双璧の退魔師

blueblack

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3章

姦計、二人の虜囚

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 ――あ、ああ……っ! また、出る、出るぅぅああっ!
(あ、れ? ボク、何してたんだっけ)
 生暖かい何かが顔にかかって、彩音は少しずつ意識を取り戻す。

「あら、起きたわね」
「…………は?」

 目の前に、妖魔が立っていた。
 ノウと呼ばれる触手型妖魔。あのとき倒せてなかったのか。
 さらに追い討ちをかけるのは自分の状況。
 四肢を触手に飲み込まれ、裸のお腹と股間を突き出させられている。
 顔を赤くして、彩音は腰をくねらせた。

「な、この……っ! このお……っ!」
「無駄よ。分体ならともかく、今の私は本体。絶対に抜け出せたりしないわ」

 ノウの指がほどけて触手になる。クリトリスの皮を剥かれて、彩音はじんと下腹部を疼かせた。

「くっ、ふう……っ。ふう、あ……」

(なんか、おかしい……っ! なんでこんな、敏感に……っ)
 少し触られただけなのに腰が砕けそうなほどの刺激。恐る恐る視線を落として、ひっ、と息を詰まらせる。

「なに、塗ったんだよ!」
「ああ。流華さんに塗ったのと同じ媚薬よ。ちなみに言うと、今まで陰核の自慰に使わせてた触手の粘液も、流華さんの媚薬とほぼ同じ。さて問題、あなたの体はどうなるでしょう」

 ヒントね、と言って、ノウは触手をさらに増やす。
 彩音と向かい合うに同じ拘束をされていた流華の胸を搾り上げた。

「ああ、ぐうっ! ひいいっ! も、やめろ! やめてえっ! 出るっ、出ちゃう、からあっ!」

 ぷしゃあ、と乳を絞られる流華を指差して、にこりと笑われる。
 触手で剥き身の陰核を扱きあげられた。

「あ、くっ! くううっ! やだ、やだあ……っ! あづい、なんか、熱くて……っ!」

 体がおかしくなってる。下腹部の熱が塊のように形を持っていた。やがてそれは、クリトリスへと殺到した。
(イったらだめっ、絶対にまずい! だめ、だめ……っ!)

「我慢なんて、させるわけないでしょ」
「ぐくっ、くああっ!」

 吸盤のような触手が陰核に食いつく。切羽詰まる、というより、もう限界は超えていた。何もしなくても、数秒のちに果てると知れた。
(あ、あっ……、もう……っ! くそぉ……っ)
 なのにさらにクリトリスを吸い上げられて、彩音はなすすべなく、屈服した。

「イっぐ! いぐう! っくうううっ!」

 果てるのと同時に、陰核を咥えていた触手が内からの圧力で膨張した。
 ずるりと触手が離れて、彩音は悲鳴をあげる。

「あ、ああ……っ、いやだああっ!」

 陰核のあった場所には、立派な男性器が生やされていた。

「戻して、戻して! やだ、こんなの……っ!」
「あなたは流華さんに比べて随分と脆いわねえ。とりあえず、精通しなさい」
「やあ、扱かない、でえ……! やああ……っ」

 ノウのほっそりとした指に包まれて、しゅ、しゅと優しく扱かれる。亀頭をぐりぐりと親指で押されたかと思えば、直後に高速のピストン。
 妖魔による巧みな責めに、ふたなりになったばかりの彩音が耐えられるはずもなく。

「嫌だ、こんなのいや、なのに……っ! なんか、来る……っぅぅうううっ!」

 びゅるるっ、と粘っこい精液を飛び散らせて、初めての射精に緩み切った顔を敵の前に晒してしまう。
 独特の生臭さが漂う粘液を対面の流華にまで跳ばして、彩音は腰をびくびくと突き上げる。
 流華は流華で、ノウが見ていない間も触手に搾乳をさせられ母乳を飛び散らせていた。

「あ、くう……っ、くっそ、が……っ、あ……っ!」
「あう、はあ、う……っ。はあん、く、うう……ぅっ」

 母乳と精液をかけ合って悶える退魔師のツートップに、ノウは楽しそうに声を張った。

「さあ。いつも彩音がやるみたいに、ゲームをしましょうね、お二人さん」

    ◇

「イったら負け。ルールはそれだけよ。シンプルでしょう?」

 楽しげに肩を揺らして、ノウは対面で拘束された流華と彩音に手を伸ばす。
 触手を二人の全身に絡み付かせ、流華は胸を、彩音は陰茎を重点的に責め始めた。

「あ、くう……っ」
「いや……、だあっ」

 くねくねと悶える二匹の牝を順番に眺めて、まずは彩音の頬に手を添える。

「彩音。あなたが負けたら、自由をもらうわ。苗床として、毎日可愛がってあげる。二度と陽の元には出してやらない」
「ひ……っ!」

 そして今度は、流華の前髪を掴んだ。

「流華さん。あなたが負けたら、私は全力で八柱仙華さんを狙う。引きずってでもここに連れてきて、姉妹で奴隷にしてあげる」
「い、ぎ……っ! そんなこと、させるかよ……っ!」

 流華は全力で体をいきませるが、触手は柔軟に変形するだけで拘束は外せない。結局、反抗するだけ胸への刺激が強くなって、

「あ、あう……っ! くそぉ……っ、んあっ」

 と自ら喘いでいるような格好となった。
 流華と彩音。
 触手に絡め取られ、鏡写しのように同じ姿勢で凌辱を受ける二人は、ばちりと一瞬、目を合わせた。仲間であるはずなのに、その瞳に宿ったのは鋭い光。まるで、負けるものかとでも言いたげな。

「さて、まずは彩音からかしらね」

 触手の責めを継続しながら、ノウは初めに彩音を狙った。
 触手による扱きをそのままに、指で亀頭を撫で回す。漏れ出すカウパーを擦り付けてやると、面白いように肉棒が跳ねる。

「あ、あっ、なに、これえ……っ、気持ち……悪い……っ」
「気持ち良いの間違いでしょう? 心配しなくてもすぐ慣れるわよ」
「ああっ! いぎ、い……っ!」

 金属を擦り合わせたような高さの嬌声は、すでに切羽詰まっている証だった。
 このまま虐めて果てさせてやりたい。絶望する顔を見てやりたい。
 そんな内心を押し殺して、ノウは流華に振り向いた。

「一応ゲームだしね。次はあなた。にしても、すごい膨れ方ね。たぷたぷ」
「……っぐ! くう、……くうっ」
「あら、耐えるじゃない」

 急造で媚薬を仕込んだ彩音より、前から乳房に塗り込んでいた流華の方が、感度は一段上なはずだ。しかも胸なので責められる場所も二箇所。
 にも関わらず、流華はギリギリのところで敵愾心を燃やし続けていた。喘ぎながらもノウを睨みつけ、母乳の先走りを舐られても反応を堪えている。
(へえ、とっても、良いわね)
 ゾクゾクする。こういう女を、堕としたい。
 方針を決めて、ノウは限界近い二人に言った。

「クライマックスね。今から平等に同じ場所を責めるから、頑張って」
「ちょっと……まて」

 流華は、気づいてしまった。
 増えた触手が狙うのは、彩音の胸と、流華の陰核。
 普通に考えて、どちらが不利かは明白だった。

「ふざけんな、そんなの無理に決まって……っ! ――っ! ああああっ!」
「あ、ああっ! ひああ……っ」

 わかっていて、ノウはそのまま続けた。
 彩音は乳首をも吸い立てられ、甘い声を天井に向けて発する。きゅ、と締まった菊門は、射精が近づいている証だった。
 だが、流華の体はもう壊れていた。

「ひいいいっ! 嫌だ! 止めろっ! あああ……っ」

 搾乳と、親指大にまで膨らんだ乳首の責めはそのままに、しこり勃ったクリトリスをも吸い立てられる。
(耐えなきゃ、耐えろ、耐えてっ! 嫌だ、嫌だ……っ! 嫌、なのに……っ!)
 さらに数秒持ったのは、本当に驚異的だった。
 しかし、艶めく突起をさらに繊毛で虐め尽くされ、流華はなすすべもなく身体を反らした。

「ひあっ! ……っくああっ! ……イっぐぅぅうううっ!」

 打ち上げられた魚のように胴を跳ねさせる姿は、耐えていた分の深すぎる絶頂を表していた。乳首からは噴水のように乳が飛び、膣からは潮が飛び散る。

「はい、おしまい」

 びちゃびちゃと体液だらけになった流華、そして彩音がべちゃりと床に落とされた。
 後ろ出に拘束した彩音の頭をぽんぽんと撫でる。

「ゲーム終了。良かったわね、彩音。あなたはまだまだ取り返しがつくかもよ」
「ま……て」

 息も絶え絶えの流華が、うつ伏せた顔を持ち上げる。

「仙華に、手を出すな……」
「だめよ、負けたんだから」
「……っ! 待て、話を聞け。わかってるのか、八柱の戦力はあたしだけじゃない。お前だって一族相手にしたらタダじゃ済まねえぞ!」
「ああ、それは大丈夫よ」

 ごきん、とノウの首が折れた。
 液体のように不定形に揺らいだ後、やがて初老の男性の姿になる。
 顔は知らない。だけど、背格好とシルエットが、八柱の老害の姿にだぶる。
 顔が真っ青になった。

「それ、嘘だろ……」
「嘘ではない。分裂もできるのだから、予想できたことだろう? っと、まあ女型の方が動きやすいから戻すけど。こんなわけで、音峰当主も、八柱当主も、すでに私が成り代わってるのよ。残念ね」

 権力者は弱い。と、前にも言ったことを繰り返して、ノウは今度こそ牢を出ようとした。
 しかし、弱々しい力でその足が止められる。

「待って、くれ」
「ほんっとうに、驚異的ね」

 流華が足首に噛み付いていた。
 ずりずりとノウの前まで這いずり、流華は頭を床に擦り付ける。

「頼む……。なんでも、なんでもするっ。仙華にだけは、手を出さないでくれ! 頼む!」
「足でも舐めたら?」
「ん……ん、ふぅ、ちゅ、ぐ……っ」

 差し出した足を躊躇いなく口に含む流華の顔を覗き込む。

「流華さん、なんでもする?」
「ん、ふぐっ……、ん、なんでも、する……っ」
「裸で踊れって言っても? 一日何リットルも母乳を出せって言っても? 一生私の奴隷になれって言っても?」
「する、するから……っ! だから……っ」
「だめよ」

 生暖かい流華の口から指を引き抜いて、サッカーボールのように振り抜いた。

「そんなの全部、仙華さんの首にナイフでも突きつければ聞かせられるでしょ。残念ね。それじゃ」
「待って、待って……っ! 待てよぉぉおお!」

 ぐらぐらと頭を揺らしながら、まだ食らいつこうとする流華を無視して、今度こそノウは牢を出た。

    ◇

(絶望的かにゃー)
 度重なる絶頂の余韻からようやく抜け出して、彩音は後ろ手に縛られた裸身を揺らす。
 武器はなし。拘束は解けない。当主は擬態され救援も望み薄。
(そしたらまあ。一生飼い殺しにされるよりは……)
 唯一残った自由を行使するか。
 あー、と舌を伸ばして、上下の歯で軽く噛む。このまま力を入れれば、終わる。
 でも、その前に少し聞いてみたいことがあって、彩音は隣で肩を震わせている流華に言った。

「ルカちゃん」
「う……ぅ、ぐぅ……ぐず……っ。……ん、だよ……っ」
「そんなに必死に妹さんの盾になって、辛いと思わないんですか? 元々ルカちゃんは、妹さんっていう弱みがなければ、不自由なく生活できるじゃないですか」

 そもそも、毎度の決闘と凌辱だって、妹を盾にされて強要されていたもの。流華一人なら、どうとでもなる。

「馬鹿、か……。お前」

 ぎぎぎ、と身体を軋ませて、流華はうつ伏せから無理やり立ち上がろうとする。

「有利だから助けるとか、不利だから見捨てるとか、そういう話じゃないだろ。家族だぞ……。仙華には、何にも知らないで笑ってて欲しい、だろうが……っ」
「やめといた方がいいにゃー。拘束解けないし、さっき蹴られたとき、脳震盪起こしてたでしょ」
「うっさい!」

 びくともしない拘束具にむなしい抵抗を続けながら、流華は言い聞かせるように呟いた。

「絶対に、仙華だけは、助けるんだよ……っ」
「無駄な努力」
「だ、ま、れえ!」

(ほんっとうに、わからないにゃ)
 人助けなんて、泣きながら歯を食いしばってまですることだろうか。全身隈なく開発されてまで抵抗するべきことなのだろうか。

「くそぉ……、くそぉ……っ」

 暗い地下牢に、流華の悲痛な叫び声だけが延々と響いていた。
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