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記憶魔法

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「どうやら俺が生きていたことを知ってたみたいなんだよな。今日、俺が弁当を作っていって2人で食べてた時に俺の正体を言い当てたんだよ。」彼は考え込みながら、そう言った。そして、これ飲んでと解毒剤らしきものを私に渡す。

「ま、どっちにしろちょうど今気絶してるわけだし、前に言ってた魔法でちょっと記憶をいじらさせてもらおうか。」セインはそういうと、前みたいに手を繋いでくれる?と私に言った。

そうして手を繋いだ私たちは、気絶してるキースの傍に行った。そこで、セインはキースの眉間に手を当てると何やらブツブツと呟き始めた。

そうするとキースに触れた眉間のところから白い光が溢れてきて、そして突然その光は消えた。

その工程を見守った後、私は唐突に思い出して「呪いは解かなくていいの?」と私は恐る恐る問いかけた。

「婚約については、もう形式的なものを済ませたぞ。今日の昼ごはんの時にな。」彼は安心させるように私に笑ってそう言った。

「で、でもどうして貴方の正体がわかってるのにそんなことできたの?」私は不思議に思って聞いた。

「あいつも、自分の魔力が失われていくことに恐怖を感じててさ、それでそこを利用したんだよ。一旦和解して、それでそこから俺たち2人で正々堂々同時に君にアプローチして、君に選ばれた方が次期当主になろうってさ。」セインは私の髪の毛を優しく撫でながら言う。

「でも、あいつは口先だけでそう言って本心はさっき起きたことが示す通り、無理矢理君を自分のものにしようとしたんだ。」彼はまた先程と同じ冷めた目付きでキースを眺めながら言った。

「なるほど、そういうことだったのね。」私はパズルのピースがすべてピタリとハマったかのように納得したのだった。

「ていうか、それならわざわざリリシアに惚れさせなくても良かったじゃん。」私はふと思ったことを呟いた。

「でも、俺が生きてることを知らせたら、もしかしたら寝首を搔かれてたかもしれないぞ?結論から見ればそうかもしれないけど、その辺はどっちの方法が良かったかなんてわからないさ。」

そうしてセインはキースの見た目を、彼がエドワードに変装していた時のものに魔法で変えると、じゃあちょっと色々手続きしてくる、と言ってキースを担いで帰っていったのだった。

◇◇◇

その後目を覚ましたキースは、すっかりとこれまでのことを忘れており自身のことは執事エドワードだと思い込んでいた。

私たちはそれでも念の為、当初の予定通りエドワードを城に置いておくことにした。



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