悪魔との100日ー淫獄の果てにー

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44日目―崩壊―

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 目を覚ますと、すでに午前10時だった。
 汗やら何やらでどろどろの体を浴室まで引きずって、梓は頭からシャワーを浴びる。
 沙羅に噛まれたうなじがぴりりと痛んで、その痛みを上から塗りつぶすように首を強く握った。
「………私は、強い」
 ざあざあとお湯をかぶりながら、梓は歌うようにつぶやく。
「ここで一番賢いのは私、必要とされているのも私、権限だって一介の幹部のそれを上回ってる。隠居の沙羅も、無能のアイリーンも、玩具の蛍ちゃんも、みんな、みんな、私の下」
 歌うようにつぶやいて、鏡に映った自分の顔と目を合わせる。
 生まれたときから一人だけれど。
 父も母も知らないし、誰にも愛してもらえなかったけれど。
 その分だけ、自分で自分を愛せば良い。
 誰よりも高い立場を手に入れた自分に愛されれば、私だって満足するはずだ。
 にたりと笑って、梓は自分の頬に手を添えた。
「愛してるぜ、梓」
 
■■■
 
「じゃあそんなわけで、激しめの調教を再開してっちゃうぞー」
「なにが、そんなわけよ……」
 梓が指示を出さなかった間、自動プログラムで苛まれ続けた蛍は、ほとんど動かない体を揺らして梓を睨んだ。
「そもそも、昨日のアレはなに? 化け物すぎるでしょ……」
「あー、まあうちの最高戦力ってやつだよねー隠居してるけど。あの人に勝てれば冗談抜きで蛍ちゃんは最強、私の駒になったら最高! って感じだったんだけど、まー厳しかったか」
 いつも通り、全裸でベッドに大の字の蛍のお腹をぐ、ぐ、と押してから、梓は耳を当てる。
「……っつ」
「うー……ん。内臓は、まあ大丈夫そうだね。痛めてるところも大体が打撲で、関節系の怪我はなし、か。さっすが蛍ちゃん、やるぅ」
「褒めても何も出ないわよ……、っふ、ぅ……ぁ」
「あー薬切れたんだ。それ、こしょこしょー」
「あ、うあっ! は……ぁっ」
 一度、媚毒で全身を研磨された蛍の体は、治療行為ですら昂ってしまい。
 脇とお腹をくすぐられて、蛍はこそばゆさと快楽を同時に受け取って悶える。
 ぐい、と蛍の大陰唇を開いて中の襞を暴き、梓はへらへらと笑った。
「はっは、蛍ちゃんったら元気だねぇ。昨日あんなことされたってのにもうひくひくしてるよ」
「誰の、せいよっ!」
「しっかもすごい濡れてる。いやらしー」
「あ………んっ!」
 ぬるりと舌をねじ込まれて、膣内を舐められる。
 さらに陰核を手で触られて、蛍は一瞬で限界近くまで持ち上げられた。
「あ、あ、あああっ!」
「はは、敏感だなあ蛍ちゃんは。そんなに腰振るわせて痛くないのかい?」
「うる、さいぃぃっ、ぅあ、あああああああああっ!」
「はい残念」
 舌と指でスパートをかけた直後。
 かしゃり、と。
 蛍の首に絶頂封じの首輪をつけて、梓はぐに、と陰核を押しつぶした。
「あ、っひゃあああああああああっ、がっ、あっ!」
「ゔっ⁉ ………あー、勝手にイっちゃダメじゃないか」
 ゴム手袋を付け忘れ、蛍と一緒に感電した梓はくらりとふらついて。
 愛液で濡れた指を蛍の口に突っ込んで、ぐちゅぐちゅと舌に擦り付けた。
「お仕置きだね、蛍ちゃん」
 
■■■
 
―――はげ、し………いっ、―――~~~~~~~~っ! 
「んあん、ああああああんっ! ががががががっ!」
 もう三桁に達しようかという寸止めに、蛍は負傷した体を痙攣させる。
 大の字から、人の字に吊り上げられる格好に変えられ、足を広げさせられて。
 お仕置き、と称した梓の責めは、苛烈を極めていた。
 現在、蛍の体には4本の管が刺さっている。
 3本は、陰核と乳首を覆う繊毛の管だ。
 開発されつくした蛍の体は、1本だけでも理性を飛ばして絶頂を迎え続けるしかできなくなる。それが3本。
「あ、また、イ……っ、ぐあっ!」
 固く尖ったピンク色の突起は、常にどれかが絶頂分の快楽を蛍に送り続けている。
 そして絶頂を迎えそうになり、首輪から電撃を浴びるたびに、残る一本の管からピンク色の液体が排出される。
 力が抜けて尿を我慢できなくなった蛍は、媚毒を垂れ流して再び電撃を受ける。
「あ、っく、…………くうっ! だめ、我慢、できなっ」
「あーあー、かかっちゃうじゃないかまったく」
 さらに追い打ちをかけるのは、手術用手袋に包まれた梓の指。
 ぴったりと体を密着させる梓は、蛍の肉壺の奥深くまで指を入れて、ぐっちゅぐっちゅと内部を抉りまわす。
 一回一回の刺激でGスポットとポルチオを的確に穿たれて、蛍は刺激から逃げるように腰を引いて、それでも逃げ切れずにまた果てそうになり、罰を喰らった。
「も、う……お、がしぐなる、からっ! あ、だめイ……っ!」
「まだ、だよね。ねえ、蛍ちゃん?」
 戦慄く蛍の頬につー、と舌を這わせて、梓は囁く。
「もっともっと追い詰めてあげる」
 声に顔を上げると、至近距離にあるのは熱にうなされるように揺れた瞳で。
 その手に、もう一本別のチューブが握られているのを見て、蛍は絶叫した。
「まって、それだけは……、今それはだめっ!」
「問答無用だねー」
「あ、ああああっ!」
 最後のチューブは、肛門に刺さった。
 速やかに浣腸液を注入されて、蛍は奥歯を噛み締める。
 前の穴も後ろの穴も苛まれ、逃げ場を失った腰がただ無力に震える。
「も、むり、わかんない、わがん、ない……っ。なんで、よ! いつも、と、ちがう……っ!」
「だから言ったじゃん、激しくするよって」
 脂汗にまみれて、ひっきりなしに与えられる快楽を積み上げる蛍に、梓は笑う。
 笑いながら、さらに構えたのは水差しで。
 絶叫する蛍の顎を掴んで、その口から利尿剤を無理やり飲ませた。
 今まで、開発は時間をかけて一か所ずつ行われてきた。
 そもそも、何種類もの責めを複合するやり方は、今までの梓のパターンにない。
 それが、突然。
 受けてきた責めを同時に叩きつけられ、蛍は心の底から悲鳴を上げる。
「壊れる、壊れるっ! もう、全部イく、イぐ、イ…………ぐががっ!」
「あーあーだからイけないんだって。全くもうしょうがないなあ」
「あ、また……っ、ぐっ! おねがい、トイレ、に、いがせでぇぇっ!」
「ああん? そんな権利あるわけないよね。我慢できないなら漏らせば」
 ぐ、ぐ、とこぶしを握って下腹を押し。
 さらに引き締まった尻を持って開き、梓は笑った。
「ほら、漏らしなよ。負け犬の蛍ちゃん」
「あ、この、……く、っそ、ぁぁぁああ、あんっ!」
「はは、首輪は外してあげるから」
「あ、待って今外されたら………っあ、―――~~~~ッ‼」
 唐突に寸止めを解除され、同時に梓の指が膣を貫き。
 蛍は一気に崩壊した。
 ぎしぎしっ、とつられた手を握り締めて、どこと言わず全身を湧き上がる快楽に震わされて、何百回分の絶頂を一度で味わう。
「あ、イ……っく、イ、ゔゔゔううううああああああああああああああああっ!」
 びちゃびちゃ、ぼとぼとと、多様な水音が連続した。
 陰裂からは湯気が出そうなほど熱い潮を噴き、さらに薬剤と混ざった薄ピンクの尿を漏らす。菊門からは排泄物をまき散らし、蛍は全身の力を抜いてぎしり……、と力なく項垂れた。
 そして、狂ったように笑う悪魔が1人。
「あっはっは! なんだよみっともないなあ蛍ちゃん。さっすが妹ちゃんの顔に漏らす女は乱れ方が違うねえ、うん?」
「………ゔる、さいぃっ、誰だって、こんな、されたら……」
「ていうか白衣がどろどろじゃないか、まったくもう」
 べしゃり、と重くなった服を床に捨てて、梓は笑って呟いた。
「でも、まだ足りない、よね?」
 
■■■
 
 梓の責めは、地獄のようだった。
 だけど。
 二度目の排泄と排尿を強制され、媚毒に侵された全身を弄ばれて。
 それでも蛍は、どこか自分の頭の一部分が冷えていることを認識していた。
「あ、……ず、さ」
「お、なんだい蛍ちゃん? パスワード教えてくれる気になったかい?」
 臭いも汚れも気にせずまとわりついてくる梓の一部分を見て、蛍は息も絶え絶えに言う。
「あんたも、昨日の人に………やられた、でしょ」
「………そんなわけないじゃん。組織内、身内みたいなもんだよ?」
「首筋」
「…………っ⁉」
 ばっ、と白衣からちらりと見えるうなじを隠すその動作は、答えに等しかった。
―――ああ、だからか。
 これだけ追い詰められても、体はとっくに堕ちていても、なぜだか最初の方より冷静でいられた理由が、やっとわかった。
「もう、あんたの底は……見え、てるよ」
 突然、激しくなった責め方は、余裕のなさの表れで。
 ことさら負け犬と罵ってくるのは、自分の立場を誇示するためで。
 揺れる瞳は、ただ不安げな少女な少女のそれだ。
「うるさいっ!」
「あっ……くっ」
 管ごと蛍の陰核をぐりりと潰して、梓は叫んだ。
「お前は私の玩具だろ! それが、知ったような口を聞くなよ。玩具は玩具らしく震えて見上げて媚びてろよ!」
「あ、……っく、ああんっ! は、あ、………」
 全裸で吊り下げられ、汚物にまみれて喘がされても、蛍の瞳は揺らがない。
 懸命に顔を上げて、梓にぽつりとつぶやいた。
「…………可哀そうな子」
「黙れ!」
 ぱあんっ、と頬を張る音が鳴った。
 残響と、梓の荒い息だけがしばらく響く。
 先に沈黙に耐えられなくなったのは梓で。
 かしゃかしゃ、と、せわしなくリモコンを操作して、最後に黒いボタンを押す。
 以前蛍を苦しめた、棺桶型の責めに移行させるキーだ。
 首だけ出して座らされ、全身を繊毛に包まれた蛍に、梓はひきつった笑みを浮かべた。
「あはは、今週は地獄を見てもらうよ。自分がどういう立場にいるかよーく思い出して悶えるんだね、この負け犬」
「………そんなことしても、あなたの格は上がらないわよ」
「ほんっとうにもう……っ」
 ためらいなく起動スイッチを押す。
 全身を高速で研磨されて、すぐさま蛍は連続で絶頂を迎えだした。
「あ、あああああっ! っく、ぅぅ、あんっ! あああああああああああっ!」
「これでも私が下だって? はは、お笑いだね」
「あ、ずさ、あああっ! も、う……私は、っく、あんたが、ひゃ、ああ、こわ、くない……。あああっ! 私を堕としたい、なら、担、当を変えてもら、うん、だね。ゔうう、っく、んんんんんっ!」
「もう、黙って」
 顔を真っ赤にして官能に呑まれながらも、なお言葉を続ける蛍の口にハンカチを詰めて。
 梓は黙って部屋を後にした。
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