23 / 24
記憶魔法
しおりを挟む
「どうやら俺が生きていたことを知ってたみたいなんだよな。今日、俺が弁当を作っていって2人で食べてた時に俺の正体を言い当てたんだよ。」彼は考え込みながら、そう言った。そして、これ飲んでと解毒剤らしきものを私に渡す。
「ま、どっちにしろちょうど今気絶してるわけだし、前に言ってた魔法でちょっと記憶をいじらさせてもらおうか。」セインはそういうと、前みたいに手を繋いでくれる?と私に言った。
そうして手を繋いだ私たちは、気絶してるキースの傍に行った。そこで、セインはキースの眉間に手を当てると何やらブツブツと呟き始めた。
そうするとキースに触れた眉間のところから白い光が溢れてきて、そして突然その光は消えた。
その工程を見守った後、私は唐突に思い出して「呪いは解かなくていいの?」と私は恐る恐る問いかけた。
「婚約については、もう形式的なものを済ませたぞ。今日の昼ごはんの時にな。」彼は安心させるように私に笑ってそう言った。
「で、でもどうして貴方の正体がわかってるのにそんなことできたの?」私は不思議に思って聞いた。
「あいつも、自分の魔力が失われていくことに恐怖を感じててさ、それでそこを利用したんだよ。一旦和解して、それでそこから俺たち2人で正々堂々同時に君にアプローチして、君に選ばれた方が次期当主になろうってさ。」セインは私の髪の毛を優しく撫でながら言う。
「でも、あいつは口先だけでそう言って本心はさっき起きたことが示す通り、無理矢理君を自分のものにしようとしたんだ。」彼はまた先程と同じ冷めた目付きでキースを眺めながら言った。
「なるほど、そういうことだったのね。」私はパズルのピースがすべてピタリとハマったかのように納得したのだった。
「ていうか、それならわざわざリリシアに惚れさせなくても良かったじゃん。」私はふと思ったことを呟いた。
「でも、俺が生きてることを知らせたら、もしかしたら寝首を搔かれてたかもしれないぞ?結論から見ればそうかもしれないけど、その辺はどっちの方法が良かったかなんてわからないさ。」
そうしてセインはキースの見た目を、彼がエドワードに変装していた時のものに魔法で変えると、じゃあちょっと色々手続きしてくる、と言ってキースを担いで帰っていったのだった。
◇◇◇
その後目を覚ましたキースは、すっかりとこれまでのことを忘れており自身のことは執事エドワードだと思い込んでいた。
私たちはそれでも念の為、当初の予定通りエドワードを城に置いておくことにした。
「ま、どっちにしろちょうど今気絶してるわけだし、前に言ってた魔法でちょっと記憶をいじらさせてもらおうか。」セインはそういうと、前みたいに手を繋いでくれる?と私に言った。
そうして手を繋いだ私たちは、気絶してるキースの傍に行った。そこで、セインはキースの眉間に手を当てると何やらブツブツと呟き始めた。
そうするとキースに触れた眉間のところから白い光が溢れてきて、そして突然その光は消えた。
その工程を見守った後、私は唐突に思い出して「呪いは解かなくていいの?」と私は恐る恐る問いかけた。
「婚約については、もう形式的なものを済ませたぞ。今日の昼ごはんの時にな。」彼は安心させるように私に笑ってそう言った。
「で、でもどうして貴方の正体がわかってるのにそんなことできたの?」私は不思議に思って聞いた。
「あいつも、自分の魔力が失われていくことに恐怖を感じててさ、それでそこを利用したんだよ。一旦和解して、それでそこから俺たち2人で正々堂々同時に君にアプローチして、君に選ばれた方が次期当主になろうってさ。」セインは私の髪の毛を優しく撫でながら言う。
「でも、あいつは口先だけでそう言って本心はさっき起きたことが示す通り、無理矢理君を自分のものにしようとしたんだ。」彼はまた先程と同じ冷めた目付きでキースを眺めながら言った。
「なるほど、そういうことだったのね。」私はパズルのピースがすべてピタリとハマったかのように納得したのだった。
「ていうか、それならわざわざリリシアに惚れさせなくても良かったじゃん。」私はふと思ったことを呟いた。
「でも、俺が生きてることを知らせたら、もしかしたら寝首を搔かれてたかもしれないぞ?結論から見ればそうかもしれないけど、その辺はどっちの方法が良かったかなんてわからないさ。」
そうしてセインはキースの見た目を、彼がエドワードに変装していた時のものに魔法で変えると、じゃあちょっと色々手続きしてくる、と言ってキースを担いで帰っていったのだった。
◇◇◇
その後目を覚ましたキースは、すっかりとこれまでのことを忘れており自身のことは執事エドワードだと思い込んでいた。
私たちはそれでも念の為、当初の予定通りエドワードを城に置いておくことにした。
0
お気に入りに追加
184
あなたにおすすめの小説
単純に婚約破棄したかっただけなのに、生まれた時から外堀埋められてたって話する?
甘寧
恋愛
婚約破棄したい令嬢が、実は溺愛されていたというテンプレのようなお話です。
……作者がただ単に糸目、関西弁男子を書きたかっただけなんです。
※不定期更新です。
完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
水鳥楓椛
恋愛
わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。
なんでそんなことが分かるかって?
それはわたくしに前世の記憶があるから。
婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?
でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。
だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。
さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。
悪役令嬢は婚約破棄したいのに王子から溺愛されています。
白雪みなと
恋愛
この世界は乙女ゲームであると気づいた悪役令嬢ポジションのクリスタル・フェアリィ。
筋書き通りにやらないとどうなるか分かったもんじゃない。それに、貴族社会で生きていける気もしない。
ということで、悪役令嬢として候補に嫌われ、国外追放されるよう頑張るのだったが……。
王子さま、なぜ私を溺愛してらっしゃるのですか?
【完結】悪役令嬢になるはずだった令嬢の観察日記
かのん
恋愛
こちらの小説は、皇女は当て馬令息に恋をする、の、とある令嬢が記す、観察日記となります。
作者が書きたくなってしまった物語なので、お時間があれば読んでいただけたら幸いです。
モブ令嬢ですが、悪役令嬢の妹です。
霜月零
恋愛
私は、ある日思い出した。
ヒロインに、悪役令嬢たるお姉様が言った一言で。
「どうして、このお茶会に平民がまぎれているのかしら」
その瞬間、私はこの世界が、前世やってた乙女ゲームに酷似した世界だと気が付いた。
思い出した私がとった行動は、ヒロインをこの場から逃がさない事。
だってここで走り出されたら、婚約者のいる攻略対象とヒロインのフラグが立っちゃうんだもの!!!
略奪愛ダメ絶対。
そんなことをしたら国が滅ぶのよ。
バッドエンド回避の為に、クリスティーナ=ローエンガルデ。
悪役令嬢の妹だけど、前世の知識総動員で、破滅の運命回避して見せます。
※他サイト様にも掲載中です。
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
悪役令嬢でも素材はいいんだから楽しく生きなきゃ損だよね!
ペトラ
恋愛
ぼんやりとした意識を覚醒させながら、自分の置かれた状況を考えます。ここは、この世界は、途中まで攻略した乙女ゲームの世界だと思います。たぶん。
戦乙女≪ヴァルキュリア≫を育成する学園での、勉強あり、恋あり、戦いありの恋愛シミュレーションゲーム「ヴァルキュリア デスティニー~恋の最前線~」通称バル恋。戦乙女を育成しているのに、なぜか共学で、男子生徒が目指すのは・・・なんでしたっけ。忘れてしまいました。とにかく、前世の自分が死ぬ直前まではまっていたゲームの世界のようです。
前世は彼氏いない歴イコール年齢の、ややぽっちゃり(自己診断)享年28歳歯科衛生士でした。
悪役令嬢でもナイスバディの美少女に生まれ変わったのだから、人生楽しもう!というお話。
他サイトに連載中の話の改訂版になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる