悪魔との100日ー淫獄の果てにー

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99日目―絶望(後編)―

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 一瞬だけ絶頂を解放されて、直後に再び封じられた。それは、思った以上に深刻に蛍の体を蝕んだ。
 知らないままなら、耐えられたかもしれない。だけど、しびれるような快楽の発散を覚えてしまった身体は、必死にさらなる刺激を求めて暴れていた。
 真っ白な愛液を際限なく漏らして泣く蛍に、牢屋の外から嘲笑が落ちてくる。
「あらぁ、ずいぶんと情けなくなったようで何より。そうは思わない、あかり?」
「無理するからそんなことになるんだよ、お姉ちゃん」
「………ア、イリーン、あ、かりぃ……っ」
 もう歯を食いしばることもできずに、とろりと目を向ける蛍。
 スーツに白衣のアイリーンに対して、首輪のほかは裸を晒すあかり。
 あかりは拘束椅子を引きずって牢屋の中に入ってくると、指を押し付けて蛍の枷を外し、改めて椅子に縛り上げる。
 ひじ掛けと足に両手両足を戒められた蛍を、アイリーンは眺めて笑う。
「もういいじゃない? これ以上抵抗して何になるの?」
「………う、るざ、い……っ! お前が、お前がぁっ!」
「そうね、たしかにこれは、私のせいね」
 裸に首輪で、姉の内腿に指を這わせるあかりを作ったのも。
 感情を壊して従順にして、かつて愛を囁いていた梓に無感情なキスしかできなくさせたのも。
 でも、だからこそ、蛍はもう手遅れだ。
「あなたは遅すぎたのよ」
 優雅に上から見下ろして、アイリーンは笑う。
「あかりが捕まって間もない頃にここまでたどり着けていれば、あるいは梓の愛にもっと早く答えを返していれば、何かが違ったかもしれないわね。でも、もう手遅れ。私が全部掌握した。あなたにはもう、何もできない」
「……こ、のぉ……っ! 私の、大切なもの全部っ、返せ、よぉっ!」
「梓も同じこと言ってたわね。返すわけないじゃない。馬鹿ね」
 わざとらしく足音を鳴らして、アイリーンは牢屋を去る。
 その間際、あかりに微笑んで、それから縛られたままの無力な蛍に言い捨てた。
「守りたかった相手に責められて、自分の無能さを痛感なさいね」
           
■■■

「…あ、ぅぁ、……は、ぁ……ああっ」
 絶頂させるための愛撫とは明らかに違う、優しく撫でるような手つきだった。
 内腿をゆっくりと刺激され、脇の下をくすぐられる。時折耳に舌を潜り込まされてぐちゅぐちゅと音を立たせられる。
 蛍そっくりの髪形にされたあかりが、静かに笑って手を動かす。
「お姉ちゃん、気持ちいい?」
「だ、れがっ! あ、ふあああああっ!」
「嘘ばっかり。強がっても、体は素直だね」
 椅子の四つ足を伝って垂れ落ちるぐらいの愛液で、それでも気丈に耐える蛍の首筋を撫でる。
 そして、枷に親指を押しつけた。
「お姉ちゃん、今はたくさん気持ち良くなって良いからね。私と梓さんで、満足させてあげる」
 がしゃん、と重い枷が取れて、絶頂制限が外れる。
 期待にはち切れそうなぐらい膨らむ乳首と陰核にはあえて触れずに、あかりと梓は両側から挟むように蛍を撫でまわした。
 乳房を優しく揉まれて、腰に手を当てられ、子宮のマッサージとばかりに下腹部を押される。
 小さく笑いながら官能を叩きつけてくる妹に涙で濡れた目を向けて、蛍は息も絶え絶えに言った。
「……あかり、やめて……なんでよ、なん、っで……ぇ、あ、ぅ、ぅあ」
「私は主様の傍を離れない。お姉ちゃんがどれだけ耐えても、その努力だけは報わせないよ」
「なんでよっ!」
 ぎしぎしと椅子を軋ませて、蛍は叫んだ。
「帰ろう、よっ! なんでも、するからぁっ! あかり、ぃ」
「しつこい」
 きゅ、と乳首をつままれて、電流を流されたわけでもないのに蛍の声が裏返る。
「ひ、あ“っ、っく、ぅあっ!」
「もう、お姉ちゃんの望む私はいないんだよ。助けに来てもらって悪いけど、無駄だったね。本当に、可哀想。だって………」
 ぐい、と蛍の頬を持って、反対に向ける。
 傀儡となって蛍の胸と脇に交互に舌を這わせていた梓が、ぱちりと蛍に目を向けた。
「ぁ、あ……あ、ずさ」
「せっかく手に入れかけた梓さんも、こんなだもんね。報われないね、お姉ちゃん」
「あずさ………あずさぁ」
 縋るように梓の名前を呼び、蛍は必死に首を伸ばす。しかし梓はふい、と視線を逸らすと、今度は鼠径部を舐め始める。
「あ、ぁ……ぁぁああっ! 戻って、来てよっ。なにしても、いいから、なにされても許すからっ! 一人で勝手に、折れてんじゃないわよっ、こ、のぉっ!」
 泣きじゃくりながら、蛍は駄々をこねるように首を振る。心を削るように誰にも届かない慟哭を続ける。
 泣いて、わめいて、懇願して、また泣いて、それでも反応は返ってこなくて。
 自分の声と水音が反響するだけの牢屋で、決定的な愛撫を与えられずにじわじわと責められ続けて、すすり泣く声が小さくなったころ。
 あかりは、拘束椅子を引き倒した。
「っぎ、ぁ……あ、あ?」
 ばたん、と倒されて、仰向けにさせられた蛍は目を白黒とさせる。
 足の拘束だけを解除して、あかりと梓は自らの体で蛍の太腿を床に押し付けた。
 180°近い開脚を強要された秘貝に、あかりと梓の手が添えられる。
「あ、ぁっ……」
 ねちゃ、と愛液の音に顔を赤らめる蛍に、あかりは囁いた。
「たくさん果ててね、お姉ちゃん」
 そして、容赦のない手淫が始まる。
 あかりの手は膣内を蹂躙し、さらに陰核を押しつぶす。
 梓の手は菊門に潜り込み、会陰を撫でまわす。
 焦らされていたところに強烈な責めを受けて、蛍は一瞬で突き上げられた。
「あ―――~~~~っ! あ――、あ――っ‼ あ、っふあああああああああっ!」
「焦らさないから、たくさんイってね」
「壊れる壊れる壊れるっ! あ、また、イ……っ! イくの、止まらなっ、っく、ああっ! あああああああああああっ!」
 ぐっちゅ、ぐっちゅ、と快楽責めの音を響かせて、蛍の声が牢屋を震わせる。
 熱く爛れていく姉の体を抱いて、あかりはさらに愛撫を強めた。

■■■

―――わたし、なに、やってたんだ、っけ。
 助けに来たはずの妹から、優しく丁寧にキスを落とされて、朦朧とした思考が壊れ始めていた。
 今も体がはじけ飛びそうな愛撫は続いている。陰核も乳首も膨れ上がり、膣は収縮と弛緩を短いペースで繰り返していた。梓に貫かれた尻穴からは、とろとろと腸液が溢れている。
 それでも、快楽だけなら、耐えられたかもしれない。
 でもこれは、そもそも、なんで耐えないといけないんだっけ?
 梓とあかりにぎゅう、と抱きしめられて、体が熱くなる。拒絶できない触れ合いが何よりも心を蝕む。
 妹を助けたかった。梓とまた抱き合いたかった。
「あああっ! あ、ん……んああっ! ふああっ、っあああああっ!」
 膣壁と腸壁を同時に抉られて、喘ぎ声を絞り出される。
 開脚されたままの腰を揺らす蛍の頬に、あかりと梓はちゅ、とキスを落とした。
 あかりが言う。
「受け入れて、お姉ちゃん」
 その言葉に、蛍はぼんやりと理解した。
―――私が、受け入れないのが、悪い、の?
 屈託なく抱き合えないのは、私が意地を張っているせいで。
 私さえ抵抗しなければ、こんな思いをしなくても良いし、させなくても良いのだろうか。確かに、そんなことをずっと言われていたような気がする。
 じゃあ、今まで私のしてきたことって……。
「あかり……ぃ、あずさぁ………」
「なに?」
 ぐず、と鼻を鳴らして、蛍はぽつりとつぶやいた。
「私を、独りにしないで、……。もう、いやだ…ぁ、………あ? あ、あああああああっ!」
 その瞬間だった。
 菊門を責めていた梓の指が蛍の膣に入り込んできて、リズミカルにGスポットを押したり、子宮を指で突き始める。
 いきなりの激しい責めに絶頂に突き上げられる蛍の頭に染み渡るように、あかりは優しくつぶやいた。
「一緒に、暮らそう? 受け入れて。そしたら、終わる。みんな仲間だよ、お姉ちゃん」
 押し出されるように菊門責めに移ったあかりに優しく諭されて、蛍は一瞬複雑そうな顔を見せたが、それが彼女の限界だった。
「………………はは」
 思考と感情がぐちゃぐちゃになって、何の背景もない乾いた笑いが漏れた。

■■■

 涙の染みを頬に作って、快楽責めに狂泣を続ける姉に、あかりは小さく笑う。
 たぶんこれで、大丈夫だろう。
 ちょっと壊れたかもしれないけれど、いざとなれば主様がいるし。
 拘束椅子から解放して、両手両足に再び手錠をかける。
 そして静かに腰を上げた。
 梓の肩に手をやって、あかりは言う。
「梓さん、手と足を」
「……………ん」
 枷で梓を戒めて、その顔を蛍の秘貝にあてがう。舐めやすいように蛍の足を割り開いてそこに顔をねじ込むと、口淫が始まる。
「あ、ああ………あうぅ、ぅうああああっ!」
 早くも潮を吹いて梓の顔にかけた蛍に、あかりは笑いかけた。
「じゃあね、お姉ちゃん」

■■■

 あかりが帰って、何時間も、蛍は梓からの舌責めで絶頂を強いられた。
 何時間も、何時間も。日付が変わって、あかりもアイリーンも、沙羅も冴も寝静まっただろうというぐらいの時間になるまで、秘部を舐められ続けた。
 そして、陰唇がふやけきったころ、恐る恐ると言った調子で、蛍は小さく囁く。
「………梓」
 肌は暗がりでもわかるぐらい青白かった。
 苛烈な責めを受けて、何度も蹴られ踏まれ、蹂躙されて、今も体を震わせている。
 それでも。
「なんだい、蛍ちゃん」
 野茨梓は、以前と変わらない飄々とした口調で、蛍の懇願じみた呼びかけに応えた。
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