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解放と口づけ
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そして、作戦決行日。
ヘルディは、未だに熱を持った体で立ち上がる。届けさせて、ベッドサイドに置いてある自分の左腕をくるくると回す。
そして、思いっきり地面に叩きつけた。
「うん、ちゃんとできてるね」
魔封石の構造設計は、技師や魔法工学の女を夢で弄んで手に入れた。
自作した鋳型と鉄の塊を握りこんだまま、ミクファの拳を受け止めた。
だから、炭化したヘルディの左手の中には、アリアを解放する鍵が握りこまれている。
◇
「………あぁ、ぅう」
もう、いつヘルディが来てもおかしくない。だから喘ぎ声は抑えたかったのに、陰核に吸い付く触手に弄ばれて、どうしても声が出る。
両膝を触手に絡め取られ、M字で中空に固定されたまま、アリアはぎゅう、と眉根を寄せる。
「……あ、あんっ!」
また、軽く絶頂させられる。果てるまでの閾が異様に短い。背筋から一直線に官能が貫いて、また愛液が垂れた。
ちょうどその時、石牢が開いた。
「こんばんは。元気だったかい」
「…………ヘル、ディ?」
扉から顔を出したヘルディに、アリアは目を大きくする。苛まれ続けている体の感覚も一瞬、頭から吹き飛んだ。
あきらかに体調に異常をきたしている。
わかりやすい所で言うと、まず左腕がない。肩口からぐるぐるに包帯を巻かれている。さらに夥しい発汗と、ふらつく重心。よく見ると、焦点も合っているんだか怪しかった。
ヘルディが牢壁のスイッチを押す。
「ふ、ぅ……っ、大丈夫、です、か?」
触手が壁に引っ込み、魔封石を残して自由となったアリアは、慌ててヘルディに駆け寄る。肩を支えようとして、少し考え腰に手を回した。
「ああ、問題ない。君こそ大丈夫かい? 今日もナスチャに責められていただろう」
「別に、どうということはないです……。というか、どうしてそんなに平然としているんですか」
「熱も痛みも、焦点が合わないのもよくあることだよ。対処法を覚えれば動くのはそこまで難しくない」
僕は忌子だから。
そう言って回した腕を押し戻される。
結局、自分の足で立つヘルディは、一本の鍵を懐から取り出す。
「たぶん型は合っているはずだけど、ぶっつけ本番だから試してみよう。右手を出して」
言われるがままに腕を出す。
ヘルディが持ってきた鍵は、きちんと鍵穴に合致した。
今まで散々自分を苦しめてきた、魔力を封じる枷があっけなく外れる。
「うん、合うね」
「礼を言うのは癪ですが、その、ありがとうございます。この調子で他の枷も……」
「うん、あとでね」
「え、な……んんっ、むう……っ!」
片腕とは思えない力で腕を回されて、バランスを崩す。
裸の体を抱かれて、荒々しく唇を合わせられた。
「んっ、んーっ!」
「ふ、ぅ。どうせ、ミクファが攻撃してくるまでは待機だ。……だから、それまで」
抗議するように胸板を叩くが、深みのある黒い瞳に見つめられて体が固まる。体の中心にじくじくと熱が生まれる。
ああ、またその目だ。
何かを訴えるような、意志の強い目。
いつもはへらへらと掴みどころなく見下して来る癖に、こんなときばかりそういう表情をするから、とてもずるい。
ヘルディの目から逃げるように瞼を下ろして、アリアは薄く唇を開く。
ヘルディの熱い舌に唇を撫でられて、ぞくぞくと背筋が震える。
「ん、ふぅ。あ……、うう、ん、むっ、んんん……っ」
性急さはなく、だけどすべてを暴くように。
唇の端に舌を這わされ、ゆっくりと口内に入り込んでくる。歯列をなぞられ、舌を絡められ、互いの唾液を混じらせて、いちど唇を離された。
こくり、とヘルディの喉が上下する。自分の唾液を嚥下されていると気づいて、かあと全身が熱くなった。
「ちょっと、なにして……っ!」
「黙って」
「んんっ、んーっ! んんーーーっ!」
また、口づけ。今度は、深い。
上から覆いかぶさられるように、喉の奥まで舌を突き入れられて、アリアはくらくらと頭を揺らした。息が吸えない、くちゅり、と淫猥な水音が自分の口から発せられるのが信じられない。
口蓋を撫でられて、甘い息が鼻から漏れる。酸欠の頭に快楽だけが届いた。
太腿を擦り合わせて、アリアは縋るようにヘルディの服を掴む。支えがないと崩れてしまいそうだった。
「ん、ううっ、ぁん……っ、っく、ああっ、あ……っ!」
「……可愛いね」
囁かれた言葉にかちんとする。
―――なにが可愛いだ。
「……っ、ん、ぐっ!」
「うわっ」
ふざけるな。
ヘルディの後頭部に腕を回して、アリアは力いっぱい顔を押し付ける。
がちん、と歯が当たったが関係ない。
痛かろうが苦しかろうが全部受け止めろ、この馬鹿。
「ふぅ、んんっ、んーっ! ぅ、うっ!」
技術も何もなく、ただ舌を届くところまで差し入れる。ヘルディの口の中は熱のせいか異様に熱く、そして仄かに甘い。
ざりり、と舌の根元をなぞってやると、ヘルディが湿った息を漏らした。
「んっ」
「ふ、ふ、……あなた、も。可愛い、ですね」
「…………へえ」
低い声をかけられて、ますます体が昂る。わかっていてやっているなら、それも含めて憎たらしい。
ヘルディの仕返しには容赦がなかった。
口内を蹂躙され、耳を犯すような水音を立てられて、意識まで流されてしまいそうになるのを必死でこらえる。
体は既に流されてしまっていて、がくがくと震えて熱くなる。快楽の狭間で、悶え狂う。
―――そんな私を楽しそうに見る、貴方が嫌い。
嫌い、きらい、だいきらい。
心の中で何度も叫んで、アリアは強く、ヘルディの体を抱きしめた。
ヘルディは、未だに熱を持った体で立ち上がる。届けさせて、ベッドサイドに置いてある自分の左腕をくるくると回す。
そして、思いっきり地面に叩きつけた。
「うん、ちゃんとできてるね」
魔封石の構造設計は、技師や魔法工学の女を夢で弄んで手に入れた。
自作した鋳型と鉄の塊を握りこんだまま、ミクファの拳を受け止めた。
だから、炭化したヘルディの左手の中には、アリアを解放する鍵が握りこまれている。
◇
「………あぁ、ぅう」
もう、いつヘルディが来てもおかしくない。だから喘ぎ声は抑えたかったのに、陰核に吸い付く触手に弄ばれて、どうしても声が出る。
両膝を触手に絡め取られ、M字で中空に固定されたまま、アリアはぎゅう、と眉根を寄せる。
「……あ、あんっ!」
また、軽く絶頂させられる。果てるまでの閾が異様に短い。背筋から一直線に官能が貫いて、また愛液が垂れた。
ちょうどその時、石牢が開いた。
「こんばんは。元気だったかい」
「…………ヘル、ディ?」
扉から顔を出したヘルディに、アリアは目を大きくする。苛まれ続けている体の感覚も一瞬、頭から吹き飛んだ。
あきらかに体調に異常をきたしている。
わかりやすい所で言うと、まず左腕がない。肩口からぐるぐるに包帯を巻かれている。さらに夥しい発汗と、ふらつく重心。よく見ると、焦点も合っているんだか怪しかった。
ヘルディが牢壁のスイッチを押す。
「ふ、ぅ……っ、大丈夫、です、か?」
触手が壁に引っ込み、魔封石を残して自由となったアリアは、慌ててヘルディに駆け寄る。肩を支えようとして、少し考え腰に手を回した。
「ああ、問題ない。君こそ大丈夫かい? 今日もナスチャに責められていただろう」
「別に、どうということはないです……。というか、どうしてそんなに平然としているんですか」
「熱も痛みも、焦点が合わないのもよくあることだよ。対処法を覚えれば動くのはそこまで難しくない」
僕は忌子だから。
そう言って回した腕を押し戻される。
結局、自分の足で立つヘルディは、一本の鍵を懐から取り出す。
「たぶん型は合っているはずだけど、ぶっつけ本番だから試してみよう。右手を出して」
言われるがままに腕を出す。
ヘルディが持ってきた鍵は、きちんと鍵穴に合致した。
今まで散々自分を苦しめてきた、魔力を封じる枷があっけなく外れる。
「うん、合うね」
「礼を言うのは癪ですが、その、ありがとうございます。この調子で他の枷も……」
「うん、あとでね」
「え、な……んんっ、むう……っ!」
片腕とは思えない力で腕を回されて、バランスを崩す。
裸の体を抱かれて、荒々しく唇を合わせられた。
「んっ、んーっ!」
「ふ、ぅ。どうせ、ミクファが攻撃してくるまでは待機だ。……だから、それまで」
抗議するように胸板を叩くが、深みのある黒い瞳に見つめられて体が固まる。体の中心にじくじくと熱が生まれる。
ああ、またその目だ。
何かを訴えるような、意志の強い目。
いつもはへらへらと掴みどころなく見下して来る癖に、こんなときばかりそういう表情をするから、とてもずるい。
ヘルディの目から逃げるように瞼を下ろして、アリアは薄く唇を開く。
ヘルディの熱い舌に唇を撫でられて、ぞくぞくと背筋が震える。
「ん、ふぅ。あ……、うう、ん、むっ、んんん……っ」
性急さはなく、だけどすべてを暴くように。
唇の端に舌を這わされ、ゆっくりと口内に入り込んでくる。歯列をなぞられ、舌を絡められ、互いの唾液を混じらせて、いちど唇を離された。
こくり、とヘルディの喉が上下する。自分の唾液を嚥下されていると気づいて、かあと全身が熱くなった。
「ちょっと、なにして……っ!」
「黙って」
「んんっ、んーっ! んんーーーっ!」
また、口づけ。今度は、深い。
上から覆いかぶさられるように、喉の奥まで舌を突き入れられて、アリアはくらくらと頭を揺らした。息が吸えない、くちゅり、と淫猥な水音が自分の口から発せられるのが信じられない。
口蓋を撫でられて、甘い息が鼻から漏れる。酸欠の頭に快楽だけが届いた。
太腿を擦り合わせて、アリアは縋るようにヘルディの服を掴む。支えがないと崩れてしまいそうだった。
「ん、ううっ、ぁん……っ、っく、ああっ、あ……っ!」
「……可愛いね」
囁かれた言葉にかちんとする。
―――なにが可愛いだ。
「……っ、ん、ぐっ!」
「うわっ」
ふざけるな。
ヘルディの後頭部に腕を回して、アリアは力いっぱい顔を押し付ける。
がちん、と歯が当たったが関係ない。
痛かろうが苦しかろうが全部受け止めろ、この馬鹿。
「ふぅ、んんっ、んーっ! ぅ、うっ!」
技術も何もなく、ただ舌を届くところまで差し入れる。ヘルディの口の中は熱のせいか異様に熱く、そして仄かに甘い。
ざりり、と舌の根元をなぞってやると、ヘルディが湿った息を漏らした。
「んっ」
「ふ、ふ、……あなた、も。可愛い、ですね」
「…………へえ」
低い声をかけられて、ますます体が昂る。わかっていてやっているなら、それも含めて憎たらしい。
ヘルディの仕返しには容赦がなかった。
口内を蹂躙され、耳を犯すような水音を立てられて、意識まで流されてしまいそうになるのを必死でこらえる。
体は既に流されてしまっていて、がくがくと震えて熱くなる。快楽の狭間で、悶え狂う。
―――そんな私を楽しそうに見る、貴方が嫌い。
嫌い、きらい、だいきらい。
心の中で何度も叫んで、アリアは強く、ヘルディの体を抱きしめた。
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