8 / 30
夢の中で
しおりを挟む
人間から生まれたとはいえ、ヘルディの本質はインキュバスだ。
だから、定期的に女性の夢に入り込んで精気を吸わなければいけない。
でも。
―――本当に、これのどこが楽しいんだか。
ヘルディが訪れていた先にあったのは、ごちゃごちゃとした、研究室のような空間だった。
つるつるとした白い床。天井には血管のようにパイプが通り、破れた個所から桃色の蒸気が溢れている。
空気は肌に張り付くようにじっとりとしていて、一呼吸ごとに肺が侵されているような気さえした。
そしてその、ごちゃごちゃとした空間の中心に置かれた、場違いなベッド。
薄いネグリジェだけを纏った女が、座って待っていた。
「結局、来たのね。いらっしゃい、私の夢に」
「相変わらず、ごちゃごちゃしてるね」
「これでも綺麗にしたのよ。でもまあ、そこかしこから溢れているけれど」
「ああ、まあ。ナスチャの夢は綺麗な方だよ」
快楽に堕ちた女の夢はどろどろの輪郭と瘴気に満ちるし、怯える女の夢は暗くて刺々しくて気が滅入る。
こちらも薄い布を纏っただけのヘルディは、ナスチャの肩に手を添えて、軽い力でベッドに倒した。
腰まである栗色の髪がベッドに広がって、ナスチャは妖艶に笑った。
「エルフの体は華奢でしょう。物足りなかったのではなくて?」
ネグリジェをぐぐ、と盛り上げる双丘を救い上げて、ヘルディは笑った。
「そうだね、それぞれ良いところはあるけれど、君の方が大衆受けはすると思うよ」
布の下で内股になっている足は、張りのある肌の下、太腿と臀部にむちりと肉が乗っている。
腰から腹にかけてがアリアと同じぐらいにくびれているから、その上にずっしりと実った果実が一層際立つ。
「んう……っ」
艶やかな声がナスチャの湿った唇から漏れて、ネグリジェが消えた。
ヘルディの首に手を回して、ナスチャは笑う。
「触りたいのね」
「そりゃあね」
「あああっ、……気持ち、良いわよ。ヘルディ」
「それはよかった」
どれぐらいの間待っていたのか。あるいはナスチャも溜まっていたのか。秘裂の合わせ目を開くと愛液が糸を引いていた。
その奥、濃い色の襞へと指を埋め込んで動かしてやると、ナスチャは感じ入るように目を閉じ、嬌声を漏らす。
ヘルディが精気を吸い取る相手は、ここ数年代わっていない。
悪い言い方をすれば、ナスチャが一番マシ、という理由だ。
Gスポットに爪を突き立て、媚薬を入れてやると、ナスチャの体が反りあがった。
「ううんっ、はあ、はああっ! あああっ」
「いいよ。たくさん」
「ええ……。たくさん、吸って。イく……からっ」
がくん、とナスチャの体が大きく跳ね上がり、ぶるりと乳房が震える。ヘルディの腕を挟み込むように柔らかな太腿が締まって、迸りで手首まで濡れる。
同時に、ヘルディの体の内に精気が溜まった。
◇
「あああっ! イく、また、イくわっ! ああんっ」
夢の世界に、体力の限界はない。
現実で目を覚ますまでずっと交わっていることが可能な世界で、打ち上げられた魚のように体を跳ねさせて、ナスチャはまた絶頂を迎えた。
陰核、胸、陰唇、さらには舌にまでヘルディの媚薬は回り、もうキスでも果てるような体になって快楽を貪っている。
「さて、そろそろ良いかな」
濃いピンク色の蒸気で満ちてきた空間に内心で顔をしかめながら、ヘルディは起き上がる。
その手を、ナスチャが掴んだ。
「だめ、行かないで。最後に……、ねえ」
ナスチャは内腿を手で割り広げ、陰唇が開くぐらいに足を広げる。
熟れた尻肉、窄まった肛門、そしてその上で真っ白な液を垂らす膣を指で広げて、腰を揺すった。
「お願い……」
「種は混ぜないよ」
それだけ言って、ヘルディは己が纏っていた布も消す。
嫌悪感を持っていてもやはり男で、すでに固くなっていた陰茎を当てる。
「ああっ、あ……あっ」
ぐちゅり、と鈴口が粘液に包まれる。それを潤滑油に、ずぷずぷと体重をかける。
半分ぐらいまで入れたところで、Gスポットを擦り上げられたのか、ナスチャが果てて中が締まった。
「ああっ、気持ち、良い、わ」
返事の代わりにキスを落として、ヘルディはそのまま体重をかける。
精液を絞り出そうと蠢く肉襞を抉るように、ずんっ、と奥まで突いてやると、ナスチャははくはくと口を開いた。
「っ――――~~~~~っ!」
「……っ。じゃあ、動くよ」
きゅうきゅうと圧迫してくる肉を削ぐように、力強く肉杭を打ち込む。
一突きごとに子宮口まで押し込む力強い抽挿に、ナスチャは恍惚とした表情を浮かべた。
「ああ、ああうっ! いい、気持ちいいわ、ヘル、ディ!」
「僕も、気持ちいいよ」
「貴方が、一番よ。あ、イく、また……イく、イくっ」
「そう。でも僕はまだだから、頑張ってね」
「たくさんして、めちゃくちゃにっ、犯してっ、ああ、あっ、んああああっ! また、イくぅぅううううっ!」
―――きっとこんな姿、知っているのは僕だけなのだろうな。
ナスチャ=レインロード。
部門のトップ。冷徹にして妖艶な魔術師。気に入った相手以外には指一本触れさせない、極上の体と高いプライドの持ち主。
そんなナスチャを組み敷いて、イキ狂わせて、それでもヘルディは空虚だった。
―――もっと、綺麗な夢が欲しい。
その後。
媚薬と化した蒸気がまとわりつくベッドの上で、そのあとナスチャの精神が疲れ果てて反応がなくなるまで抽挿を続け、ヘルディは夢を後にした。
だから、定期的に女性の夢に入り込んで精気を吸わなければいけない。
でも。
―――本当に、これのどこが楽しいんだか。
ヘルディが訪れていた先にあったのは、ごちゃごちゃとした、研究室のような空間だった。
つるつるとした白い床。天井には血管のようにパイプが通り、破れた個所から桃色の蒸気が溢れている。
空気は肌に張り付くようにじっとりとしていて、一呼吸ごとに肺が侵されているような気さえした。
そしてその、ごちゃごちゃとした空間の中心に置かれた、場違いなベッド。
薄いネグリジェだけを纏った女が、座って待っていた。
「結局、来たのね。いらっしゃい、私の夢に」
「相変わらず、ごちゃごちゃしてるね」
「これでも綺麗にしたのよ。でもまあ、そこかしこから溢れているけれど」
「ああ、まあ。ナスチャの夢は綺麗な方だよ」
快楽に堕ちた女の夢はどろどろの輪郭と瘴気に満ちるし、怯える女の夢は暗くて刺々しくて気が滅入る。
こちらも薄い布を纏っただけのヘルディは、ナスチャの肩に手を添えて、軽い力でベッドに倒した。
腰まである栗色の髪がベッドに広がって、ナスチャは妖艶に笑った。
「エルフの体は華奢でしょう。物足りなかったのではなくて?」
ネグリジェをぐぐ、と盛り上げる双丘を救い上げて、ヘルディは笑った。
「そうだね、それぞれ良いところはあるけれど、君の方が大衆受けはすると思うよ」
布の下で内股になっている足は、張りのある肌の下、太腿と臀部にむちりと肉が乗っている。
腰から腹にかけてがアリアと同じぐらいにくびれているから、その上にずっしりと実った果実が一層際立つ。
「んう……っ」
艶やかな声がナスチャの湿った唇から漏れて、ネグリジェが消えた。
ヘルディの首に手を回して、ナスチャは笑う。
「触りたいのね」
「そりゃあね」
「あああっ、……気持ち、良いわよ。ヘルディ」
「それはよかった」
どれぐらいの間待っていたのか。あるいはナスチャも溜まっていたのか。秘裂の合わせ目を開くと愛液が糸を引いていた。
その奥、濃い色の襞へと指を埋め込んで動かしてやると、ナスチャは感じ入るように目を閉じ、嬌声を漏らす。
ヘルディが精気を吸い取る相手は、ここ数年代わっていない。
悪い言い方をすれば、ナスチャが一番マシ、という理由だ。
Gスポットに爪を突き立て、媚薬を入れてやると、ナスチャの体が反りあがった。
「ううんっ、はあ、はああっ! あああっ」
「いいよ。たくさん」
「ええ……。たくさん、吸って。イく……からっ」
がくん、とナスチャの体が大きく跳ね上がり、ぶるりと乳房が震える。ヘルディの腕を挟み込むように柔らかな太腿が締まって、迸りで手首まで濡れる。
同時に、ヘルディの体の内に精気が溜まった。
◇
「あああっ! イく、また、イくわっ! ああんっ」
夢の世界に、体力の限界はない。
現実で目を覚ますまでずっと交わっていることが可能な世界で、打ち上げられた魚のように体を跳ねさせて、ナスチャはまた絶頂を迎えた。
陰核、胸、陰唇、さらには舌にまでヘルディの媚薬は回り、もうキスでも果てるような体になって快楽を貪っている。
「さて、そろそろ良いかな」
濃いピンク色の蒸気で満ちてきた空間に内心で顔をしかめながら、ヘルディは起き上がる。
その手を、ナスチャが掴んだ。
「だめ、行かないで。最後に……、ねえ」
ナスチャは内腿を手で割り広げ、陰唇が開くぐらいに足を広げる。
熟れた尻肉、窄まった肛門、そしてその上で真っ白な液を垂らす膣を指で広げて、腰を揺すった。
「お願い……」
「種は混ぜないよ」
それだけ言って、ヘルディは己が纏っていた布も消す。
嫌悪感を持っていてもやはり男で、すでに固くなっていた陰茎を当てる。
「ああっ、あ……あっ」
ぐちゅり、と鈴口が粘液に包まれる。それを潤滑油に、ずぷずぷと体重をかける。
半分ぐらいまで入れたところで、Gスポットを擦り上げられたのか、ナスチャが果てて中が締まった。
「ああっ、気持ち、良い、わ」
返事の代わりにキスを落として、ヘルディはそのまま体重をかける。
精液を絞り出そうと蠢く肉襞を抉るように、ずんっ、と奥まで突いてやると、ナスチャははくはくと口を開いた。
「っ――――~~~~~っ!」
「……っ。じゃあ、動くよ」
きゅうきゅうと圧迫してくる肉を削ぐように、力強く肉杭を打ち込む。
一突きごとに子宮口まで押し込む力強い抽挿に、ナスチャは恍惚とした表情を浮かべた。
「ああ、ああうっ! いい、気持ちいいわ、ヘル、ディ!」
「僕も、気持ちいいよ」
「貴方が、一番よ。あ、イく、また……イく、イくっ」
「そう。でも僕はまだだから、頑張ってね」
「たくさんして、めちゃくちゃにっ、犯してっ、ああ、あっ、んああああっ! また、イくぅぅううううっ!」
―――きっとこんな姿、知っているのは僕だけなのだろうな。
ナスチャ=レインロード。
部門のトップ。冷徹にして妖艶な魔術師。気に入った相手以外には指一本触れさせない、極上の体と高いプライドの持ち主。
そんなナスチャを組み敷いて、イキ狂わせて、それでもヘルディは空虚だった。
―――もっと、綺麗な夢が欲しい。
その後。
媚薬と化した蒸気がまとわりつくベッドの上で、そのあとナスチャの精神が疲れ果てて反応がなくなるまで抽挿を続け、ヘルディは夢を後にした。
1
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
【R18】女囚体験
さき
ホラー
奴隷強制収容所に収容されることを望んだマゾヒストの女子大生を主人公とした物語。主人公は奴隷として屈辱に塗れた刑期を過ごします。多少百合要素あり。ヒトがヒトとして扱われない描写があります。そういった表現が苦手な方は閲覧しないことをお勧めします。
※主人公視点以外の話はタイトルに閑話と付けています。
※この小説は更新停止、移転をしております。移転先で更新を再開しています。詳細は最新話をご覧ください。
ようこそ奴隷パーティへ!
ちな
ファンタジー
ご主人様に連れられて出向いた先は数々のパフォーマンスやショーが繰り広げられる“奴隷パーティ”!? 招待状をもらった貴族だけが参加できるパーティで起こるハプニングとは──
☆ロリ/ドS/クリ責め/羞恥/言葉責め/鬼畜/快楽拷問/連続絶頂/機械姦/拘束/男尊女卑描写あり☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる