悪魔との100日ー淫獄の果てにー

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54日目―蛍の平日3― 

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 梓とは、あの日の深夜に引き離された。あちらはアイリーンの自室で飼われるらしい。
 白い部屋に、一人に逆戻りをして3日目。新しい生活リズムというのにも、慣れてきた。
 起きると、初めに薬を飲まされる。
 梓が所持していた不感剤だ。
 それから、食事。会話を盗聴でもされていたのか、典型的な和食が出てきた。食えということらしい。
 この期に及んで非合理的な反抗をする気も起きず、蛍は黙々と食事を採る。媚薬が入っていても知ったことではない。不感剤が効いているうちはどれだけ体が昂ろうと無効化されるし、薬がなければもう日常なんて送れないのだから今さら警戒する意味もない。
 そして、首輪を引き上げられて、肛門に管を差し込まれる。
「ああっ! ………ほん、っとに、もう……っ」
 研究者ってのは、どいつもこいつも変態ばかりか。
 浣腸液で満たされたお腹から、悲鳴のような音を立たせて、蛍は羞恥に歪んだ顔でモニターを睨みつける。
 我慢は、数分しか保たなかった。
 
■■■
 
 女の尊厳を踏みにじられた後は、運動を強要される。
 薬が切れるまでが、ワンセットだ。
「はっ、はっ、………ぅ、う」
 基礎的な体力づくりに終始するしかないが、妥協を許されない今の環境で、しかも根が真面目な蛍は全身に汗をかいて身体機能を底上げする。
 その汗が伝う感触が、じわじわと快感に結びつき始めた頃、運動の時間は唐突に終わる。
「うっ! あぐっ」
 鎖に繋がった首輪が唐突に巻き取られて、蛍は苦悶の声を上げて中央のベッドに引きずられる。
 両手両足を戒められ、汗の伝う体のまま、ベッドに大の字。
 そして、扉が静かに開けられる。
 入ってきたのは3人の女。
 裸にバスローブだけという格好にもかかわらず、羞恥に顔をゆがめるでもなく淡々と歩く3人は、縛られた蛍を囲むように立ち、セパレートタイプのウェアをはさみで切り取り、ベッドからボディソープを取り出して泡立てる。
「………ふ、ぅ、あ」
 前菜としての洗浄、ということらしい。
 ベッドの機能ではなくわざわざ人間に洗わせるのはアイリーンの主義なのか嫌がらせなのかは知らないが。
 女の柔らかい手でぬるぬると体を洗われて、蛍はびくびくと体を揺らす。
「あ、………はあっ! あ、うううっ」
 蛍の喘ぎ声に、女たちは何も言わない。
 そもそも表情というものがない。
 機械のようにただ与えられた仕事をこなす。初日に必死に呼びかけたが、一切の返事が返ってこなかった。きっとこれが、梓とアイリーンの言っていた『脳に直接薬をぶち込まれた奴隷』というやつなのだろう。
 一歩間違えば、あかりもこうなっていた。
「………あ、の。性悪……っ、あ、ふあっ! ああん!」
 体をこわばらせるも、一瞬でほぐされる。
 女たちの洗浄は入念だった。
 泡を掬われて、耳の中を指で擦られる。
 滑らかなカーブを描く双丘は両手で包むように泡をまぶされて、形を崩さないぐらいの繊細さで扱われる。
 腋窩や鼠径部、足の指の間から尻割れに至るまで、まんべんなく泡に覆われて、蛍は自分の蜜壺を熱く濡らしてしまう。
 シャワーで泡を流される頃には、蛍の体は薄紅に色づいていた。
「あ、ああ………、うぅううう」
 焦らし責めにも等しい洗浄を終えて、蛍はうめく。
 わかっているのだ、この先何をされるのか。
 前菜が終わったということなのだから。
「はああっ! ―――~~~~~っ!」
 女たちの舌に一斉に舐めあげられて、蛍は白い喉を晒して声なく絶叫する。
 両乳首と、陰核。
 最低限の刺激しか与えられず洗浄されたピンク色の突起を一斉に吸い上げられ、口の中で舌に弾かれて、蛍は悶絶する。
 股座に顔を埋めて吸う女の顔の前に、湧き水のように愛液を漏らす。
「あんっ! く、っああ、ああ、ふううっ、ふあああああっ!」
 どれだけ無駄とわかっていても、これだけは無抵抗ではいられない。
 機械的に与えられる快楽にも、なんとか絶頂をこらえる蛍。
 女たちは、責めを激しくするでもなく、淡々と蛍を愛撫する。
 乳首を吸う女たちは、耳と首筋、脇やお腹をランダムに撫で始めた。
 陰核を虐める女は、濡れた花唇を人差し指と中指で押し開き、反対の指を奥に入れる。
 ポルチオまで指を入れ、引き出すときにかりかりとGスポットを刺激され、蛍はそのたびに太ももの筋肉を引きつらせて震えた。
「あ、ああっ、………こ、のぉぉ、うあ、あんっ! ああ…………んあっ!」
 実質、一度イったら終わりなのだ。
 我慢を続けた体は、折れたら歯止めが効かなくなる。梓ほどではないが、蛍だって異常な感度を持っているのだから、一度高みに上がったら最後、降りてこられずに連続で果てるに決まっている。
 決まっている、けど。
―――こんな、の……無理っ!
 そして、タイミングの悪い瞬間は、必ずやってくるもので。
 両耳とポルチオを同時に刺激され、しかも三つの突起もちうー、と強く吸い上げられて。
 今まで我慢した分全ての快楽を弾けさせ、陰部を突き上げて絶頂した。
「あ、……――~~~っ! っく、ぅぅううううううううううううっ!」
 双胸をふるふると振るわせて、股の前に座った女の顔に愛液をかけて果てを極める。
 しかし、女たちは命令に従うだけだった。
「ああっ⁉ んんんん、んあああっ!」
 わななきが収まらないうちから愛撫と吸引を再開させ、蛍は魂消えるような声を上げて、二度目の絶頂へ駆けあがっていく。

■■■

 それから3時間か、4時間か、あるいはもっとか。
 ベッドシーツが蛍の真っ白な蜜を吸収できなくなり、洗った身体が唾液と汗にまみれた頃、蛍の横にいた二人の女はすう、と立ち上がる。
 そして、蛍の股に顔を埋めていた女はというと。
「ひうっ⁉」
 何のためらいもなく、蛍の菊門に舌を滑り込ませた。
 筋を舐めあげ、ぬらりと肉が入ってくる感触に、蛍は声を上げ、ひくひくと肛門を震わせる。
 その、筋肉が緩んだ一瞬で、女は浣腸液を再び注入した。
「あああっ!」
 蛍の眉がぎゅっ、と寄るのを見て、女たちは帰って行く。
 誰もいなくなった白い部屋で、尻を突き出すように四つん這いにされた蛍は、ふりふりと尻を振ってしばし耐えるが。
「あ、あああ……、も、だめ、だめだか、らああ、…………っくああぁ……」
 一度目よりも水っぽい音を立てて、我慢も虚しく決壊した。

■■■

 容赦のない愛撫と、二度の強制排泄。
 身体機能だけは正常に保たれ、心をずたずたにされる蛍の平日のルーティーンは、洗浄で幕を下ろす。
 とはいっても、また女たちが来るわけではなく。
 棺桶の形にされたベッドに押し込まれ、媚毒の混じった水で肛門の穴から足先、手先に渡るまで洗浄され、繊毛で擦られて。
「あああああああっ! あ、っく、んあ、ああん、あうううううううううううっ!」
 真っ赤に熟れた顔だけを出して髪を振り乱して。
 意識が朦朧とするまで責め立てられて。
 蛍の一日は幕を閉じていく。

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