上 下
22 / 55

51日目―悪魔”との”……(前編)―

しおりを挟む
「これでよし、と」
 梓は本当に操りやすかった。
 単純に、聞けば何でも教えてくれるものだから、それを吸収するだけでよかったのだ。
 発想力というか思考の根幹から、梓とアイリーンではスペックに差があったが、こちらも一応天才ではある。指南されれば理解するのは難しくない。
 そんなわけで、先週一週間で、梓の主な業務と研究内容は理解したアイリーンだったが。
「………でも、なんだったのかしら、これ」
 朝宮蛍を捕えて、初日の拷問。
 そのときの監視カメラの映像をカチカチと弄って、首を傾げる。
 梓が映像の差し替えを行ったのは3回。うち2回については、梓が自分から喋った。体力測定で無様を晒したとかいうクソくだらない理由と、あとは先週の、精神的に不安定になった一件がそれだ。
 だが、初日に差し替えをする理由はなんだ?
 しばし復旧できないか考えていたアイリーンだったが、ふっと集中力が切れて諦める。
 自然と笑みがこぼれる。
「……ふふふ」
 お楽しみは、これからだ。

■■■

 蛍は、自分が目を覚ましても、起きているとわかるのに時間がかかった。
 一瞬の混乱。そしてじんわりと、自分が目隠しをされていること、縛られて腕を吊られていることを認識して、心臓の辺りが重たくなる。
―――また、つかまった。
「起きたかしら?」
「っ……」
 耳元から、声。
 あの、車に乗っていたブロンドの女の声で、蛍は自分が騙されていたことを察する。
 甘ったるい匂いが鼻を突き、きゅ、と唇を引き結んだ。
「あら生意気だこと」
「あんっ!」
 ぬちゃ、と陰裂をなぞられて、望まない声を上げさせられる。
 くすくすと笑って、アイリーンは蛍に囁いた。
「安心なさい。あなたを虐めるのは今日じゃないわ。平日に奴隷たちにたっぷりやってもらうから」
「それの、どこに安心しろって?」
「今日はゆっくり鑑賞しなさいってことよ」
 アイリーンの匂いが離れて、代わりに別の誰かが蛍の背後に立つ。
 はらりと目隠しが外されて、視界に溢れる白に、蛍は目を細めた。
 そしてその目を、見開く。
「さっ、一緒に楽しみましょう? 蛍さん」
 蛍がずっと囚われていた、白い部屋。
 白い床、白い壁、白い天井に、囚人を吊る二本の鎖。
「………んっ、ぅ」
 その内の一本に戒められて、裸の乳肉を弄ばれて声を漏らす、小さくて白い、蛍の悪魔。
 野茨梓が、そこにいた。
 
■■■
 
 たゆんと揺れる胸も、整えられた下生えもすべて晒して吊られた梓を、蛍は信じられない気持ちで見る。
「…………梓、あんた……」
 梓は蛍に見られて、ふいっ、と視線を下に向けた。
「そんなに、見るな……」
 その顎を掴んで上に向かせて、アイリーンは後ろから梓の首筋を撫でる。
「……ぅ、っ、ふ」
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃない、ねえ? 昨日だって乳繰り合った中でしょう? もっと見てもらいなさいよ」
「う、るさ……、あ、あああっ」
 胸を揉まれて、きゅ、と両乳首を同時に握られる。
 蛍以上に開発されている梓の体はそれだけで限界まで昂り、喘ぎ声が漏れる。
 こりこりと芯をいじくりまわして、アイリーンはニタニタと笑う。
「ああ、あなたをこんな風におもちゃにできるなんて、夢みたいね」
「あ、あん、……っく、そぉ! はなせ、よぉこの変態っ!」
「盛大にブーメランだからねそれ」
 ぴん、と胸を弾いた直後だった。
「イ、っく」
 ふるふると体を震わせて絶頂する梓。
「いちいち教えてくれるなんてお優しいこと。ご褒美にもっと恥ずかしくしてあげる」
「あ、こっ、の……!」
 アイリーンは、梓の膝の裏を持って持ち上げる。
 足をM字に開いて、ぱっくり開いた陰部を見せびらかすようにされて、梓は顔を真っ赤にして首を振った。
「見るなっ、見るなよっ! 蛍ちゃんっ!」
 思わず見入ってしまっていて。
 慌てて目を背けようとする蛍だったが、背後の女に頬を掴まれて、首を固定される。
「だーから、見せてあげましょうって。ほら、気持ち良くしてあげるから」
「あ、あううっ! や、めて、やめてよっ! あ、く、んああっ! は、あああっ!」
 足を持ち上げられたまま。
 陰核をしごかれて、たちまち梓は床に垂れるほど愛液を滴らせる。
 嬌声に耳を澄ませて、アイリーンはさらに梓を追い詰めようと手を動かした。
「確かあなた、後ろも感じるのよね」
「っ⁉ この、二流の、くせにっ!」
「はーい残念」
 つぷり、と。
 窄まった菊門に指を押し込まれ、梓は一気に限界近くまで高められる。
 陰核への愛撫を我慢しようとすれば肛門を絞めてしまい。
 後ろの刺激から逃げようとすると陰核を突き出してしまいまたしごかれる。
 逃げ場をなくした梓は、蛍の前で割り開かれた股間をかくかくと震わせて、体を反らす。
 その首を掴んで強制的に前を向かせ、アイリーンは梓に囁いた。
「みっともなくイきなさい。蛍さんに見られて、ね」
 それで、前を向いたのが良くなかった。
 ぱちり、と。
 蛍の大きな目に正面から見られ、梓の体が燃え上がる。
「い、や……だあ、ああああっ、あん、っく、そ、ぅ、ああ……」
 足を閉じようと思ってもアイリーンに阻止され。
 のっぺりとした仮面の女と、アイリーンの手によってお互いに顔を背けることもできず。
 心なしか顔を赤くした蛍に見られながら、梓は一気に官能を爆発させた。
「あ、あ、あ、ん………んああっ、イっ……、あああうううううううっ! 」
 ぷしゃあ、と淫液が迸った。
 蛍の体に潮を噴いて絶頂を迎え、梓は小さく呻くような喘ぎ声を断続的に漏らす。
 その背中をすー、と撫でて、アイリーンは梓の裸身を包み込むように抱きしめた。
「まだまだ、終わらないわよ」
 
■■■
 
 手を伸ばせば届きそうな場所で延々と続く狂態に、蛍は顔を歪ませていた。
 過去に何があったのかは知らないが、梓の感度は異常だった。
 アイリーンにす、す、と脇を撫でられるだけで床に愛液を落とす。耳を舐められれば唇を震わせ、乳首をつねれば腰を前後に振り、膣内を抉るとひと月ごとに潮を噴く。
 もう、梓の下は愛液でぐしょぐしょだった。
「あ、あ、……んあ、っく、ああ……あんっ」
 悲鳴のように喘ぎ、ついには息を吹きかけるだけで甘い声を出す梓に、蛍は思わず声を上げた。
「あんたら、同僚でしょ⁉ そこまでしなくていいじゃない!」
「あら、お優しいこと。さんざんやられてきた相手の痴態よ? 嬉しくないの?」
「嬉しいわけないでしょ! この人でなし!」
「人でなし?」
 くすくすと笑うアイリーンは、やがて面白くて仕方がないという風にお腹を抱えて大声で笑う。
「ああ、おっかしい。あなた、私を人でなしだと言ったの?」
「そ、そうよ! 何が違うっての」
「いや、まあ違わないかもしれないけれど。でも、蛍さん? あなたに私を糾弾する資格があって?」
 がっくりと項垂れる梓を放って、アイリーンは愛液に濡れた手で蛍を撫でる。
 獲物を追い詰める加虐者の顔で表面上は優しく問う。
「蛍さん? あなた、逃げ出す途中で、だれか殴らなかった?」
「……それがなに? この期に及んで暴行罪だの言わないでよね」
「その子、こんな仮面してたわよね?」
 蛍の背後に立っていた女性から、かこん、と仮面を取って、アイリーンは見せる。
 蛍は、首をけげんそうな顔で答える。
「そうだけど、それがなに? 今後ろにいる人が殴られた人だとしても、謝る気はないわよ。というか話が見えないのよ! なんなのよいったい!」
「ああ、ああ。そうよね。気づかないわよね。じゃあ仕方ない。自己紹介、してあげなさいよ」
 唐突に、声を上げたのは梓だった。
「え?」
 梓は震えたまま、蛍と、蛍の後ろを見て、はくはくと口を開閉する。
 冷や汗が止まらない。
 嫌な予感というやつに全身を包まれて、呼吸が浅くなる蛍。
 そんな蛍の首に頬を後ろから優しく包んで、アイリーンに呼びかけられた茶髪の女性は、簡潔な一言を囁いた。
「久しぶり、お姉ちゃん」


しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

こども病院の日常

moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。 18歳以下の子供が通う病院、 診療科はたくさんあります。 内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc… ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。 恋愛要素などは一切ありません。 密着病院24時!的な感じです。 人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。 ※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。 歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ハイスペック上司からのドSな溺愛

鳴宮鶉子
恋愛
ハイスペック上司からのドSな溺愛

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...