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13日目ー蛍の平日、梓の平日ー
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「んあああああっ!」
朝は、振動片の容赦ない刺激と、自分の喘ぎ声で目が覚める。
まどろんでいる暇なんてない、ぼーっとしている時間など与えられず、すぐさま体は屈服まで一直線に登っていく。
「あ、っは、ぅああっ!」
がくっ、と首を折って、腰を前後にへこへこと振る。
繊毛まみれの管ほどではないが、敏感にされた陰核には、振動片による刺激も十分に劇薬だった。
(こ、きゅう……、息を、すわないとっ)
朝食前の責めは、おおよそ一時間ぐらいだと思う。
仰向け、大の字に拘束されて、がちゃがちゃと体を軋ませながら、蛍は喘ぎ声の合間で必死に酸素を取り込む。
生理的な涙を流して、モニターを睨む。
『経過日数:13/100』『機械停止:0/100』
(1時間あれば、今の私なら、100回なんて……)
機械停止、という響きがこの上なく甘く聞こえるが、必死に首を振った。
「あ、ぅああ、あ、お、ぅお、ん、っく、あ、っはああああっ!」
ぶるる、ぶるる、と腰をゆすり、手ですくえるほどの愛液を早速噴き出しながらも、蛍は屈することはない。
(ぜったい、ぜったい、ぅあ、まけ、な、っい)
蛍はわかっていた。
『イきます』と泣き叫べば、1日2日は休みがもらえるかもしれない。
でも、拷問以外の長時間の休み、さらに平和な睡眠時間を、あの悪魔が何日も許すとは到底思えない。絶対に次の『命令』が降ってくる。
ベッドのシーツをびしゃびしゃに濡らし、肉壺をとろけさせながらも、蛍は酸欠の頭を必死に回す。
(折れたら、ふ、っく、次の要求は、ぜ、ったい、エスカレートする。抵抗力も、っく、弱る、だから、あんっ、一回でも、折れ たら、っく、あ、っふあ、だめっな、の!)
「っくああああああああああああっ!」
体はとっくのとうに心を裏切り堕ちていて。
ぷっくりと膨らんだ陰核から泣き叫びそうな快楽を一身に受けながらも。
屈服することなく、今朝の責めも蛍は受けきった。
■■■
そして朝食になる。
蛍は最初に起きたときと同じ、肘掛け椅子の形に固められて、右腕の拘束だけが解ける。
目の前には、胸の高さにトレーがあって。
その上に、宇宙食のようなパック詰めされた薄ピンクのゼリーが置いてある。
もう慣れている蛍は、ためらいなくそれを掴み、嚥下した。
(そこそこ美味しいのが、なんというか逆に腹立つ……)
いっそ徹底的に追い詰めてくればいいのに。
健康管理までちゃんとされてしまうと、本当に家畜になった気分がして、唇を噛む。
そして。
(っふ、あ、あつ、い)
支給される飲み物には、ちゃんと悪意も入っていた。
薄ピンク。おそらく、陰核を狂わせた媚毒の成分が入っているのだろう。
でも、飲まなかったときは最悪だった。
初日を思い出して、蛍は吐き気を催す。
ちゃんと飲んでいないと判断すると、この拘束ベッドは、袋を蛍の後ろに持っていき、肛門に飲み口を突き刺すのだ。
無理やり腸内にゼリーを押し込まれ、しかも腸から吸収されるから媚毒がまわるのも早く。
挙句の果てに、当てつけのように次の食事にも同じ袋を使われるのだから、これに関しては意地を張る気がなくなった。
■■■
「っく、あああっ」
朝食が終わると、いよいよ本格的な責めが始まる。
尿道をどろりとした媚薬が入っていく感覚は、何度経験してもおぞましいけれど。
「あ、っふ、あ、っくあ」
(だっめ、どんどん、私の体……ダメになってるっ)
一昨日より、昨日。
昨日より、今日。
液体が伝う感覚を、蛍の尿道は確実に快感として拾うようになってきていた。
そして、膀胱がパンパンになると、陰核につけられた管が牙をむく。
「く、っか、ああ。----~~~~~~っ! ~~~~~~~っくあああ!」
余りの快楽に声も出なくなって、蛍はただ全身を跳ね回らせる。
無駄だとわかっていながらも陰核に吸い付く管を取ろうと、上下左右に激しく腰を振り、つま先までピンと伸ばす。
のけぞった細い喉に、唇の端から漏れた唾液の筋が一筋垂れた。
ざりざりざりざりっ! と陰核を容赦なく磨かれ。
胸に取り付けられたままの振動片も最強に設定されたままで。
危うく力を抜きそうになって、必死に肛門に力を入れて尿を我慢しようとしたら、その動きがさらに陰核への刺激を助長して。
一瞬の硬直ののち、蛍はがく、がくっ! と引き締まった腰を震わせた。
「あん、あ、あう、っくあ、っくぅぅぅうううううううううっ!」
貞操帯が邪魔で見えないけれど。
内部で盛大に潮を吹いてしまった蛍は、力尽きるように体の力を抜いてしまって。
ぴゅ、とわずかに、媚毒が尿道を通って外に漏れた。
そして蛍は目を見開いて、口を開く。
「っく、あっ、なんっで、きも、ち……っ!」
尿道を媚毒が通り、尿道そのものと、陰核とGスポットが同時に熱くなる。
とろりとした媚毒の一滴一滴が蛍の敏感なところをねっとりと舐めあげるような感触を与え、腰が砕けるように、蛍の体から力が抜ける。
そうすると、また膀胱から媚毒が流れ出るわけで。
「止まって、止まってぇぇ、っく、ああっ、また、っく! ぅあ、っふ、あああっ! だめ、だめだめ、止まらな、また、っうあ、あ、あん、………っあ、ああああああああっ!」
数滴漏らしては絶頂して力が抜け、また数滴漏らして絶頂して。を延々と繰り返し。
密閉された貞操帯の底にねっとりとした媚毒が溜まり切るころには、蛍は十数回の絶頂を迎えさせられていた。
■■■
そして、数度の排尿を強要されて、ひたひたと媚毒が貞操帯に溜まり。
体感時間的には夕方ごろ。
蛍にとって、真の地獄が始まる。
「あ、うぁ、っく、っふ、あ、あつ、あつい、あついぃぃいいいいっ!」
媚毒が陰核を完全に包み込み、さらに肛門と膣口を逆流し始めるのだ。
元々敏感な部位に原液を浸されて、それだけで絶叫する蛍であるが。
「ああああっ! 管止めてぇぇ、っく、また! っああ! も、もうっ! うああ、ひゃああああああああっ!」
繊毛の動きも変わらないし、管も絶対に取れないので。
陰核を苛め抜かれて絶頂を迎える蛍。
大きく腰が震えて、貞操帯の中の媚毒もねっとりと流れる。
すると。
「あ、ぅあ、んふぅぅううううっ! ぅぅぅぅうううううっ!」
媚毒の粘性が強すぎて、触れている部分全てに、泣きそうな快感が走るのだ。
恥丘も、陰核も、陰唇も、膣も肛門も全部。
例えるなら、数十人に隙間なく舌を這わせられて、容赦なく責められているような感覚に、蛍ははくはくと口を開けて、また絶頂を迎える。
そこから先はもう無限ループであった。
陰核を擦られて絶頂を迎え。
腰が震えたときの秘部を舐めつくされるような刺激に絶頂を迎え。
さらにそれらで力が抜けて媚毒排尿で絶頂を迎える。
「止まれよぉ、は、っあ、止まってよぉぉ! も、むり、っくあ! 私の体、なんだからぁぁ! 言うこと、聞いてよぉぉっ! っくあ、ああん、んあ、あぅぅううゔゔゔゔあっ!」
『経過日数:13/100』『機械停止:0/100』
モニターに映るのは、代わり映えのしない事務的な文字で。
(だめ、折れちゃだめ、ぜったい、だめ、だからぁ………)
卑猥なダンスを踊り、繰り返す排尿と自らの淫液を溢れるほどに貞操帯にため込みながら。
蛍はぎゅっと目をつむって、繰り返す絶頂を受け入れ続けた。
■■■
並の人間だったら一生分の絶頂を迎えさせられたが、蛍に安息はやってこない。
ゼリーで体を熱くさせられた蛍は、また仰向け、大の字に拘束されて、振動片による拷問を受ける。
「ああ、……ぁあ、あん、っふ、あぁ」
疲れ切って、ろくに力を入れられなくなった体をいじめられて、ただひたすらに淫液を噴き出す人形になり果てる蛍。
さらに、体には最悪の変化が起きていた。
(うそ、うそ、うそっ)
今や絶頂を迎えるたびに愛液を噴き出すようになってしまった蛍であったが。
秘貝からだらだらと垂れた涎が肛門に流れる、その刺激がはっきりとした快楽になってしまっていた。
媚毒が原因で感度が3倍以上となった部位への、追加の責め苦。
もう恥も外聞も捨てて、蛍は涙を流して叫び声を上げた。
「っう、っう、うあああああああっ! もう、いやあああああああああああああっ!」
弱った蛍を誘うように、モニターに書かれた文字が輝く。
さきほどまでの自分の言葉を覆すように、蛍の頭は逃避へと回転していく。
(…………………1日、今日だけ、明日からはまた我慢する。1日、体を休める、だけなら)
「っふ、ぅ、っふあ、……………イ、……っ」
―――…………お姉ちゃん、大好きだよ。
「………っ!」
折れそうになった心に、聞こえるはずのない声を思い浮かべて、蛍は口にしかけた言葉を飲み込んだ。
がり、と舌を噛んで、痛みと共に意識を覚醒させる。
(…………まだ、負けられない。折られるわけには、いかな、い)
「っくあ、はああああああっ!」
絶頂に体を軋ませながら、蛍はモニターを強く睨んだ。
「あずさぁぁっ! 絶対、お前の思い通り、っく、になんか、……ぅ、動いて、やらない、からな、ぁぁああ、あん! せい、ぜいっ、悔しが、り、なさいっ! ……~~~っ!」
びく、びくっ! と毒々しいほど膨れ上がった陰核を突き上げて、快楽に体中を焼かれながらも。
蛍の抵抗は今日も続く。
■■■
「朝宮蛍、28歳。フリージャーナリスト。2年前に会社を辞め、以降危険が伴う取材を主に扱う。柔道3段……ああ、実家が古武術やってるのか。我慢強さの源泉はこれかー?」
昼休み。
携帯食で昼食を済ませ、野茨梓は部下に調べさせた朝宮蛍の追加資料を眺めていた。
「でもなーんか違和感が残るんだよなあ。過去に最強の女流剣士なんてのも調教したけど、意外と脆かったし」
うんうん唸っていると、その資料を脇から乱雑に奪われて、梓は眉を顰める。
「あらあ? 主席サマが珍しく悩んでいると思ったら、なにかしらあ、これ」
「…………返せよ、アイリーン」
奪っておきながらまったく目を通さず資料をごみ箱に捨て、アイリーンはブロンドの髪をかき上げる。
「最近なにか様子がおかしいと思ったら、玩具にお熱になっているとはね。そのまま傾倒して主席から転がり落ちればいいんだわ」
「自分が上がるんじゃなくて他者を落とそうと思っている時点で、お前は二流だよ。似非次席が」
「だれが似非ですってぇ」
梓の胸倉をつかんで、アイリーンは目を吊り上げる。
「調子に乗ってると痛い目見るわよ、小娘」
「小娘に落っことされちゃ世話ないね、おばさん」
「まだ20代よ! というか年上には敬語を使いなさいよ」
「あんたのどこに尊敬するところが?」
梓が適齢期になってこの会社に入社するまで、アイリーンは主席研究員だった。
とはいっても、圧倒的な成果があるわけではなく。
なんでもそつなくこなす万能性に加え、人心掌握術に長けていたため、多数決で主席を手に入れていたのだが。
梓は胸ぐらをつかまれたまま、涼しい顔でアイリーンの青い目を睨む。
「入って1年の新人が上司になった気分はどうだった?」
「………くそったれよ、まったく」
アイリーンを含め、小金を集めるような成果取りをしていた研究者たちを瞬く間に抜き去り。
圧倒的な研究成果を持って、梓が主席を奪い取ってから、もうすぐ二年と半年になる。
「まあでも」
意趣返しのように、アイリーンは唇を吊り上げて笑う。
「アンタみたいに優秀すぎる女も考えものよね。だって、ねえ? あんた入社早々、当時の警備部のトップに徹底的に……」
『おねがい、ゆるひて、ゆるしてください、ひょれはむりなの、気持ちいいの、もどらなくなっひゃうから、ぁぁああああっ!』
『ああ、これはお前が自作したのだったな。よかったじゃないか、被検体第1号になれて』
『も、やだぁぁっ! イきたくない、イきたくないのにぃぃ、っく、はあ、イっくぅぅうううううううううううっ!』
『幸せじゃないか。これほどのことをされるぐらいお前は必要とされているということなのだから。ありがたく受け取れ』
『イく、イくイくイくイくっ………、あ、ああっ! また、ぁぁああっ! ひぐっ、うぇ、いじわるしないで、ちゃんとイかせて、イかせてくだひゃいお願いします! なんでも、なんでもしますからぁ……っ』
『その言葉、あと100回ぐらい聞けたらとりあえず休憩にしてやろう』
がしゃん、と硬質な音が響いた。
梓が使っていたカップが、アイリーンの耳を掠めて背後の壁で砕け散る。
「うるさい。身の程をわきまえなよ、二流」
「さっすが、身をもって上下関係を叩きこまれた人は言葉が重いですわね」
剣呑な空気でにらみ合う両者。
そのとき、じりりりり、と昼休みの終わりを告げるベルが鳴った。
退散退散、と持ち場に戻ろうとするアイリーンに、さしたる期待もなく梓は尋ねる。
「ねー、二流おばさん。朝宮蛍って知ってる?」
「朝宮? 知ってるわよ」
「え、うそ」
「本当よ。さっきまでの態度を謝るなら教えてあげなくもないわ」
「生意気言ってごめんなさい」
「………ほんっと、そういうところが」
目的のためなら手段を選ばない。その態度に研究者としての格の違いを見せつけられたようで、ふつふつと怒りをため込みながら。
アイリーンはせいぜい余裕ぶった調子で、説明を始める。
「まあ、朝宮蛍って人は知らないんだけど。二年ぐらい前だったかな。私のところに回されてきた被検体が、朝宮あかりって名前だったわよ」
「よく覚えてるね」
「こっちはあなたと違って大量にサンプルもらえるわけじゃないから」
「可哀そうに」
「このっ」
詰め寄ろうとするアイリーンには目もくれず、梓はさらに聞く。
「その子、どうなった?」
「さあ。わたしの投薬実験が終わった後、どっかに回されたかな。知りたければ人事部を通しなさい」
「そうする、じゃあ昼休み終わってるからさっさと帰れ」
「………………小娘が」
舌打ちをして出て行くアイリーンを無視して、梓は爪を噛む。
朝宮あかり、か。
「使えるかもなあ」
嗜虐に長けた一流研究者は。
さらなる姦計を巡らせてにたりと笑った。
朝は、振動片の容赦ない刺激と、自分の喘ぎ声で目が覚める。
まどろんでいる暇なんてない、ぼーっとしている時間など与えられず、すぐさま体は屈服まで一直線に登っていく。
「あ、っは、ぅああっ!」
がくっ、と首を折って、腰を前後にへこへこと振る。
繊毛まみれの管ほどではないが、敏感にされた陰核には、振動片による刺激も十分に劇薬だった。
(こ、きゅう……、息を、すわないとっ)
朝食前の責めは、おおよそ一時間ぐらいだと思う。
仰向け、大の字に拘束されて、がちゃがちゃと体を軋ませながら、蛍は喘ぎ声の合間で必死に酸素を取り込む。
生理的な涙を流して、モニターを睨む。
『経過日数:13/100』『機械停止:0/100』
(1時間あれば、今の私なら、100回なんて……)
機械停止、という響きがこの上なく甘く聞こえるが、必死に首を振った。
「あ、ぅああ、あ、お、ぅお、ん、っく、あ、っはああああっ!」
ぶるる、ぶるる、と腰をゆすり、手ですくえるほどの愛液を早速噴き出しながらも、蛍は屈することはない。
(ぜったい、ぜったい、ぅあ、まけ、な、っい)
蛍はわかっていた。
『イきます』と泣き叫べば、1日2日は休みがもらえるかもしれない。
でも、拷問以外の長時間の休み、さらに平和な睡眠時間を、あの悪魔が何日も許すとは到底思えない。絶対に次の『命令』が降ってくる。
ベッドのシーツをびしゃびしゃに濡らし、肉壺をとろけさせながらも、蛍は酸欠の頭を必死に回す。
(折れたら、ふ、っく、次の要求は、ぜ、ったい、エスカレートする。抵抗力も、っく、弱る、だから、あんっ、一回でも、折れ たら、っく、あ、っふあ、だめっな、の!)
「っくああああああああああああっ!」
体はとっくのとうに心を裏切り堕ちていて。
ぷっくりと膨らんだ陰核から泣き叫びそうな快楽を一身に受けながらも。
屈服することなく、今朝の責めも蛍は受けきった。
■■■
そして朝食になる。
蛍は最初に起きたときと同じ、肘掛け椅子の形に固められて、右腕の拘束だけが解ける。
目の前には、胸の高さにトレーがあって。
その上に、宇宙食のようなパック詰めされた薄ピンクのゼリーが置いてある。
もう慣れている蛍は、ためらいなくそれを掴み、嚥下した。
(そこそこ美味しいのが、なんというか逆に腹立つ……)
いっそ徹底的に追い詰めてくればいいのに。
健康管理までちゃんとされてしまうと、本当に家畜になった気分がして、唇を噛む。
そして。
(っふ、あ、あつ、い)
支給される飲み物には、ちゃんと悪意も入っていた。
薄ピンク。おそらく、陰核を狂わせた媚毒の成分が入っているのだろう。
でも、飲まなかったときは最悪だった。
初日を思い出して、蛍は吐き気を催す。
ちゃんと飲んでいないと判断すると、この拘束ベッドは、袋を蛍の後ろに持っていき、肛門に飲み口を突き刺すのだ。
無理やり腸内にゼリーを押し込まれ、しかも腸から吸収されるから媚毒がまわるのも早く。
挙句の果てに、当てつけのように次の食事にも同じ袋を使われるのだから、これに関しては意地を張る気がなくなった。
■■■
「っく、あああっ」
朝食が終わると、いよいよ本格的な責めが始まる。
尿道をどろりとした媚薬が入っていく感覚は、何度経験してもおぞましいけれど。
「あ、っふ、あ、っくあ」
(だっめ、どんどん、私の体……ダメになってるっ)
一昨日より、昨日。
昨日より、今日。
液体が伝う感覚を、蛍の尿道は確実に快感として拾うようになってきていた。
そして、膀胱がパンパンになると、陰核につけられた管が牙をむく。
「く、っか、ああ。----~~~~~~っ! ~~~~~~~っくあああ!」
余りの快楽に声も出なくなって、蛍はただ全身を跳ね回らせる。
無駄だとわかっていながらも陰核に吸い付く管を取ろうと、上下左右に激しく腰を振り、つま先までピンと伸ばす。
のけぞった細い喉に、唇の端から漏れた唾液の筋が一筋垂れた。
ざりざりざりざりっ! と陰核を容赦なく磨かれ。
胸に取り付けられたままの振動片も最強に設定されたままで。
危うく力を抜きそうになって、必死に肛門に力を入れて尿を我慢しようとしたら、その動きがさらに陰核への刺激を助長して。
一瞬の硬直ののち、蛍はがく、がくっ! と引き締まった腰を震わせた。
「あん、あ、あう、っくあ、っくぅぅぅうううううううううっ!」
貞操帯が邪魔で見えないけれど。
内部で盛大に潮を吹いてしまった蛍は、力尽きるように体の力を抜いてしまって。
ぴゅ、とわずかに、媚毒が尿道を通って外に漏れた。
そして蛍は目を見開いて、口を開く。
「っく、あっ、なんっで、きも、ち……っ!」
尿道を媚毒が通り、尿道そのものと、陰核とGスポットが同時に熱くなる。
とろりとした媚毒の一滴一滴が蛍の敏感なところをねっとりと舐めあげるような感触を与え、腰が砕けるように、蛍の体から力が抜ける。
そうすると、また膀胱から媚毒が流れ出るわけで。
「止まって、止まってぇぇ、っく、ああっ、また、っく! ぅあ、っふ、あああっ! だめ、だめだめ、止まらな、また、っうあ、あ、あん、………っあ、ああああああああっ!」
数滴漏らしては絶頂して力が抜け、また数滴漏らして絶頂して。を延々と繰り返し。
密閉された貞操帯の底にねっとりとした媚毒が溜まり切るころには、蛍は十数回の絶頂を迎えさせられていた。
■■■
そして、数度の排尿を強要されて、ひたひたと媚毒が貞操帯に溜まり。
体感時間的には夕方ごろ。
蛍にとって、真の地獄が始まる。
「あ、うぁ、っく、っふ、あ、あつ、あつい、あついぃぃいいいいっ!」
媚毒が陰核を完全に包み込み、さらに肛門と膣口を逆流し始めるのだ。
元々敏感な部位に原液を浸されて、それだけで絶叫する蛍であるが。
「ああああっ! 管止めてぇぇ、っく、また! っああ! も、もうっ! うああ、ひゃああああああああっ!」
繊毛の動きも変わらないし、管も絶対に取れないので。
陰核を苛め抜かれて絶頂を迎える蛍。
大きく腰が震えて、貞操帯の中の媚毒もねっとりと流れる。
すると。
「あ、ぅあ、んふぅぅううううっ! ぅぅぅぅうううううっ!」
媚毒の粘性が強すぎて、触れている部分全てに、泣きそうな快感が走るのだ。
恥丘も、陰核も、陰唇も、膣も肛門も全部。
例えるなら、数十人に隙間なく舌を這わせられて、容赦なく責められているような感覚に、蛍ははくはくと口を開けて、また絶頂を迎える。
そこから先はもう無限ループであった。
陰核を擦られて絶頂を迎え。
腰が震えたときの秘部を舐めつくされるような刺激に絶頂を迎え。
さらにそれらで力が抜けて媚毒排尿で絶頂を迎える。
「止まれよぉ、は、っあ、止まってよぉぉ! も、むり、っくあ! 私の体、なんだからぁぁ! 言うこと、聞いてよぉぉっ! っくあ、ああん、んあ、あぅぅううゔゔゔゔあっ!」
『経過日数:13/100』『機械停止:0/100』
モニターに映るのは、代わり映えのしない事務的な文字で。
(だめ、折れちゃだめ、ぜったい、だめ、だからぁ………)
卑猥なダンスを踊り、繰り返す排尿と自らの淫液を溢れるほどに貞操帯にため込みながら。
蛍はぎゅっと目をつむって、繰り返す絶頂を受け入れ続けた。
■■■
並の人間だったら一生分の絶頂を迎えさせられたが、蛍に安息はやってこない。
ゼリーで体を熱くさせられた蛍は、また仰向け、大の字に拘束されて、振動片による拷問を受ける。
「ああ、……ぁあ、あん、っふ、あぁ」
疲れ切って、ろくに力を入れられなくなった体をいじめられて、ただひたすらに淫液を噴き出す人形になり果てる蛍。
さらに、体には最悪の変化が起きていた。
(うそ、うそ、うそっ)
今や絶頂を迎えるたびに愛液を噴き出すようになってしまった蛍であったが。
秘貝からだらだらと垂れた涎が肛門に流れる、その刺激がはっきりとした快楽になってしまっていた。
媚毒が原因で感度が3倍以上となった部位への、追加の責め苦。
もう恥も外聞も捨てて、蛍は涙を流して叫び声を上げた。
「っう、っう、うあああああああっ! もう、いやあああああああああああああっ!」
弱った蛍を誘うように、モニターに書かれた文字が輝く。
さきほどまでの自分の言葉を覆すように、蛍の頭は逃避へと回転していく。
(…………………1日、今日だけ、明日からはまた我慢する。1日、体を休める、だけなら)
「っふ、ぅ、っふあ、……………イ、……っ」
―――…………お姉ちゃん、大好きだよ。
「………っ!」
折れそうになった心に、聞こえるはずのない声を思い浮かべて、蛍は口にしかけた言葉を飲み込んだ。
がり、と舌を噛んで、痛みと共に意識を覚醒させる。
(…………まだ、負けられない。折られるわけには、いかな、い)
「っくあ、はああああああっ!」
絶頂に体を軋ませながら、蛍はモニターを強く睨んだ。
「あずさぁぁっ! 絶対、お前の思い通り、っく、になんか、……ぅ、動いて、やらない、からな、ぁぁああ、あん! せい、ぜいっ、悔しが、り、なさいっ! ……~~~っ!」
びく、びくっ! と毒々しいほど膨れ上がった陰核を突き上げて、快楽に体中を焼かれながらも。
蛍の抵抗は今日も続く。
■■■
「朝宮蛍、28歳。フリージャーナリスト。2年前に会社を辞め、以降危険が伴う取材を主に扱う。柔道3段……ああ、実家が古武術やってるのか。我慢強さの源泉はこれかー?」
昼休み。
携帯食で昼食を済ませ、野茨梓は部下に調べさせた朝宮蛍の追加資料を眺めていた。
「でもなーんか違和感が残るんだよなあ。過去に最強の女流剣士なんてのも調教したけど、意外と脆かったし」
うんうん唸っていると、その資料を脇から乱雑に奪われて、梓は眉を顰める。
「あらあ? 主席サマが珍しく悩んでいると思ったら、なにかしらあ、これ」
「…………返せよ、アイリーン」
奪っておきながらまったく目を通さず資料をごみ箱に捨て、アイリーンはブロンドの髪をかき上げる。
「最近なにか様子がおかしいと思ったら、玩具にお熱になっているとはね。そのまま傾倒して主席から転がり落ちればいいんだわ」
「自分が上がるんじゃなくて他者を落とそうと思っている時点で、お前は二流だよ。似非次席が」
「だれが似非ですってぇ」
梓の胸倉をつかんで、アイリーンは目を吊り上げる。
「調子に乗ってると痛い目見るわよ、小娘」
「小娘に落っことされちゃ世話ないね、おばさん」
「まだ20代よ! というか年上には敬語を使いなさいよ」
「あんたのどこに尊敬するところが?」
梓が適齢期になってこの会社に入社するまで、アイリーンは主席研究員だった。
とはいっても、圧倒的な成果があるわけではなく。
なんでもそつなくこなす万能性に加え、人心掌握術に長けていたため、多数決で主席を手に入れていたのだが。
梓は胸ぐらをつかまれたまま、涼しい顔でアイリーンの青い目を睨む。
「入って1年の新人が上司になった気分はどうだった?」
「………くそったれよ、まったく」
アイリーンを含め、小金を集めるような成果取りをしていた研究者たちを瞬く間に抜き去り。
圧倒的な研究成果を持って、梓が主席を奪い取ってから、もうすぐ二年と半年になる。
「まあでも」
意趣返しのように、アイリーンは唇を吊り上げて笑う。
「アンタみたいに優秀すぎる女も考えものよね。だって、ねえ? あんた入社早々、当時の警備部のトップに徹底的に……」
『おねがい、ゆるひて、ゆるしてください、ひょれはむりなの、気持ちいいの、もどらなくなっひゃうから、ぁぁああああっ!』
『ああ、これはお前が自作したのだったな。よかったじゃないか、被検体第1号になれて』
『も、やだぁぁっ! イきたくない、イきたくないのにぃぃ、っく、はあ、イっくぅぅうううううううううううっ!』
『幸せじゃないか。これほどのことをされるぐらいお前は必要とされているということなのだから。ありがたく受け取れ』
『イく、イくイくイくイくっ………、あ、ああっ! また、ぁぁああっ! ひぐっ、うぇ、いじわるしないで、ちゃんとイかせて、イかせてくだひゃいお願いします! なんでも、なんでもしますからぁ……っ』
『その言葉、あと100回ぐらい聞けたらとりあえず休憩にしてやろう』
がしゃん、と硬質な音が響いた。
梓が使っていたカップが、アイリーンの耳を掠めて背後の壁で砕け散る。
「うるさい。身の程をわきまえなよ、二流」
「さっすが、身をもって上下関係を叩きこまれた人は言葉が重いですわね」
剣呑な空気でにらみ合う両者。
そのとき、じりりりり、と昼休みの終わりを告げるベルが鳴った。
退散退散、と持ち場に戻ろうとするアイリーンに、さしたる期待もなく梓は尋ねる。
「ねー、二流おばさん。朝宮蛍って知ってる?」
「朝宮? 知ってるわよ」
「え、うそ」
「本当よ。さっきまでの態度を謝るなら教えてあげなくもないわ」
「生意気言ってごめんなさい」
「………ほんっと、そういうところが」
目的のためなら手段を選ばない。その態度に研究者としての格の違いを見せつけられたようで、ふつふつと怒りをため込みながら。
アイリーンはせいぜい余裕ぶった調子で、説明を始める。
「まあ、朝宮蛍って人は知らないんだけど。二年ぐらい前だったかな。私のところに回されてきた被検体が、朝宮あかりって名前だったわよ」
「よく覚えてるね」
「こっちはあなたと違って大量にサンプルもらえるわけじゃないから」
「可哀そうに」
「このっ」
詰め寄ろうとするアイリーンには目もくれず、梓はさらに聞く。
「その子、どうなった?」
「さあ。わたしの投薬実験が終わった後、どっかに回されたかな。知りたければ人事部を通しなさい」
「そうする、じゃあ昼休み終わってるからさっさと帰れ」
「………………小娘が」
舌打ちをして出て行くアイリーンを無視して、梓は爪を噛む。
朝宮あかり、か。
「使えるかもなあ」
嗜虐に長けた一流研究者は。
さらなる姦計を巡らせてにたりと笑った。
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