悪魔との100日ー淫獄の果てにー

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37日目―変化する責め方、及び、奈落―

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―――どう、判断したものかしらね……っ。
 いつもと変わらない、そして変わらないと言えるほどに慣れてしまったことに嫌気がさす大の字での振動片の責め。
 しかし、その責め方に変化が生じていた。
 ヴィ、ィィィ………ィィィィィ……。
「ああっ、……はぁ、っく、あぁ」
 陰核への振動が再開され、かと思えば、刺すような激しい快楽になる前に微弱な責めに戻っていき、蛍は中途半端に力を入れた体を弛緩させる。
 緩んだ体に滑り込むように、快楽が蓄積していく。
 寸止めともまた違う。
 朝起きてからの2時間弱で、すでに4回ほど絶頂を迎えていた。しかしそれは、馬鹿になった体への責め方としてはあまりにも優しくて。
 体への負担を最小限へ抑えようとする責め方は、例えるなら。
―――恋人に、されてるみたいな……。
 顔と体だけは100点満点の悪魔が脳裏に浮かんで、蛍は慌てて振り払う。
 乳首と陰核への振動が少し強くなって、ぷっくりと膨らんだ急所が快楽に悦ぶ。
「ああうっ、うううんっ!」
 きしりと枷を軋ませて、引き締まった体をぴんと張る。秘肉の割れ目から乳白色の汁が垂れて、その粘液が伝う感覚も快楽として蛍の色づいた体を追い詰めていく。
 ヴィ、ィィィ、ィィィ。
 微弱な責めと、自らの淫液に追い詰められて、蛍の脳は燻されるようにじわじわと快楽に巻かれていく。
―――だ、め。また……っ。
 いっそ荒々しく責められてしまえば狂えるのに、理性が残るぐらいの速度でゆっくりと果てへの階段を登らされるのが、とてつもなく恥ずかしかった。
 そして、一定の強さで女の突起を責め立てる振動に引き締まった体をきゅっ、と縮こまらせて、蛍は5度目の果てを迎える。
「…………っ、イく………っ」
 がくっがく、と腰を跳ね上げて女の蜜をねっとりとベッドに吐き出したとき、部屋の扉が開いた。
 白衣を羽織った梓が、いつも通りの声音でつかつか寄ってくる。
「やあやあ、お待たせ蛍ちゃん」

■■■

「いやあ、よく食べるねえ蛍ちゃんは。大食漢ってやつ?」
「まあ、よく食べてよく寝て良く動け、みたいな家だったから」
「子供かな?」
 ダメ元で和食くれと言ったらあっさり通ったし、おかわりも通った。
 ご飯に味噌汁に焼き魚と揃った朝食を食べているのを見て、ちょっと引いている野茨梓。
 その手を指さして、蛍は顔をしかめた。
「あんたの方こそ、それで足りるの?」
 梓が噛むように食べているのは携帯食で、飲み物代わりのゼリーで朝食は終わりらしい。
「まあ、運動とかしないし。糖分取ってれば脳は動くし」
「絶対あんた早死にするわよ」
「嫌に長く生かされるよりはマシでしょ」
 なんの邪気もなくさらっと言う梓に、蛍は無言で食事を詰め込む。
 実戦練習の類が全くできないのは物足りないが、基礎体力についてはだいぶ戻ってきた感じはあった。
 一応は作ってくれた誰かさんに対して手を合わせて、蛍は梓を追い払う仕草をする。
「どうせ今日も運動でしょ。ちょっと出てってくれる?」
 退室を要求するのは、いつも通りなら機械に排泄を強要されるからで、そのとき梓は席を外すからだ。
 広い部屋で強制的に用を足させられるのはいまだに最低の気分だけど、いちいち赤面しないぐらいの心構えはできた。
 しかし、梓は席を立たない。
 足を組んで妖艶にほほ笑む女の顔に、しばらく忘れていた加虐者の側面を感じてぞくりとする。
「な、なによ。良いからさっさと……」
「蛍ちゃん。最近私のこと、敵じゃないんじゃないか、とか思ってない?」
 図星を突かれて、反応が遅れる。
 鎖につながれた蛍の行動範囲ギリギリで、梓は笑う。
「私は被害者なんじゃないかとか、助けてあげるべき人なんじゃないかとか、ちょっと打ち解けたからって気を許し始めていない?」
「……………だって、あんたはっ!」
「だめなんだよねえ、それじゃ」
 鎖を巻き取られ、足と手を繋がれ、人の字に拘束される。
 梓の細い指で目隠しをされて、耳をぺろりと舐められた。
「私は敵、憎む相手、絶対に折れたらダメな対象。そういうふうに思ってもらわないと困るんだよ」
「じゃあ、なんであんな優しい責めに切り替えたのよ」
「……あー、それはこっちの都合でね。まあ、来週の土曜日が終わったら蛍ちゃんのお望み通りドギツイ調教に戻すからさ」
「望んでない……、あ……」
 梓は、くい、と蛍の引き締まった双臀を割り開いて、ベッドから伸びた浣腸用のチューブを尻穴に突き刺した。
「あ、ああああっ」
 浣腸液を注入され、菊門への刺激で悩ましく腰をゆする蛍の耳を犯すように、梓は告げる。
「蛍ちゃんにはもっと怒ってもらわないと困るんだよね。全力で怒って、全霊でぶつかってくれないと」
「なに、訳の分からないことを……、ああうっ」
―――もし、蛍ちゃんが真壁沙羅を倒せるのだとすれば、私にとって最高の駒になる。
 蛍に愛着がわいているのは事実だが、あくまでも駒としての使用を優先する。
 十分な薬液を注入して、梓は管を抜く。
 ひくひくと窄まった穴を痙攣させる蛍の下に金盥と一枚の写真を置いて、梓は目隠しを取った。
 ぱちりと目を合わせて、蛍は早くも脂汗の滲んだ顔で梓に言う。
「出てけ! はやく、はやくっ!」
「まあまあ蛍ちゃん。今日は私も見物してるよ。ところで、下を見てもらえる?」
 言われて、蛍はそろそろと顔を下げる。
 開かれた股の下には、汚物を受け止めるためだろう、金盥が置いてあるが。
 その中に置いてある写真に、かあ、と全身が煮えたぎるような怒りに震えた。
 その中に入っているのは、最後に蛍が会った時のような笑顔を浮かべる、あかりの卒業写真で。
 握りしめた指を真っ白にして、蛍は梓に吠えた。
「お前っ! 今すぐどけろっ、ぶっ殺すぞ!」
「あっはは、そーんなバカみたいな感度で浣腸されて、どうやって殺すっていうのさ」
 ずりずりと椅子を引いてきて、特等席で蛍を眺めながら、梓は笑う。
「今日から毎日、排泄管理はこの形でやるからね。守るべきかわいー妹ちゃんの顔に存分にぶちまけると良いさ」
「お、まえっ……、……くううっ」
 わなわなと唇を震わせる蛍だったが、腹から呻くような音がして尻に力を入れる。
 とっくに決壊寸前の肛門に力を入れて、ぎゅっと唇を噛む。
 梓は、追い詰めるでもなくただ蛍を眺め続けた。
 刺すような目線の蛍と、ゆったりと笑う梓が見つめ合うこと数分間。
 もぞもぞと太ももを動かして、膨らんだ下腹部が何回目かの悲鳴を上げたとき、蛍はかすれた声で呟いた。
「お願いっ……ああっ、これだけは、やめて…………」
「ええー、ただでやめろって言われてもなあ」
「なんでも、なんでもするからっ!」
「私の発想は貧困だからわっかんにゃいなー。なんでもってなんだろうなあー」
 猫なで声の梓に殺意が湧くが、噛みついている余裕はない。既に、内側からの圧力は限界を超えている。
 髪を振り乱してしきりに体をゆすりながら、蛍は必死で懇願する。
「何日連続だってイかせていいし、自慰だってする。靴も舐めるし、土下座だってするし、一生イけないまま焦らしてもいいから……。お願い、これだけは、許して………っ!」
「ふうーん」
 間延びした返事をして、梓は二、三言手帳に書き込んで。
 にっこり笑ってこう言った。
「嫌だ。だってそれ、立場差を使えば全部強要できるもん」
「………お願い、お願いだからっ!」
 必死の懇願をあっけなくへし折られ、蛍は裸身をのたうたせる。
 そして、体ももう持たなかった。
「あ、ホントに、っく、ゔゔう、ああああああっ!」
 極限状態のなか、さらに数秒を気力で耐えたが、悲鳴のような叫びは絶望の色を濃くしていき。
 ついに、蛍が決壊した。
「あ、あああああああああっ、いやあああああああああああっ!」
 空気が破裂するような汚らしい音が最初だった。
 開かされた股の間から、ぼとぼとと固形の排泄物を愛する妹の笑顔に落として、蛍は一瞬の解放感と、その後に襲い来る異臭と絶望に心と体を打ちのめされる。
 凄絶な排泄が終わり、梓は手を叩いて笑った。
「あっはっは! いやあひっどいなあ蛍ちゃんは。ねえねえもし万が一全部解決して妹ちゃんと再会できたとして、ちゃんと顔見て話せるのかい?」
「…………う、っぐ、うああああああああああっ!」
 がしゃがしゃっ! と腕が引きちぎれても構わないとばかりに鎖を慣らして、しゃくりあげながら蛍は叫ぶ。
「おまえ、おまえ、はっ! う、ぐぅ、絶対に許さない! 絶対、ぜったいにっ!」
「はいはい、そうだね」
 鼻をつまみながら、梓はわらった。
「私は用事があるから帰るけど。蛍ちゃんはこのあと運動しちゃってね? ムキムキになったら逃げる可能性も広がるかもよ。まあとにかくできることをすると良いさ」
「………覚えて、なさいよ」
「もちろん。妹の顔に漏らした蛍ちゃん。よおく覚えとくよ」
 暗い怒りに包まれた蛍を見て、梓は内心で頷く。
―――さて、やることはやったかな。
 あとは蛍ちゃんが、警備部最強相手にどこまでやれるか、見物させてもらうだけだ。
 ぎりぎりと歯ぎしりをする蛍に手を振って、梓は部屋を後にした。
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