悪魔との100日ー淫獄の果てにー

blueblack

文字の大きさ
上 下
39 / 55

86日目―剥奪―

しおりを挟む


 時間の感覚はわからないが、舌の感覚はとっくに消えていた。
 体感時間的には、半日か、一日か。少なくとも、3時間や4時間ということはないだろう。
 長時間愛液にまみれて、口の周りがひりひりとしてきても、梓は蛍への口淫をやめなかった。
「………ふ、ぅああああっ! ああああああああああっ!」
 聞いたことのないぐらい高い声で喘ぐ蛍に、梓はさらに責めを強めた。
「可愛い、声。大好きだなあ、蛍ちゃん」
 何度も膣奥まで舌を突き入れて、Gスポットも押し舐める。
 唾液と淫液を混じらせて舐め続け、最後にぴん、と陰核を弾くと、蛍はがくんっ、と大きく震えた。
 そしてその直後、ばつん、と音が響いて、瞼の裏が薄赤くなる。
 部屋の電気がついた、と思う間もなく、ぎぃぃ、と牢屋が開かれた。
 ぐい、と髪を引っ張られて、梓は疲れ切った体でふらふらと立たされる。
 アイマスクを外されて、目の前にいるのは、憎い金髪碧眼の女。
「ア、イリーン……」
「あっはは、へばっちゃってるわね。しかも何よその顔、どろどろじゃない」
 梓の口元にべっとりとついた愛液を大事そうに舐めとって、アイリーンは艶やかな笑みを浮かべる。
「まったく、深夜に起こされるこちらの身にもなってみろ」
「……さ、らっ」
 その上、アイリーンの後ろに真壁沙羅まで控えていて、梓はかたかたと体を震わせる。無意識で、肘掛け椅子に乗せられたままの蛍に擦り寄る。
 ずい、とアイリーンを押しのけて前に出て、沙羅は梓の顎を持ち上げた。
「出来損ないの割には、何度も何度もよく耐えてきたじゃないか」
「………もう、前みたいには、ならない……っ」
「てっきりトラウマになっていると思ったんだがな」
 縛られたままの蛍の太腿に震える手を乗せている梓に、沙羅は、はっ、と笑う。
「そこの女がいれば元気が出てくるというわけか」
 そのとき、ガシャリ、と硬い音が、梓の背後から響いた。梓自身も使っていたからよくわかる。指紋式手錠のロックが解除される音だ。
 でも、どうやって? 沙羅もアイリーンも梓の前に立っている。
「さて、お前が朝宮蛍に懸想しているのは知っている。記憶を支柱に耐え続けていることに」
 混乱する梓の手に、そっと蛍の手が重なる。それでようやく、まともに息が吸えた気がした。
 ぎゅうう、と握り返された手に呼応するように、蛍はゆっくりと立ち上がって、梓の首に手を回す。
 アイリーンと沙羅に、これからどれだけ恥辱の限りを尽くされようと。
―――このぬくもりを忘れない限りは、私は耐えられる。
 そう思っていた梓に体重をかけるように覆いかぶさり、後ろの女は、そっと、耳元でささやいた。
「騙されたね、梓さん」
             
■■■
          
「……………………………は?」
 背中に張り付く体温が、一気にその意味を変える。
 振り向こうとしても体を動かせず、抱きすくめられたままの梓に、アイリーンの笑顔が黒く染まる。
「昨日はずいぶん薄暗かったわよね。あなたはすぐに蛍さんだと思ったようだけど、それって、責められているっていう状況と、髪の長さだけで判断したんじゃなくて?」
 薄暗くしたのも、あかりは不在というミスリードを誘ったのも、この瞬間のため。
 さあ、と蒼白になる梓は、生気が抜け落ちたような顔で、弱弱しく首を振る。
「…………うそだ」
「本当よ」
「うそだっ!」
 状況を認めてしまった脳を振り落とさんばかりに、その動きは少しずつ激しくなっていく。
「だっ、だって! 声! 私が蛍ちゃんの声を聞き間違えるはずがない!」
「ああそれ?」
 アイリーンが目配せして、あかりの手が、梓の耳元に置かれる。握り込まれていたのは小型の録音機材だった。
『……お願い、舐めて』
「………………あ、ぁ」
「まあ、そんなとこよ。蛍さんが焦らされ続けているのは本当で、その時の声はぜんぶ取ってある。さすがに途中からあかり自身の喘ぎ声に変わったけれど。ねえ、あんた、どこからが蛍さんでどこからがあかりだったか、わかるのかしら?」
「あああ、あああああああああああああっ!」
「黙れ」
「ぐ、ぅっ!」
 慌てた様子で背後の圧が消えると同時に、沙羅の手が梓の首を掴み、強引に肘掛け椅子に座らせられる。
「ふ、ざけるなっ! この、このっ! いや、ああああああっ!」
 叫ぶ梓を体に巻いていたベルトで手際よく拘束して、沙羅は唇を舐めた。
「お楽しみの時間だな、モルモット」
 ゆっくりと梓の股座の前にしゃがむ。
 キャストはもちろん、沙羅だけではない。
 固定された梓の半身に体をしなだれかけるのは、汗を垂らす朝宮あかり。
 姉そっくりのショートカットに切りそろえられた髪で、梓に鋭い目を向けた。
「あなたのせいでお姉ちゃんは焦らされ続けるし、髪は切らされるし、何時間も舐められ続けるし散々です。………ここで、折れてもらいます」
 そう言って、そっと胸に手を這わせる。
 さらに、反対側からも同じようにアイリーンが乳肉に指を埋めて、粘つく声でささやいた。
「ねえ、梓。思い出せるの? 蛍さんの声を、熱を、匂いを、味を。……あれだけ無我夢中で舐めて飲み込んでいたあかりのものと、区別できる? それが正しいって、言えるのかしら?」
 どこまでも深く、落としていく。
 蛍と共にいて安心しかけていた梓の心理を、底へ底へ。
 梓は一瞬だけアイリーンを睨みつけるも、気丈さを保つための記憶はもう剝奪されていて、その表情が歪んでいく。腕が震え、頬が引きつって、かすれた声で呟いた。
「……返し、て」
「なにを?」
「蛍ちゃんを、返してよ……っ、いや、だ。もう……思い出せ、ないなんて、いや……っ! いや、いやだっ!」
「残念。代わりに、馬鹿にしてあげるわよ」
 アイリーンの言葉に、全員が合わせた。
 あかりとアイリーンは双丘を揉みしだき、頂点のしこりをきゅっ、とつまんでこね回す。
 沙羅は逃げようとする梓の腰をがっしりと捕まえて、陰核ばかりを舌で弾きまわす。
 今まで調教を遂行してきたあかりとアイリーン、さらに過去のトラウマである沙羅に責め立てられ、支えを失った梓は慟哭した。
「あああっ! ほたるちゃ、蛍ちゃん、ぅぅあああああああっ! たす、けて、ぇえええええええええええええええええっ!」
「姉と私を間違えておいて図々しいんですよ、この馬鹿舌」
 荒々しくあかりに口づけされて、梓はそれを受け入れてさらに泣き叫ぶ。他人を最愛の人と誤認して熱くなっていく体に、心が崩壊を起こしていく。
 一度目の果ては、すぐだった。
 あかりに深くキスをされ、白い肌が見えなくなるほどアイリーンと沙羅に密着される。熱いからだ、敏感な突起を同時に責め上げられ、沙羅にはぐちゅり、と子宮手前まで指を入れ勢いよく引き抜かれ。
 壊れた人形のようにがたがたと全身を痙攣させて、梓は潮を噴き上げた。
「ひゃああああああっ、んああああああああああっ!」
 耐えようという意思を折られたのか、いつまでも痙攣は収まらず、その中心で開きっぱなしになっている陰唇からは、屈服の証である真っ白い愛液が垂れ落ちる。
 ぐしゃぐしゃになった顔ですすり泣きながら、梓はうわ言のようにか細い声を発する。
「…………わ、すれだく、な、いよぉ、……。ほ、だる……ちゃ、……ん」
「安心しなさいよ」
 もう心神喪失しかけている梓の顔を無理やり向けて、アイリーンは笑った。
 沙羅とあかりの顔も間近にあって、三人分の体温が、蛍に冷たくのしかかる。
「その分だけ、私たちが忘れられない記憶を与えてあげるから」
 そして再び刺すような快楽責めが再開される。
 その後。
 梓の慟哭と喘ぎ声は何時間も何時間も牢屋の中に響き続けて。
 そしてやがて、聞こえなくなった。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...