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聞くか聞かぬか
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「・・・エイダ?」
「ユリアさまっ!」
ここにいる筈のない少女が涙を浮かべてユリアティエルの胸に飛び込んで来た。
それを抱きとめながらも、状況が分からずに、ユリアティエルは視線をカサンドロスへと向けた。
「お前を追って来たようだ。あの男・・・ノヴァイアスと一緒に」
「ノヴァイアス? ノヴァイアス・・・さまが来ているのですか? ではまさか、先ほどの争いの音は・・・?」
「ああ、違う。あれはシャイラックだ。お前を取り返そうと傭兵を雇って襲ってきたのだ。どうしてもお前を犯したかったらしい」
「え・・・?」
「危うく逃げられてしまうところだったが、折よくノヴァイアスが現れてくれてな」
「・・・はあ」
カサンドロスの返答が端的過ぎて、ユリアティエルは未だ状況が掴めず、視線を彷徨わせている。
そこに胸に顔を埋めていたエイダと目が合った。
「え、と・・・エイダはどうしてノヴァイアスさまと一緒だったのかしら?」
この二人がどうして一緒になったのか、まずそれが理解出来ず、目の前のエイダに説明を求めた。
「・・・見世物用の檻にいた時に、シェケムたちの話し声が聞こえたんです。シャイラックは、強盗に襲われたと見せかけて新しいご主人さまを殺し、ユリアさまを攫うつもりでいたんです」
「え・・・?」
予想外の答えに、ユリアティエルの身体が強ばった。
「私、悔しくて、悲しくて・・・。ユリアさまがどんな目に遭わされるかって、心配で。その時あの方が・・・ノヴァイアスさまがユリアさまを探しに来られて・・・」
エイダは涙腺が崩壊したのか、これまで殆ど泣いたこともなかったのに、今はポロポロとずっと泣き続けている。
それが申し訳なくて、ユリアティエルはエイダをずっと抱きしめていた。
だが、こうしてエイダは目の前にいるものの、一緒に来たというノヴァイアスの姿は見えない。
不思議に思って視線を泳がすと、カサンドロスはそれに気づいたのか、「ノヴァイアスなら別室にいる」と言ってきた。
なぜここではなく別室なのか、という疑問も湧いたが、カサンドロスには説明する気がないらしい。
次に告げたのはこんな言葉だった。
「この後、奴の話を聞くことになっている。これまでの出来事の背後にいるのは誰か、この国の未来はどうなるのか、奴が知っている事を全て話してくれるそうだ。・・・どうする、お前も来るか?」
ユリアティエルは目を見開いた。
これまでの出来事の、背後にいる誰か・・・?
カルセイランに『傀儡』の術をかけ、ユリアティエルを婚約者の地位から追い落とした者。
ノヴァイアスにユリアティエルを追わせ、純潔を奪わせた者。
そしてサルトゥリアヌスに、ユリアティエルを売り飛ばすように指示した者。
そうだわ、私は何も知らない・・・。
何故、カルセイランさまが、そして私が狙われたのか、その本当の理由も、それを行った人のことも知らない。
どうして自分がここまで執拗に追い回されるのかも。
唇をきゅっと噛んだ。
そうよ、このままでは、ただ怯えて逃げ回るだけの日々しか残らない。
カルセイランさまだって、きっと苦しんでおられる。
きっと、闘っておられる筈。
共にあることは出来なくても、せめて何が起こっているかは知っておきたい。
そう思い、願い出た。
「わたくしも知りとうございます。どうかお話を聞かせてくださいませ」と。
「ユリアさまっ!」
ここにいる筈のない少女が涙を浮かべてユリアティエルの胸に飛び込んで来た。
それを抱きとめながらも、状況が分からずに、ユリアティエルは視線をカサンドロスへと向けた。
「お前を追って来たようだ。あの男・・・ノヴァイアスと一緒に」
「ノヴァイアス? ノヴァイアス・・・さまが来ているのですか? ではまさか、先ほどの争いの音は・・・?」
「ああ、違う。あれはシャイラックだ。お前を取り返そうと傭兵を雇って襲ってきたのだ。どうしてもお前を犯したかったらしい」
「え・・・?」
「危うく逃げられてしまうところだったが、折よくノヴァイアスが現れてくれてな」
「・・・はあ」
カサンドロスの返答が端的過ぎて、ユリアティエルは未だ状況が掴めず、視線を彷徨わせている。
そこに胸に顔を埋めていたエイダと目が合った。
「え、と・・・エイダはどうしてノヴァイアスさまと一緒だったのかしら?」
この二人がどうして一緒になったのか、まずそれが理解出来ず、目の前のエイダに説明を求めた。
「・・・見世物用の檻にいた時に、シェケムたちの話し声が聞こえたんです。シャイラックは、強盗に襲われたと見せかけて新しいご主人さまを殺し、ユリアさまを攫うつもりでいたんです」
「え・・・?」
予想外の答えに、ユリアティエルの身体が強ばった。
「私、悔しくて、悲しくて・・・。ユリアさまがどんな目に遭わされるかって、心配で。その時あの方が・・・ノヴァイアスさまがユリアさまを探しに来られて・・・」
エイダは涙腺が崩壊したのか、これまで殆ど泣いたこともなかったのに、今はポロポロとずっと泣き続けている。
それが申し訳なくて、ユリアティエルはエイダをずっと抱きしめていた。
だが、こうしてエイダは目の前にいるものの、一緒に来たというノヴァイアスの姿は見えない。
不思議に思って視線を泳がすと、カサンドロスはそれに気づいたのか、「ノヴァイアスなら別室にいる」と言ってきた。
なぜここではなく別室なのか、という疑問も湧いたが、カサンドロスには説明する気がないらしい。
次に告げたのはこんな言葉だった。
「この後、奴の話を聞くことになっている。これまでの出来事の背後にいるのは誰か、この国の未来はどうなるのか、奴が知っている事を全て話してくれるそうだ。・・・どうする、お前も来るか?」
ユリアティエルは目を見開いた。
これまでの出来事の、背後にいる誰か・・・?
カルセイランに『傀儡』の術をかけ、ユリアティエルを婚約者の地位から追い落とした者。
ノヴァイアスにユリアティエルを追わせ、純潔を奪わせた者。
そしてサルトゥリアヌスに、ユリアティエルを売り飛ばすように指示した者。
そうだわ、私は何も知らない・・・。
何故、カルセイランさまが、そして私が狙われたのか、その本当の理由も、それを行った人のことも知らない。
どうして自分がここまで執拗に追い回されるのかも。
唇をきゅっと噛んだ。
そうよ、このままでは、ただ怯えて逃げ回るだけの日々しか残らない。
カルセイランさまだって、きっと苦しんでおられる。
きっと、闘っておられる筈。
共にあることは出来なくても、せめて何が起こっているかは知っておきたい。
そう思い、願い出た。
「わたくしも知りとうございます。どうかお話を聞かせてくださいませ」と。
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