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敵将に見られながらの連続絶頂(上)
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暗く狭いテントの中で体を戒められて、何時間経っただろうか。
「…………っ、………く………ぅ」
燃え上がるような赤髪、白く引き締まった体を時折ぴくりと揺らして、シルヴィア=メルネスは永遠とも思える恥辱を耐えていた。耐えなければならないと思っていた。戦士として、女として、負けた場合に辱めを受ける覚悟はしてきたのだから。
どれだけ惨めな姿を強要されても、心は屈しないように強く保たなければならない。
シルヴィアは、断頭台のような木製の拘束具に手と首を戒められていた。
足元、股の下に置かれた壺からは、ぬめりを帯びた触手が何本も出てきて、延々とシルヴィアの染み一つない裸体に絡みつく。
陰核を撫であげられて、ぎりぎりと奥歯を噛み締めた。
「ふ…………ぐ、ぅぅ」
がたがたと拘束具を揺らしても、苦悶の声は静かなテントに反響する。数時間で慣れたのか、元からそういう種族なのか、触手は女を泣かせる場所を的確に責めてきて、確実にシルヴィアの体を追い詰めていた。
「……………っ、……!」
下生えから菊門まで、舐めるように一本の触手が蠢いて撫でていく。股を閉じてそのおぞましい感触を拒絶しようとするも、足首に貼られた付箋がそれを許さない。ぴくぴくと内腿の筋を引くつかせるだけで、足許の壺一個分の下級の魔物に蹂躙されていく。
とろり、と触手の粘液と自らの愛液を混ぜた液体を壺に落としながら、シルヴィアは必死に唇を噛んだ。
■■■
隣接する帝国が魔族の手に堕ちたという知らせが届いたのが、2か月ほど前だった。
その知らせ自体も寝耳に水のことだったが、メルネス王国にとって最も懸念すべきことは、当然というか、自国への侵略行為である。
騎士団長として、緋剣の異名を持つシルヴィアは日々研鑽を積んでいた。
それでも、戦争になるのは当分先だと思っていた。
戦というのは、金も物資も大量に消費する。攻め落とした国の政を掌握するのにも時間がかかる。だから、こちらは来るべき時までに十全の備えをしていればいいと、そう思っていた。
「それがなんで、こんなに早く……っ」
先陣をきって魔物の群れを薙ぎ払いながら、シルヴィアは歯噛みした。
ゴブリンやオーク、時折混じるやたらと背の高い魔物や蛆のように湧いてくる触手を切り伏せて、後方作戦本部に叫んだ。
「戦況は!?」
「右翼も左翼も押され気味です! 魔物が統制を取って攻めてくるなんて初めてであちこちで混乱が起きていますっ!」
わかってはいたが絶望的な返答に、力任せに手近なゴブリンの首を飛ばす。紫色の血を避けるようにしゃがんだ。覆いかぶさるように、オーガの巨体。山のように大きく、そして鈍い。伸びあがった勢いでオーガの首に手をかけ、脳天に剣を突き刺して後ろに倒す。
オーガの体で触手の根と雑兵を押しつぶし、その上でシルヴィアは敵方を見据えた。
「敵陣に乗り込んでくる」
「無茶ですっ!」
「だがもうそれしかない。統率者を潰さないとこの勢いは止められない」
「ですが………っ」
それきり何も聞かず、シルヴィアは手近な馬に乗って戦場を駆け抜ける。
幸い、これはまだ前哨戦のようなものだ。聖女と聖剣が守る本丸は、そう簡単には落ちない。兵力もまだある。
しかし、完膚なきまでに負けていい戦いではないのも確かだった。
「やあ」
戦場には似合わない呼びかけを受けたのは、数十の魔物を騎乗から屠り去り、さらに数匹、そこそこの位の敵を倒した時だった。
白みがかった金色の髪に、青い目の優男が、優雅に血だまりに立っている。
馬から降りて、シルヴィアは剣を持ち直す。
「魔族か。……統率者は、貴様か」
「まあ、元締めはそうだね。それにしても、そんな軽装で戦場を駆けるとはずいぶんと豪胆だ」
「戦場の選択肢は、速度に依存する」
会話をするような時間的余裕はない。
大地を踏みしめて、真っ直ぐに男の首を狙う。瞬き一回にも満たない時間で放たれる突き。
躱せるものは王国にも数人しかいないそれを、男は難なく躱した。その腕がぴくりと動き、シルヴィアは右に距離を取る。
男は笑った。
「と思ったら、意外と臆病なのかな。僕は手袋を嵌めたかっただけなのだけれど」
「ずいぶんと余裕だな」
「ああ。このままここで君を足止めできれば、こちらの勝ちだ」
「させると思うか」
「怖い顔をしないでくれよ。僕はエドラと言います。よろしくね、緋剣のシルヴィア=メルネスさん」
「死ね」
赤い手袋を嵌め終わって満足げに頷くエドラに、シルヴィアは再び距離を詰める。
今度は下から―――地面よりも下から。
剣を地面に突き刺して、掘り返すように振り上げる。砂が舞い上がり曇った視界で方向を変えて回り込む、首を狙って横薙ぎに剣を振る。
―――その首、殺った。
「うん、とてもいい」
「………っ⁉」
振り向きもされなかった。
蚊を払うようにかざされた手袋に剣が触れたとたん、ぎしりと、鉄の塊が宙に固まる。
すっぽ抜けるように剣を手から離して後退するシルヴィアに、エドラは冷たい笑みを浮かべた。
「貴女は強いね。赤で正解だ。青なら今ので死んでいた」
「ずいぶんと余裕だな。攻めては来ないのか」
サブの剣を腰から抜いて構える。冷や汗を隠して、不敵に笑って見せる。
エドラは顔色を変えることなく告げた。
「攻めなくてもそちらは物量で負けるし、そもそも攻撃は苦手でね」
「腰抜けが」
「自軍でも良く言われるよ。でも、そうだね。……敵に侮られるのは気分が悪い」
「……っ⁉」
吐息がかかりそうな距離まで一瞬で詰められて、呼吸が止まる。
棒立ちの状態から、同等の速度で肉薄されたという事実に冷静さが乱されて、慌てて剣を振った。それが致命傷だった。
赤い手袋でそれを掴まれ、二本目の剣も空中に固まった。
丸腰にされたシルヴィアは、半ば無意識に、手袋に書かれた文字を読む。
「『座標固定』……?」
「ご明察」
声は、背後から聞こえてきた。
手袋でそっと頬を撫でられて、ぎしり、と全身が固まる。
「なっ、こ……のっ!」
「無駄だよ。解除は僕の意思か、一定時間が経たないと」
からん、という乾いた音が戦場に一つ響いた。最初に空間に固定された剣がようやく落ちた音だった。
「でも、例外もある。事前に僕が魔力を通した付箋を貼られると、剝がされない限りは効果が続く」
『絶対服従』と書かれた付箋を首に張られる。
鉄の型に収められているかのような圧迫感は消え失せたものの、なお自由に動かせない体に、シルヴィアの息が荒くなる。
青い目の男は、そんなシルヴィアににこりと笑いかけた。
「チェックメイトだね、緋剣さん」
「…………っ、………く………ぅ」
燃え上がるような赤髪、白く引き締まった体を時折ぴくりと揺らして、シルヴィア=メルネスは永遠とも思える恥辱を耐えていた。耐えなければならないと思っていた。戦士として、女として、負けた場合に辱めを受ける覚悟はしてきたのだから。
どれだけ惨めな姿を強要されても、心は屈しないように強く保たなければならない。
シルヴィアは、断頭台のような木製の拘束具に手と首を戒められていた。
足元、股の下に置かれた壺からは、ぬめりを帯びた触手が何本も出てきて、延々とシルヴィアの染み一つない裸体に絡みつく。
陰核を撫であげられて、ぎりぎりと奥歯を噛み締めた。
「ふ…………ぐ、ぅぅ」
がたがたと拘束具を揺らしても、苦悶の声は静かなテントに反響する。数時間で慣れたのか、元からそういう種族なのか、触手は女を泣かせる場所を的確に責めてきて、確実にシルヴィアの体を追い詰めていた。
「……………っ、……!」
下生えから菊門まで、舐めるように一本の触手が蠢いて撫でていく。股を閉じてそのおぞましい感触を拒絶しようとするも、足首に貼られた付箋がそれを許さない。ぴくぴくと内腿の筋を引くつかせるだけで、足許の壺一個分の下級の魔物に蹂躙されていく。
とろり、と触手の粘液と自らの愛液を混ぜた液体を壺に落としながら、シルヴィアは必死に唇を噛んだ。
■■■
隣接する帝国が魔族の手に堕ちたという知らせが届いたのが、2か月ほど前だった。
その知らせ自体も寝耳に水のことだったが、メルネス王国にとって最も懸念すべきことは、当然というか、自国への侵略行為である。
騎士団長として、緋剣の異名を持つシルヴィアは日々研鑽を積んでいた。
それでも、戦争になるのは当分先だと思っていた。
戦というのは、金も物資も大量に消費する。攻め落とした国の政を掌握するのにも時間がかかる。だから、こちらは来るべき時までに十全の備えをしていればいいと、そう思っていた。
「それがなんで、こんなに早く……っ」
先陣をきって魔物の群れを薙ぎ払いながら、シルヴィアは歯噛みした。
ゴブリンやオーク、時折混じるやたらと背の高い魔物や蛆のように湧いてくる触手を切り伏せて、後方作戦本部に叫んだ。
「戦況は!?」
「右翼も左翼も押され気味です! 魔物が統制を取って攻めてくるなんて初めてであちこちで混乱が起きていますっ!」
わかってはいたが絶望的な返答に、力任せに手近なゴブリンの首を飛ばす。紫色の血を避けるようにしゃがんだ。覆いかぶさるように、オーガの巨体。山のように大きく、そして鈍い。伸びあがった勢いでオーガの首に手をかけ、脳天に剣を突き刺して後ろに倒す。
オーガの体で触手の根と雑兵を押しつぶし、その上でシルヴィアは敵方を見据えた。
「敵陣に乗り込んでくる」
「無茶ですっ!」
「だがもうそれしかない。統率者を潰さないとこの勢いは止められない」
「ですが………っ」
それきり何も聞かず、シルヴィアは手近な馬に乗って戦場を駆け抜ける。
幸い、これはまだ前哨戦のようなものだ。聖女と聖剣が守る本丸は、そう簡単には落ちない。兵力もまだある。
しかし、完膚なきまでに負けていい戦いではないのも確かだった。
「やあ」
戦場には似合わない呼びかけを受けたのは、数十の魔物を騎乗から屠り去り、さらに数匹、そこそこの位の敵を倒した時だった。
白みがかった金色の髪に、青い目の優男が、優雅に血だまりに立っている。
馬から降りて、シルヴィアは剣を持ち直す。
「魔族か。……統率者は、貴様か」
「まあ、元締めはそうだね。それにしても、そんな軽装で戦場を駆けるとはずいぶんと豪胆だ」
「戦場の選択肢は、速度に依存する」
会話をするような時間的余裕はない。
大地を踏みしめて、真っ直ぐに男の首を狙う。瞬き一回にも満たない時間で放たれる突き。
躱せるものは王国にも数人しかいないそれを、男は難なく躱した。その腕がぴくりと動き、シルヴィアは右に距離を取る。
男は笑った。
「と思ったら、意外と臆病なのかな。僕は手袋を嵌めたかっただけなのだけれど」
「ずいぶんと余裕だな」
「ああ。このままここで君を足止めできれば、こちらの勝ちだ」
「させると思うか」
「怖い顔をしないでくれよ。僕はエドラと言います。よろしくね、緋剣のシルヴィア=メルネスさん」
「死ね」
赤い手袋を嵌め終わって満足げに頷くエドラに、シルヴィアは再び距離を詰める。
今度は下から―――地面よりも下から。
剣を地面に突き刺して、掘り返すように振り上げる。砂が舞い上がり曇った視界で方向を変えて回り込む、首を狙って横薙ぎに剣を振る。
―――その首、殺った。
「うん、とてもいい」
「………っ⁉」
振り向きもされなかった。
蚊を払うようにかざされた手袋に剣が触れたとたん、ぎしりと、鉄の塊が宙に固まる。
すっぽ抜けるように剣を手から離して後退するシルヴィアに、エドラは冷たい笑みを浮かべた。
「貴女は強いね。赤で正解だ。青なら今ので死んでいた」
「ずいぶんと余裕だな。攻めては来ないのか」
サブの剣を腰から抜いて構える。冷や汗を隠して、不敵に笑って見せる。
エドラは顔色を変えることなく告げた。
「攻めなくてもそちらは物量で負けるし、そもそも攻撃は苦手でね」
「腰抜けが」
「自軍でも良く言われるよ。でも、そうだね。……敵に侮られるのは気分が悪い」
「……っ⁉」
吐息がかかりそうな距離まで一瞬で詰められて、呼吸が止まる。
棒立ちの状態から、同等の速度で肉薄されたという事実に冷静さが乱されて、慌てて剣を振った。それが致命傷だった。
赤い手袋でそれを掴まれ、二本目の剣も空中に固まった。
丸腰にされたシルヴィアは、半ば無意識に、手袋に書かれた文字を読む。
「『座標固定』……?」
「ご明察」
声は、背後から聞こえてきた。
手袋でそっと頬を撫でられて、ぎしり、と全身が固まる。
「なっ、こ……のっ!」
「無駄だよ。解除は僕の意思か、一定時間が経たないと」
からん、という乾いた音が戦場に一つ響いた。最初に空間に固定された剣がようやく落ちた音だった。
「でも、例外もある。事前に僕が魔力を通した付箋を貼られると、剝がされない限りは効果が続く」
『絶対服従』と書かれた付箋を首に張られる。
鉄の型に収められているかのような圧迫感は消え失せたものの、なお自由に動かせない体に、シルヴィアの息が荒くなる。
青い目の男は、そんなシルヴィアににこりと笑いかけた。
「チェックメイトだね、緋剣さん」
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