荷物」チェック。
買い物したついでに100均ショップで買って来た裁縫セットとミニ手鏡を追加しておこう。あと小さい石鹸。手鏡を見たらひらめいたんだよね。
これって異世界で売ったらお金になるって。
なので小さいミラーをいくつか買っておいたんだ。
そして着実に荷物が重くなっている。
「初めて読む人用」のメモ書きに、資金調達の為のアイデアを書いておこう。
資金調達用物資はその他に無難そうな黒っぽい岩塩とかも入れてある。石鹸もまあまあ売れるんじゃないかと思う。手鏡はね。異世界なら高く売れそうだけど、鏡の品質が一般的でなさすぎると売る時にトラブルになるかもしれないよね。
ブーっと再びスマホから着信音がした。
今度は悠宇からだった。
ーーーー明日の朝早く出るのって、松井関連?一緒に行こうか?
「保護者か。」
思わず突っ込んでしまう。ふふっと思わず口元がにやける。
「ありがとう。一人で大丈夫だよ。」
軽く返事を書いて送信。
「はーぁ」
もう一度天井を見上げた。うーんと両手を伸ばして伸びをする。
まだ、異世界に行くっていう妄想は消えていない。でも、でもね。もしも異世界に行ったとしても、
戻ってきたいって初めて思ったよ。
瑛太も悠宇も僕の事を気に留めていてくれる。ありがたいなぁ。
僕って単純だなぁ。なんかニヤニヤしちゃうよ。
「そーだ!」
ベッドから起き上がって、机に向かう。
ご挨拶データを更新しておこう。
「‥‥圭です。この映像を見ているということは、今頃僕が異世界に旅立った後なんだと思います‥‥。」
行方不明者の家族からのメッセージ動画が何本もあがっていた。埼玉、栃木、千葉それぞれの家族の代表だか全員だかで一本ずつ。
それと、個別の家族からの動画。これは沢山ある。
もしも異世界に行くのなら。行って、もしも異世界でこの行方不明者の人達に会ったとしたら、動画を見せてあげたいよなぁ。
そう考えて、ちょっと自分で不思議になった。
行方不明者家族の手紙のキャプチャとかせっせと印刷したりはしていたけど。
家族からのメッセージ動画を見たら喜ぶだろうと、考えられる自分がいたんだなぁと不思議な気分。
家族からのメッセージは嬉しいだろうか。
母さんからの動画はちょっと見るのが怖いかも‥‥。いや、動画がなかったらと思うと怖いのかな。
だったら、メッセージがあったら嬉しいってことかな。
もしも異世界に行ったなら、兄さんは‥‥兄さんなら僕を捜そうとしてくれるだろうか。心配してくれるだろうか。
「はぁ~、多分考え過ぎ~。いつも大体考え過ぎ~。」
沈みがちな気分を払拭する為に、考え過ぎ音頭を踊っておこう。
サイトの動画については一応ダウンロードして、マイクロSDカードに入れておくことにした。家族への想いって感覚を意識していたいから。
習慣となっている「もしも荷物」チェック。
買い物したついでに100均ショップで買って来た裁縫セットとミニ手鏡を追加しておこう。あと小さい石鹸。手鏡を見たらひらめいたんだよね。
これって異世界で売ったらお金になるって。
なので小さいミラーをいくつか買っておいたんだ。
そして着実に荷物が重くなっている。
「初めて読む人用」のメモ書きに、資金調達の為のアイデアを書いておこう。
資金調達用物資はその他に無難そうな黒っぽい岩塩とかも入れてある。石鹸もまあまあ売れるんじゃないかと思う。手鏡はね。異世界なら高く売れそうだけど、鏡の品質が一般的でなさすぎると売る時にトラブルになるかもしれないよね。
ブーっと再びスマホから着信音がした。
今度は悠宇からだった。
ーーーー明日の朝早く出るのって、松井関連?一緒に行こうか?
「保護者か。」
思わず突っ込んでしまう。ふふっと思わず口元がにやける。
「ありがとう。一人で大丈夫だよ。」
軽く返事を書いて送信。
「はーぁ」
もう一度天井を見上げた。うーんと両手を伸ばして伸びをする。
まだ、異世界に行くっていう妄想は消えていない。でも、でもね。もしも異世界に行ったとしても、
戻ってきたいって初めて思ったよ。
瑛太も悠宇も僕の事を気に留めていてくれる。ありがたいなぁ。
僕って単純だなぁ。なんかニヤニヤしちゃうよ。
「そーだ!」
ベッドから起き上がって、机に向かう。
ご挨拶データを更新しておこう。
「‥‥圭です。この映像を見ているということは、今頃僕が異世界に旅立った後なんだと思います‥‥。」
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