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4章
4-2
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部屋一面に甘ったるい匂いが満ちている。それぐらいイき果てても、カオルへの責めは終わらない。
次はいわゆる、吊り責めだった。
「……い、痛っ……ん、うぅ」
「これからもっと痛くなりますよ」
爪先立ちを強要されたカオルの顎を、ウィタが撫でる。ねっとりとした触られ方に怖気が走るが、カオルの身体はもう快楽に落ちていた。
「や、いやっ、……あ、あん……っ」
「ふふ、もっと喘いでもいいんですよ。胸も張ってますし、股もドロドロ。そんなんで我慢しても無駄ですって」
ウィタの手はゆっくりと顎から降りていき、柔らかな膨らみをなぞり立てる。
粒の浮いた乳輪をくるくると弄ばれ、乳首を摘まれると、
「あん、あああっ!」
カオルは我慢もなく嬌声を漏らした。
(い、嫌だ。気持ち悪い、触らないで……。本当に、気持ち悪い、んだから……っ)
「嘘ですよ」
見透かされたような言葉に、どきりとする。
汗でぬらりと光るカオルを抱いて、ウィタは今度は耳責めに移った。
生暖かい舌がグチュグチュと耳腔で鳴る。
脳を舐められているような感覚に、カオルは汗を飛び散らすように吊られた体をゆすり立てる。
「や、やめてください……っ! おかしく、なる……ぅ、ぁあ……っ!」
「その割に、蜜の匂いが強くなってきましたよ? さっきから股間には触ってないのに、床まで垂れて」
「嘘っ、うそ、です……っ」
「じゃあ確かめてみましょうか」
ウィタの指示で、召使いが動く。
「あ、何をするんですか……、きゃ、あ……っ」
両の太腿を持たれて、後ろに持ち上げられる。ブリッジを逆さにしたような、モモンガのような体勢で足を開かされる。
女の貝割れを空気が撫でる冷たさと、その奥から愛液が垂れ落ちる感触は、カオルにもわかった。
「濡れてるでしょう?」
「知りません…………」
「ああそう。じゃあ言い逃れできないように、一旦ぜんぶ拭いてあげましょうねえ」
ウィタが手にしていたのは、タオルだった。
股縄のように、それをカオルの秘部に押し当てて、細かく揺すられる。カオルが喘ぐのもお構いなしに、陰唇の愛液を拭われる。
「はあ、はああ……っ」
「さあ。それでは」
もうこの時点で、カオルの意識は朦朧だった。
展示部屋に運ばれて、大の字に拘束され、体をめくりあげられるような責め苦を受けた。追い討ちの吊り責めも、体力を容赦なく削ってきた。
だから。
ウィタがキスをしてきたとわかったのは、カオルの口内にぬらりと舌の感触が伝わってからだった。
「……んっ⁉︎ んうううあっ!」
「ん、ちゅ、んう、うう、ん」
口の中で淫らな水音が鳴る。
(やだ。気持ち悪い……。ノア様だけに、して欲しかった、のに……っ!)
叶わない望みなのはわかっていた。ヘレナに命じられれば、豚にだって犬にだって股を開かされる立場だ。
それでも、青い瞳に涙が浮かんだ。
表す感情は、悲しみと、怒り。
怒りの矛先は、自分の体。
「ん、ぅぅう。……ん、っくう、ううっ!」
「ん、……ふう。……はは、感じてますね」
嫌悪感を催すようなキスでも、カオルの体は容易く快楽を拾い上げる。赤い顔と潤んだ目、震える紅唇は、どれも男を誘う顔だった。
「んう、……っ。感じて、ない、です」
「そうですか。じゃあ続きですね」
「え、や、やめっ! ――――っ⁉︎」
ウィタの厚めの唇が、カオルのそれに合わさって踊る。逃れようとする舌を押し込むように、喉付近まで舌をねじ込まれる。ざり、と口蓋を舐められて、
「ん、ふぅ……」
と鼻につく声を抑えられない。
◇
一方のウィタも、興奮していた。
ヘレナに雇われてこの手の仕事について長らく立つが、こんなにそそる相手は初めてかもしれない。
朱に染まった頬を撫でる。しっとりとしているのに、陶器のように滑らかな感触。胸も、お腹も同様だ。茂みは絹糸のように光沢を持ち柔らかく、その底では桃色の花びらが開き濡れている。
しかも。
「気持ちいいですか?」
「こんなの、なんでもないです……っ。んう、あう……っ!」
割れ目を尻側からつつー、と撫で上げて、最後に桜色の突起に引っ掛ける。カオルは吊られた裸身を跳ねさせるが、青い目にはまだ光があった。
――へし折りたい。
瑞々しい唇に指をひっかけて、ウィタは言う。
「イかせてあげます」
同時に、召使たちにも合図をした。
「なに、なんですか……っ。もう、十分、でしょう……っ!」
哀れな展示品は、肌色が見えなくなるまで密着される。汗に濡れた体に、いくつもの指が這いずり回る。
ウィタはなぶるように、召使たちに一つ一つ指示を出した。
「さて、あなたたちは両耳を舐めてあげなさい」
「ひい……っ。やめて、音、鳴らさないで……っ、ぅぅうっ!」
「残った二人は、胸を舐めて。それから、陰核に手を添えて待機ね」
「いや、あ、ああああ――っ!」
もう果てそうになっているのは一目瞭然だった。
白い髪を振り乱し悶えるカオルの後ろに回る。背面も絶景だった。染み一つない白い背中は快楽にくねり、形良く上向いた双臀がふるふると揺れる。なるほど男なら、あの尻を鷲掴みにして後ろから突きたくもなるのかもしれない。
――まあ、私は女だから。
用意したのは、鞭だった。
「あなたたち、イかせてあげて。陰核も全力で」
ウィタには見えなかったが、召使たちの指は、カオルの肉芽を剥いて、左右からしごき上げた。
「あ、あああ……っ! あああ――っ!」
「イくって言ったら、許してあげる」
「言いませんっ! ぜったい、ぜったいぃ、ぃあ、あああっ! あああ……」
意地を張るなら、それでもいい。カオルの背が反っていくのを、ウィタはじっと見ていた。
やがてそれが限界に達し、全身をぶるぶると振るわせて、カオルはピンと足を突っ張った。
「い、ああっ! あああああああああっ!」
「イったわね。……そして、言わなかったわね」
お仕置きだ。
ウィタは、思いっきり鞭をたたきつけた。
「いっ、あああああああああっ!」
一拍遅れて、カオルの絶叫がはじけた。まっすぐに刻まれた赤い線には、やはり悲鳴がよく似合う。
ぶるぶると震えて、カオルはがっくりとうなだれる。
ウィタは前に回って言った。
「頑張ってくださいね。イったと言えば、休ませてあげますから」
顎を持ち上げる。
鞭の痛みは地獄だ。それを受けて、どんなみっともない顔をしているのだろうと。
しかし。
「……負け、ません」
白い髪の奥で、青い瞳が光っていた。
今までのカオルとは決定的に違う――どころか、イルミナ家の誰よりも鋭い目に、射すくめられる。
「……私は。わたしはっ、絶対に、負けたりなんか、しないっ」
「……は、はは」
一瞬でも、気圧されたことにかっとなった。
「いいじゃないですか。……地獄を見ますよ」
ウィタはカオルの背中に回る。召使たちには徹底的な愛撫を命じて、自分は鞭を振り上げる。
カオルの絶叫が、いつまでも続いた。
次はいわゆる、吊り責めだった。
「……い、痛っ……ん、うぅ」
「これからもっと痛くなりますよ」
爪先立ちを強要されたカオルの顎を、ウィタが撫でる。ねっとりとした触られ方に怖気が走るが、カオルの身体はもう快楽に落ちていた。
「や、いやっ、……あ、あん……っ」
「ふふ、もっと喘いでもいいんですよ。胸も張ってますし、股もドロドロ。そんなんで我慢しても無駄ですって」
ウィタの手はゆっくりと顎から降りていき、柔らかな膨らみをなぞり立てる。
粒の浮いた乳輪をくるくると弄ばれ、乳首を摘まれると、
「あん、あああっ!」
カオルは我慢もなく嬌声を漏らした。
(い、嫌だ。気持ち悪い、触らないで……。本当に、気持ち悪い、んだから……っ)
「嘘ですよ」
見透かされたような言葉に、どきりとする。
汗でぬらりと光るカオルを抱いて、ウィタは今度は耳責めに移った。
生暖かい舌がグチュグチュと耳腔で鳴る。
脳を舐められているような感覚に、カオルは汗を飛び散らすように吊られた体をゆすり立てる。
「や、やめてください……っ! おかしく、なる……ぅ、ぁあ……っ!」
「その割に、蜜の匂いが強くなってきましたよ? さっきから股間には触ってないのに、床まで垂れて」
「嘘っ、うそ、です……っ」
「じゃあ確かめてみましょうか」
ウィタの指示で、召使いが動く。
「あ、何をするんですか……、きゃ、あ……っ」
両の太腿を持たれて、後ろに持ち上げられる。ブリッジを逆さにしたような、モモンガのような体勢で足を開かされる。
女の貝割れを空気が撫でる冷たさと、その奥から愛液が垂れ落ちる感触は、カオルにもわかった。
「濡れてるでしょう?」
「知りません…………」
「ああそう。じゃあ言い逃れできないように、一旦ぜんぶ拭いてあげましょうねえ」
ウィタが手にしていたのは、タオルだった。
股縄のように、それをカオルの秘部に押し当てて、細かく揺すられる。カオルが喘ぐのもお構いなしに、陰唇の愛液を拭われる。
「はあ、はああ……っ」
「さあ。それでは」
もうこの時点で、カオルの意識は朦朧だった。
展示部屋に運ばれて、大の字に拘束され、体をめくりあげられるような責め苦を受けた。追い討ちの吊り責めも、体力を容赦なく削ってきた。
だから。
ウィタがキスをしてきたとわかったのは、カオルの口内にぬらりと舌の感触が伝わってからだった。
「……んっ⁉︎ んうううあっ!」
「ん、ちゅ、んう、うう、ん」
口の中で淫らな水音が鳴る。
(やだ。気持ち悪い……。ノア様だけに、して欲しかった、のに……っ!)
叶わない望みなのはわかっていた。ヘレナに命じられれば、豚にだって犬にだって股を開かされる立場だ。
それでも、青い瞳に涙が浮かんだ。
表す感情は、悲しみと、怒り。
怒りの矛先は、自分の体。
「ん、ぅぅう。……ん、っくう、ううっ!」
「ん、……ふう。……はは、感じてますね」
嫌悪感を催すようなキスでも、カオルの体は容易く快楽を拾い上げる。赤い顔と潤んだ目、震える紅唇は、どれも男を誘う顔だった。
「んう、……っ。感じて、ない、です」
「そうですか。じゃあ続きですね」
「え、や、やめっ! ――――っ⁉︎」
ウィタの厚めの唇が、カオルのそれに合わさって踊る。逃れようとする舌を押し込むように、喉付近まで舌をねじ込まれる。ざり、と口蓋を舐められて、
「ん、ふぅ……」
と鼻につく声を抑えられない。
◇
一方のウィタも、興奮していた。
ヘレナに雇われてこの手の仕事について長らく立つが、こんなにそそる相手は初めてかもしれない。
朱に染まった頬を撫でる。しっとりとしているのに、陶器のように滑らかな感触。胸も、お腹も同様だ。茂みは絹糸のように光沢を持ち柔らかく、その底では桃色の花びらが開き濡れている。
しかも。
「気持ちいいですか?」
「こんなの、なんでもないです……っ。んう、あう……っ!」
割れ目を尻側からつつー、と撫で上げて、最後に桜色の突起に引っ掛ける。カオルは吊られた裸身を跳ねさせるが、青い目にはまだ光があった。
――へし折りたい。
瑞々しい唇に指をひっかけて、ウィタは言う。
「イかせてあげます」
同時に、召使たちにも合図をした。
「なに、なんですか……っ。もう、十分、でしょう……っ!」
哀れな展示品は、肌色が見えなくなるまで密着される。汗に濡れた体に、いくつもの指が這いずり回る。
ウィタはなぶるように、召使たちに一つ一つ指示を出した。
「さて、あなたたちは両耳を舐めてあげなさい」
「ひい……っ。やめて、音、鳴らさないで……っ、ぅぅうっ!」
「残った二人は、胸を舐めて。それから、陰核に手を添えて待機ね」
「いや、あ、ああああ――っ!」
もう果てそうになっているのは一目瞭然だった。
白い髪を振り乱し悶えるカオルの後ろに回る。背面も絶景だった。染み一つない白い背中は快楽にくねり、形良く上向いた双臀がふるふると揺れる。なるほど男なら、あの尻を鷲掴みにして後ろから突きたくもなるのかもしれない。
――まあ、私は女だから。
用意したのは、鞭だった。
「あなたたち、イかせてあげて。陰核も全力で」
ウィタには見えなかったが、召使たちの指は、カオルの肉芽を剥いて、左右からしごき上げた。
「あ、あああ……っ! あああ――っ!」
「イくって言ったら、許してあげる」
「言いませんっ! ぜったい、ぜったいぃ、ぃあ、あああっ! あああ……」
意地を張るなら、それでもいい。カオルの背が反っていくのを、ウィタはじっと見ていた。
やがてそれが限界に達し、全身をぶるぶると振るわせて、カオルはピンと足を突っ張った。
「い、ああっ! あああああああああっ!」
「イったわね。……そして、言わなかったわね」
お仕置きだ。
ウィタは、思いっきり鞭をたたきつけた。
「いっ、あああああああああっ!」
一拍遅れて、カオルの絶叫がはじけた。まっすぐに刻まれた赤い線には、やはり悲鳴がよく似合う。
ぶるぶると震えて、カオルはがっくりとうなだれる。
ウィタは前に回って言った。
「頑張ってくださいね。イったと言えば、休ませてあげますから」
顎を持ち上げる。
鞭の痛みは地獄だ。それを受けて、どんなみっともない顔をしているのだろうと。
しかし。
「……負け、ません」
白い髪の奥で、青い瞳が光っていた。
今までのカオルとは決定的に違う――どころか、イルミナ家の誰よりも鋭い目に、射すくめられる。
「……私は。わたしはっ、絶対に、負けたりなんか、しないっ」
「……は、はは」
一瞬でも、気圧されたことにかっとなった。
「いいじゃないですか。……地獄を見ますよ」
ウィタはカオルの背中に回る。召使たちには徹底的な愛撫を命じて、自分は鞭を振り上げる。
カオルの絶叫が、いつまでも続いた。
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